彼女が、日本人らしい綺麗な顔を歪ませている。
「まぁ、そうだよね。」
とても悲しそうに、彼女は女にしては
少し低めの声でそう呟いた。
容赦なく俺達を濡らす雨が彼女の
エナメル線のような髪を濡らして、
一層、彼女を悲しそうに演出していた。
「ごめん…。」
俺は、心底情けない声でそう呟いた。
否、そう呟くしかなかった。
「いいんだよ。仕方がないんだよ。」
そんなことを言っても、コートの裾を
握り締めている彼女の手は震えていた。
彼女の白い腕には、見覚えのある
ブレスレットが身に付けられていた。
それが、余計に悲しさをひきたたせる。
でも、今こうしなきゃ、彼女は壊れてしまうから。
だから、もう一度いった。
「ごめん。」
彼女は、そのセリフにもう返事をしなかった。
そして、これだけ言った。
「ごめんね。ありがとう。________
ジリリリリリリリリ!!!
「!!」
目が覚めた。
とても嫌な夢を見た気がする。
体中が汗に濡れていて気持ち悪い。
むっくりと体を起き上がらせて
カレンダーをぼんやりと眺める。
「そうだった。今日は終業式だ。」
ぽつりとそう呟いてベッドから降りた。
朝ごはんのために階段を下りていると、
何かが頭を掠めた。
「?」
あれ、なんか用事とかあったっけ?
スマホを確認しても今日の予定は
終業式のみだ。ほかにはなにもない。
なんだかモヤモヤしたまま
焼き鮭を口へと運ぶ。
__________
食べ終わって、2階に上がろうとするときに
「皮のこしたわね。」
と言う不満げな母の小言がきこえた。
相手をしている暇はない。
早く学校へ行かなければ。
そして、何よりも早くこのモヤモヤを
ぬぐい去りたかったんだ。
暑い。今日は何度まで上がるのだろう。
夏はあまり好きじゃないな。
俺はそんなことを考えながら道路を歩く。
暑い。暑い。溶けそうだ。
喉も乾いた。駅でジュースでも買おうか。
でも、そんなことをしていたら
乗り遅れるのがオチだろう。
でも乗り遅れたって、遅刻するわけじゃない。
あれ、なんで俺は焦ってるんだ?
頭の中がごっちゃになってきた。
きっとこれも夏のせいなのだろう。
「夏、か。」
なんでも夏のせいにする自分に苦笑が漏れる。
言い訳がましいな。まるで…
「ん?」
やっぱり今日はどこかおかしいのかも知れない。
思い出せない。今、
俺は何を思い出そうとしていたんだ?
ガツッ
「?!い゛っ…」
強かに頭を強打してわれに帰った。
やっと駅についた。
さっさと中に入って頭を冷やそう。
俺はエレベーターに足を踏み出した。
あの時、無理にでも
休んでいたら良かったのかもしれない。
To be continued……
初めての小説投稿です。拙い点もあるかと思いますが、
少しでも楽しんでいただければ幸いです。
これからよろしくおねがいします。