彼女の設定も多少変更してあります。
嘆きの平原にて、天霊斬騎
彼ら二人を見ながら俺は考えた。
………さて、俺には今、二つの選択肢がある。
一つは何も見なかったことにして帰投すること。
向こうはまだ俺の存在に気づいていないし逃げるのは容易だろう。
だが、確実にあとで後悔する。
先程、彼らは『生贄』と言った。
つまり誰かが死ぬのだろう。
助かる命を見過ごして自分の保身に走る?
もう一つは彼らを止めること。
まず間違いなく厄介ごとに巻き込まれる。
場合によっては《女神様》とやらと戦闘になるかもしれない。
あの取り憑かれたような感覚もある分、俺は未だに本調子とは言い難い。
彼らの言う《女神様》の戦闘力も計り知れないしこちらは悪手だ。
でも、それでも。
まだ助けられる命があるのなら。
俺は迷いなく、
「おい、そこの二人」
「な、ゴッドイーター⁉︎」
「もう嗅ぎつけてきたんスか⁉︎」
ーー後者を選ぶ。
(まさか、こんな簡単に捕まるとは。わたしとした事が……)
わたしはアルカナ。早速ですが現在絶賛大ピンチ中。
この前まで世界各地を転々としながらアラガミを避け、生き延びてきたのだが変な宗教団体に目をつけられて拉致られました。
(生贄かぁ……。やだなぁ……)
何度も死ぬような目を見てやっとここまで来れたのだ。
死なない、死ねない、死にたくない。
ましてやアラガミに喰われて終わるなんて真っ平だ。
しかし今は袋に詰められて両手足を縛られた状態。
逃げる事はおろか、袋の中じゃ、助けを呼ぶ事も出来ない。
わたしは動ける限り必死にもがいた。
でも駄目だった。
あぁ。もう死んじゃうんだな。
外の音に耳を澄ませると、わたしを捕まえた二人の嬉しそうな声が聞こえてくる。
「おい、そこの二人」
ッ⁉︎ この声⁉︎
わたしはもがくのを止め、外の音に集中する。
「な、ゴッドイーター⁉︎」
「もう嗅ぎつけてきたんスか⁉︎」
「その肩に担いでる『生贄』とやらを解放しろ」
助けが来た?
いや、それよりこの声まさか……。
「ふん、お断りだ」
「そうか。なら力尽くだ。ちょっと痛い目見ろ」
途端に凄まじい衝撃があって、わたしの入った袋が地面に落ちた。
今の衝撃で袋の口が緩んだのか顔を出せた。
そこには腹を抱えてうずくまる男と、苦々しい表情をした老人。
そして……
「え⁉︎ きぃ君⁉︎」
「ん? その呼び方まさかお前……?」
探し求めていた彼ーー天霊斬騎の姿があった。
次回、十九話 簡単なソロ狩りだと思っていたら大変なことになりました(下)