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学校を出た士道はひたすら走っていた。 目的地は約束していたファミレスだ。
「普通は避難するだろうに…」
今、士道は誰もいない街を走っているがその光景がとても不気味であった。
生活感を残したまま人がいない…これが不自然すぎたのだ。
誰かが『街は人がいて始めて街と呼べる』と言っていたがまさにその通りだ。
「はあ…はあ…」
ペース配分も考えずただひたすら走り続ける。体のあちこちが痛みを訴えて来るが、今の士道にはそんなの関係なかった。
「なんだ…あれは…」
なんと空に人影のようなものが飛んでいた。 士道はよく見ようと目を凝らしたが、やむ得ず中断させられた。
なぜなら士道が向かっている方向にまばゆい光に包まれたからだ。それと同時に大きな爆音と衝撃波が士道を襲った。
反射的にこらえるように全身に力を入れだがそれは無意味に終わり、士道は風圧に煽られ後ろに転がっていった。
「いてぇ…一体なんなんだ…」
突然起きた出来事が理解できず痛む体を起こしたが目の前の景色を見て驚愕した。
文字通り"なにも無くなっていた" 隕石でも衝突したように目の前の景色は荒れていたのだ。
そしてその景色の中央には人影があった。
大きな剣を持ち、紫色のドレスのようなものを身に纏い長い黒髪をしている美しい少女で歳は士道と同じくらいだろう…
「あの子は…一体…」
士道がじっと見つめていると、少女は手に持った剣を士道のいる方向に向かって横薙ぎに振ってきた。 それと同時に…
「伏せろ」
そう言われ頭を掴まれ、無理矢理伏せられた。そしてその直後…
士道のすぐ後ろの物体が綺麗に切り揃えられ音を立てて崩れていった。
「ひっ……!」
後ろの光景を見て小さく声を漏らした。
もし伏せられていなかったら士道も後ろの物体と同じく、真っ二つにされていただろう。
「あ、ありがー」
助けてくれた人物にお礼を言おうとして相手の顔を見て驚いた。 なぜなら相手はーー
「か、神代…?なんでこんな所に…」
「あれ? なんで俺の名前を知ってんだ?」
白い髪に蒼い目と整った顔立ち… 士道を助けたのは新しいクラスメイトの神代 蓮だったのだ。
士道が驚いているといつの間にか目の前に士道を攻撃した少女がいた。
「お前は…何者だ…?」
「さあ? 誰だろうな…」
少女は蓮を睨みつけながら聞いてきたが、蓮は少し笑いふざけた様子で答えた。
この時が、士道が精霊…そして蓮と出会った瞬間であった…
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(学校って結構退屈だな…)
蓮はタマちゃんの自己紹介を聞き、欠伸をしながらそう考えていた。
(まあ…その退屈を楽しみに来たんだがな)
蓮はある事情により1年の時はテストの時以外学校に来れなかった。 なので二年目はしっかり来ると決めていたのだ。
(しかし…なんなんだ…?)
蓮は先ほどからクラスメイトの視線を感じていたのだ。 主に女子から…
(頼むからあまりジロジロ見ないでくれ… 注目されるのは苦手だからな)
心の中で願うように言った後、蓮は机に伏せて眠り出した。
そこはなにもない空間だった。 真っ白の部屋の中に蓮は縛りつけられ身動きひとつ出来ない状態であった。
(またこの夢か…)
蓮はこの夢の事を知っている。なぜなら"いつも見ている"からだ。
蓮は1年ほど前にこの天宮市に来た。 しかし天宮市に来てから眠ると"同じ夢"をいつも見るのだ。
(くそ…なんなんだこの夢は)
そう思いながら待っていると部屋の入り口が開き、白衣を着た人間たちが入ってくる。
顔を見ようとするが景色と同化してるように真っ白で男か女かすら確認出来ない。
そして夢はいつも同じ所で終わる…
一人の人間がいつの間にか持っていた注射器を蓮の腕に刺し、シリンダーを押した所で蓮の意識は現実に戻る…
「はっ……!」
蓮が目覚めると時刻はすでにお昼になっていて帰り始めている生徒が見られる。
どうやら三時間以上寝てしまったようだ。
「はぁぁぁ〜〜」
時計を確認し魂まで抜けるのではないかと思ってしまうほど深いため息をした。
「やっぱりいつもここで終わるか…」
いつも中途半端で終わった後のハッキリとしないモヤモヤとした感覚が蓮は不快で嫌いだった。
(まあ気にしても仕方が無い…帰るか…」
そう思い、席を立った直後…
ウゥゥゥゥゥゥゥゥゥーーー
不愉快なサイレンの音が聞こえてきた。空間震警報だ。
この音を聞いた後、残っていた生徒は一斉にシェルターに向かい、教室は蓮1人になった。
しかし蓮はこの場を動くことが出来なかった。
(なんだ…? この感覚…)
まるで誰かに呼ばれているような…そんな感じがしたのである。
耳に聞こえているわけではない…しかし誰かが自分を呼んでいる…
蓮は周りを見渡し、誰も居ないことを確認して窓に近づき…
「よっと!」
"窓を飛び出し、近くにある家の屋根の飛び移った"
「この感覚は…あっちからか…」
感覚を感じる方へ屋根から屋根にジャンプして近づいて行く。そして途中で空に人影があることに気付いた。
「あれは…ASTか、結構対応が早いな…」
ASTとは対精霊部隊の略称である。
ワイヤリングスーツを着込み、CRーユニットという特別な装備で精霊と戦闘し撃破を目的とした部隊だ
しかし一般人には精霊はおろか、ASTの存在も伏せられているため知っているものは一部の人間のみである。
しかし蓮はASTの存在は知っていた。蓮は"一部の人間"だからだ。
そして蓮がASTの姿を確認した直後、大きな光と爆音が発生した。
「あれが空間震…」
蓮が"大きな衝撃波の中で立ったまま"の状態で呟いた。
蓮は空間震を直接見るのは始めてなので少し驚いている。
衝撃波と光が収まった後、前を見て見ると前方が何もない平地になっていた。そしてその中央には1人の少女がいる。
「そしてあれが精霊…世界を殺すといわれている厄災か… 直接見るのは始めてだな…」
しかしその少女を見ていると視界の端に動くものを確認した。
「ん? なんであんな所に人がいるんだ?」
なんとそれはCRーユニットも身につけていないだだの人間…士道だった。
少女もその存在に気付いたようで手に持った剣を振りかぶった。
(全く…俺がいなきゃ死んでたからな…)
蓮は家の屋根から力を入れて大きくジャンプして士道の所に向かって行った。
助けた理由は特にない…ただ見殺しにするのも気分が良くなかったからである。
士道の位置の少し横の上空にまで来たら、落下してもうすぐで地上に着く瞬間に
「伏せろ」
そう言いながら士道の頭を掴み、無理矢理伏せさせた。それと同時に頭の上を何かが通った感覚が起きた。
そして少し遅れて何かが崩れる大きな音が響く。 おそらく建物が崩れた音だろう。
「あ、ありがー」
そこまで言われた台詞が急に止まった。
何かあったのかと思い、相手の顔を見てみたら驚いた表情をしていた。
「か、神代…? なんでこんな所に…」
「あれ?なんで俺の名前を知ってんだ?」
蓮は士道の事を知らない。 なので名前を知っているのが不思議だった。
首を傾げているといつの間にか士道を攻撃した少女…精霊が目の前にいた。
(この感覚は…こいつから来ているのか)
心の中でそう考えていると、少女は蓮を睨みつけながら言ってきた。
「お前は…何者だ…?」
この言葉を聞いた瞬間、蓮は確信した。
(俺がこいつに反応しているように、"こいつも俺に反応している"のか…)
「さあ? 誰だろうな…」
内心、動揺しているのを誤魔化すようにふざけた感じで答える。
「そうか…」
相手もまともな返事を期待していなかったらしく、手に持った剣を構えてくる。
(逃げるのは無理そうだな…)
今、どこかに逃げようとしてもさっきみたいな攻撃をされて殺されるのがオチだ。 それにここには何も知らない一般人もいる。
(闘うしかないようだな。)
そう心に決めると、後ろにいる士道に話かけた。
「おい、今すぐここから逃げろ。」
「え…お前はどうするつもりなんだよ?」
「俺の事は気にしなくていいから。」
そう言った瞬間、蓮の背中が突然光り始め、背中には1本の剣があった。
形はとても大きく、目の前にいる少女が持っている剣と同じぐらいの大きさで刃の部分は真っ直ぐではなく、分厚い曲刀をしていた。
そして剣の刃の側面には赤いパーツに金色で綺麗な模様が書いてあった。
蓮はその剣を手に持ち、少女の方に構えた。
「さあ、来い。」
その言葉が合図になったように少女は蓮に向かって高速で剣を振りかざして来た。
しかし蓮は危なげもなく受け止め、剣同士がぶつかり大きな音が鳴った。
「お前…私の剣を受け止めるとは…人間ではないのか?」
「さあな? こっちが知りたいよっ!」
剣に力を入れて相手の剣を弾き飛ばし、隙だらけの体に攻撃しようとするが防がれる。
「ええい! 小賢しい!」
そう叫び、少女は強引に敵を斬ろうと力を入れて剣を振るったがそこには蓮の姿はない…
「な!どこに行った!?」
辺りを見渡すもどこにもいない
「まさかっ!」
上を見上げるとすぐ目の前に剣が迫っていた。 蓮は少女が力を入れて振り払うタイミングを読んで上に飛び、攻撃を回避すると同時に敵の死角である空中から攻撃したのだ。
「くっ!」
ほぼ反射的に剣を滑り込ませるとギリギリで防御が成功した。 蓮は剣同士がぶつかった衝撃を利用して空中で回転しながら地上に着地した。 その結果、少女との距離が少し空いた。
(な、なんだよこれ…)
その光景を見て士道は困惑した。
ただでさえ空間震が起きてなぜかその中央にこの少女がいるかすら理解出来ないのに、新しいクラスメイトがその少女と戦っているという状況がさらに士道を混乱させる。
その結果、逃げる事も出来ずにただその光景を見ていることしか出来ない。 まるでゲームみたいな出来事ばかりで現実味を感じなかった。
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その頃、上空にいたASTの部隊は今の状況が理解出来なかった。
「だから! 上層部の判断を仰いでって言ってるでしょ!! どっちを攻撃すればいいか聞いてちょうだいって!!」
ASTの隊長である、日下部 遼子が大声でオペレーターと話していた。
空間震が起きた後、精霊を撃破するため現場に向かったが、自分たちより早く精霊と戦っているものがいた。
動きが激しくて顔がよく確認できないが体型から見て男だろう。
しかし状況は奇妙なものだった。
CRーユニットも身に付けず…身につけても互角にすら戦えない精霊をたった1人で互角…いやそれ以上で戦っている…
もしもう片方も精霊だったら納得がいくのだが精霊同士が戦う理由もないし、何より男の精霊など聞いたことが無い。
その光景を見て鳶一 折紙はそんな事を考えていた。
そして判断が決まったのか、日下部は通信を切り、全員に聞こえるように話した。
「上層部から判断が来たわよ!! "男らしき方を援護して精霊の撃破をしろ"らしいわよ」
「…なぜ援護しなければならないの?」
「わかんないわよ。 上がそうしろって言って来たの。」
この判断に折紙は疑問を抱いた。
まるで"味方だと確信している"ような判断だったらからである。
(一体何者か…確かめる!)
折紙はスラスターを使いながら精霊に近づいて行った。
「ち、ちょっと、命令は"援護"よ! 折紙!」
日下部の制止の声を無視して折紙は精霊に突っ込んで行った。
幸いにも2人の距離は開いている。
相手も接近してくる折紙やASTに気が付いたらしく剣を構え、斬撃を飛ばして攻撃してくる。
そしてほかの隊員のミサイルなどが飛んでくるが、空中で見えない手にでも掴まれたかのように停止し届かない。
ほかの隊員が攻撃している隙に地上に着陸出来たがそこにいた人物を見て折紙は驚いた。
1人は神代 蓮…いつもテストで自分の名前の上にいる人間で片手に大きな剣を持っていた。 もう1人は…
「五河士道…」
「鳶一…折紙…」
自分の愛しい人間がそこにいたのだ。相手はとても驚いた顔をしていた。そしてその直後…
「ーーふんっ!!」
精霊が蓮に向かって斬撃を出して攻撃して来た。 蓮の後ろには士道もいる。 つまり蓮が避ければ士道が攻撃を受けてしまう。
「…! 逃げ…」
そう言うが間に合わない。 そして士道の前にいる蓮に当たる瞬間…
"右腕を前に突き出して"攻撃を受けた。
攻撃が当たった瞬間、右手はまばゆい光を放ち折紙は目を瞑る。
しかし衝撃は殺せてなく、後ろにいた士道は思いっきり吹き飛ばされ瓦礫に体をぶつけて気を失った。
そして光が収まり目を開けると蓮の右腕は今までとは違う姿をしていた。
指、手の甲から肘にかけて細いラインが水色に輝き、それ以外は赤い皮膚なようなもので覆われていた。
それはどう見ても人間の腕では無い。
少女もそれを見て驚きながらも剣で蓮を攻撃したが変異した右腕で受け止めた。
「お前…その腕は一体…」
「俺が知りたいって…言ってんだろが!」
イライラをぶつけるように右腕で相手の剣を弾いた。
「くっ…!」
腕に驚きながらも、少女は距離を取ろうと後ろに向かって大きくジャンプした。
しかし蓮はそんな隙すら見逃さない。
飛んでいる少女に向かって右腕を伸ばすと、"空中に半透明の青い巨大な腕"が現れ、少女の足を掴んだ。
「なにっ!?」
流石にこれは予想出来なかっため明らかに動揺した声を漏らした。
蓮は腕に持っていた剣が粒子となって消えると同時に右腕を思いっきり手前に引っ張る。
すると少女はまるで吸い寄せられるかのように蓮のいる方向に足から向かって行く。しかも足から向かっているため仰向けの姿勢だ。
そしてそのまま近づいて来ると仰向けの少女を思いっきり上から殴り地面に沈めた。
その衝撃に地面にヒビが入ると同時に周りに砂煙が発生し上空からは見えなくなる。
そして上にいたAST隊員が見たのは砂煙を割くように精霊が飛び出してそのまま瓦礫に激突した所であった。
やがて砂煙が晴れたらそこには誰もいなかった…
この作品、初の戦闘シーンでしたが、いかがだったでしょうか?
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