DARK SOULS ~Revenge of the knight~ 作:だ~くぱんぷきん
親父との対話を終え、この灰の湖から火継ぎの祭祀場に戻ろうとしていた俺だったが、親父と話している時に聞こえてきた湖獣の鳴き声が気になり、以前来た道を歩いていた。
正直余りいい予感はしないが、以前いいようにされた事もある。あの湖獣には俺が引導を渡してやらねばならない
今、俺の顔がどうなってるか教えて欲しいものだ
しかしだ。あの湖獣が反応してたと言う事は何者かが、この湖に足を踏み込んだと言う事だ
そう考えている間に嫌な予想が頭をよぎる。
このロードランにあの、大樹のうつろを越えてここまで来れるまともな人間などそうそういないだろう。
そしてその少ない人間の中で俺の知っている人間があの湖獣に襲われたのだとしたら・・・
いや、そんな事があるはずは無い
少なくとも俺の知っている人間で、あの程度の化物に殺られる奴はいない。
ーいないはずなんだ・・・ー
そんな事を考えながら歩いて行くと突然、帆立の化け物の鋭い脚を使った突きがこちらに繰り出される
あまりに突然の事で反応が遅れて、脇腹辺りに突き刺さる。
その脚を抜かれる前に右腕で掴み、竜王の大斧で叩き潰す
帆立の化物がソウルになった事を確認してからエストを口へと運ぶ
ークソッ・・・ー
俺は一体何を考えているんだ
そうだ俺が知っている奴らがあの湖獣程度に殺られる筈が無い
仮にも共に強大な魔物共を倒して来た者達ばかりなのだ
先程から感じる嫌な悪寒を振り払いながら俺は湖獣の方へと足早に歩いていく
帆立の化物を大斧で砕きながらしばらく歩いていると、篝火の近くに立っている人影を見つける
湖獣に気づかれない内にその人物の方へと全力で走り抜ける
近づくにつれてその人影が鮮明に見えてくる
その人影の正体、玉ねぎの様な鎧を着込んだ騎士
そんな人物、1人しかいない
ーマイヤー!!ー
その名前を呼ぶと同時に湖獣が魔法が放ってきたので走ってきた勢いのまま大樹の陰に隠れる
湖獣が落ち着いたのを確認してから、ジークマイヤーの方を再び見る
ージークマイヤー!!ー
そういいながら俺は振り向いた
そして目に入ってきたのはジークマイヤーと全く同じ格好をして、地面に伏しているもう1人の人物だった
ー・・・貴方は・・・?ー
その涙声と俺に話しかけてきたのはジークマイヤー・・・否、"ジークマイヤーだと思っていた者だった"
その高い声はジークマイヤーのものでは断じて無い
ー・・・貴公こそ何者だ?マイヤー殿と同じ鎧を着ているようだが?ー
そう問い、その者は1度息をのみ、こう答えた
ー・・・ジークマイヤーは私の父です。私の名はカタリナのジークリンデ。鎧に関してはこの鎧がカタリナ騎士の証であるが故ですー
ーああ、君がジークマイヤーの娘か。じゃあ、この寝てるのがジークマイヤーか。あ、因みに私はハイネルと言う。よろしく頼むよー
ー・・・ー
ーそれにしても、流石マイヤー殿だよ。やっぱり何処でも寝るんだなぁ。ハッハッハ!ー
大声で笑っていてもジークマイヤーが目を覚ます気配はない
ーハイネルさん・・・ー
ーもしかしてリンデ殿もこんな風に何処でも寝れるのか?だとしたらカタリナの皆も・・・ー
ーやめてくださいッ!!ー
ジークリンデの突然の大声に思わず身体が跳ねる
ー貴方も分かっているんでしょう!?父はもう・・・ー
ー黙れよッ!!ー
リンデの言葉を遮る様に怒鳴り声を出す
ー分かっていた・・・分かっていたさ!!一体何処にこんな風に剣を!盾を!握り締めたまま眠りにつく人間が何処にいるかよッ!!ー
ー・・・ー
ー認めたく無かった・・・認めてしまったら・・・これ以上、友人の死を認めたら、俺の方が狂っちまう!一体何だってんだよ!この世界は俺の大切な物を根こそぎ奪って行こうとする!何か一つを得ようとすればこうやって何か一つ俺の周りから消えて行く!ー
今思えばいつもそうだった。最下層で「彼女」と出会った時も、その後になって「彼女」と心折れた戦士が俺の前から消えていった。それ以来、俺が何か得る度に何かしら不幸が降り注いできた
ー今だってそうだ!親父をこの世に引き止める事が出来たと思ったら、今度は数少ない親友があの世に逝っちまった!!・・・一体何だって言うんだ・・・!ー
思わず涙がボロボロと零れてくる。
またもや尊い人間を失った悲しみと共に。
その人間が消えてしまう時に自分は何も出来なかった虚しさと共に。
自分から何もかもを奪おうとする理不尽なこの世界に対しての怒りと共に。
ーハイネルさん・・・ー
地面に崩れ落ちた俺にジークリンデが言葉をかける
ー貴方の事はよく分かりません・・・でも、分かるなんて気安く言える事じゃないって言うのは私にも分かりますー
ー・・・ー
ーでもこれだけは言わせてください。逝ってしまった人の事を思い出せるのは私達だけです。なのに私達までもが狂ってしまったら、逝ってしまった人達が報われません。ー
そう言いながらジークリンデはジークマイヤーが手にしていた剣を俺に渡す
ーこの剣、貴方のものなんですよね?ー
ー・・・これは・・・ー
ジークリンデが差し出した剣。
それは紛れもない、「彼女」が手にしていたロングソードだった
あぁ、そういえば混沌の廃都で渡したっけか・・・
ー・・・こんなもの持っていたって、死んだ人間は蘇ったりしないんだぞ・・・?ー
ーでも、いえ、だからこそです。だからこそ、私達、生き残っている人が逝ってしまった人達の思いを紡いでいかなきゃならないんですー
分かっている。そんな事は、分かっているのだ。
"残された者には生きる義務がある"
その事を先程、親父に教えたばかりなのだから
勿論それは分かっている。自分も逝ってしまった者達の後を追う気もサラサラない
そうは思っていても怒りは募るばかりだった
俺から大切な者達を奪って行くこの世界への怒りが
ー・・・ー
『ならば、お前がこの世界を変えれば良いだろう?』
この頭に響いてくる声も久しい
都合の良い時ばかりしゃしゃり出てきやがって
『そう言うな。どちらにせよ、貴公の目的と私の目的は同じなのだ』
俺とお前の目的が同じだと?
『その通りだ。この世界を、この悲劇の世界を変えるために、貴公が新しい火の主、つまりは神になれば良いのだ』
例えそれが俺の目的だとしてもだ。それとお前の目的になんの関係がある?
『この際だから話しておこう。私と大王グウィンの間にはちょっとした因縁があるのでな。奴には消えてもらいたい』
結局のとこ、俺を利用したいだけじゃねぇか
いいぜ。どうせやる事は決まったんだ。見返りなんてもう必要ない。『彼女』の事ももう吹っ切れた。
やっと分かった。いや、もしかしたら俺はもう知っていたのかもしれない。
『彼女』の名前を知った所で何になる。『彼女』は既に死んだのだもうこの世にはいない。ならばせめて。2度とこんな事にならない様にするしかない
『覚悟は決まったか』
あぁ、やっとな。ようやく明確な目的が見つかった。
『うむ。貴公の様な者ががこの世界の主になれば。ようやく世界は悲劇で無くなる。』
その言葉を聞き終えてから、俺はその場に立ち上がる
ー・・・ジーク、俺は・・・ようやく見つけたよ。自分のやるべき事が。ー
既に逝ってしまった、騎士ジークマイヤーの元に近寄り、
彼の元にどかっと座る
ーあの・・・ハイネルさん・・・?ー
ようやく涙が収まったのかリンデがこちらに話しかけてくる
ーん?どうした、リンデ殿。ー
ー一体何を・・・?ー
ーあぁ、マイヤー殿への報告だよ。彼は俺の数少ない親友"だった"ー
ーはい、父からも聞きました。貴方は父の親友だと・・・ー
ーそうだ。だから天国のマイヤー殿に会えるのは相当、後になるかもしれないと伝えたー
ーそれは・・・何故なんですか?ー
ーそれはだな・・・
ようやく死ねない理由を見つけたからだー
to be continue