学園黙示録~とんでもない世界に迷い込んだんですけど~   作:富士の生存者

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プロローグ

 主人公SIDE

 

 

 

 皆さんは運命というものを信じるだろうか?

 

 例えば、食パンをくわえた女子生徒が、道の曲がり角で男子生徒と偶然ぶつかってしまうという青春の始まりのような運命ではない。 

 

 例えば、ある日転校してきた女子生徒が異能力を使いこなしその戦いに巻き込まれる男子生徒の異能力バトル漫画のようなものでもない。

 

 

 まったく知らない学校のような場所で女子生徒に齧り付かれそうになり、その女子生徒の頭部を銃で吹き飛ばすなかなかバイオレンスな運命だ。

 

 

 そんな運命は迷わずゴミ箱に投げ込みゴミ箱ごと燃やしてやる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

 

 今日も企業戦士らしく仕事を終えて会社を後にする。

 

 電車に揺られながら今日の夕食をどうするかなど考えながら暇をつぶす。

 誰かに足を踏まれようが鞄をぶつけられようが持ち前のスルースキルで切り抜ける。

 

 そんな普通の生活を送っている俺の名前は、篠崎(しのざき)淳也(じゅんや)

 

 大手企業の下請企業で働く28歳。ちなみに独身。

 趣味は筋トレにシューティングゲーム。

 

 趣味の合間に人生を送っている。

 今のところそれほど自分の人生が嫌だとは思っていない。

 それなりの大学をそれなりの成績で卒業し、それなりに働いている。

 

 自分の身の丈にあった生き方をおくれているのだ。

 これ以上何かしらを求めたらいろいろと面倒になる事は目に見えている。

 それならいっそそれなりに生きた方がいい。

 

 家に帰り、簡単な夕食を済ませるといつもの様にテレビに向かい合う。

 インスタントコーヒーの入ったコップをテーブルに置き、テレビゲームの電源を入れる。

 

 プレイするのは、ファーストパーソン・シューティングゲーム―――通称『FPS』といわれるジャンルのシューティングゲームだ。

 『FPS』は、1人称の視点で実際に自分がゲームの中にいるような感覚で面白い。

 

 特に最近のFPSでは多種多様な兵器が使用できるようになっているので、様々なプレイスタイルができる。 

 

 タイトル画面を切り替えて装備を選択していく。

 

 どれだけこの時間を待っていたことか。

 画面には目だし帽を被った兵士が映し出されておりその兵士に装備する武器を選んでいく。

 このゲームは自分のキャラの細かな設定までもできるので人気の作品である。

 

 俺のキャラクターは人種が日本人。背が高く肩幅が広い。さらに胸板が厚く鍛え抜かれた鋼の筋骨であるのが一目で分かる身体。

 

傷跡が刻まれた顔は、削り出したかのような鉄の塊のように無骨にして精悍無比(せいかんむひ)。表情をまったく変えずに、ただ一点を向くように光る眼差しが、まるで精神自体を拳骨で殴られたかのような迫力がある。

 

 まさに歴戦の兵士だ。

 

 こんな人物と道であえば問答無用で視線が下がる。

 急降下してしまう。

 

 

 このゲームでは、どれだけ筋肉をつけようと身長をいじろうとパラメーターは変わらない。デブでもガリガリでも同じスピードで走りジャンプする。

 

 今回プレイしていくモードが一般の敵兵士に他にもゾンビが出現するモードなため長期戦を想定し、バランスのいい装備を整える。

 

 キャラクターの設定が終了し、いざゲームを始めようとすると視界が点滅する。

 視界が定まらないと同時に今までに体験したことのない頭痛が追い打ちをかけてくる。

 まさに頭が割れそうな頭痛というのはこういうものなのだろう。

 

 意識が遠くなっていき体が傾いていく。その際にテーブルの上のコーヒーも巻き込み盛大に倒れる。

 

 

「あ……」

 

 

 倒れる直前に見えた光景が、お気に入りの財布にコーヒーが容赦なく降りかかる光景だった。 

 

 ごめんよ、財布ちゃん。

 まだ、買ったばかりだってのにコーヒーをぶちまけちゃって。

 

 最後に自分が抱いたのは財布への罪悪感であった。 

 

 

 

 




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