「今回は、いつも以上に疲れておりまーす…。」
学校を後にし帰路につく前に、ある場所を目指していた。はやくしなければ日が暮れてしまうだろう。時間も気力もない今日は、多少の浪費もやむなしと考え電車へと乗り込む。向かう先は隣町の神社だ。
やっとこさ解放されて早く家に帰りたい気持ちもあるのだが、もはや日課に近いそれを今更やめるのもどうかと思い、またやりたいこともあったため、先を急ぐ。
長い階段を上り、鳥居をくぐる。なんの変哲もないすこしさびれた神社が、そこに佇んでいる。
「あら、遅かったわね。てっきり今日はもう来ないかと思ったわ。」
「いろいろ、あってね。」
巫女服姿の少女が気安げに話しかけてくるのを、適当に返す。少女もそこまで気にしてないようだ。一応付き合いは長いのだがいまは割愛する。ただ一言言えるのは彼女ではない。ここ重要。
「ここに来たってことは、参拝してくんでしょ。ほんとにあんたも物好きというか、変わってるというか。」
「今回はちょっと意味合いが違うけどね。」
そういって、拝殿の前に立ち、二礼二拍手一礼と形式に沿って参拝、する前に、目を閉じ少しの間だけ瞑想する。
あの時、僕は何も答えることができなかった。少し考えさせてほしいと、そう返すのが精いっぱいで、休み明けに先延ばしにするだけだった。ただ平和に生きたいだけなら、あの場で断るだけでよかった。けど、それは人の純粋な嘆願を蹴るほどのものなのか。心のどこかでは、彼らと同じ土俵ステージに立ちたいと強く思っていたのではないか。だめだ、なかなか考えがまとまらない。
「ねぇ、アンタがなに悩んでるのかは知らないけど、早くしてくれないかしら。」
…なかなか辛辣な言葉が飛んでくる。少しはいたわってほしいものだ。
「考えるのは家でもできるでしょうに、神様に参拝するのは神頼みであると同時に、決意表明でもあるの。そんな状態でやっても意味ないわ。」
「いやだから先に考えをまとめようと」
「それに」
しゃらくさいとばかりに話に割り込まれる。
「幼いころから毎日、毎日拝み倒してたじゃない。お百度参りやる小学生なんてアンタぐらいでしょうけど、今回のはそれ関係でしょう。なら今更悩むことないじゃない。お賽銭、無駄にする気?」
「そこでお賽銭!?そこは普通決意とかだよね!?」
「どっちでも構わないわ。男ならうじうじしてないでスパッと決めなさい。かなえたい願い、なんでしょう?」
そうだ。あこがれや夢、果ては前世の家族でさえ置き去りにして叶えると決めた願い。今世こそは幸せに、親不孝にはならないと。
「そうだね。今更、何を悩んでるんだろう。僕。」
そういって改めて、拝殿へと向き合い、願う。これからも平和でありますように、と。
その後、ちょっとした世間話をした後神社を後にする、家に着くころには、すでに日は沈んで真っ暗ではあったけど、幸いというか、今親は海外に長期出張中で家にはいなく、咎める人物はいなかったのには、安心したような、少し寂しいような複雑な気持ちになった。しっかりと戸締りをして床につく。今日もよく眠れそうだった。
日付が変わり、休日の朝がやってくる。あの後、疲れていたこともあって早めに就寝した甲斐もあって、引きずることはなさそうだ。朝食として用意したコーンフレークをゆっくりと頬張り、よく噛みしめる。片手に新聞を待ち優雅()に朝を過ごす、至福のひと時である。突然、インターホンが鳴る。
「あれ、今日誰か来る予定あったっけ?」
そもそも朝早くからの来訪自体珍しいものだが、少し考えたけど、やはり覚えがない。またインターホンが鳴る。せかすように鳴るそれを疑問に思いながらも、玄関に向かう。
「はい。どちら様でしょうか…あ。」
「朝早くからすまない。昨日の話を聞いてな。」
そこには、オリ主=サン含め原作介入組が門前に立っていた。
「それで、いったい何のようですか?えっと…」
玄関で立ち話するような話ではないことを察して、客間へと案内する。そういえば、ここにいる人の名前ほとんど知らないことに、気づく。
「オイ、まさか名前知らないとかいうんじゃねェだろうな。」
「いや、えっとどういう人なのかはよく聞くけど、名前はまだ聞いたことなかったような…なんて。」
「ハァ!?おかしいだろ。俺たちのこと知らねぇとか。嘘言ってんじゃねぇよ!」
「ひゅい!すいませんゴメンナサイ!」
そんなこと言われても未練起きないようにわざと情報断ってたものだから、噂とかも軽く聞き流してたんですぅ!なんて口が裂けても言えない。
「落ち着け。そういうことだってあるだろうさ。」
そういって諌める黒髪イケメン。やだかっこよすぎ、妬ましい…。
「改めて、自己紹介から始めよう。俺は
というんだ。」
「別によろしくなんて言わないから。する気もないし。」
青髪の少女―三守さんはそっけなく返事をするだけで黙ってしまった。何かしたっけ、僕。
「僕は、君原香取って言います。えと、よろしく」
「さて、自己紹介も済んだところで本題に入らせてもらう。まずは昨日のことも合わせて謝らせてほしい。突然、押しかけてすまなかった。」
そういって頭を下げる黒峰さん、評判通り礼儀正しい人だ、というのが第一印象だった。
「フェイトに聞いたかもしれないが、いま、なのはが危険な状況なんだ。少しでも状況を好転させたい、そのためには君の力が必要なんだ。」
そういって、なおも、頭を下げ続ける黒峰さん。昨日確認した決意が多少ゆらぐ。
「僕には、そんな大それた力なんてないよ。誰かを助けるなんて、出来ない。」
それでも拒否する、揺らぐことがあっても、変わることはないと自身に言い聞かせるように。
「テメェ、しらばっくれるのもいい加減にしろよ。」
そういって天城さんがこちらをにらむ。
「テメェが、転生者だっていうのはすでにわかってんだ。ネタも上がってるしな。昨日のフェイトの話を混乱することなく信じたのもその一つだ。」
少し物わかりがよすぎたようだ。普通は信じないだろうそれを、軽く流してしまった昨日の自分にジャンピングネコ目ガエルパンチを食らわせてやりたい気分になった。それよりも今はこの状況をどうにかしなければ。
「転生者?何言ってるんですか?」
「テメ」
「よさないか。」
感情に任せて身を乗り出す天城さんを黒峰さんが手で制する。吃驚した。天城さんは目つきも鋭いせいで一挙手一投足に凄味が出るのだ。ビビってなんかイマセンヨ。
「この際、君が何者なのかなんて気にはしない。ただ、君は自身が思うほど何もできないわけじゃないんだ。それこそ人だって救える。少なくとも能力を持つものとして、人々を助けるべきだと俺は思うんだ。だから、頼む。」
「…今日は帰ってくれませんか」
このままでは押し切られる。はっきり「NO」といえれば理想なのだが。言えない日本人思想の自分が非常に悔しかった。渋る3人を何かと理由をつけて家に追い出す。
「…ィ…ゥに」
「え、なにか?」
「何でもない」
ふと三守さんがなにかつぶやいたようだが小さくて聞き取れず。それ以降は何も言おうとはしなかった。
「はぁ、なんで休日の朝っぱらから、こんな思いしなきゃなんないんだ…。」
鍵を締め、一息つくと同時に愚痴をこぼす。すがすがしい気分が台無しになった。最近急速に平穏が遠ざかっている気がする。カムバックmy平和。それはさておき、日常に戻ることにする。人、それを現実逃避というのだが、時には必要なことだと思う。今日は出かけようかと思ったが、鉢合わせするのだけは避けたい。この時点で休日はずっと家に引きこもることが確定したのだった。
「仕方ない。暇つぶしできそうなもの探そう…」
気を取り直して、ゲームやら漫画やらが片づけられている物置部屋に向かう。未だにあきらめきれないのか、ドア越しに何か喋ったり叩く音が聞こえる。が無視して漫画の物色を始める。そのうち帰るだろう。と居留守を決め込むのだ。案の定しばらくするとドアをたたく音が消え、ほっと胸をなでおろした、その瞬間だった。
ピンポー――ンピピピピピンポーンン…
突如鳴り響くインターホンの嵐。さすがにこれは耐えかねてつい、門前にいるであろう人影に怒鳴り散らそうとする。
「さっきからうるさい…よ」
そこには先程までいた3人ではなく
「こんにちは!あなたに愛を教えに来たよ!」
金色の髪をしたシスターがいた。
巫女さんが某STGの主人公のように見えますが、性格を参考にしているだけで、空を飛んだり、夢想封印したりはしません。ちょっと不思議な力を持った普通の少女です。
なのでリリカルな世界で弾幕バトルとかはしない…はず(予定はない)
そしてちらっとクロス&メインヒロインが…名前がでるのはもう少し先になりそうです(汗)
この一言でわかる人がいる…かも?