デート・ア・ライブ  the blue fate   作:小坂井

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こんなにも長く遅れてしまい本当に申し訳ありません。やはり、FGOにハマってしまうとなかなか抜け出す事が出来ませんね…


18話

「どなたですのォ?せっかくいいところだったのに、邪魔しないでいただけませんこと?」

 

左手に銃を持ち、赤と黒で出来た《バスター》を右手に宿した狂三は眉を歪めて不機嫌そうにしながら琴里に言った。あと少しで上手くいったところで横やりが入ったのだ、そうもなるだろう。

 

「悪いけど、そういうわけにはいかないわね。あなたはやりすぎたわ、罪には罰をあたえなくちゃいけないわね」

 

「く、くひひひひッ…面白い方ですわねぇ。まさか、あなたがわたくしと"彼"に勝てるとでも? 」

 

狂三は琴里に右腕を見せびらかすように前に差し出した。美しい見た目とは裏腹に圧倒的なまでの力を秘めているこの腕の力を持った自分をもう誰も止められない。この腕の本来の持ち主である彼以外には。狂三はそう思い自分の勝利を疑わなかった。

 

「何が『わたくしと彼』よ。あなたがただ盗んだだけじゃない。その腕もオリジナル()のと比べたら色も悪趣味だし、まあ、ある意味あなたにはピッタリでしょうね」

 

琴里の挑発的な言葉に狂三の頬がピクリと動く。屋上を埋め尽くしていた狂三の分身体が上空にいる琴里を睨めつける。そして屋上に苦悶の声が響いた。分身体が折紙と十香を気絶させたのだろう。

 

「イイですわ! 力の差を教えて差し上げましてよォッ!!」

 

狂三が叫ぶと他の分身体が一斉に琴里に飛びかかってきた。琴里一人に対して圧倒的物量の差、これほどの差では1人や2人を倒しても焼け石に水だろう。

だが、琴里はこれほどの差があっても余裕そうな表情を少しも崩さず、手に持った巨大な戦斧をゆっくり持ち上げる。

 

灼爛殲鬼(カマエル)!」

 

狂三の大群が目の前に迫った瞬間、赤い軌跡を残し輝きを増した戦斧を思いっきり前方に振り抜いた。同時に飛びかかってきた狂三の身体の部位が一斉に宙を舞い、地につく前に燃え尽きた。この光景を狂三は信じられないものを見るような目で見ている。

 

分身体を葬った琴里は視線を士道の方に落とし、もう一度灼爛殲鬼(カマエル)を振る。すると焔が蛇のように動いて士道に群がっていた狂三を燃やし尽くした。そして琴里は狂三と士道の間に降りて士道を守るかのように狂三に向かって灼爛殲鬼(カマエル)を構える。

 

「こ、琴里…これは一体…」

 

「質問は後よ、士道。出来るなら狂三の隙をついてここから逃げてちょうだい。今のあなたは…簡単に死んじゃうんだから」

 

琴里の言っている意味が分からず困惑していると、前方から狂三の笑い声が聞こえてきた。

 

「ひひひひ…ッ! やるじゃあありませんの。でェもォ…まさかもう勝ったと思っているんじゃおられませんわよね?」

 

その言葉で士道は息を詰まらせた。まだ狂三には天使の〈刻々帝(ザフキエル)〉と〈バスター〉があるのだ。

狂三は〈刻々帝(ザフキエル)〉の『Ⅰ』から漏れ出した影を装填した短銃を自分のこめかみを撃つ。〈刻々帝(ザフキエル)〉の『一の弾(アレフ)』、この弾は撃った対象の時間を早める効果がある。

 

「さあァ!、わたくしについて来られますでしょうかァ!?」

 

そう言うと同時に狂三の姿が一瞬で消える。それと同時に琴里は手に持った〈灼爛殲鬼(カマエル)〉を頭の上にやる。すると〈灼爛殲鬼(カマエル)〉から甲高い音が鳴って震えた。

 

圧倒的スピードで琴里を一方的に攻撃する狂三。だが、琴里もただやられているわけではなく狂三のスピードに反応して焔の刃で攻撃をことごとく防ぐ。

 

「あッはははは!身体中から力が溢れてくるッ!この感覚、素晴らしいですわッ!!」

 

「鬱陶しいわね。もう少し落ち着かなきゃ蓮に嫌われるわよ」

 

琨を薙ぐように振り抜き狂三を吹き飛ばす。狂三は琨が当たる瞬間、右手を構えてガードしたが衝撃までは無くせずそのまま吹き飛ばされた。吹き飛ばされた狂三は不安定な姿勢のまま銃を構えて叫びを上げる。

 

「あらあら、それはとても悲しいですわ。では、そのご忠告通りに淑やかに殺らせていただくとしましょう。〈刻々帝(ザフキエル)〉ーー【七の弾(ザイン)】!」

 

刻々帝(ザフキエル)〉から飛び出した影は狂三の持つ銃に吸い込まれて、それを琴里に向けて発射する。

今の琴里には姿勢などの関係から回避できる状態ではないが〈灼爛殲鬼(カマエル)〉で撃ち落とす。

 

だが、弾に触れた瞬間琴里の身体が停止して動かなくなった。髪の毛なども空中で静止してまるで琴里の周囲の時間が止まってしまったかのように。

 

「琴里!? どうしたんだ!?」

 

急に動かなくなった琴里に士道が声を掛けるもやはり反応がない。琴里のそんな姿を見て狂三は大きく笑い出した。

 

「ふふ、あはははッ!どんな強靭な力を持っていようと止めてしまえば意味がありませんわよ?」

 

動きが止まった琴里に周りに残っていた狂三の分身体が一斉に銃弾を放ち、琴里の肌に弾痕を刻んでいく。最後にオリジナルの狂三が〈刻々帝(ザフキエル)〉からもう一丁の銃を右手に収め、琴里に向けた。

 

「それでは、ごきげんよう」

 

とどめとばかりに弾丸を琴里に撃ち込む。その瞬間、琴里が動きを取り戻して撃たれた傷から血が吹き出す、そして最後に狂三が撃った箇所…正しく言えば撃った弾(・・・・)が爆発して琴里を吹き飛ばした。

 

「琴里!!」

 

「フフッ、こんなことも出来るだなんて本当にこの腕は素晴らしいですわね。」

 

〈バスター〉の万能性に酔いしれる狂三。そんな狂三を気にもせず士道は倒れた琴里の元へ駆け寄るが全身を弾丸で撃たれ血の海に沈んだ琴里はもはや生存は絶望的な容体だ。

だが、次の瞬間、琴里の身体の銃痕から全身を舐めるように焔が噴き出して広がっていく。

 

「まったく…随分派手にやってくれるじゃない」

 

琴里はまるで何も無かったかのように立ち上がる。焔が通ったあとには傷も無く琴里自身も痛みなども感じていない様子でありこれを見てさすがの狂三も動揺を隠せない。

 

「さて…まだ続けるの?これを見てあなたが戦意を無くしてくれたのなら嬉しいのだけど…」

 

「くっ…ご冗談を、この腕がある限りわたくしに敗北はあり得ませんわ!!〈刻々帝(ザフキエル)ーー【一の弾(アレフ)】」

 

狂三はそう言うと片手に持った短銃を自分自身のこめかみに向ける。これから狂三が何をするのかを察した琴里は近くにいた士道を蹴飛ばして遠くに飛ばすと戦斧を前に向けて防御の体制をとる。

一の弾(アレフ)】の力によって高速化した狂三達は琴里が士道を逃がした隙に周りを取り囲み、容赦の無い銃弾または打撃を加えていく。特にオリジナルの狂三による〈バスター〉の力を加えた弾丸が琴里を苦しめる。

 

「切り裂け!〈灼爛殲鬼(カマエル)!」

 

すると戦斧の刃の部分が大きくなりリーチを伸ばし、焔の刃は周囲を飛び回っていた狂三達を薙ぎ払い消滅させていく。

 

「くっ…蓮さん!」

 

狂三は願うかのように呟くと右手が大きく輝き出し、巨大な赤い手が現れ狂三自身を包み込む。そうやって焔から身を守りながら離脱するが、他の分身体はそうはいかず燃やし尽くされ消えていく。それを見て狂三は歯を噛みしめる。蓮の力を使いながらここまで苦戦する事は狂三のプライドが許さなかった。

 

「よくも…よくもわたくしをここまで…後悔させて差し上げますわ!〈刻 々 帝(ザアアアアアフキエエエエエル)!〉」

 

「させるかっての…!」

 

そこまで言った時、いきなり琴里は膝をつき苦しそうに頭を押さえ始めた。その姿を見て、狂三は悪運が尽きたと思い手に持った歩兵銃を向ける。それを見て士道は最悪自分が盾になってでも琴里を助けるつもりだったが。

 

「〈灼爛殲鬼(カマエル)ーー【(メギド)】」

 

琴里が〈灼爛殲鬼(カマエル)〉を高く掲げると刃の部分が消えて琨のみになり、それは蠢動して琴里の右腕の肘まで包み込むように着装されてその先端を狂三に向ける。そして琴里の周囲にまとわりついていた焔が先端に吸い込まれる。

 

「わたくしたち!!」

 

それを見て良くないものを感じた狂三は自分の影から分身体を二人の間を遮るように出し、〈バスター〉を自分の周りに纏い防御の体制を作る。それと同時に〈灼爛殲鬼(カマエル)〉から凄まじい炎熱の奔流が吐き出されて狂三に向かっていき〈バスター〉と衝突した。

 

しかし、熱線とぶつかった瞬間、〈バスター〉はガラスが砕けるかのような音を出し砕けて消滅してしまい〈刻々帝(ザフキエル)〉の時計の『Ⅰ』『Ⅱ』『Ⅲ』のあった箇所と狂三の左腕を消滅させて空へ消えていく。

 

屋上を覆う煙が晴れ、その事実を見た狂三はがくりと膝をついた。

 

「そ、そんな…こんな事が…」

 

すると狂三の心を表すかのように右手の〈バスター〉が赤く輝いて消滅し本来の腕に戻る。この力の源は狂三が生み出しているのでは無く蓮から吸収したものであるためその力が尽きてしまったらもう一度分けてもらうしかない。だが、今の狂三にはまるで見捨てられたかのように感じた。

 

「…銃を取りなさい。まだ闘争は終わってないわ」

 

琴里はもう戦闘を続ける事が出来ない状態の狂三を見ても大砲となった〈灼爛殲鬼(カマエル)〉を向けたままだった。もしもう一度あの攻撃を狂三が受けたら間違いなく焼き尽くされて狂三は消滅してしまうだろう

 

「それ以上やったら死んじまうぞ!精霊を救うのが〈ラタトスク〉なんじゃないのかよ!?」

 

士道もそうさせないため琴里に必死に呼びかけるがまったく耳を貸さず再び砲門に焔が引き込まれていく。だが、狂三は膝をついたまま動かない。

 

「そう…じゃあ死になさい」

 

まるでオモチャに飽きたかのように興味なく言った後、砲門から紅蓮の咆哮が放たれて狂三に向かっていく。その焔が狂三を呑み込む瞬間…

 

 

 

狂三の目の前に突如氷の壁が現れて焔とぶつかった。壁は白い煙を出しながら受け止めて焔を消滅させる。

 

「一体何が…」

 

突然の出来事に士道や琴里はもちろん狂三すらも驚いている様子だ。すると空から剣が落下してきて氷の壁の正面の床に突き刺さる。

分厚い曲刀に側面の赤いパーツに刻んである綺麗な金色の模様…その剣は〈レッドクイーン〉だった。

 

「あの剣は…」

 

士道はこの剣を持っている人物を一人しか知らない。その人物は空から降りてきて剣の柄頭に立った。

 

「やれやれ、最近は落ち着いて買い物すら出来なくなるとは…物騒な世の中だと思わないか?士道」

 

「蓮!!」

 

制服の姿で両腕に青い色をした籠手〈ウィトリク〉を装備した蓮がやってきた。その姿を見て士道の心に安心感が出てくる。

蓮はピョンとジャンプして床に立つと狂三の背後にある〈刻々帝(ザフキエル)〉をチラリと見る。

 

(あれが狂三の天使か…どうやらこの狂三は今までとは違うらしいな)

 

天使を使っている様子からこの狂三は特別ということを察した蓮は狂三を守るように前に立つ。今は狂三を死なせるわけにはいかない、自分の真実を知るたった一人の存在なのだ。そして…

 

(まさか、精霊だったとはな…司令官殿)

 

砲口を構えている琴里を見て心の中で呟く。この事を知った以上、詳しい話を本人から聞く必要があるようだ。とりあえず今はこの場を収める事が先決でそれは終わってからだが。

 

「聞きたい事はいっぱいあるが…とりあえずその物騒なものを下ろしてくれないか?狂三に死なれるのは困るんでな」

 

「蓮さん…なぜあなたは…」

 

「安静にしてろ。ここは俺がなんとかしてやるから」

 

狂三にそう言って琴里の方を向くが、本人は砲口を下げずにずっと向けたままだった。目を細めて見ていると琴里の周囲を漂っていた焔が砲口に吸い込まれていく。

 

「やはりあなたは狂三の仲間だったようね。なら、今ここでその女と共に死になさい」

 

愉悦のような恍惚のような表情を浮かべて言う琴里に思わずため息が出てしまう。流石にこうなるとは予想出来なかったが、まあ確かにそう思われても仕方ないことをしたのだ。

 

「違うって言っても信じてくれそうにもないな」

 

諦め気味に言った後、両腕を構えて戦う準備をする。だが蓮自身、こうなったら以上ただで終わらせるつもりなどなくなった。

 

「ただ…司令官殿。自分の言葉に責任持てよ?」

 

そう言った蓮の表情は…笑っていた(・・・・・)。それを見た士道は背筋がゾクリとするのを感じていた。

 

 

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