※艦これx戦艦少女Rのクロスオーバー作品です。
ショッピングモールの広場から河川敷へと続く道は、避難する人々の混乱でごった返していた。
しかし、艦娘としての訓練で培われた身体能力を持つ少女たちは、巧みに人波をすり抜け、爆心地へと突き進んでいく。先頭を走るのは、闘争心を剥き出しにした肇和と、彼女に必死で食らいつく初雪、夕立、そして綾波だった。
「待ちなさい、肇和! 早まらないで!」
「うるさい! 姉さんは黙って見てろってんだ!」
息を切らしながら叫ぶ應瑞に、肇和は振り返りもせずに言い返す。その足取りに、迷いは一切感じられない。
「初雪も、夕立ちゃんも綾波も、落ち着いて!まずは状況を確認しないと!」
後方から聞こえる應瑞と吹雪の必死の制止も、興奮状態にある四人の耳には届かない。彼女たちが河川敷へと続く土手を駆け上がった瞬間、目の前に広がる光景に息を呑んだ。
穏やかだったはずの川の中央。その水面が不自然に盛り上がり、ぬるり、と一体目の斥候型深海棲艦の隣から、もう一つの異形の影が姿を現した。
それは先に現れた個体よりも一回り大きく、背中には複数の砲塔らしき器官が林立している。明らかに、攻撃に特化したタイプだった。
その砲塔の一つが、まるで生命体のように蠢き、狙いを定める。標的は、河川敷の対岸にある市立図書館だった。次の瞬間、砲口から閃光が迸り、圧縮されたエネルギー弾が甲高い飛翔音と共に射出される。
ズドォォォン!
着弾した図書館の壁が、轟音と共に爆ぜ飛んだ。コンクリートの破片とガラスが、まるでスローモーションのように宙を舞う。
「嘘……あんなものが、川の中に……」
遅れて到着した應瑞たちが、絶句して立ち尽くす。目の前で起きていることは、明らかにただの事故やテロではなかった。人類の敵、深海棲艦の襲撃だ。
「やっぱり敵じゃねえか!見たか、ぼさっとしてる場合じゃねえんだよ!」
肇和が、してやったりとばかりに叫ぶ。彼女の瞳は、目の前の脅威を前にして、恐怖よりも怒りと闘争心で爛々と輝いていた。
「今すぐあいつらを叩く!おれに続け!」
「待ちなさい、肇和!」
突進しようとする妹の腕を、應瑞が必死に掴んだ。その表情は、先ほどまでの優雅さとは程遠い、切迫したものだった。
「無茶です!私たちには今、艤装がありません!戦う術がないのですよ!まずは鎮守府に増援を要請して、正規の艦隊が到着するのを待つべきです!」
「そんな悠長なこと言ってられるか!あいつら、今も街を壊してるんだぞ!目の前で人が死ぬのを見過ごせってのか!?」
「ですが!」
姉妹の激しい口論に、他のメンバーは戸惑うばかりだった。最初は肇和の勢いに呑まれていた夕立と綾波も、目の前で繰り広げられる圧倒的な破壊を目の当たりにし、冷静さを取り戻しつつあった。
「でも、肇和ちゃん……應瑞さんの言う通り、武器がないと……」
夕立が不安げに呟く。
「はい。素手では、どうしようもありません……」
綾波も、固く握っていた拳を解き、無力感を滲ませた。彼女たちの心は、無謀な突撃よりも、應瑞の現実的な判断へと傾き始めていた。
「ちっ……てめえらまで日和ってんじゃねえよ!」
仲間からの賛同を得られず、肇和は苛立ちを隠せない。その時、隣にいた初雪が、決意を固めた目で彼女を見つめた。
「肇和ちゃん、やろう。私たちなら、できるよ」
「……初雪」
初雪の言葉に、肇和の顔に獰猛な笑みが浮かぶ。二人は、もはや他のメンバーの意見を聞くつもりはなかった。
「うるせぇ!おれたちのやり方でやる!見てろ!」
肇和はそう叫ぶと、制止しようとする應瑞の手を振り払い、リュックから隠し持っていたコアユニットを取り出した。初雪も同様に、小さな金属塊を掌に握りしめる。周囲のメンバーが「まさか」「あなたたち、何を!?」と驚愕の声を上げるのも構わず、二人はそれを胸に強く押し当てた。
瞬間、二人の身体から淡い光が立ち上った。それは決して派手な変身シーンなどではなく、まるで水面に落ちたインクが広がるように、静かで、しかし不可逆的な変化だった。肇和の髪がわずかに逆立ち、瞳に深紅の光が宿る。初雪の全身からは、冷気にも似た闘気が立ち昇った。周囲の空気が、びりびりと震える。彼女たちの身体能力、五感、そのすべてが、人間を超えた「艦娘」のものへと強制的に引き上げられていく。
「な……!?」
應瑞は、目の前で起きた信じがたい光景に言葉を失った。他のメンバーも、ただあっけにとられて、完全に艦娘へと変貌した二人を見つめることしかできない。
「行くぞ、初雪!」
「うん!」
二人は、もはや人間ではありえない速度で地面を蹴った。一直線に、川の中の深海棲艦へと向かって駆けていく。しかし——。
「あれ……?」
川の手前までたどり着いた肇和が、困惑の声を上げる。水面を蹴って、華麗に敵艦へと躍りかかるはずだった。だが、彼女の足は、水に浮くどころか、ちゃぷっと足が水に沈んだのだ。
主機も、海上を滑走するための艤装もない。彼女たちは、水の上に立つことができなかったのだ。
「飛べねえし、浮きもしねえ!これじゃ攻撃できねえじゃんか!」
「どうしよう、肇和ちゃん……!」
川を挟んで数⼗メートルの距離。それは、あまりにも遠かった。二人は、ただ岸辺でファイティングポーズを取り、敵を睨みつけることしかできない。その姿は、あまりに滑稽で、そして悲壮だった。
そんな二人を嘲笑うかのように、斥候型の深海棲艦が身を翻し、低空を薙ぐように光弾を放ってきた。
ヒュン!
「させるかよっ!」
肇和は飛来する光弾に対し、咄嗟に右ストレートを叩き込んだ。バキン!という硬質な音と共に光弾は砕け散るが、同時に彼女の拳に凄まじい衝撃が走った。
「ぐっ……!痛ってえ!」
装甲もバリアもない、生身の拳。衝撃はダイレクトに骨と神経を揺さぶる。初雪も、飛んできた別の光弾を回し蹴りで弾き飛ばすが、その足には痺れるような痛みが走っていた。
「これならどうだ!」
肇和は足元に転がっていたこぶし大の石を拾い上げると、超人的な腕力で深海棲艦に投げつけた。石は唸りを上げて飛翔し、敵の装甲に命中する。しかし、カァン!という甲高い音を立てて弾かれるだけで、傷一つ付けることができない。
(ダメだ……!艤装がないと、まともなダメージが与えられない!)
立て続けに放たれる光弾を、拳で、蹴りで、必死に弾き続ける二人。だが、そのたびに衝撃が蓄積し、肌には火傷のような痛みが走り、体力が急速に奪われていく。
(なんだよ、これ……! 全然、力が……!)
(痛い、痛い痛い……! 腕が、折れそう……!)
艤装を完全に装備した状態の、万能感あふれる自分たちのイメージ。それと、目の前の現実とのギャップに、二人の心は急速に萎んでいく。先ほどまでの威勢はどこへやら、じわりと恐怖が心を支配し始めた。
初雪の顔が、恐怖で引きつる。肇和も、最初の威勢はどこへやら、迫りくる死の予感に体がすくんでしまっていた。
その時、砲撃型の深海棲艦が、再びその砲塔を二人へと向けた。先ほどよりも明らかに大きなエネルギー反応。斥候型の光弾とは比べ物にならない、強力な一撃が来る。
「「っ……!」」
回避しようにも、連戦で体は鉛のように重い。絶望が二人を包み込んだ、その刹那——。
「——『初志貫徹』!!」
凛として、しかしどこまでも慈愛に満ちた声が、戦場に響き渡った。声と同時に、肇和と初雪の全身を、淡く、しかし強固な光の膜が包み込む。それは、まるで母親の腕のように優しい、不思議なバリアだった。
直後、深海棲艦から放たれた主砲級の砲撃が、二人を飲み込んだ。凄まじい爆炎と水飛沫が上がる。しかし、その光のバリアは、着弾の衝撃を完全に吸収し、びくともしなかった。爆風が晴れると、そこには傷一つなく立ち尽くす肇和と初雪の姿があった。
※SeaArtのAI小説創作ツールと、Gemini CLIの小説創作で展開を肉付けしています。
※世界観やキャラクター設定は、自作小説の世界観のもと手動で考案したものです。
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