前のような投稿スピードはできませんが、コツコツと頑張っていきます。
また、感想、評価、指摘等あればよろしくお願いします。
プロローグ 適合試験
その日は朝から憂鬱な日だった。
いつもは俺の事を一流ニート(笑)と嘲笑してくる妹だが今日はどこか不安そうである。
それもそのはず。今日は俺こと天霊 斬騎(てんりょう ざんき)がフェンリル極東支部に就職することになるかもしれない大事な日だからだ。
「兄さん、今日は神機の適合試験ですが……その、ちゃんと帰ってきて下さい」
「分かってるよ。ちゃんとゴッドイーターになって、配給が優先的に回ってくるようにするって」
「………兄さんがニート生活をやめて更生するなら嬉しいですけど、何でこんな危険な仕事しかないんでしょうか?」
「世知辛い世の中だからな」
時は2074年。世界はアラガミによって浸食され、人類は窮地を迎えていた。
そんな世界で俺は妹と二人、生き延びてきた。少し前まで師匠(武術の達人で俺たちの親代わりの人)が養ってくれていたのだが、1年ほど前、妹が14才の誕生日を迎えたその日に出て行ったっきり戻ってない。
その後、妹がとある料理屋でバイトを始めて生活費を稼いでいたが、先日、フェンリルからの出頭命令が出た。
俺に適合する神機が見つかったので適合試験を受けろ、との事だった。
「まぁ、程々に頑張ってくる」
そう言って俺は家を出た。
「フェンリル極東支部、か」
狼の顔のデザインが描かれた大きな建物の前で俺はこれから死ぬのかもしれないな、とネガティヴな事を考えていた。
あぁ、帰りたいなぁ。家でゴロゴロしてたいなぁ。
………ハッ!
いかん、いかん。とうとう現実逃避までしていた。
俺は意を決して建物の中に入り、職員の人に案内を受けて、会場(?)までたどり着いた。
だだっ広い部屋に上から見下ろすような視線。そして一番異常なのは部屋の中央にある見るからに物騒な機械。
腕を置くような凹みのあるデザインのその機械を見て思わず溜め息を吐いてしまう。
そんな俺を見かねたのかスピーカーから声がした。
『リラックスしてその機械に手を通して下さい。大丈夫です。
痛いのは一瞬ですから………多分』
「おい、今、最後『多分』って付け足しただろ⁉︎」
やっべぇ。最後の余計な一言のせいで不安が増してきた。
俺は嫌々ながらも、機械の近くに寄った。
そして置いてある神機を見て再び絶句する。
なんかこの神機、黒いオーラみたいなのが出てる……?
そこにあったのは黒い刀型の神機だった。盾は禍々しい鬼の面のようでかと思ったら銃は未来的なデザイン。
この統一感の無さ…多分、これ誰も欲しがらない奴だ。
『何か問題でもありましたか? それとも…怖じ気づきました(笑)?』
スピーカーうぜぇ。
俺は覚悟を決めて凹みに腕を置き、神機を掴んだ。
その瞬間上から金属の塊みたいなのが降ってきた。
そして腕を固定しドリルのようなものが……って。
「っ! ああああああああぁァぁァァァぁ‼︎⁉︎」
体の内側から食い破られそうな激痛と共に無理やり自分という存在を捻じ曲げようとする気持ち悪さが身体をくまなく襲った。
痛い痛い痛い痛い痛い痛い痛い⁉︎⁉︎
嫌だ、まだ何もなしてない!まだ始まってもいないのに死にたくない‼︎
その思いに反して意識は徐々に徐々に闇の中へと吸い込まれていく。
もう、ダメだ。そう思ったその時、不意に昔の記憶が、蘇った。
「…………適合失敗…ですかね?」
茶色の髪を左側で縛った快活そうな少女は隣で見ている男ーーペイラー榊に尋ねた。
「いや、まだのようだ。見てごらん」
少女は視線を少年の方に戻した。
『…………まだだ。まだ死ねない。
帰りを待つ妹のためにも。そして、皆との未来を歪めた神どもに復讐するためにも………ここじゃ、まだ…死ねない‼︎』
ザン、と地面に刀の切っ先を突き刺し、杖の代わりにして立つ少年。
その目に先程までの怯えや不安は無く、ギラギラとした怒りと復讐心、そして神を喰らうという強い意志が感じられた。
「彼は……一体?」
「彼の名は天霊 斬騎。最凶最悪の神機ーー呪刀に選ばれた。いや、
「最凶最悪の神機?」
少女は少年が手にした禍々しい神機を不安そうに見た。
その神機は何も答えず、ただ、ライトに照らされて不気味な輝きを放つのだった。
次回、一話 過去の記憶