ダンジョンに竜の騎士が現れるのは間違っているだろうか? 作:ダイ大好き
前回プロローグ終了と言っておいて、今回もプロローグっぽくなってしまいました、申し訳ない。
古ぼけた書店の2階、大量の本に囲まれたヘスティアのお気に入りの場所で
ヘスティアの指から血が滴り、ベルの背中へと
ベルは背中から温かい力が流れ込むのを感じる。
今まさに
「はい、おしまいだ」
「これが
「あははは、残念だったね、はいこれがベル君のステイタスだよ。」
ヘスティアは
ベル・クラネル レベル1
力=I0 耐久=I0 器用さ=I0 敏捷=I0 魔力=I0
魔法
【】
スキル
【】
「何の変哲もないステイタスですね」
「あはは、最初はみんなそうだよ、たまーに最初からスキルや魔法が発現する子もいるけどね」
憧れの恩恵を授かった喜びと、若干残念そうな雰囲気を出すベルに苦笑するヘスティア。
笑われたベルは照れ臭そうに頭を掻いてダイの後ろへ下がった。
「よし、それじゃ次はダイ君の番だぞ」
「お願いします。」
呼ばれたダイは、上着を脱ぎ床にうつ伏せになる。
ヘスティアはダイの腰に馬乗りになると、手に持った針で自分の指を刺した。
「始めるよ」
指から滴った血がダイの背中へと落ち
ヘスティアはダイの
バチィ!!
「なっ!?」
「大丈夫ですか神様!?」
ヘスティアは信じられないといった表情で、痺れる指先を見つめる。
心配するベルの声も耳には入らなかった。
(今のはまさか、恩恵の競合!?)
今起こった現象は、すでに恩恵を受けた者に、別の神が恩恵を与えようとした際に起こる拒絶反応だ。
通常は起こりえない事象にヘスティアは狼狽する。
まさか恩恵を授かった神と違うファミリアへ入ろうと言うのだろうか。
「ダイ君、君はまさか…すでに他の神から恩恵を受けているのかい…?」
恐る恐る問いかける、返答次第ではいきなりファミリア崩壊の危機である。
「え、オレは今まで恩恵を受けたことないよ?」
「そうなのかい?しかし…」
ダイの発言にホッとするヘスティア、なぜか嘘を付いているかはわからないとはいえ、これまで見た人柄から、こんな悪質な嘘を付く人間には見えない。
「あ、でももしかしたら…」
「なんだい、何か心当たりがあるのかい?」
何かに思い至ったらしいダイは、僅かに躊躇う素振りを見せた後、意を決したように語りだした。
「うん、実はオレは純粋な人間じゃなく、
「
ダイはそんなベルの反応に少し嬉しくなった。
亜人種がたくさん住むこの世界の人にとって、純粋な人間ではないなどと言われても、異端とは思われないのだろう。
「その
「
「3柱の神が生み出した人間…つまり生まれながらにして
「うん、そしてマザードラゴンの力も色々とあって、今はオレの中にある。たぶん…それが原因じゃないかと思う。」
「神の使いの力も取り込んでいるのか…」
ヘスティアは考える、ダイの言っていることが本当であれば辻褄は合うだろう。
注意深くダイの力を感じれば、なるほど神威のようなモノを感じられる。
元々神の力をもって生まれた上に、神の使いであるマザードラゴンの力を宿したことで、僅かに神格を得たのかもしれない。
ダイの言葉から嘘か真か見抜けなかったのも、神の力を宿しているからだったのだ。
「なるほど、君の中から僅かながら
「神威……」
「さて原因は分かった、けど君に
ヘスティアが言葉を途切れさせ、ダイの背中を凝視する。
ベルも何事かと思い背中を覗き見ると、そこにはうっすらと
「あれ神様、
「いや、確かにボクの
話している間にも
(これはまさか…ボクの恩恵と競合した影響か!?)
生まれた時から恩恵を肉体の一部としてもっていたダイは、
それがヘスティアの恩恵と競合した時のショックで表層に浮かび上がってきたのではないか、とヘスティアは考える。
仮説ではあるが、このタイミングで浮かび上がってきたのは、それ以外考えられなかった。
(どれどれ…ダイ君のステイタスはどんなものなのかな?)
ヘスティアはダイの背中に浮かび上がった、ステイタスを読み取り驚愕した。
ダイ レベル5
力=C673 耐久=A854 器用=C605 敏捷=C630 魔力=F356
剣士=G 英雄=F 耐異常=G
魔法
【ライデイン】
【ギラ】→【ベギラマ】
【ルーラ】→【トベルーラ】
速攻・ランク別魔法
スキル
・レベルと基本アビリティを上昇させる。
・攻撃力と防御力が上昇する。
・出力に比例して効果向上。
・破壊魔獣形態に移行する、敵を全滅させるまで解除不能。
・攻撃魔法を武器に付与可能
(な…なんなんだよ、このステイタス!?)
いきなりレベル5というのも驚きではあるが、それ以外も全てが規格外と言っていい内容に、ヘスティアは戦慄する。
未知の発展アビリティ《英雄》
一つの魔法スロットに複数の魔法が存在する《ランク別魔法》
そして極めつけがスキルだ
どれも強力な《レアスキル》のオンパレードだが、その中でも極めつけと言えるのが
基礎アビリティのみならずランクまでも上昇させるとは、しかも出力に比例して効果向上ということは、ランクの上昇値は1とは限らない、もしも2以上上がるとしたら…
この異世界から来たという少年は、一体どれだけの潜在能力を秘めているのか、ヘスティアは背中を冷たい汗が流れるのを感じた。
「どうしたのヘスティア様?」
「!…ごめん、ちょっと異世界の
背中に浮かび上がった
その声で我に返ったヘスティアは内心の戦慄を抑えこみ、なんとか平静な声音で誤魔化した。
「今から
「うん、わかった」
「ダイさんステイタス、どんなだろ、楽しみだなー!」
ヘスティアは、この規格外のステイタスを、そのまま知らせてしまって大丈夫かと不安になるが、これほどのステイタスになるほどの偉業を成し遂げたのだ、ダイはおそらく自分自身の力をほとんど把握しているだろうと判断する。
全て正確に書き写したヘスティアは、それをダイへと渡した。
「……」
「レ、レベル5!?しかもなんか凄いスキルがいっぱい!」
ダイのステイタスを見せてもらったベルはあまりに雲の上のステイタスだったことに仰天する。
ダイは真剣な顔で
その表情はどこか焦燥が現れていた。
それをみたヘスティアは、やはり全て書いたのは失敗だったのだろうか、と不安になる。
「ねぇヘスティア様…」
「なんだいダイ君?」
「ごめん読んで!読めない字が多い!」
ダイの衝撃発言に盛大にずっこける二人。
規格外のステイタスを持つくせに、漢字が読めないというアンバランスさにヘスティアは乾いた笑いを浮かべるのだった。
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「ダイ君、君は今後字を読めるように勉強をしなきゃダメだ」
「うえぇ!勉強は嫌だよ!」
「ダーメ!
「うぅ…やだなぁ」
ダイのステイタスを読み上げたヘスティアがダイへとお説教をする。
小さな体をさらに小さくして不貞腐れるダイを見て、ベルはまぁまぁと仲裁しつつ話題を逸らした。
「ところでダイさんの発展アビリティにある《英雄》ってなんですか?」
英雄というものに憧れるベルとしては、無視できないその発展アビリティ、どうすれば発現することが出来るのか知りたいのだろう。
「うーん、残念ながらボクも聞いたことがないね、恐らくこれまで発現した人のいないアビリティだと思うよ。」
発展アビリティとは、ランクアップする毎に1つまで発現する可能性のある、特定の条件で効果を発揮する、より限定的なアビリティだ。
戦闘に関するモノであれば、《狩人》《剣士》《魔導》《耐異常》それ以外であれば《鍛冶》《調合》《神秘》などがあげられる。
それぞれの発展アビリティが発現するには、ランクアップするまでにある程度特殊な条件を満たす必要がある。
《耐異常》であれば毒攻撃などを何度も受ける、《魔導》であれば魔法攻撃を主力に戦う、などだ。
では、ヘスティアが聞いたこともないという《英雄》とはなんなのか。
「やっぱりダイさんが、元の世界で大魔王を倒して、世界を救った英雄だから発現したんでしょうか」
「大魔王を倒した~!?君のいた世界はそんな奴がいるほど危険な世界だったのかい!?」
ベルの発言に目を丸くするヘスティア。
ダイは、そういえば異世界から来たとは言ったけど、バーンとの戦い等は長くなるからと思って話していなかったのを思い出す。
念のためヘスティアにも掻い摘んで説明をしておいた。
「ダイ君は本当にとんでもないことをやってきたんだね…」
呆れ半分、感心半分といった感じで呟くヘスティア。
「恐らく《英雄》が発現したのは、ダイ君が何度も国を救ったりしたからだろう、こちらの世界では事実上発現不可能と言えるだろうね」
「そ、そんなぁ~」
ヘスティアの考察に肩を落とすベル。
「残念ながら《英雄》の効果はボクにも予想がつかない、何かしらステイタスに影響する類のモノだとは思うけど…」
未知のアビリティである以上、手探りで効果を探るしかないとヘスティアは言う。
ダイとしても、ただステイタスとして目に見える形で表記されただけで、これまでと何も変わってはいないのだ、何も気にする必要はなかった。
ベルだけはちょっと名残惜しそうではあったが。
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「さて、それじゃダイ君のファミリア加入についてなんだけど。」
ヘスティアが真剣な表情で話し始める。
ダイはよくわかっていないようだが、ベルは話の内容に予想がついたのか、緊張した面持ちだった。
本来ファミリアは全員が主神の
ステイタスの更新も、恩恵を与えた神しか出来ないのだから当然だ。
違う神から恩恵を受けた者が別のファミリアに加入するなど、通常はありえないことだった。
「ダイ君の場合、ボク以外の恩恵を持っているといっても、それは生まれながらのモノであり、ファミリア間での抗争に発展することはないし、ステイタスの更新も必要がない、だからボクとしては君を加入させるのは問題ないと考えているよ。」
「よかったですね、ダイさん!」
ヘスティアの言葉に喜ぶベル、ダイは抗争などについてはよくわからなかったが、とりあえず加入は問題ないらしい、と認識した。
「ただ、ひとつお願いがある。」
「うん、なに?」
「君はこれまでまったく名を知られていない、異世界の住民なのだから当然だが、とにかくそんな人がいきなりレベル5として冒険者登録をすれば、必ず騒ぎになる。」
「そうなの?」
「そうですね、レベル5というと第1級冒険者と呼ばれます、この
ダイの質問にベルが補足をする。
「そうなんだ、その上で君のスキルが問題だ。」
「スキル?」
「そう、その
「チ、チート?」
突然の謎単語に困惑するダイ。
ヘスティアは構わずに続けた。
「そのスキルを使えば恐らく君の能力は最低でもレベル6を超えるだろう、だけどできればそれはあまり使ってほしくない。」
「なんで?」
「ギルドに申告するレベルを明らかに超える強さだと、最悪他のファミリアからレベルを偽っていると密告され、ギルドの監査が入る可能性がある」
「うん…?」
「まぁこれ自体は実際レベル5なのだから問題ないんだけど、そうなれば君のスキルやアビリティをギルドに公開しなくてはいけなくなる、これはできれば避けたい。」
「オレは別に構わないけど…」
説明されている状況がよくわかっていないダイは、ヘスティアが何を心配しているのかがわからない。
「ダメだ!ステイタス情報は冒険者の生命線、ファミリアの同士以外には絶対見せてはいけないよ。」
「わ、わかったよ…」
「それにギルドにステイタスを公開する以上、どこから情報が漏れるかわからない、もしも他の神に君の強力なレアスキルがバレたら、確実に狙われる!」
「狙われるって、他の神様がダイさんを殺そうとするってことですか!?」
「いや、生命までは取らないだろうけど、暇を持て余した上位派閥の神がちょっかいをかけてきたり、君を自分のファミリアへ勧誘しようとするだろう。」
ヘスティアはツインテールを逆立てながら、犬猿の中であるロキや、他派閥の団員を誑かして自分のファミリアへ加入させる
「だから、できるだけ人前で、そのスキルを使うのはやめて欲しいんだ。」
「わかった、どうせ
ダイの剣が元の世界に置き去りになってしまった為、今は
そう考えたダイはヘスティアの要望を受け入れることにした。
「ありがとう…って君のスキルは武器を選ぶのかい?」
「いや、普通の武器じゃオレの
「……」
「す、すごいスキルなんですね…」
さらっととんでもないことを言うダイに、頬を引きつらせて絶句するヘスティア、ベルも汗を垂らし狼狽えていた。
「そ、それじゃいつか
「
「絶対に壊れないっていう属性をもった武器さ、上位の
「へぇ…それならオレの力にも耐えられるかもしれない!」
「うん…まぁ…恐ろしく高いんだけどね…」
遠い目をするヘスティア、
発足したばかりの極貧ファミリアには手の届かない値段だ。
「そっか、それならまずは、戻す方法を探しつつ、その武器を買うお金を貯めるのが当面の目標かな。」
「最初の目標が物凄く高いですね!?」
気楽に言うダイに、横で聞いていたベルはツッコまずにはいられなかった。
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場所は代わり、廃教会の地下。
ヘスティア・ファミリアのホームへと3人は移動していた。
「まさかファミリアのホームが、廃墟となった教会の地下とは…」
「ごめんよ二人共、貧乏なファミリアで…」
ベルの呟きに謝るヘスティア、ベルは慌ててフォローをする。
「いえ、ちょっと驚いただけです、ファミリアに入れてもらえただけでボクは満足なんです、文句なんてありません!」
「オレも不満なんてないよ、昔はしょっちゅう野宿してたし、それに比べれば全然快適さ。」
「二人共、いい子だなぁ!」
こんなホームを見て文句一つ言わない二人にヘスティアは感動のあまり涙を流す。
「さぁバイトで余ったじゃが丸君をもらったんだ、今日はこれでファミリア発足のパーティーしようぜ!」
「じゃが丸君…?」
不思議そうな顔をするダイを尻目に、ヘスティアは魔石製の保冷庫から取り出したじゃが丸君を魔石製発火装置で温める。
数分後、ほかほかと湯気を浮かべるじゃが丸君の山がテーブルに並んでいた。
食卓に並んだ3人は、水の入ったカップを掲げた。
「それでは、我がヘスティアファミリアの発足を祝って、かんんぱーい!」
「「かんぱーい!」」
カチーンと3つのカップがぶつかり音を鳴らした。
その夜、質素ながらも楽しげなパーティーは、日付が変わるまで続いていた。
そしてパーティーも終わり、いざ就寝といった段階になって、大きな問題が発生した。
ヘスティアのホームには、ベッドがひとつ、ソファーがひとつそれだけしかないのだ。
つまり、3人の内、2人がベッドで一緒に寝るということになる。
最初、自分がソファーで寝ようかと言うヘスティアに、神様をソファーで寝かせるわけにはいかない!と主張するベル。
結局折れたヘスティアがベッドを使うことになったが、そうなると問題はベルとダイ、どちらがヘスティアと一緒に寝るかということだ。
どちらでも構わないというヘスティアに、神様と一緒に寝るなんて恐れ多いことできません!顔を真っ赤になって懇願するベル。
明らかに恐れ多いという以外にも理由がありそうだが、あえてヘスティアはツッコまなかった。
結局はヘスティアとダイがベッドを使い、ベルがソファーで寝るという形に落ち着いた。
1日歩きまわって疲れたのだろう、ヘスティアとベルはすぐに寝入ったらしく、寝息が聞こえてきた。
ダイはしばらくの間、暗くなった部屋の天井を見つめたあと、目を閉じた。
知らぬ間に疲労が溜まっていたのだろう、すぐにダイの意識は眠りへと落ちていった。
ダイの恩恵は最初、読み取ることができずレベルもアビリティもスキルも不明のままで行こうと思っていました。
しかしよく考えると、それじゃダン待ちの持ち味がなくなってるんじゃ?と考えなおし、きっちり表記することにしました。
ダイのレベルについては賛否あるでしょうが、私的にはダン待ち世界のキャラクターも結構な人外だと思ってるので、相対的にこんな感じにしました。