魔法少女リリカルなのは~踏み台、(強制的に)任されました~   作:妖刀終焉

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今回呪いについての詳細が明らかに。

そして感想ありがとうございます。


第2話

 恥辱に塗れた赤ちゃんプレイから5年後、あの爺さんの言葉通りに誕生日の朝、俺の枕の下に紫色の宝石がついたペンダントがおいてあった。多分これが俺のデバイスだ。

 どうでもいいけど赤ちゃんプレイ好きって10大危険性癖に入るやばいものらしいよ。

 

「詳しいことはこれに聞けっつってたよな……」

 

 デバイスの起動ってどうやってやるんだっけ。

 宝石をつついてみたり裏返してみたり首にかけてみたりぶんぶんゴマのように回してみたりしていたら。

 

<あのよぉ~、おもちゃじゃねぇんだがらもうちっと大事に扱ってくんねぇか?>

 

 宝石が点滅して喋りだした。声がなんか渋い。洋画の吹き替えとかやってそうな渋さだ。踏み台って女性AIのインテリジェントデバイスを使ってて、しかもデバイスにさえも嫌われてる印象があるけど、別にいいか。渋いおっさん声っていうのもなかなか味があっていいもんだ。

 

「あの、お前が俺のデバイスなの?」

 

<そういうこった。まずは名前つけてくんねぇか?>

 

 やっぱ名前はないんだ。

 う~ん、口調からして『エミヤ』とか『ギルガメッシュ』とかは無いだろうし。

 

「……そうだ。皇帝(エンペラー)ってのはどうだろう?」

 

<おっ、いいねえ。自分が一番って野心表明か? そういうの嫌いじゃねぇぜ……っといけねぇ、まだアンタの名前を聞いてなかったな>

 

 別にそういうつもりでつけたわけではないのだけれど。

 

神代(かみしろ) 劉牙(りゅうが)

 

 この『ぼくのかんがえたかっこいいしゅじんこう』みたいなのが俺の名前、若い時はこれでもいいけど老人になったら恥ずかしい思いしそうだ。あからさまなDQネームでなかっただけマシだと思おう。

 

<……登録完了っと。これからよろしくな劉牙の旦那>

 

「さて本題に入ろうか。俺がかけられたTSの呪いについて詳しく聞きたいんだけど」

 

<気が早いな。早い男は嫌われるぜ? 何がとは言わねえけどな>

 

 何でもいいから早くして欲しい。こちとら男の象徴を失うか否かの瀬戸際に立たされてるようなもんなんだ。行動を起こすなら出来るだけ早めにしておきたいんだよ。

 

<旦那が聞きたいのは呪いを解く方法だろ?>

 

「そうそれ! あるんなら早く教えてくれ頼む!」

 

<そのことについてはあの爺から伝言を預かってるぜ。『呪いを解きたければ踏み台ポイントを集めるんじゃよォォォーッ!』だとさ>

 

 何故ジョセフ? そして新しい単語が出て来たぞ。踏み台ポイントって何だ?

 

<要は踏み台転生者としての役割を果たすと発生するポイントなんだとさ>

 

「何ポイント集めれば俺は解放される? 期限はいつまでだ? それについてのルールはなんだ? どれくらいの頻度でポイントを集めればいいんだ?」

 

<ンーー……質問は一つずつにしてくれねぇか? とりあえず順を追って説明するぜ>

 

 皇帝(エンペラー)は俺の疑問に一つずつ答えてくれた。

 俺の呪いについてまとめると。

 

1、踏み台ポイントを1万ポイント集めれば俺は解放される。その後の原作介入云々は俺の自由。

2、期限はA's編終了時まで。

3、俺が踏み台転生者であることは誰にも知られてはいけない。他の転生者にも例外ではない。しかし転生者であることだけなら他の転生者にはばれてもいい。

4、どのくらいの頻度で貯めるかは俺の自由。最終的に1万ポイント貯まればいい。

5、現在のポイント総数を知りたい時は皇帝(エンペラー)に聞けばいい。

6、TSしたら原作介入からは解放されるが男には戻れなくなる。

 

<……っと、そんな具合か>

 

 ちゃらんぽらんっぽく喋る皇帝(エンペラー)だが仕事はキッチリこなすようだ。

 

「1万ポイントか……」

 

 一度にどれくらい貯まるかが分からないからなんとも言えないな。

 

 おっ、そういや5歳の時ってなのはが公園で一人ぼっちで遊んでるんだっけ。デバイスが来るまで下手に行動を起こせないから遠くから見たり、ランニングや散歩の時にまれにすれ違ったりするくらいで話しかけたりは出来なかった。同じ理由ではやてにも話かけなかったな。

 

 これからどうしようかと思考を巡らせていたらいきなり俺の寝室のドアが開けられた。

 

「お兄ちゃんおはよう! そしてお誕生日おめでとう!」

 

「ファ!?」

 

 妹の突然の侵入で、驚きのあまり変な声が出てしまった。

 そして慌てて皇帝(エンペラー)を枕の下に隠す。

 

「今何隠したの? エロ本?」

 

「なななな何も隠してないぞ? それと5歳児がエロ本読むわけねーだろ」

 

 妹の神代 智葉(さとは)

 俺と同じ銀色の艶やかな髪を腰の辺りまで伸ばしている美少女……もとい美幼女だ。

 

 軽くぶっちゃけるとこいつとは血が繋がってない。

 智葉が生まれてまもなく父親は交通事故に遭い、母親も出産後に衰弱死してしまい天涯孤独の身になったところを智葉の両親の友人だった俺の親父が引き取り養子にしたという壮絶な過去がある。無論本人には知らされていない。髪の色が同じこともあって智葉も兄妹だと思い込んでいる。

 

「そう……朝御飯できてるからね~~」

 

 とりあえず朝飯食ってから考えるか。

 

 

 

 

 なのはに接触する前に能力確認をしようと近くの人気のないところまでやってきた。王の財宝《ゲート・オブ・バビロン》やデバイスの威力を確かめてみよう。朝飯食った後に作成したバリアジャケットも着てみたいし。

 

「結界張ってくれ」

 

<OK>

 

 周りの景色の色が変わっていく。この空間は今だけ世界から隔離された空間となったのだ。ここなら強い魔法をぶっ放しても周りに被害を及ぼすことはない。

 

「よし! 皇帝(エンペラー)!」

 

<あいよ!>

 

 変身シーンは誰得なんで省略。

 俺は銀髪だけにFF7のセフィロスの格好を元にした黒いバリアジャケットをつくってみた。手には金色で奇妙な意匠のリボルバー式拳銃が握られている。

 

「まずは、王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)!」

 

 俺の背後の空間が歪み、そこから神々しい光を放った武器が数本現れる。

 

 試しに2、3本射出してみるとダイナマイトが爆発したような轟音とともに地面に小さなクレーターが射出した本数分だけ出来ていた。

 

<ヒュゥーーッ! すさまじい威力だなこりゃ>

 

 皇帝(エンペラー)の言う通り洒落にならない破壊力だ。これを掴んだり叩き落したり出来る湖の騎士は半端じゃないな。しかし問題は真っ直ぐにしか飛んでいかないことかな。英雄王も原作だとやたらめったら撃ち込んでた記憶がある。迎撃は難しくもある程度の強者なら避ける事は出来るだろう。

 

 今度は近くにあった剣、エクスカリバーに似ているから多分グラムか原罪(メロダック)辺りだろうか、それを掴んで引っ張り出す。

 

 手からずっしりとした重みが伝わり、神々しさ、美しさに心が奪われるような感覚を味わった。気がつけば涙すら流している。

 

 数回振り回してから蔵にしまい、また別の武器を手にとってまた振り回してみた。他の剣、槍、棍棒、斧、鉾、と種類は様々。

 これを10数回くらい繰り返した後に王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)を閉じた。

 全部使ってみるのは多分無理だ。一生かかっても終わらないかもしれない。使いやすいのをいくつか厳選して使うことにしよう

 

「ふぅ……」

 

 肩を軽く回してストレッチする。

 夢中になって武器を振ってたので腕がパンパンだ。

 アニメや漫画の中でしかお目にかかれないような武器を自分で使ったり、好きな格好をしてみたりと厨二心を刺激されるような経験が出来て感動だった。

 

 ……これで踏み台なんて損な役回りでなければ最高だったんだけどね。

 

<おいおい旦那ぁ、俺も使ってみてくれねぇと困るぜ>

 

 拳銃となった皇帝(エンペラー)から拗ねたような口調で話しかけられる。こいつの性能も確かめておかないとな。

 こいつは弾丸を魔力で作るから魔力が尽きなければ実質無限に撃ち続けることが可能。

 

 両手で拳銃を構えて引き金を引く。狙いは正面の木。

 

<おいおい……銃口がブレブレじゃねぇかよぉ~>

 

「仕方ないだろ。生まれて初めて拳銃撃ったんだから」

 

 デバイスとはいえ反動はある。俺の魔力を使って作った弾丸は俺が的にした木から40cm程ずれた。

 

 しかしこれだけでは終わらない。

 

 ずれた弾丸は弧を描いて木へと命中したのだッ。

 

 これぞ皇帝(エンペラー)の真骨頂。撃った弾丸の軌道を俺、もしくは皇帝(エンペラー)自身の意思で遠隔操作出来るのだ。実質目を瞑ってても相手に当てる事だって出来る。王の財宝(ゲート・オブ・バビロン)の精密性の低さをコイツで補うのだ。

 

 さて、能力確認も終わったし、死にに行くか。

 

 

 

 

 その後、魔力に強力なリミッターをかけて公園にやってきた。

 

<おっ、あれか? 十年後が楽しみな面してやがる>

 

「ああ」

 

 思ったとおり。高町なのはが公園で一人ぼっちで遊んでいる。父親の士郎さんが護衛してる人を助けた際に大怪我して入院してるんだっけ。とらハ3本編では死んじゃってるから幾分かマシだろうけど。

 

 さて、なんて声をかけようか。

 どうせ踏み台だし強引でいいか。

 

「よう、俺の嫁!」

 

 うおええええええええええええええええええ!

 俺が言っといてなんだけどうおえええええええええええええええええええ!!!

 何5歳児相手に「俺の嫁」とか言っちゃってるんだろう。俺がなのはだったらドン引きしてるわ!!

 

(え? 誰なのこの子?)

 

 とか思ってるんだろうなぁ。

 しかし俺は心を無にして畳み掛けるぜ。

 ニコポっぽく笑いかけてみる。

 

(何で顔が引き攣ってるの!? なんだか恐いよこの子)

 

 何かすっごく怯えてるーーーッ!?

 

「おいおい照れるなよ。そんなところも可愛いぜ」

 

 とおもむろに頭を撫でようとする。

 

 おぼろろろろろろろろろろろろろろ!

 スピードワゴンがいたら「こいつはくせえッー! ゲロ以下のにおいがプンプンするぜッーーーーッ!!」と言われても文句の言えない状況だ。

 

「あぅあぅ……」

 

 となのはが泣きそうになってしまったんで今日はこれくらいで引き上げるか。

 

「おい! 嫌がってるだろう!」

 

 なのはを背に黒髪の美少年が立ちはだかった。

 弱き者を背に強者の前に立ちはだかる者。人は皆、それを正義の味方と呼ぶ。

 

(なぁ、こいつってもしかして)

 

<お察しの通り、こいつが正統オリ主だ>

 

 キターーーーーーーッ!!!

 

「お、おいモブが! 俺となのはの邪魔してんじゃねえぞ!」

 

 なんというかませ台詞。恥ずかしい。場違い感が半端じゃない。

 

「俺からすればお前がその子を虐めてるようにしか見えなかったけどな」

 

 ご名答!

 そんな君にはなのはにいいところを見せるチャンスをあげよう。

 

「うおらぁ! 死にやがれモブゥゥゥゥゥゥ!!!」

 

「うおおおおおおおおお!!!」

 

 俺は態と空振りして黒髪の少年のボディーブローをくらう。

 

 あれ? 思ってたより軽いぞ? 

 同じ転生者だしもっと思い一撃を覚悟していたんだけど、5歳児の一撃なんてこんなものか、仕方ねえ。

 

「ヤッダーバァアァァァァアアアアア!!!!」

 

 俺は自分の意思で思いっきり後ろへ吹き飛んだ。そしてそのままのびた振りをする。

 

「す、すごい」

 

「(???? 何だったんだ今の?)あ、ああ……。君、大丈夫だった?」

 

「うん、大丈夫だよ」

 

…………………………………

 

……………………

 

…………

 

「行ったか?」

 

<行ったぜ。いや~清々しい程のかませっぷりだったぜぇ~>

 

 褒められたのに全く嬉しくないのって前世でも今世でも初めてかもしれない。

 

 あの後二人は別の場所へ遊びに行ったそうだ。

 

「そうだ! 今ので何ポイント貯まった?」

 

 それが目的。だから恥をしのんであんなキチ○イ染みた行動をとったんだ。

 

<10ポイント>

 

「……は?」

 

<だから10ポイント>

 

 ええええええええええええええええ!?

 低すぎない? あれだけやってまだ1000分の一だけ?

 

 俺は今日、10ポイント得る代償に大切な何かを確実に失った。

 

 夕飯の後に食べた大きめのチョコケーキはちょっとしょっぱかった。

 

 

踏み台ポイント

現在 10ポイント




とりあえずなのはに嫌われました。
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