神様のギフト(仮)    作:砂糖露草

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一週間ぶりの投稿
お待たせしました


僕らの

休日二日目の朝が来る。昨日の疲れがまだ残る身体を引きずり、キッチンへと向かう

「おはよう、香取。結構速かったね。」

僕より早く起きたのか、そういってカオスがこちらに顔を向ける。どうやらすでに朝食の準備をしているようだ。まぁ昨日の手際を見る限り、心配はないだろう。名前の下りは何度やっても意味がないので割愛する。こちらも軽く挨拶をした後、そのまま調理を任せダイニングで待つことにした。ふと昨日の出来事がニュース沙汰になってないか、心配になり新聞を流し見しながらテレビをつける。幸いにもUFO(未確認飛行物体)が現れたなどの話題はなくほっと息を吐く、ひとまずは安心していいようだ。

「何か事件でもあったの?」

そういってこちらに顔を覗かせてくる。両手で幅広のトレーを持ち、その上には二人分のご飯と味噌汁、それに焼き魚が置かれていた。…今更だけど結構力あるなこいつ。女性にたいしてぶしつけな話ではあるから、何も言わずにいるけど。

「いや。…とりあえずは昨日のことは誰も見ていなかったみたいだね。」

ちらっと彼女のほうを見ながら言うと、ばつが悪そうに苦笑いをしている。このままいじるのも面白そうだけど、せっかく作ってもらったご飯が冷めるのもどうかと思い、いったん話を切る。その後は何事もなく配膳が終わり椅子に腰かける。

「「いただきます。」」

そういって、茶碗を手に取り箸で魚の身をほぐし口に運ぶ。近くの床にはモンペチをよそられた皿が二つ置かれ、ロゴが書かれたさらにはゴローが、簡素な造りをした皿にはネコがそれぞれ一心不乱に食事を楽しんでいた。

「そういえばさ」

「?」

「いただきますって一般的に日本の、宗教的には仏教の文化らしいじゃん?シスターさんがやるのは大丈夫なのかな。」

「だからシスターでもなければキリスト教徒でもないって、ただ外国の場合はまた別の言い方があるよね」

そんな、とりとめない話をしながらも箸を進めていく。、やっぱり食卓はにぎやかのほうがいいな。

 

 

やがて二人とも食べ終わり「ごちそうさま」といったあと、各々、食器を片付け始める。お猫様たちの分もこちらで回収すると、ゴローが物欲しげにこちらを見ているではないか、もしかしなくても代わりをよこせ、ということだろう。だがしかし、彼の健康面も考えても出すわけにはいかない。そんな上目づかいでこられてもこれ以上モンペチはやらんからなぁ!

「もう餌上げちゃだめだよ。」

「はい、すみません」

お猫様には勝てなかったよ…。カオスに止められなかったらついあげていただろう。実際その手にはモンペチゴールドを持っていた。

「ところで今日は何か用事はあるかな。」

言われて、今日の予定を思い返す。買い出しは昨日行ったし、外出するような用事もなかったはず。あったとしてもできれば外には出たくないけど。来客の予定も入ってないはずだ。突然押しかける奴はいるが。

「今日は何もないね。まぁ自由にしていいよ、常識の範囲内でね。」

それだけ伝えて、風呂場へと向かう。週に一回の風呂掃除の時間だ。平日は学校があるため、なかなか機会が作れないのだ。早速、スポンジと洗剤、たわしをもって風呂掃除を始める…そういえば、昨日からカオスが泊まっているわけで、そうなると、流れ的に風呂にも入るわけで…、そこまで考えて、すぐに首を振る。いかんいかん、掃除どころじゃなくなる。気を改めて一心不乱にたわしでタイルをこする。

「香取、洗濯物したいんだけど…」

「ヒュイッ!!」

「キャ!?い、いきなりどうしたの、何かまずいことでもあった?」

「だだだから、名前で呼ぶなっつってんだろう!それから洗濯物は自分の分だけでいいから!」

「それだと余計にお金がかかるよ。というかどうしたの?顔が赤いけど。」

「何でもない、何でもないから!洗濯物は僕が後でキチンと僕がやるから。先に布団とか干しちゃって!」

そういうと彼女は元気に返事をした後、風呂場から立ち去っていく。その後階段を上る音がすぐ聞こえたから、早速作業に取り掛かったのだろう。ようやく一息つけたのだが、ここで会心のミスをしていたことに気づく。風呂の水を抜く前に洗濯に利用すればよかったということ、そして…アイツの分の服(下着)も洗う羽目になってね…?失態に気づいた時点で、時すでに遅く、自らに眠るどすぐらい何かと葛藤しながら残された家事をただ黙々とこなす姿があった。何か「色即是空…」とかつぶやいていたような気がしないでもない。

 

 

 

可笑しい、家事が分担されたはずなのに、いつもより疲労がたまっている、確実に。原因は言わずもがななんだが、でもほとんどが自分の一人相撲なもんだから何も言えない、悔しい。でもおいしい。びk(ry)

それぞれが家事を終わらせると昼時になり、いつも通りおいしい昼食にありついていた。本当にスキル高いなこいつ。何事もなく食べ終え、本格的にすることもなくなったのでゴローとネコをじゃらして遊ぶことにした。カオスは近くでほほえましそうに眺めている。そんな時だった。

ピンポーン

インターホンが鳴る。いつもなら、このまま門を開けて応対するのだが、いかんせん昨日のことを踏まえると、フラグにしか思えない。駿河の奴ならお構いなしに無断で中に入るだろう。というか、前に似たようなことがあった。今日は何も予定がない、つまりは来るとすれば宅配か、もしくは昨日の繰り返しになる。つまりは

「はーい、今開けまーす!」

「あ、待て!」

考え事をしたせいで対応が遅れ、門が開け放たれてしまう。このパターンはもう一つしかない、半ばあきらめムードでこの後の展開を待つ。

「やぁやぁ、君原君。ちょっと君に相談があって出向いたんやけど、時間は大丈夫かいな?」

すると、開いたドアから八神さんがするりと入り込む、突然のことでカオスがが一瞬呆けたことにより、その隙に昨日の三人が後に続いて上がり込んだ。

「え、え?知り合いなのこの人たち。」

「せや、詳しく言うと、同じ学園での仲や。ちゅーか、すごい別嬪さんやないか!しかもシスターとか、フーンそういう趣味なんか~。」

カオスとこちらを交互に見て、なにやらいかがわしい顔で笑みを作る八神さん。その姿は、いくら美少女だといってもさすがに、好んでみたいものではなかった。酒の入った親父ですかあなた。

「八神さん、さすがにうるさい。それとカオス、彼らは別に客人じゃないから。そのまま追い返して、よし。」

「ちょちょ、待ちぃや!こんな美男美女に押しかけられといて、なんでそのままリリースするん!?」

「イヤー、一般小市民の僕は3人の美男美女に押しかけられ囲まれたら、あまりの異常事態に気絶しちゃうなぁ。というわけで帰って、どうぞ。」

「君わざとうちのこと除外しとるよね!うちかて立派な美少女やろ!」

「誰が君を除いたといった?」

「ハッまさかウチははめられたゆうんか…!」

「自分から名乗り出るなんて八神さんは謙虚だなーさすがだなー。」

ついつい面白くなり、話が長くなる。これが関西弁の魔力か…まさか思い付きのネタにここまで食いつくとは思わなかった。八神さんも八神さんでノリノリだし。カオスは話に追いつけないのか、横でおろおろしている。

「いい加減にしてくれないか。」

しびれを切らした黒峰さんが話に割り込む。その額には血管が浮かんでいるようにも見えた。さすがにやりすぎたか。

「君には、いろいろと聞きたいことがあるんだ。特に、そこのカオスさんのこととかな。」

そういって威圧するようにこちらを天城さんと一緒に睨み付けてくる。黒峰さんのほうはもとから切れ目なため、そういう風に見えるだけかもしれなけど、それでも周りの温度が一回り下がったような気がした。この場のムードメーカー(仮)の八神さんは、何とか二人をなだめようと必死だが、それも空回りしている。

「黒峰さん、僕のほうは、君に何か教えることはないよ。そもそも必要性を感じないし、大して優良な情報も持ってないんだ。カオスに至っては、昨日君たちが帰った後、押しかけてきてね、シスターのコスプレをした家出少女ってことくらいしかよくわかってないんだ。」

隣で「コスプレじゃないよーシスターでもないけど」なんて反論しているけど、今は無視する。話がややこしくなるから黙っててほしい。というか家出少女は撤回しないのか、助かるけど。

「そうか、ならこちらで預かろうか?僕たちの組織は迷子捜索なんてのもやっているから家に帰すこともできるし、もしやんごとない事情で帰れないというなら、こちらで保護、そして暮らしていけるように最大限の援助もできるが。どうだ?」

正直言ってこの提案はどちらをとってもいいかな、と思っている。カオスが居なくても、元の生活に戻るだけで、お金は節約できるけど、家事を一手に引き受ける必要があるし、それにあのごはんが食べれなくなると思うとそれはそれで惜しい気もする。ちなみに件の本人はブンブント首を振っていた。

…さて、少し考えて見るか、もし彼女を彼らに任せた場合だ。その場合とりあえずは彼らから遠ざかることはできるかもしれない。ただ、彼女は下手すると強制労働コースになる可能性がある。こいつに不思議な力があるのは確実なうえ、丸め込まれたら目も当てられない。その場合、こちらにも責任の追及が来るかもしれない。カオスの保護者、もしくは友人からは恨まれる可能性大だ。特にお姉さまとやらはカオスと同等、もしくはそれ以上の実力の持ち主であるのは想像に難くない。もし狙われることになったら…考えるのはよそう精神衛生上悪い。

「-その申し出は大変ありがたいのですが、今回は辞退させていただきます。彼女も嫌がってますし。」

さっきからやけに隣がうるさいけど無視してここで畳みかける。

「それに彼女、カオスは別に迷子ってわけでもありませんし、今のところそういった話も聞きません。何よりあなたの言う、組織、は正直信頼に値しないものだと思っています。聞いたこともありませんし。」

ちなみに今言ったことは偽りない本心だ。いや十になったばかりの子供を働かせたるとかどれだけ人材足りてないんだとか、持つ者と持たざる者の確執でテロ起こるレベルで半端ないとか、いろいろとアウトです。

「君のいうことは十分理解できる。だが人一人養うのは金銭的にも厳しいだろう、だからこちらに任せてくれないか。」

やけに粘るな。いったい何がこいつをここまでさせるんだ…。

「金銭面に関しては問題ないですね。もともとヘルパーさん頼むつもりだったみたいで、一人で暮らす分には十分すぎるほどの仕送りももらってますし、ついでに言うならば、わざわざあなた方の手を煩わせなくても警察の方がいますから、そちらに頼らせていただきます。ですので今回のところはこれでお引き取り下さい。」

黒峰さんの隣をするりと抜け、門を開ける。彼らにはこのままお帰り願おう。そろそろストレスで精神がマッハだ。有無を言わさない笑顔を彼らに向けるが、それでも彼らは引き下がらない。まるでこちらが悪者のような気持ちになる、いやまぁ、あこがれる悪役もいるから別にいいんだけど。仕方ない。

「わr」

「おおい!何をしているんだお前ら。俺も混ぜろー‼」

最後通告を言おうとした矢先、あらぬほうから大声が響き、かき消される。この声は。

「駿河、今ちょっと立て込んでるから、悪いけど後にしてくれない?」

「そんなこと言うなって。こんな珍しい組み合わせめったに見ないんだ。出歯亀させて…おい、お前の隣にいる別嬪さんは誰だ正直に言え!」 

「いろいろと支離滅裂すぎんだろ!」

「そんなことはない!男が自分の本能に忠実なのは当たり前のことだ!というわけでそこなシスターのお嬢さん良ければ名前と連絡先の交換を」

先程までの空気が見事にぶち壊しなおも暴走する駿河、その姿を見てか件の四人はお開きムードになったらしく、真っ先に三守さんが去り、その後は次々と去って行った。しかし黒峰さんだけは最後に「今日は、ここまでにしておく」なんて不吉な言葉が聞こえたときには肩を震わせたが。

「はぁ、今回は感謝するべきなのかな。」

「そんなことよりこの子紹介してくれよ!知り合いなんだろう。」

「わたしはカオス。よろしくね。駿河!」

「よろしくなカオスさん!」

「だめだこれ、話聞いてないわ…。」

 

 

 

あの後も駿河のマシンガントークがさく裂、落ち着いたのは、午後三時を回ったころだったとさ。

 




もうちょっとだけ続くんじゃ(日曜)
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