多少ゴッドイーターらしからぬ話が続きますが、飽きずに読んでいただきたいです。
自分という存在がばらばらになって消えていく。
上も下も右も左も見渡す限りの漆黒。
あぁ、自分は………
死んだんだな。
はぁ、呆気ない終わり方だった。
まさか、実地訓練になった途端に死ぬなんてなぁ。
ツイてないな。
妹に何て言われるだろ。
きっと泣くんだろうな。
いつもは無表情で暴言を吐いてくる妹は本当に俺が危険な目に遭うと決まって心配しだすのだ。
謝りたかったな。
徐々に感情も思考も分解されていく。ばらばらに……。
ま……て。まだ、……。………。
声?
気怠げな身体に少しだけ力を入れて、聞こえた気がした声に耳を傾ける。
待って! まだ終わってない! 貴方はここで死んでいい人じゃない!
まだ終わってない? 何を言っているんだ。俺はマルドゥーグの爪に串刺しにされて死んだんだ。
戻ってきて! それ以上、呪いに汚染されたら、貴方も……!
呪いに……汚染? どういう意味だろうか?
私の手を取って! 話はそれからよ‼︎
何もなかった闇の中に光り輝く手が差し出された。俺は分解されたと思っていた手を持ち上げ、その手を掴んだ。
瞬間ーー反転。
黒い空間が、六畳間位の真っ白い小部屋に変化した。
いきなり周囲が白くなったことで目が痛かった。
「ここは……?」
「精神世界よ、
後ろを見ると真っ黒な少女がいた。
黒い髪に黒い瞳、黒い着物。
つり目がちで勝気そうな同い年くらいの少女だった。
「マイマスターって何? 俺は君とは初対面だと思うんだけど……?」
「初対面じゃないわよ。私は貴方の神機よ」
「…………え、何だって?」
「難聴系主人公は人気ないわよ、
「えっと? 名前の部分が聞き取れなかったんだけど…?」
「………ごめんね
「ふーん。じゃあ聞き取れた部分だけで呼ぶことにするよ、カヤ」
「なんか渾名みたいね。いいわ、私のことはカヤって呼んで頂戴」
「分かった。ところで俺は死んだんじゃなかったのか? 」
「貴方は死んでないわ。万が一を考えた春日 綾佳がリンクサポートに黄泉返りを選択していたおかげでね。後でちゃんと御礼を言ってあげなさい」
「そうか。綾佳さんが………」
どうやら実地訓練の安全性を上げるために裏ではそんなに働いていたのか。
ありがたい。
「今は既に貴方の身体は治っている。でも魂を神機に取り込まれた状態よ」
「やばくね? それ?」
「さっきまではね。あのまま私が止めなかったら身体だけ残して中身がない状態になるところよ」
「怖っ⁉︎」
幽体離脱したまま戻れなくなるところだった⁉︎
「私が呼び止めるまでには既に七割持って行かれてたわね」
「………………」
ガクガクブルブル。
「もう大丈夫よ。少ししたら戻れるわ」
「そ、そうか。なら良かった」
待ってればいいわけだな。
俺は少し落ち着いてきた。
落ち着くと周りを見渡せるようになってきた。
飾り気のない白い小部屋かと思いきやテレビや机、テーブル、タンスに熊のぬいぐるみなど普通の女の子のようなものもちゃんとあった。
「あ、あの
「あ、あぁ。ごめん」
頬を染め恥ずかしそうにするカヤ。こうしていると普通の女の子だよなぁ。
「………こほん。さてじゃあ、本題に入りましょうか」
「え? まだ本題に入ってなかったの⁉︎」
次回、十話 神機少女の事情と逆転の切り札