神様のギフト(仮)    作:砂糖露草

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終わりに続くナニカ

 まばゆい光に包まれ、目を閉じる。次に見た光景は夜の帳が下りきった暗く緩い斜面の上だった。周りには木々が鬱蒼と茂っている。

「帰って…こられたのか?」

「いきなり家に行くのは拙いかなとおもって、付近の山にしたんだ。ほら、こっちこっち。」

 案内されるがままに、開けた場所までついていった。そこから見た景色は、確かによく見た街並みが広がっていた。自分の勝手知ったる現実に戻れたことに深く安堵の息をもらす。おもわず、全身から力が抜けて膝から崩れ落ちる。

 …喜んでばかりはいられないのだけど、それでも一生閉じ込められるよりかはマシだから

「それじゃ、家に帰ろうか。もうお腹すいたよ。」

「ご飯はできているけど、もう冷めちゃってるなぁ」

 力なく鳴る腹の音を聞きながら、歩いて家まで帰る。飛んで行ってもいいのだが、今は歩いていきたい気分なのだ。別に、前回の飛行体験が怖かったわけじゃない。ウン。

 そういえば、まだ言ってなかったな。今のうちに済ませてしまおうか。

「カオス、今日はありがとうな。おかげで助かったよ。」

「どういたしまして。」

 感謝を声にして、音にして彼女に届ける。そんな思いを聞き届けた彼女は、それでも気兼ねない態度で屈託なく笑うのだった。

 その後何事もなく家へとたどり着き、その惨状を見て当然のごとく雷が落ちる。それでもどこか楽しげに全員が一息ついたような安心感の中、夜が更けていく。

 それがこれからの人生を表しているようで、不安や絶望といった負の気持ちを溶かしていくのだった。

 

 めでたしめでたし

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――――――――――――――――――――

 なんて

 

 

 

 

 

 言うとでも思ったかい?

 

 

 気づいていると思うけどこの物語(オハナシ)には蛇足(ダブン)ともいうべき続きがあるんだ。まだ彼の本質がばれた理由だったり、カオスちゃんが彼を訪ねて来た理由(ワケ)、他にもいろいろとあるにはあるんだが、この物語にはあまり関係ない話だったりまた長くなっちゃうからそれは後にして。

 今回は目下気になるであろう宇宙人、いや管理世界人というべきかな、そんな彼らと彼の関係にひとまずの終止符を打つ、つまらない茶番めいたお話をしようか。

 と言っても、直接見たわけじゃないから細かいところは違うかもしれないけど、まぁ、ゆるりと聞いて行ってくれ。

 

 ――――――――――――――――

 

 あの一件から一晩たち、ひとまずは臨んだ平穏な生活が戻ってきた。あのあとちょっとした祭り騒ぎになって、貯め込んでいた食材を使って盛大に騒ぐことになった。カオスはいま一人で買い出しに向かっている。

「よし、こんなものかな。」

 そして僕はひとり家に残り、お祭り騒ぎの後片付けと銘打った大掃除を敢行したところだ。学校は体調を崩したという体で休ませてもらっている。

 ついでというには多いくらいにほかの場所も片づけていったのだけどそれも今しがた終わった。ほかにやり過ごしたことはないか考えをめぐらしたけれど、思いつくものは無いようで一息つく。

 さて、あとはアイツらが来る前に先を急ぐとしよう。掃除用具を片付け自室へと戻り筆を手に取った。

 

 

 

 '

「ただいまー。あれ、なんだろうこの紙切れ?…え。」

 その紙に目を通した少女は、少しの間時が止まったかのように止まり間もなく急いだ様子で家中を駆けまわることになる。その際に紙切れが手から零れ落ちひらひらと舞った。そこには黒のインクで

『旅に出ます。心配しないでください』

 他にも細々と書かれているものも、その一文が一目でわかりやすいように大きめに書かれていた。

 

 

 

「それで、帰って来た時にはこの書置きだけ残っていたのね。」

 今この家に、は一昨日と同じメンバーが集まっている。その表情は困惑として且つ深刻なものだった。

「うん、その後家中探したけど、やっぱりどこにもいなかった。」

 三人の中でもいっそう暗い表情をしながらカオスは当時の状況を思い出して説明している。当事者でもあるためか、後悔と焦りがにじみ出ていた。

「もしかして、昨日の奴らがまたさらったのか?」

「それはないわね。」

 駿河の疑問をトキは一言で両断した。その手にある書置きをみんなに見せるようにテーブルへと置き話を続ける。

「もし攫ったうえで、こんなもの書かせるとしたら、とんだ酔狂ものね。」

「…!ああたしかにそうだな。いつ人を呼ばれるかか分からないのに、こんな長々と書かせないわな。」

「ついでに財布も無くなってる、強盗だとしてもこんな小奇麗なままのはずはないし、自分で出ていったのよ、しかも一人で。」

 そこまで続けると、一旦話を切る。とりあえずの見当はついた。ついたもののなぜ今こんなことをしたのかという疑問が残る。

「逃げたとか?家はすでに割れてるんだしここに居たらいつ襲われるかわからないもんな。」

「ありえなくはない話だけど、まだ何か足りないわね…そういえば細かい部分は見てなかったけどなんて書いてあるのかしら。」

「あ、それわたしも見てないや、気が動転しちゃってて。」

 ということで一同で件の紙片に視線を向ける。そこにはそれはもう細々と、下記のようなものが書かれていた。

 ・親にも話したかったのだが、電波の届かない場所にいるのか連絡がつかない、なので誰か伝えてほしい

 ・カオスへ、親が家から帰るまでは使ってくれても構わない、その時にはついでにこの手紙を渡して欲しい

 ・家出の原因がもし家族内の不和であるなら早めに仲直りすること

 ・ゴローの世話はできれば当番制にして、みんなで交代して見てほしい。後ご飯は朝昼晩定量、散歩は朝とおやつの時間の後にそれと…(以下略)

 やけに最後の一文、猫の世話については事細かに書かれていたがその文からは、書いた本人が長い間、もしくは一生帰らないであろうことが克明に理解できる。そしてもう一つ、どこか今生の別れを告げるかのような雰囲気がこの文面にはあふれていた。それはまるで―

「…遺書、みたいだな。」

 紙片を見終えた駿河はつぶやく。

 他の二人も声に出さずとも似た印象覚えたようで、鬱々とした空気がこの場を支配する。

「でも、いったいどうして。」

 カオスはなおも困惑とした顔をして、首を振る。それは駿河とて同じ気持らしい。その中でトキだけが、思案顔を俯かせながらもどこか納得したような雰囲気を醸し出していた。

「なにか、知っているのかトキ。」

「なんとなく、ね。まぁ本人に聞いたほうが早いし、知られたくない話でもあるから言わない」

 やはり何か知っているようなのだが、彼女は頑なに口を割ろうとしない。

「そんなこと言ってる場合じゃないよ。早く探さないと」

「この話は、いわゆる墓にまで持ってくような話なの。誰にでもあるでしょう?だから言えない。自分で聞きなさいよ」

「聞きたくても場所が分からないんじゃ、どうしようもねぇぞ。」

 駿河が少し非難するような声色で、諦念の混じった目で見やる。しかしそんなのどこ吹く風とでもいうかのようにトキは告げる。

「誰が、居場所が分からないって言った?」

「どこにいるの!?」

 トキのその言葉に食いいるようにカオスは身を乗り出す。そんな彼女に気圧されることなく、彼女は言い放った。

「教えてもいいけど、条件があるわ。呑まなきゃ教えない。」

 その目には覚悟めいた光が確かに宿っていた。

 

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終わりまで一日ごとに投下していきます
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