「あれ、これは?」
通信機が落ちてました。
きー君が落としたようです。
ホント昔から運の悪さは変わらないなぁ。
『斬騎君……聞こえ……そっち…ザザ…だいじょ…ザザ……』
おおぅ、いきなり通信が⁉︎
ん?今、斬騎君って?
「あ、あのもしかして極東支部のゴッドイーターの方ですか⁉︎」
『ザザ……貴方は誰ですか⁉︎』
「み、民間人です!
現在、きー君……天霊斬騎さんがヴィーナスと戦っています!」
窓の外では今も激しい戦いが……。ってアレ? いない?
もしかして……。
「囮になった……?」
『囮になった……?』
「ッ‼︎ リンドウさん、車の速度上げて!」
「いや、無理だって」
「綾香、落ち着いて。斬騎だってきっと無事だよ」
無線の向こうの民間人の話によれば今、斬騎君はヴィーナスと一人で戦ってる。
リンクサポートもなく、仲間の一人もなく、ただひたすら一人で。
脳裏に浮かんだのは前回の黄泉返りの発動。
傷だらけの斬騎君がマルドゥーグに立ち向かう姿。
あんなことを二度と繰り返させない。
もう死なせたりしない。
私の見えないところで私の仲間が死ぬのはもう嫌だ。
だから。
速く疾く早くはやくハヤク‼︎‼︎
嘆きの平原にて、天霊斬騎
「くっ⁉︎ どんだけ多彩だよ⁉︎」
突進してきたヴィーナスが壁にぶつかったので追撃に向かおうとした瞬間、尻からグボロ・グボロの頭部が生えてきて水弾を吐き出した。
「どうやらゼリーみたいなオレンジのを壊せばアラガミの身体の一部みたいなのは出てこなくなるみたいだが……」
壊したのは右足のゼリー体のみ。
破壊しようにも近づけない。
近距離に特化した雷鞭に中距離ミサイル、遠距離まで届く嵐に水弾。
更にはほとんどの攻撃にヴェノムやリークなどの状態異常が付く。
「ブラッドアーツを使ったらこっちが不利になるし、かといって長期戦になるとアイテムがない俺に勝ち目はない」
どうする?
悩んでいる間にもミサイルが飛んでくる。
サイドステップとジャンプで躱して、アラガミバレットを発射。
紫電が閃いた。
山なりに飛んだアラガミバレットは運良く背中のゼリー体に直撃、結合崩壊を起こした。
「よし、これでミサイルは封じた!」
後は左足と臀部だ。
だが喜んだのも束の間、既に次の攻撃は放たれていた。
俺の足元に。
「え?」
足元に渦のような黒と紫の輝きが発生し、紫電が突如現れた。
完全に防御に遅れた俺は全身を焼かれ、動けなくなった。
霞む視界でヴィーナスが突進してくるのが見える。
しかし反撃しようにも身体が動かない。
ヴィーナスの巨体が、迫る。
次回、二十二話 妖刀憑依