神様のギフト(仮)    作:砂糖露草

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シスターさん()のいる日常 前篇

「とりあえずは、これから一緒に住むんだ。いろいろと決める必要があるね。えーと…」

 そういえば名前を聞いていない、とすれば。

「まずは自己紹介から、僕は君原香取、普通に君原、でいいよ。」

「わたしはカオス。これからよろしくね。香取。」

 何故か名前呼びで返される。人の話を聞いてないのか。

「君原だ。そこまで気を許した覚えはないよ。でもカオスか、なんというか厨二臭いな…そういうの好きだけど」

「そうかな普通の名前だと思うけど。あと名前呼ぶくらい別にいいじゃない。」

「いやだ。」

 即答したら、また盛大なブーイングを受ける。解せぬ。

「あれ、そういえば敬語しなくなったよね、なんで?」

「今から一緒に暮らすのに、ずっと敬語じゃこっちも疲れる。それに敬うのが馬鹿らしくなった、それだけ。」

 そういって、話をいったん切る。そしてジェスチャーでついてくるように促し、空き部屋へと案内する。

 

「ここが、君の部屋ね。布団は物置部屋から、後で案内するからとってくることそれと―」

 順に、これから必要なことを教えていく。結構な量があったのか、いつの間にか昼時になり、腹の音がクゥ、と鳴った。

「もうこんな時間か、今回はカップラーメンにするか。」

 キッチンに戻ってお湯を沸かそうとするが、突然肩をつかまれた。

 

「待って。それならわたしが作る。少し時間がかかるけど、いい?」

「別にかまわないけど、大丈夫?ちゃんと作れるの?」

 女の子に何とも無粋な物言いだとは思うけど、変に扱われて壊されては拙い。確認は大事だ。

「大丈夫!任せてよ。お姉さま達から大体のことは教わったから。」

「いやでも、見慣れない機器とかあったら危ないじゃん。心配だし(キッチンが)やっぱり」

「大丈夫だってば、そんなに心配なら、後ろで見ていればいいよ。」

 そういって作業に取り掛かるカオス。今のところ危なげなく進んではいるのだが、不安はぬぐえない。彼女の師であるお姉さま達とやらの教育的手腕にかけるしかないようだ。心の中で無事に終わりますようにと祈り続けるのだった。

 

 

 

 それから、少し時間がたち、無事に料理が出来上がる。見た感じ普通の昼飯、チャーハンにサラダ、それに汁物-おそらくコンソメスープだと思われる―ではある。調理中も奇抜の行動をとった感じもしなかったから大丈夫だとは思うのだが。

「さぁ、召し上がれ!」

 満面の笑みですすめてくる彼女。大丈夫。まずくはないだろう、若干のアレンジはあったが許容範囲内だし、このままでは先に進まないので早速いただくとする。

「それじゃ、いただきます。」

 そういってスプーンでチャーハンを掬い一口

「…うまい!なにこれめちゃくちゃうまい!いやくちゃくちゃうまいぞ!」

 あまりの上手さに、チャーハンを掬う手が止まらない。自分の語彙力のなさが恨めしくなるくらいだ。しいて言うならば料理店で出されるようなおいしさではなく、家庭的な温かさを持ったおいしさ。

「よかった。満足してもらえて、これでも自身はあるんだから。」

 そういって満足そうに彼女は笑うけど、なぜか眩しく見えて、そっぽを向きながら食事を楽しんだ。…胃袋をつかまれた瞬間である。

 

 

 

「ご馳走さまでした。」

「お粗末さまでした。このあとなにかやることあるかな?無かったら掃除しておきたいんだけど。」

 空腹が満たされ、満足したのも束の間、次の指示を要求される。とりあえず、午前中の内に説明は終わったし、やることといえば…あ。

「そういえば今日は、買い出しに行く予定だったんだ、色々あって忘れてたんだけど。ただ、う~ん。」

 そう。休日に出来るだけ、食料品やら何やらを買い込むわけなんだが、今は出来るだけ、外には出たくない。またあの三人にばったり出くわすかもしれないし、カオスに頼むにしても持ち合わせが少なそうだから、あとでレシート見せてもらって、払うってことも出来なさそうだ。かといって彼らに会う危険性も考えると。

 

「仕方ない…か。それではミッション1!食料の買い出しだ。お金は先に預けておく、メモも用意してあるから、すべてを駆使し、無事任務を達成せよ!」

 そういって買い出しに必要なお金、それに買うものをが記されたメモを手渡す。まぁもしそのまま持ち逃げされても、まだ蓄えはあるし、今は、なるべく人に会いたくない、というのも理由の一つだった。

「おお!なんかかっこいいね。わかった。行ってくるよ。」

 

 そういって早速家を出る。さて、今のうちに食器洗いでもして、ゴローと戯れるかと席を立つと、妙な視線を感じる。ふと周りを見てみるといるではないか、可愛いお猫様が。

「どこから来たんだー、お前。ここら辺では見ない顔だなー。新入りか?」

 そういって、こちらに招き寄せるとすんなりとすり寄ってくる、飼い猫だろうか。ただ洗い物が残っているので少し可愛がったあとゴローに世話を任せ、家事に取り掛かる。後でモンペチごちそうしてやろうかと思ったが、最近食べ過ぎのせいかお腹がぷっくり出てきてしまっている。その姿もたいへん愛らしいのだが、健康上宜しくないので、今回は我慢してもらう事にしよう。

 洗い物を手早く済ませ、じゃれあってる猫二匹の間にお邪魔させてもらおうしたとき、ドアが開く音が聞こえる。もう帰ってきたのか、チっ。

「ただいまー、てなんで舌打ちするの!?」

「いや別に、お猫様とのにゃんにゃんタイムを邪魔されたとか、全然思ってないよ。ウン。」

 名残惜しそうに猫から離れる。すると何かに気付いたようにカオスが「あ」と声を上げた。

「ネコ、こんなところにいたの?」

「もう少しましな名前つけてあげようよ!?その子が可愛そうだよ!」

 飼い主が身近にいたとか、そんなことすっ飛ばして、突っ込みを入れる。この子にして、彼の親ありか。

「いいじゃない。分かりやすくて。」

「安直にもほどがある。せめて名前らしいの付けてあげるべき!」

「これ、香取も関わってるんだけどなぁ…」

「え」

「何でもない。」

 そういってはぐらかされるのだけれど、余計に気になる。昔の僕、そんなにセンスなかったの?御〇妹並なの?

「そんなことより、一緒に行かない?買い物。」

 昔の自分のネーミングセンスのなさについて考えをめぐらしていると、外に出かけることを提案される。…まさか本当に人の話聞いてない?

「なんで僕も買い物に行かなくちゃならないんだ。そもそもお金を渡しただろう?」

「別に一人で行けとは言われてないしそれに、二人で行ったほうが楽しいじゃない。」

「…今ちょっと外には出たくないんだ、人目につきたくない。」

 とりあえずぼかしてわけを話すと、どうやら納得してくれたようでうんうんとうなずいている。

「わかった。誰にもばれずに買い物できればいいんだね!」

「どうしてそうなった!?」

 訂正。この子自分の都合いいように解釈しちゃう系の奴だ、余計立ち悪い。

「よし、じゃあレッツゴー!」

「待て、お願い待って!リアルメタルギアごっことかヤだよ。ゲノム兵じゃないんだから!」

 腕を引っ張りぐんぐんと進んでいく彼女を、何とか止めようと、必死に説得を繰り返すが、そんなものどこ吹く風と言わんばかりに、わが道を進みながら彼女は

「大丈夫。わたしに考えがある。」

 満面の笑みでそう答えるのだった。…カオスさん、それフラグでっせ、特大級の…

 

 

 

 

 

 

「ウソ―ン」

 予想外の出来事に、それ以外の言葉がでない。道行く人々はもちろんのこと普段無邪気にすり寄ってくるお猫様や、いつも元気に挨拶してくれる近所のおばさんまで、みんな見えてないように通り過ぎていく、いや本当に見えてないのか。あ。さっきの三人組まだ近くに居たんだ。

「どう?これくらい、わたしにとって朝飯前なんだか…何してるの?」

 つい見えないことをいいことに、彼らの面前で舌を出したり変顔する姿を見られた、恥ずかしい。わざとらしくせき込んで場を濁す。

「うんn、いやなんでもない。ホントに見えてないんだな。」

「そうだよ。すごいでしょ。」

「すごいけど、これだと買い物できないだろ、店員にも気づかれないよ?」

「それも安心して。あ、ちょっとそこの路地裏に寄るよ。」

 彼女に導かれるまま、スーパー近場の路地裏へと入る。-しばらくしてからどこからともなく声にもならない悲鳴が海鳴市中に響き渡ったという…、ダレノナンダイッタイ―

 

「あはは、すごい似合ってるよ!可愛い!」

「どうしてこうなった…」

 そこには誰もが振り向くような金髪美少女と、チョコンと据えられるように寄り添う、小柄な少女の姿があった。というか僕たちだ。よほど奇妙なのか、道行く人々が先程とは違い、こちらに視線を向けてくる。どこかに穴はないだろうか、ロープでもいい。

「これ、ホントにどうなってるんだ。ちゃんとアソコもなくなってるし。」

 しかし胸は男の時とさして変わらなかったのには、目と鼻から塩水が出るほど悲しくなった。女になるつもりはないけど。

「これは、量子変換器って言って一時的に別のモノに変化することができる優れものなんだ。まだ改良の世余地はあるんだけどね。」

 そういって舌を出して、悪戯が成功したような顔をしている。これ、下手すればノーベル賞ものじゃないか。

「いろいろといいたいことがあるんだけど、一つだけ聞いていいか?」

「そうだね、この機械の出所以外ならいいよ。」

 ききたいことが一つ潰されてしまった、けど本題はそこじゃない。

「ヤバい連中とか組織とかに関わってたりしてる?」

「うーん、そうゆうのはないかな、今は。」

「短い付き合いだったけど。まぁ楽しかったよ、達者でな。ネコの面倒は見てやるから。」

 そういってUターンを決め、一目散に離れようとするのだが、お約束と言わんばかりに肩をつかまれ、立ち去ることができない。

「待ってよ!もう心配ないって。」

「信用できるかぁ!そういうのに限って、いきなりどことも知れない別勢力が現れて、また殺傷沙汰になるんだ!」

「本当に心配ないって!そもそも数年前の話だし、来たとしても、お姉さま達と力を合わせれば、すぐに終わるもん!」

 そんなやり取りが小一時間続き、周りの暖かな視線に気づいたとき、ひとまずの終止符が打たれたのだった。

 




はいとりあえず名前が出せましたメインヒロインさんです。
彼女に関してはそらおとから数年経ったあとの話なうえ、どう成長するのか少し想像できないなぁというのもあり、キャラ崩壊覚悟で出すべきかどうか、正直どうするか悩みました。
でも可愛いし、カオスにはもっと活躍してほしかったというのもあったので…出すことにしました。カオス可愛いよカオス
もしこれからも読んでいただけるなら幸いです。
 ちょっと続きます。
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