学園黙示録~とんでもない世界に迷い込んだんですけど~   作:富士の生存者

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最近はいろいろ文章をどうするか悩みどころです。
主人公SIDEと原作キャラSIDE、複数をその1話分にまとめるか、一人分のSIDEに絞って1話分を書いていくかどうか・・・・・・。
ご意見などをいただけたら幸いです。



第19話 『とんでもない天気予報』

 主人公SIDE

 

 

 

 走りながら上下二連式散弾銃でゾンビ共を吹き飛ばし退路を確保する。

 今日は走り回ってばかりだ。それでも体力的な疲れはそれほど感じない。

 精神的には今にも気絶しそうだが……。

 

 散弾銃はアパートの近くで食い殺された青年の持ち物だ。

 手に入れたときは青年の血や手がついたままだったが、撃てそうだったので回収したのだ。しかし、何処かで本格的な整備をしなければ最悪、暴発する危険性もある。

 弾薬(ショットシェル)の12番ゲージも青年の上着のポケットから拝借している。

 

 これで職業が漫画家アシスタントだったらヒーローになれたかもしれない。

 

 やっぱり今のなしで。

 ゾンビが走ったり、飛び跳ねたりとんでもなくアグレッシブルな動きをするとか悪夢以外のなにものでもない。

 

 ゾンビを生み出したかの有名な映画監督は、動く死体は走ることはできないと言った。

 走ってしまったら足が折れてしまうよと―――。

 

 死体であるからこその脆さから走れないという訳の様だ。

 

 

 

 空になった弾薬(ショットシェル)が飛び出し、新たに弾薬(ショットシェル)を再装填しながら走る。

 そんな俺たちに並走する様に1匹の小型犬が続く。

 

 ふと、犬も感染するのかどうか疑問に思った。

 犬もゾンビになるのなら終わってる。 動きは早く、何処から現れるか分からない。

 銃で撃つのは困難を極める。

 

 ゲームではゾンビ犬を簡単に片づけているが、現実ではうまくいかないだろう。

 ゾンビ犬がいないことを祈ろう。 

 

 

「帰ってきたわね。急ぎましょう!」

 

 

 アパートの駐車場では、沙耶さんが出迎えてくれる。

 

 その意見には賛成だ。

 そして、君もそろそろ下着姿ではなく服を着てくれ。

 眼福ではあるがそろそろ罪悪感の方が大きくなってきた。

 

 

「静香先生、全員乗ったわ!」

「行くわよぉ!」

 

 

 ハンヴィーの210馬力のディーゼルエンジンが唸りを上げる。

 

 鞠川先生アクセル踏み過ぎ!

 広くない路地だからそんなにスピード出すと事故っちゃいます!!

 

 ハンヴィーが左右に曲がるたびに車内はこっちに行ったりあっちに行ったり、まるでジェットコースターだ。

 ただ、本物のジェットコースターと違うのがレールの上を走らずゾンビを撥ね飛ばしながら猛スピードでギリギリの道を駆け抜ける安全性ゼロなところだ。

 

 こうして俺たちはハラハラしながらアパートから脱出した。

 いつの間にか人数も増え、犬まで着いてきた。

 

 次の目的地は川を渡って距離的に近い沙耶さんの実家だ。

 

 沙耶さんの話ではご両親は右翼関係の人らしい。

 大丈夫だろうかこの先…。

 

 

 

 

 

 

 ◆

 

 

 

 

 

 

 

 「漕げ漕げ漕げよ~、ボート漕げよ~、らんらんらん、川下り~」

 

 

 みなさん、おはようございます。

 朝のニュースのお時間です。

 絶賛眠りたくても眠れない篠崎がお送りします。

 

 陽気な歌と共に今日のお天気とニュースをお伝えします。

 

 今日も天気は晴れ。

 気温も暖かく、絶好の洗濯日和でしょう。

 ところによりゾンビが発生しておりますので自宅からの外出は控え、ドアや窓はしっかりと鍵を閉めてください。どうしても外出する方はスコップをお忘れなくお持ちください。

 

 それでは、初めのニュースです。

 四輪駆動軽汎用車輛ハンヴィーが現在、御別川を渡河しております。 一般の方はマネしないでください――――――と頭の中で変なテレビ番組をしていたがそろそろ現実に戻ろうか。

 

 むにゅ。

 むにゅ。

 

 両腕にあたる弾力と張りがあるモノ。

 眠ることができない原因だ。

 

 右に麗さん。

 左に冴子さん。

 

 腕にぶちあたる彼女たちの2つの無反動砲(ムネ)

 静香先生の胸は大陸間弾道ミサイルだが、彼女たちの胸は対戦車ミサイルだ。

 

 幸せだが精神力が削られる。

 こんな綺麗な女の子たちに胸押し付けられて何も感じないやつは男ではない。

 

 漢だ……。

 

 しかも、薄い下着でそれを数時間続けられるとか……新手の拷問か。

 近年の拷問は、幸せ攻撃で睡眠を与えてくれないらしい。

 

 耳元で”あなたの事教えて”なんて甘い声で囁かれれば何でも喋ってしまうだろう。

 

 ハニートラップ、ダメ絶対。 

 

 動こうにもガッチリ腕をホールドされている。

 無理に動いたら彼女たちを起こしてしまうかもしれない。

 

 気持ちよさそうに寝ているのだ起こすのは野暮だろう。

 

 徹夜とか企業戦士の俺にとっては日常茶飯事だ。

 頑張れ俺!

 

 

「みんなそろそろ起きて、もう少しで川を渡りきっちゃう」

 

 

 よし、起きようか。

 冴子さんの涎が服に染みこんでいた。

 

 よし、もうこの服は洗濯しないぞ。

 はッ!? 

 ヤバい、睡眠不足で思考が変な方向に行ってしまう。そして、麗さん。さらに胸を押し付けるのやめてくれません。精神力がゴリゴリ削り取られてるから。  

 

 

 岸に到着してようやく女性陣が服を着てくれた。

 女性陣が服を着替えている間にこちらもいろいろしておこう。

 コータ君にイサカM37の使い方を孝君に教えておくように頼み、これまで一度も使っていない無線機をいじくっている。

 

 壊れていないようだが周囲に繋がる無線機が無いのだろう。

 小型でコンパクトなのだが、出力が弱いようだ。

 

 ひとまず電源を入れた状態でいよう。

 移動している最中に何か受信できるかもしれない。

 

 タクティカルベストやニーパッドといった戦闘装備を着用していく。

 

 銃の作動状態を確認する。

 弾倉を機関部に叩き込んだ後、槓桿(こうかん)―――チャージングハンドルを引く。硬質な機械音を鳴らして遊底が動き、薬室に初弾が送り込まれる。

 

 安全装置(セーフティー)をかけてスリングベルトで背中に吊る。

 上下二連式散弾銃も薬室を確認し、弾薬(ショットシェル)を入れないで両手で持つ。

 

 散弾銃は稀に地面に落下すると衝撃で撃鉄が落ち暴発してしまうことがある。

 暴発は怖い。

 

 何事も安全管理が大事だ。

 

 

 

 




ご意見やご感想があればよろしくお願いします。

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