実地訓練編はもう少し続きます。
黎明の亡都にて、天霊斬騎
俺は戦場から離れた
オペレーターのフランさんからの通信によるとガルム四体を相手にブラッドは今も戦っているらしい。
しかし心配は微塵もない。
恐らく少ししたら残っていたガルムは全滅するだろう。
「ブラッドアーツ……か」
訓練中に少しだけ聞いた。第三世代神機使いの持つ血の力のこと。
綾佳さんの持つ血の力「喚起」が第一、第二世代にも有効なこと。
そして、ブラッドアーツのこと。
「俺もいつか……使えるかな?」
逆境を覆し、乗り越える力。
それがあれば俺も………。
「………無い物ねだりだな」
俺は自嘲気味に笑った。
それにきっとこれから使えるようになるだろう。
今は今だ。自分に出来ることだけ考えよう。
「さて、じゃあ張り切って逃げる準備を……ッ⁉︎」
殺気⁉︎ 馬鹿な、ここは安全地帯だぞ? 一体どこから……?
俺は周囲を見回す。
近くにアラガミらしき影はない。
いや。まさか……‼︎
「上か⁉︎」
俺はその場から弾かれたように飛び出した。
次の瞬間、一瞬前までいた場所に巨大な白いアラガミが降り立った。
コイツは………マルドゥーク!
GUAAAAAAAAAAAAAAA‼︎‼︎
マルドゥークが咆哮を上げると、何処からかザイゴートやオウガテイル、ヴァジュラテイルか現れる。
まずい。非常にまずい。
ブラッドは未だに戦っている。すぐにはこちらに来られない。
加えてアラガミがどんどん集まってきている。
ここは迷わず……。
「三十六計逃げるに如かずだ!」
背を向け、ダッシュで逃げる。最も危険なマルドゥークから少しでも距離を取ろうと考えた。
だが、無駄だった。
マルドゥークは凄まじい速度でこちらを追跡し、ガルムよりも凶悪な威力の爪撃を繰り出してくる。
地面に叩きつけられた爪の風圧だけで俺の身体は空中に投げ出される。
「ちっくしょう、これ絶体絶命だよ」
小型のアラガミたちが風の弾丸や針、火球が続けざまに放ってくる。
俺は空中で体勢を立て直し、地面に降りる。更にそこから追撃を躱す。
ステップ、ダッシュ、ジャンプ、ステップ!
「ぜってー逃げ切る‼︎」
こうしてデッドオアアライブな鬼ごっこが始まった。
斬騎’s Mission 追撃の統率者
難易度 7
勝利条件 ブラッドが来るまで逃げ切れ
ブラッドside
「これで、トドメッ!」
インパルスエッジを打ち込み、最後のガルムの顔の半分を消し飛ばす。
ノックバックの衝撃で後ろに少し飛ばされるが、そこはもう慣れた。
私は周囲を見回し、アラガミがいないことを確認した。
「状況終了。皆、お疲れ」
「全く、ただの新人の訓練だったはずが凄いことになったな」
「ホントだねぇ。思ったより動いたせいで私もうお腹ぺこぺこ」
「ナナはいつでもお腹空いてるでしょ。何もなくてもこのあとおでんパン食べるつもりだったくせに」
「あっはは、ばれちゃった」
「まぁ、今日は頑張ったし私の分のおでんパンもあげるよ」
「わーい、隊長のおごりー!」
はぁ、それにしても
いや、ない方がいいんだけどさ。
『隊長! 大変です、斬騎さんが……!』
「どうしたの、シエル? 斬騎君は安全地帯にいるはずだけど……?」
『マルドゥークと交戦中だと、通信が……!』
「!?」
また!?
次回、八話 鬼ごっこ(絶地獄級)