学園黙示録~とんでもない世界に迷い込んだんですけど~   作:富士の生存者

17 / 31
短めです。
すみません。
恐らく大々的に手直しが入ります。


第16話 『とんでもない兵隊さん』

 稀里ありすSIDE

 

 

 走りっぱなしで息が苦しい。

 足がもつれ転びそうになるが、パパが手を握っていてくれていたから転ぶことはなかった。

 

 

 

 今日は小学校にパパが迎えに来てくれた。

 パパは、急いでいる様でありすのお友達にも『さようなら』が言えなかった。

 

 パパに聞いたら遠くの方へご旅行に行くんだって。

 それで迎えに来たと教えてくれた。

 

 どこに行くのかな?

 

 お家に帰る道は凄い混んでてなかなかお家につかない。

 パパは、車を道の脇に停めてありすを連れて走る。

 

 走ってありすのお家がある橋の方に向かっていると、女の人の悲鳴や男の人の怒鳴り声が聞こえるようになった。

 何が起きたのかわからず、その場で動けなくなる。

 

 そんなありすをパパは、抱き寄せて抱きかかえるように走った。

 

 怖くてパパに必死にしがみつく。

 目をギュッと閉じて。 

 パパの声にだけ集中する。

 

 

「大丈夫だよ、ありす。パパがついてるからね!」

 

 

 私には何が起こっているのかわからなかった。でも、ありすの近くにパパがいてくれれば怖くない。

 

 

 

 

 

 

 知らない人のお家に入れてもらおうとパパが大きな声を出している。

 でも、どうしても入り口を開けてもらえない。

 

 パパは怖い顔で扉を壊そうとしたら、扉がいきなりあいて長い棒が突き出される。

 あれ、何でパパのお洋服が真っ赤なの?

 

 扉が閉まると、お洋服を真っ赤に染めたパパが倒れる。

 

 

「パパッ!」

 

 

 パパを染める赤いものがパパの血であることはわかる。

 たくさん血を出して痛いはずなのに、パパはいつもの様にありすに優しく微笑む。

 

 

「ありす、よく聞きなさい。どんなに困難な状況にあっても……周りの人間がすべて諦めて絶望しても、立ちあがれる人になりなさい。隠れなさい、誰にも見つからないところに」

 

 

 すぐ近くまであの怖い人達が来てる。

 でもッ!

 

 

「嫌ッ! パパと一緒にいる!!」

 

 

 パパと離れるなんて絶対イヤッ!

 怖い人たちがありすとパパを食べようと近づいてくる。

 

 パパにしがみ付く。

 怖い人たちがありすとパパのところに来ることはなかった。

 

 スコップを持った『兵隊さん』が助けてくれたから。

 

 

 兵隊さんは、スコップで怖い人たちをやっつけてくれた。

 パパの血がいっぱい出ているところを兵隊さんが押さえて血を止めようとするが、それでも一向に血は止まってくれない。

 

 

「見ず知らずの…あなたに、お願いが…あります。どうかッ、娘をお願い……します」

 

 

 パパは、苦しそうに兵隊さんの腕をしっかりとつかむ。

 兵隊さんは手袋を外してパパの手をとった。

 

 

「わかりました。安心してください」

 

 

 兵隊さんがパパにそう言うと、パパは微笑み動かなくなった。

 

 

「パパぁぁッ!!」

 

 

 パパにすがり付く。

 流れ落ちる涙は止まることはなかった。

 

 声が枯れるほど喉を震わせ、涙をこぼし続けるありすを兵隊さんは黙って優しく抱きしめてくれた。

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 主人公SIDE

 

 

 ゾンビの大掃除を終え、宮里ありすちゃんのパパのお墓をスコップで掘る。

 

 チートボディーをもってすればカップ麺の待ち時間すら上回る。

 目の前で父親が息を引き取ったのだ。そのショックでどうなるか分からない。

 

 ありすちゃんの心の大きな傷。

 

 ありすちゃんのパパとの約束ではありすちゃんを守るしか約束はしていないが、命だけを守っても心も守らなければならない。

 

 彼女の為にも。

 

 お墓は簡単なものだが、しっかりと花を添えてある。

 安らかに眠ってほしい。

 

 不謹慎な話ではあることだが、ありすちゃんパパはゾンビにはならなかった。

 死因が大量出血によるショック死なので、ゾンビにならなかったとみている。

 

 つまり、ゾンビになる条件が映画でも定番である、噛まれることによる感染だと考えられる。まだ、確定はできないがそうあってほしいと思う。

 

 これでありすちゃんのパパがゾンビとなって復活したら、俺は心を鬼にしてスコップで眠らせなくてはならなくなる。それも、ありすちゃんの目の前で……。

 

 無理だわぁぁぁ。

 

 気まずすぎて、ありすちゃんパパを眠らせたあとに自分の墓ほって眠りにつきそうだ。 

 

 さて、そろそろ移動を開始しなくてはいけない。

 表通りには先ほど大掃除したにもかかわらずゾンビが溢れていた。

 

 こいつらは、Gなのか?

 1体いたら数十体はいる認識でいいのかな?

 

 ありすちゃんを連れてのアパートへの離脱。

 背中に背負っているありすちゃんが、落ちないよう庭の物置から拝借したロープでしっかり固定する。

 

 正面の団体様を相手にするのは面倒だし。

 ここは裏に回ろうかな。

 

 別に無理に正面から出なきゃいけないわけでもないし。

 

 塀の上を行くのもいいけども踏み外したりしたら終わり。

 偶然、足をキャッチされても終わり。 

 

 リスク高すぎだろ。

 

 もう少し安全第一に考えよう。

 あれ、この世界に安全って言葉あるのか?

 

 表に視線を向ければゾンビの団体。

 元気に鉄の門を引っ張ったり、叩いたり、引っかいたり。

 

 

 前言撤回、安全なんて言葉は存在しなかった。

 

 

 

 

 




ようやく、ありすちゃんが登場です。
あれ、犬がいない・・・・・・。

次回の更新は少し間が空きます。
レポートが2つも出たためです。なんで1万字以上なんだろう・・・・・・。
合計2万字も、なに書けばいいんだろう・・・・・・。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。