デート・ア・ライブ  the blue fate   作:小坂井

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6話

「こんの、バカっ!!」

 

「へぶんっっ!!」

 

〈フラクシナス〉に帰還した蓮を待っていたのは、琴里司令官の強烈な飛び膝蹴りだった。

 

「な、何をするんだよ…し、司令官殿…」

 

蹴られた腹をおさえながら床に突っ伏して震える蓮。

そんな蓮を神無月は羨ましそうに見ている。

 

「あんたバカじゃないの? なんで空間震警報が鳴ってたのに教室にいたのよ?」

 

「ま、まあそれにはいろいろ理由がありまして…」

 

気分的な問題だったとは言えなかった。次は何をされるか分からない。

 

「でもまあ、あんたがいたおかげでここまで上手く事を運ぶ事が出来たから、そこだけは礼を言うわ」

 

「ん? どういう意味?」

 

「…君がシンより早く彼女と接触してくれたおかげでシンは警戒されずに話すことが出来た…という意味だ」

 

隣にいた令音が詳しく説明した。

 

「別に俺はそんな事を考えていた訳じゃないんだけどな」

 

「まあ、それでも君がいてくれたおかげで上手くいった…ASTの介入は予想外だったがね」

 

そう言いながら令音は手のひらを差し出した。よく見ると手の上に何かが置いてある。

 

「何これ?」

 

「インカムだ。これを介してこちらから君に指示を送る。でも君にはあまり必要ない物かもしれないが、一応付けていてくれ」

 

「こういうのってあまり好きじゃないんだけどな…」

 

蓮はイヤホンなどがあまり好きではない。耳に何か違和感を感じるのが嫌なのだ。

 

「…贅沢は言わないでくれ。相手に気付かれることなく話すにはこれが一番いいのでね」

 

「はいはい、分かったよ」

 

「インカムは受け取ったわね? なら、もう帰っていいわよ」

 

「じゃあ帰らせてもらう。 …夕飯、何にしようかな…」

 

そんな事を呟きながら蓮は司令室を出て行った。彼が出て行ったのを確認した琴里と令音はフウ…と小さく息を吐いて気分を落ち着かせる。まさか、単独で精霊と接触するというイレギュラーが発生したりASTの介入があったりいろいろあったが一先ず二人が無事だった事を喜ぶべきだろう。

 

「…しかし、彼はすごいね…あの精霊とあんなに友好的に話すことが出来るなんて」

 

「それは私も思うわ…自分の身を守れることもあるでしょうけど、それを考えてもあんな対応は私は出来ないわ」

 

空間震警報が出ているのに避難していなかった事にも驚いたが、一番驚いたことは精霊とあんなに親しく話していたことだった。

普通の人間なら緊張してしまうだろう。士道がいい例だ。

しかし蓮にはそんな様子が少しも見られない。恐るべき会話能力の高さである。

 

「…彼は人と話すような事をしているのかね?」

 

「さあ…ASTに所属してるって前に言っていたけど…」

 

二人は考えてを巡らせたが、納得の答えに辿り着くことは出来なかった。

 

ーーーーーーーーーーーーーー

 

「ふぁぁ〜…」

 

十香と出会った次の日、蓮はいつも通りの午前六時に起きた。

 

「今日、学校は…ないよな。昨日あったことを考えると」

 

昨日、十香とASTの戦闘により、学校と蓮のクラスはメチャクチャになってしまった事を思い出す。あれは明らかに十香よりもASTの方が被害を多く出していた、というより十香は空間震以外周りにほとんど被害は無かったと思うのだがこれもおそらく『精霊の被害』として数えられてしまうのだろうか、だとしたらとても気の毒だ。

 

「それじゃあ課題を…そう言えば昨日、全部やったんだった」

 

学校は空間震が起きて、授業が出来ない時の事を考えて数日分の課題を出している。

しかし、蓮は昨日、暇つぶしとしてやったのでやることがない。

 

「んー、そんじゃあASTの駐屯地にでも行って、ユニットの整備でもしようかな」

 

こんな風に言っているが、ASTに入隊しているので行くことは"義務"なのだが蓮はまるで遊びに行くような感覚で言っている。

 

「さーて、やる事も決まったし準備をするか」

 

鼻歌を歌いながら機嫌良く、蓮は準備を始めた。

 

 

「あれ? 蓮じゃない。学校は?」

 

ASTの駐屯地に行き、整備室へ向かっている途中に隊長の日下部 燎子に出会った。

 

「昨日、隊長達と精霊の戦闘の所為で休校になりましたよ」

 

蓮は嫌味っぽく答える。

 

「そ、それは悪かったわよ…あれ? なんであんたがその事を知ってんの? 昨日、ここに来なかったわよね?」

 

その言葉を聞いて蓮は内心、しまった。と思った。

よく考えたら、昨日はここに来ていないため、空間震が起きたことは知っていても"何処"で起きたかは普通は知らないのだ。

 

言い訳しようにも学校から電話が来たというのは昨日に急に起きたことなので少し無理があるし、学校を見てきたというのも今は午前8時のため早すぎる。

必死に考えを巡らせていると無難な答えが浮かんで来た。

 

「ほ、他の隊員に聞いたから。結果はどうだったかって聞いたら教えてくれたんで」

 

「へぇー、ま、昨日使ったばかりだから、ユニットはしっかり整備しておいて」

 

そう言い残して、燎子は歩いていった。蓮は燎子の姿が見えなくなると、大きく息をつく。精霊と話していた事はもちろん、自分の事は絶対に秘密にしておかなければならない。

 

(あ、危なかった…次から不用意な事を言わないように反省しなくては…」

 

緊張した気分を落ち着かせながら、整備室へ歩いていく。

 

 

整備室の前の扉に来た途端、蓮はふと、思い出した。

 

(そういえば、まだ整備士のメンバーにまだ挨拶してなかったな…)

 

この基地に最初に来た時は準備などがあり、まともに挨拶どころか顔すら見ていない。

しかも蓮は基本的に気が向いた時しかここには来ないので、仕事仲間に挨拶はまだだ。

 

「なんて挨拶すればいいんだろう…」

 

スタートダッシュからミスしてしまい、どのようにすればいいか悩みながら格納庫の扉を開けると…

 

「レェェンンンン!!」

 

叫び声と同時に誰かが腹に飛びついて来て蓮は後ろに倒された。

 

(…なんか昨日といい今日といい腹へのダメージが大きい気がするな)

 

いきなり起きた事を理解出来ずにそんな呑気な事を考えてしまう、起き上がろうと顔を上げたらそこには知った顔がいた。

 

「あれ? お前、ミリィか?」

 

「そうですよ!ミリィですよー!」

 

そこには作業服に眼鏡をかけた、金髪碧眼の少女がいた。蓮はその少女を知っていた。

 

「あれ?お前、DEM社の整備士なのになんでこんな所にいるんだ?」

 

「出向できたんですよ。なのに蓮と会えるなんて嬉しいです!」

 

名前をミルドレッド・F・藤村と言い、蓮はミリィと呼んでいる。蓮とは仲がいい友達で天宮市に来る前からの付き合いで蓮は本来は整備士ではないが、なぜか懐かれている。

 

(出向って…まさか厄介払いじゃ…ないよな…)

 

彼女は整備の腕はいいのだがその事しか考えていないため、結構扱いにくい人材だ。蓮の腹に乗りながら胸に顔を擦り付けるミリィの胸の感触が気になるがきっと本人はわざとやっているのだろう。

 

「もう、どこに行ってたんですか。寂しかったんですよ」

 

「まあ、いろいろあってね…とりあえず、そこをどいてくれ」

 

ミリィが腹の上に乗っているせいで蓮は起き上がる事が出来ない。

 

「あ、それはすみません…」

 

そう言ってようやく腹の上からどいてくれた。

 

「ふう…俺も会社からの命令だよ。 ここで仕事をしろって言われたの」

 

「えっ…でも蓮の分野は整備ではないじゃないですか」

 

「整備も出来るよ。ここにはそれをするために来たんだよ」

 

「うぅぅ…整備も出来るなんて…私…(プライドが)傷つけられちゃいました…もう蓮に貰ってもらうしかありません…」

 

「なんでそうなるんだよ」

 

わざとらしく萎れて嘘泣きを始めるミリィを蓮はため息混じりに答える。

蓮はミリィの服を掴み、引きずりながら格納庫に入って行った。

 

ーーーーーーーーーーーーー

 

 

「対精霊ライフルを準備しろ?」

 

午後5時、整備を終えてくつろいでいる蓮達にそんな指令が入った。

 

「なんで準備するんだ? 空間震警報は出ていないぞ」

 

「分かりませんよー。とにかく準備しろって言われたんです」

 

蓮にはこの命令の理由が全く理解出来ない。精霊は出ていないのになぜ対精霊装備が必要なのか?

「はあ…まあ、とにかくそう言われたんなら用意するが…」

 

命令なら拒否することは出来ないし、ASTにも言えないことの一つや二つぐらいあると思い、作業を始める。

 

(空間震が起きてないのになぜ必要なんだ… まさか…)

 

だが蓮の頭にある可能性が浮かんだそれは普段なら考えられない事であったのだが、どうしても心配になりライフルの準備を終えると同時に蓮は格納庫を飛び出した。

 

「え?ちょ、ちょっと! どこに行くんですか! 蓮!」

 

「ちょいと用事を思い出した。 ライフルは渡しておいてくれ」

 

ミリィの声を背に受けながら、駐屯地を飛び出して少し離れた人がいない所に来る。〈フラクシナス〉と連絡をとるためだ。

耳に付けているインカムから通信を出して見る。

 

「おーい。〈フラクシナス〉、聞こえるか?」

 

『聞こえているわよ。どうかしたの?』

 

通信に出たのは琴里だった。

 

「まさかとは思うんだけど…今、精霊が出現してるか?」

 

『なんでその事を知っているのよ!?』

 

これによって蓮は確信した。

 

「出現しているんだな。状況はどうなっている?」

 

『詳しいことは艦内で話すわ。今は焦るような状況じゃないから』

 

それからしばらくした後、蓮は〈フラクシナス〉によって回収された。

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

〈フラクシナス〉の司令部に来た蓮はモニターを見て驚いた。

 

「なぜ十香がいるんだ?」

 

昨日会ったばかりの十香が制服を着て士道と共にいた。

今は夕日が綺麗に見える公園にいる。

 

「わかんないわよ。こっちだって驚いてんだから」

 

琴里がため息混じりに言うが、蓮が驚いているのはそこだけではなかった。

 

(なんで十香がいたことに気がつかなかったんだ…)

 

前のように十香に呼ばれるような感覚は整備室にいた時は感じなかった。

それ理由が蓮にはわからない。

 

「でも、まあ今の所はいい感じだから問題ないけどね」

 

しかし蓮はあることを思い出した。

ASTが対精霊ライフルを持っていった事を…

 

「司令官! 早く十香と士道を安全な場所に避難させろ!」

 

突然、蓮が大きな声で叫ぶように言った。

その言葉を聞いて、琴里は顔を顰める。

 

「待って。それはどういう意味?」

 

「ASTが十香を狙って…」

 

そこまで言いかけた瞬間、士道は十香を突き飛ばしその直後に士道の脇腹に大きな穴が空いた。

 

(遅かったか…)

 

そう思いながらも、蓮の次にする行動は決まっていた。

 

ーーーーーーーーーーーーーーー

 

「シ…ドー」

 

十香は倒れた士道に向かって話しかけた。しかし返事はない。

士道の体からは大量の血が出て来て、地面に血だまりを作っている。

 

「シドー…?」

 

士道の頭の隣に膝を折り、頬をつついて見るが反応はない。

あたりに立ちこめる焦げ臭さを感じて十香は状況を理解していった。

士道はASTの攻撃から、自分を庇って打たれたのだと。

頭の中で蓮と士道が言った言葉がフラッシュバックしてくる。

 

『もう少しこの世界を信じてみろ。損はしないはずさ』

 

『俺が! お前を肯定するッ!』

 

十香は自分を認めてくれた人達…2人さえいてくれれば、自分はここでも生きていけると思った。

しかし、二人は自分の事を認めてくれても"世界は否定した"

 

「よ…く…も…」

 

喉の奥から声が漏れるように小さな声で言う。

 

「よくも…シドーを!!」

 

十香は霊装を纏うと地面に踵を突きつける。 すると巨大な剣が収められた玉座が出現した。

収められた剣を引き抜く。もちろん相手は決まっている。士道を殺した人間…鳶一 折紙だ。

 

鏖殺公(サンダルフォン)【最後の剣】(ハルヴァンヘイヴ)!!」

 

叫ぶと同時に剣が収めてあった玉座がバラバラに砕けて、十香の握った剣に纏わり付き、10mは越すほどの巨大な剣になる。

十香はその剣を折紙のいる方向に振り下ろした…

 

 

 

怒った十香の力は圧倒的でたったの一振りで広大な大地を縦に両断してしまった。

これではASTが全滅するのも時間の問題だろう。

十香の力を見て、蓮は決意した。

 

「…司令官。俺をあそこに降ろしてくれ」

 

「あそこに行ってどうするの?」

 

「ASTの連中を助ける…いや、十香を止めるって言った方が正しいかな」

 

「本当にいいの? ASTは士道を殺したのよ」

 

琴里はまるで試すような言い方をしてくる。

 

「それでも…見殺しには出来ない」

 

そう言って司令部を出て行った。

なので蓮は気づかなかった。倒れた士道の傷口から炎が出てきた事に…

 

 

ASTは怒り狂った十香を相手にしているが全く歯が立たなかった。いくら攻撃しても十香が視線を向けるだけで霧散させてしまう。

しかし十香は始めから他の隊員になど目を向けていなかった。

目標はたった一人…鳶一 折紙だけだ。

 

「おあああああああああッ!!!」

 

折紙は必死に剣を避けても、剣が起こす衝撃波もとてつもなく一瞬だけ怯んでしまった。

しかしその一瞬が致命的であった。

十香が振るった剣が折紙の随意領域(テリトリー)を容易く切り裂き、地面に叩き落とした。

その衝撃で折紙は身体中を骨折して立ち上がる事すら出来ない。

 

「…終われ」

 

十香は倒れている折紙に向かって剣を振り上げる。すると黒い光の粒子のようなものが剣に集まって行く。

助けを求めようにも他の隊員はすでに戦闘不能状態で戦うのは無理だ。

そして剣が闇色に輝くとそれを折紙に振り落とした。

 

しかし剣は折紙に当たることはなかった。なぜなら折紙の前に人影が立ち塞がり、十香の剣を受け止めたからだ。

 

それは〈レッドクイーン〉を逆手に持った蓮であった。

 

「レン!なぜ邪魔をするのだ!」

 

「十香!少しは落ち着け!」

 

蓮は〈レッドクイーン〉の取っ手の部分を捻った。

すると剣は大きな音を鳴らすと、炎のようなものが吹き出して十香の剣を弾いた。

蓮の〈レッドクイーン〉はグリップの部分を捻ることによって剣のスピードとパワーを上げることが出来る。

 

「そいつはシドーを殺したのだぞ!」

 

そう言ってまた折紙に剣を振り下ろす。今度は空中に巨大な手が出て剣を止めた。〈バスター〉で防御したのだ。

 

「だから十香! 落ち着けって言ってんだろ!」

 

青色に光る右手を振り払いながら叫ぶ。

すると十香は悲しそうな顔で蓮を見た。

 

「レン…教えてくれ! なんでシドーは死んだ!なぜ私はこうも世界から否定されるのだ!」

 

十香は士道が死んだ事に責任を感じているのもあるが、何より自分が世界に認められなかった事が悲しくて仕方ないのだろう。

 

「十香…お前は"人間"だ! こんな力を持っている俺なんかよりも何倍も"人間"らしい"人間"なんだよ! だから、胸を張って堂々と生きれば良い!!」

 

蓮は反射的にそう叫んでいた。その言葉を聞いて十香は目にさらに涙を浮かべる。その直後、

 

「十ぉぉ香ぁぁぁぁーー!!」

 

空から士道が落ちて来て十香の肩に手を置く。

 

(これでなんとかなるかな…)

 

蓮がそう思った瞬間、十香の持っていた剣の光が雷のように漏れて地面をえぐっていく。

しかし、士道が十香にキスした途端、十香の剣にヒビが入り、バラバラに砕け散り士道と十香は地面に降りていく。

 

(これで一件落着かな…)

 

そう思い、蓮は士道と十香の元に向かう。しかし十香はなぜか半裸状態で士道に抱きついていた。

 

「なんでそうなったんだ?」

 

「そ、それが、お、俺にもささ、さっぱりで…」

 

目に見えて動揺している士道を見てつい笑みが出てくる。

 

「まったく…生きてたのかよ…」

 

「でも、なんで生きているんだ?まったく分かんないが…」

 

「まあ、生きてくたんならなんでもいいよ」

 

次は十香に顔を向けて話しかけた。

 

「世界はお前を否定なんかしてないさ…わかっただろ?」

 

「うむ!そうだな!」

 

十香は笑顔で答えた。それを見て蓮は安心した。

すると突然、右手が十香に吸い寄せられるように触れた。

 

「なっ…?」

 

「ぬ?どうしたのだ?レン」

 

蓮自身まったく意識したわけではない。まるで磁石の"異極同士"のように勝手に動いたのだ。

触れた瞬間、"何か"が蓮の中に入っていくのを感じる。

 

「あっ…くっ…んっ…」

 

十香は悩ましい声を上げているが蓮には気にする余裕はない。

そして触れた右手から、腕、肩、と、何かが上がってくるのを感じる。

 

「いきなりどうしたんだよ!?怪我でもしたのか?」

 

となりから士道の声が聞こえてくるがそれに反応できるほど今の蓮には余裕が無かった。十香も不安そうな顔でこちらを見つめている。

 

「一体俺の身体に何が…グアァ!!」

 

今度は背中に痛みが走った。すると背中に突然、剣が現れた。しかしそれは『レッドクイーン』ではなかった。

大きさは〈レッドクイーン〉と同じくらいだが、形はスリムで剣の柄の真ん中に赤色の宝石が埋め込まれて、なんとなく十香の剣に似ている。

色は銀色で夕日が反射して綺麗に輝いている。

 

蓮はその剣を手に持つと角度を変えてよく見る。

すると蓮は試しに剣を山の方に向けて振って見た。すると…

 

剣から衝撃波のようなものが飛んで、"山の頂上を吹き飛ばした。"

これには士道と十香だけでなく、蓮自身も驚いた。

 

〈トラウィス〉

 

十香の霊力によって生み出された剣。美しい見た目とは裏腹に圧倒的破壊能力を備えている。

使用者の意志とは関係なしに破壊してしまうので回りの状況に注意する必要がある。

 

(これは…封印だな)

 

今の破壊力を見て、これは必要な時以外使わないと判断した。

 

「なあ、レン。お前は何なのだ? お前の『腕』やその剣といい、お前は人間なのか?」

 

十香は〈バスター〉を見て、問いて来た。

十香にとってはASTとは違い、『未知』という恐怖がレンに対して芽生え始めていた。

 

「分からない…だけど、これだけは言える。俺はお前達の敵じゃない」

 

「…そうか。じゃあ、私はレンを信じるぞ!」

 

十香は無邪気な笑顔で答えて来た。

蓮は〈トラウィス〉を光の粒子にして収納すると二人に呼びかけた。

 

「さあ、"帰ろう"二人とも」

 

その言葉に十香と士道はお互い頷きあった。

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

それから三日後の月曜日、復興部隊によって完璧に修復された教室で蓮はグッタリしていた。

あの件の後でも、ASTの仕事があり、まったく休めない土日であった。それが蓮の疲れている理由だ。

 

「はぁ〜」

 

蓮がそんなため息をつくと教室がざわついた。そこには体の様々な所に包帯が巻かれている折紙がいた。

 

(まだ、治ってないのか…)

 

やはり、十香から受けた傷は重かったらしい。まあ、時間が解決してくれる問題なので心配する必要はないだろ。

折紙は士道に謝罪をした後、蓮に向かって来た。

 

「助けてくれてありがとう」

 

そう言って頭を下げてきた。この行動に教室はまたざわめく。

 

「気にしなくていいよ」

 

蓮はそれだけ言うとチャイムが鳴った。それと同時にタマちゃんが入ってくる。

 

「皆さん、席に着きましたね?」

 

タマちゃんは蓮とは逆にとても元気な声をあげる。

 

「そうそう、今日はサプラーイズがあるの。ーー入ってきて!」

 

すると教室のドアが開いて…

 

「今日から厄介になる。夜刀神 十香だ。皆、よろしく頼む」

 

なんと十香が制服を着て入ってくる。これに士道、蓮、折紙は驚いた。

 

「おお、シドー、レン! 会いたかったぞ!」

 

笑顔でこちらに向かって来た。蓮は言いたいことはたくさんあるが一つだけ聞いて見た。

 

「十香。世界は楽しいか?」

 

「うむ! とても楽しいぞ!」

 

その答えを聞いて、蓮は微笑んだ。

 

 

 




今回で十香デッドエンドは終了です。

最初はこんなにも下手ですが、これからゆっくり上達していきたいなと思っているので、どうか応援、お願いします!
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