え?記録消されてんの?
サカキ博士の言葉に呆然とした。少しはヒントが得られると思ったんだが………。
「抹消? 誰が? 何のために?」
「わからない」
「は?」
「わからないんだ。ただ、呪刀は煉獄の地下街でのミッション中に見つけられたもので、今の君が使っているものはそれを解析、改造したものなんだ」
「解析したのに誰が使っていたかの記録も残ってないなんて……」
「それに、解析の結果、その神機には未知の素材が使われていることがわかった。というか、科学的には解明できない事態が多数起こってそれ以上詳しく解析出来なかったんだ」
「え?」
「俗に言うポルターガイストとかだよ」
「あぁ、よくあるアレですね」
「斬騎君よくあるの? 私、霊感とか無いんだけど?」
「えぇ、実家が幽霊屋敷だったもので」
「まぁ、我々研究者としては堪ったものではなかったけどね。機材が壊れて出費がかさむわ、夜中に大量の水がぶちまけられて床が水浸しになってたとか」
「その程度ならまだ注意喚起レベルです。本人が出てきたら危険ですからすぐに専門の人呼んでお祓いしてもらってください」
「………やたらと詳しいね、斬騎くん」
「実家が(以下略)」
「はぁ。今日は疲れたな。サカキ博士に幽霊解説講座とか聞かせなきゃいけなくなったし」
夕方の実家への帰り道。
今日はアナグラの自室じゃなくて実家に帰ることにした。
普通はアナグラ待機じゃないとダメだが今回は特例で認めてもらった。
「ただいまー」
「おや? おかえりなさい、兄さん。
今日はアナグラの自室に居るはずでは?」
「うん、そうだったんだけどさ。今日、実地訓練で色々あって今日は実家に帰っていいって」
「色々……。そうですか。なら夕食を一人分多く作らないといけませんね」
いつも通りの無表情フェイスだが、俺には分かる。これは面倒くさがってる。
「何だよー。折角帰ってきたのにー」
「帰ってくると連絡の一つでも入れてたら対応は変わっていたはずですけどね」
「う、サーセン」
「いえ、いいんですよ別に。どうせ兄さんは私には今日、何があったかなんて話さないですし。突然帰ってくるや否や私の対応にケチをつけるような人だってことも知ってますし。挙げ句の果てにサーセン一つで解決出来ると思って「マジごめんなさい‼︎ それくらいで勘弁してください! お願いだから!」…仕方無いですね」
妹は愚痴り出すと止まらなくなるタイプだ。
「さっさと手を洗ってきて下さい。私は兄さんの分の夕食を作りますから」
「はい」
その後も妹は俺に気を使ってか今日あったことを何も尋ねてこなかった。
きっと俺から話さなければ何も尋ねてこないだろう。
妹はこういう聞かれたく無いことは何も聞いてこない。
その優しさが少し嬉しかった。
次回、十四話 続・味覚破壊系飲料