学園黙示録~とんでもない世界に迷い込んだんですけど~ 作:富士の生存者
更新する更新すると載せながらここまで長引きました。申し訳ない。
これ以降の更新は、教育隊に参加する為だいぶ先になるかもしれません。
だいぶ手抜きになってしまいましたが、お楽しみください。
主人公SIDE
視界が物凄い勢いで流れていく。
ジェットコースターに乗ってもここまで酷くはない。
何故なら安全バーがしっかりと体を固定しており安全が確保されているからだ。
それに比べて今身体を固定しているのは自分のお手て。
他の乗員も同じようにしがみつける場所にしがみ付いている。
多目的ヘリコプター―――ブラックホーク横のスライドドアは開け放たれており、そこから遠心力で飛びそうになる体を必死に取っ手を掴み耐える。
このまま機体の外に投げ出されれば、地面で潰れたトマト状態になる事は間違いない。
「メーデー、メーデー、こちらホークアイ01!! 機器が全て死んだ!! コントール不能! 繰り返すコントロール不能ッ! 墜落する!」
激しく振動する機体を機長と副操縦士が必死に制御しようとするが、どんどん高度が落ち地面が近づいて来る。
「ッ!?」
「衝撃に備えろッ!!」
遠心力で飛ばされそうになる冴子ちゃんの手を掴み、引き寄せる。
地面が目の前に迫った瞬間、衝撃から庇うように冴子ちゃんを抱き寄せる。
緊急事態だからこれはセクハラではないと言い聞かせながら凄まじい衝撃の中、意識が途切れる。
◆
正面玄関前では騒然とした空気が漂っていた。
サスペンスドラマで犯人が刑事によって最後に追い詰められるシーンのような感じ。
麗ちゃんがM14エンフィールドの先に着けられた鈍く光る銃剣を突き付ける。
突き付けられているのは、あの
途中で合流した際になぜマイクロバスから離れたのか事のいきさつを聞いた。
その場に居なくて良かったついつい奴の
銃剣の切っ先を突き付けている麗ちゃんの口からセクハラもとい紫藤を憎む理由が明かされる。
あの
警察官である麗ちゃんの父親が紫藤の父親が行っている悪事について調べており、その報復、警告を留年という形で行ったらしい。
その捜査も後僅かで紫藤もその父親も逮捕できるはずだったが、ゾンビ騒動が起こり逮捕どころではなくなってしまった。
「どんなことにも動じない人が、泣いて謝ったわ。自分の所為で私を留年させたって!!」
彼女は留年をしたことにより周りからの心にもない中傷もあったことだろう。その元凶を知りながら彼女はいわれなき悪意と戦ってきたのだ。
戦ってこれたのも父親の見せた涙があったから。
父親を心から信じていたからだろう。
「お父さんの捜査が上手くいけばあんたも紫藤議員も逮捕できると聞かされていたから、私は耐えてきた! でも……もうッ!」
「さ、殺人をするつもりですか? 警察官の娘でありながら、犯罪者になるつもりですか?」
「あんたなんかに言われたくないわよッ!」
「ならば殺すがいい! その男の父親とはいくらか関わりはある。だが、それも今となっては無意味だ! 望むなら殺せばいい」
壮一郎氏も加わりさらに事態は加速していく。騒ぎを聞いたのか周りにも避難民が集まりだした。
口を挟もうとした避難民を壮一郎氏がひとにらみで黙らせる。
「無論、必要ならば私も殺す!」
確かに俺もそうするだろう。こんな世の中だから危険になる存在は出来る限り排除する。
紫藤が生きている限り決着をつける必要がある。彼女が進み続ける為に。
第三者として考えれば、紫藤にも父親に従う何らかの理由があるのだろう。
それは、家族愛かもしれないし、また違った理由かもしれない。しかし、俺にとってメガネよりも麗ちゃんの方が優先度は断然上である。それはここの避難民にも同じことだ。
沙耶ちゃんの家族は壮一郎氏がいれば俺とか必要ないだろう。
大勢を救うのは、何処かの正義の味方志望の主人公に任せる。
俺は救いたい人を救えればいい。ヒーローになりたいとは思わない。
ヒーローとは民衆にとっての奴隷であり、社畜なのだから。
孝君が麗ちゃんを止めに入ろうとするが、冴子ちゃんに止められる。
希に彼には主人公補正がかかっている様に思える。
「いいでしょう、殺しなさい! 命ある限り、その事実に苦しみ続けるがいい! それこそが教師である私が生徒であるあなたに与えられる最高の教育です!!」
思わず笑いそうになってしまった。
何が最高の教育だ。
金〇先生、ご〇せん、G〇Oを見てから出直して来い。
生徒の成績を細工し、助けを求める生徒にヤクザキックをかます教師は教師とは言わない。ただのクズか、バカだ。最後まで自分の言葉に酔っていたいらしい。
そうした優越感を持つことでの、精神的な安定こそがメガネの狙いか。
麗ちゃんの指は既に引き金にかかっており、すぐにでも撃てる状況だ。
彼女は大きく息を吐くと踵を返して紫藤から離れていく。
「それが君の答えかね?」
「殺す価値もありません」
その答えを聞いて俺は心の中で、壮一郎氏は声に出して大爆笑。
彼女は答えを出した。
紫藤は相当頭に来ている。
力を入れ過ぎてプルプルしているのがまるわかり。
さっさとお帰り頂こう。
怒り心頭の紫藤をシェリーが顔面を銃床で殴打して、現実に引き戻す。
それに続き、部下が銃口を突き付けて紫藤とそれに従っていた生徒をバスに詰め込み高城邸から追い出す。
何が正しくて、何が間違っているのかなんて誰にもわからない。
人それぞれだ。
ようやく迎えも到着したようだ。
徐々に大きくなる空気を切り裂くローター音。
薄暮に覆われつつある空からヘリコプターの集団が舞い降りる。
避難民はヘリコプターを見て助けがきたと歓喜する。
これでこの地獄から解放される―――と。
だが俺は知っている。
それが死亡フラグであると―――。
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