DARK SOULS ~Revenge of the knight~ 作:だ~くぱんぷきん
「転生者って言うのはその名の通り、1度人生を全うした上で新たなる生を受けた者の事です」
鎧を着たままの俺ではあまりに重く、あの木製の椅子は座れないという事で結局俺は地べたに座りながら銀髪の少女の話を聞いていた
「そういう意味では、この世界の不死人も転生者と呼べるのかもしれませんね」
「この世界の…と言うと、君はやはり…」
「はい。この世界の生まれではありません…」
ある程度、予測はしていたが改めて口に出されるとなんとも理解し難いもので思わず天を仰ぐ
「まぁ…その、なんだ。君は凄いんだな…転生だなんて…」
「ふふん!まぁ、伊達に神様はやってませんからね!」
「…神様?」
「はい!」
「……………………」
頭が理解を諦めた
神様と来たか
「わ、悪いんだがもう少し順序を追って話してくれ…頭が追いつかないんだ…」
「んん…それじゃあ、ちょっとした経緯をば」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
私は前の世界では神様。と言いましたが、何も最初から神様として生を受けた訳じゃありません
私が元いた世界はこの世界と少し似ていました。
魔法や剣を持ち冒険する者が居て、魔物が居ました、ポーンと呼ばれる大切な仲間も居て……不死もいました。違うところと言えば、人が集まる街があったり、この世界よりも遥かに明るい世界でした。
その世界で不死になってしまうのは、神とも言えるドラゴンに心臓を奪われた一部の選ばれてしまった者、私達の世界ではその不死の事を[覚者]と言いました
そして覚者はこの世界の不死と同じく運命に翻弄される存在でした
ドラゴンを殺し、心臓を奪い返しても、既に心臓は竜の血液で満たされ、私は神であり人であるという不完全な存在になり、待っていたのは歓迎ではなく、畏怖
その上、ドラゴンを斃すと世界の様子は一変し、暗い雲に包まれ、1つの大きな穴が現れました
その穴は私を"未来永劫、世界を傍観し続ける存在"へと導きます
その世界における神です。
100年、1000年…いやそれこそ数えきれない時間、私は世界を見守り続けました。終わること無く巡り続ける無数の世界を
しかし、その時間何も出来ずに傍観し続け、ついには自我も曖昧になり、その使命から逃げたいと願い、自らの心臓を不死の竜の心臓をも穿つ剣で貫きました
その結果がこの転生です。
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「これが、私がこの世界に来た経緯です。永遠に続く輪廻から逃げようとしても結局、たどり着いたこの世界も終わる事を知らない世界…笑えてきますね」
そう語る少女は歳不相応に大人びていて、どこか哀愁が漂っていた
「……………なるほどな」
「そう言えば以前、この世界でグレイスさんという方にお会いしました」
「グレイスに…」
グレイスと言えば、この世界が輪廻に捕らわれていることを教えてくれた張本人だ
「彼、私なんか比にならないくらいの転生をしていますよ」
「なに!?グレイスも転生を…?」
「はい。私は今回が初めてですが、彼はおそらく…もはやこの世に存在する数では数え切れないほどの年月を生きてます…転生を繰り返して。この世界のみならず、別の世界を幾つも、果てなく」
あまりにも予想外すぎて言葉が出ない
「グレイスが…」
この世界を何巡もしたのはやつから直接聞いたが…
とてもじゃないがそんな運命を背負っていたなんて
「もしかしたら…この世界の輪廻を止める事がアイツのやりたい事なのか…」
そうだとするのなら不死街でグレイスに会ったことも、奴が輪廻を止める方法を俺達に教えたのも偶然なんかじゃなくて、グレイスが何巡もした上で確立させた必然…
「やっぱり調べる必要があるな…」
「調べる…とは?」
「この世界の状況を記された本を探す。この世界の輪廻とはなんなのか、火継ぎで使う王のソウルの内、公王の王のソウルが何故残されていたのか。何故、不死の呪い自体は消えないのに不死が死ぬのか。今のこの世界の状況はあまりにも不自然なんだ。それについて調べられればいいと思ってな…まぁ…君やグレイスについても、俄然気になってきたがな」
実際、転生とやらにも興味が湧いてきた。
別の世界の事も少し気になる
「ふむふむ…」
そう話した時、彼女の表情は神妙なものに変わった
「ハイネルさん。」
「……どうした?」
「その程度の事なら私が教えてあげますよ!」
「?」
彼女はニカッと笑いながらそう言う
「…君はホントに…」
「言ったでしょう世界を見守り続けたって?」
余裕の表情でそういう彼女を見て、改めて彼女が元神様だという事を認識させられる
「じゃあ頼むよ…手間が省けていい…」
「ではまずは、なぜ公王のソウルだけが残っていたのかという事。」
「うむ」
「これに関しては、ハイネルさんの末路に大きく起因します」
「……末路と来たか」
「貴方はこれまでに何度も世界を巡っています。しかし、貴方が終わる場所はいつも決まっていました」
「終わる…場所…」
「深淵です。」
『深淵と来たか』
久しぶりに声を聞かせたと思えばなんだその情けない声は
『いや、少し気がかりなのだ…私が貴公に言い渡した使命の中に深淵を統べるものが居るのだが』
深淵と言うと…マヌスか
『あぁ。もしかしたら、それが関係しているのかと思ってな』
なるほどな…と言うよりも、あんたはこの世界のことをどれほど知っているんだ?輪廻については?
『私はあくまでこの世界の者だ。この娘や、グレイスと言う者とは違う』
詰まるところ…この世界の住人はこの輪廻に気づかずに延々と終わっては始まって繰り返してるわけだ
「その神様の言う事はなかなか的を射てますね」
『……………』
「…こいつの声が聞こえるのか」
「えぇ、ハッキリと。まぁいいでしょう!!」
何が良いのか全くわからないが彼女も先程までの様子に戻ってきたので大人しくしておく
「話しを戻しますと、ハイネルさん、貴方はその深淵の主その物には勝利しますが」
「が?」
「マヌスの内に秘められた悍ましい人間性に蝕まれ、貴方は…異形の化け物へと成り果てました」
絶句してしまった
いや、近い未来、自分が化け物に成り果てると言う宣告を受けて、はいそうですかと受け入れられる方が異常だろう
「いつもそうでした。延々と、貴方はその神様の使命に従って、王達の残滓を倒しても、どう足掻いてもマヌスの人間性には耐えられませんでした…が、今回は違います」
「…何が…違うんだ?」
半ばヤケクソ気味に、彼女に問う
「貴方の中の人間性です」
「俺の…人間性…?」
「はい、以前までの貴方は、ただただ復讐のために生きて、そのソウルは澱みに澱み、挙句は化け物達の苗床となっていました。その影響でマヌスの人間性に蝕まれていましたが。ですが…今の貴方の人間性はとても綺麗です」
「俺の人間性が綺麗…??」
流石に冗談がキツイ。こっちは復讐のために生きているのだ
「今まで、貴方はたった1人で世界を旅し、その人間性は澱んでいくばかりでしたが…」
「…今の俺には仲間、友がいる。」
この広いロードランで多くの人と出会えた
ソラールもジークマイヤーも、ジークリンデも、喋りかけてくる顔も見えないアイツも…アノールロンドで助けてくれた名も無き不死もエイブラムもグレイスも…
[彼女]も
その全てが、今の俺を作ってくれた。
きっと、この中の誰か一人がかけたら、俺は今の俺では無いのだろう
つい先程出会ったばかりの、元神を名乗るこの少女に教えられた
俺の…俺が誓った、この世界に対しての復讐とは、ロートレクに対してのただただ憎しみで行っているものでは無い
仲間を思い、友を尊び、それ故に、それらを奪うと言う理不尽を押し付けるこの世界が許せない
だからこそ、皆が笑顔で…二度とこのような理不尽が押し付けられることの無いように
この世界を…ぶっ壊したいのだ
「そうか…そうだったんだな…」
思わず涙が零れる
既にこの世に居ないもの、今もこの世界の理不尽に抗い続けるもの
全員に俺はこんなにも…
「こんなにも…救われていたんだな…」
涙越しの彼女はこちらを見ながら慈しみに溢れた笑顔を見せながら、また話し出す
「しかし、いくら人間性が完璧な状態と言えどマヌスは深淵の主と呼ばれるほどの存在、人間性だけではなく、そのソウルも並の人間ではそもそも耐えきれません」
涙を拭き、息を整える
「ならば…一体どうすれば良いのだ?」
「その答えは…もう貴方の中にあります…」
そう言いながら彼女は俺の胸を指さす
胸に触れると、それに応じるように熱くなるものがあった
「公王の王のソウル…!!」
「本来ならば、貴方のお父様がグウィンに向かった時点で王のソウルは全て器に捧げられ、どうしようもありませんでしたが…グレイスさんのおかげです」
「グレイスが…?」
「はい、彼はこの世界を何巡もして、公王の王のソウルの残滓を掻き集め続けたのでしょう。残滓と言うのは戦えばそれはもう本物の王達と大差ありませんが、所詮は残りカスです。ソウル自体はその辺に転がる亡者と大差ありません。それを掻き集め、王のソウルまで昇華させるのはそれはもう気が遠くなるような時を必要とするでしょう。その上、深淵に向かう際に必要な深淵歩きの契約も持たずにそれほどの事を出来るのは、転生を繰り返してきたグレイスさんだからこそなせる業なのでしょうね…」
「グレイスが…そんな事を…」
「四人の公王を選んだのも、マヌスに対抗する為に、より深淵に近しい王のソウルを選んだのでしょう。彼はそれほどまでに貴方に期待してるとも言えます」
「アイツ…俺の事を買い被りすぎなんだよ…」
呆れ気味に笑って天井を見上げて、少しグレイスの事を思い出す
正直、奴の顔を初めて見た時は、そんな大層な運命を背負った男には見えなかった。
いけない、これはあまりに失礼か
『最初の内は記憶も完全に消し飛んで、北の不死院に戻っていた。でもいつしか俺は記憶や己のソウルを引き継いだまま1巡する事が出来るようになった』
そんな言葉を思い出し、違和感がある事に気づく
「うん?なぁ、グレイスは自分はこの世界の輪廻に捕らわれているような事を言っていたんだが、奴は他の世界も旅していたんだよな?この世界を終わらせずに、他の世界に転生する事なんてできるのか?」
「ハイネル、このロードランはどのような場所か覚えていますか?」
イマイチ彼女の質問の意図を読み取れず、首を傾げてしまう
「この世界は"歪むんです"。時間だろうと、場所だろうと、何もかもが。」
「まさか…俺が会ったあのグレイスは…過去のグレイスだって言う事か?」
「その通りです。私の出会ったグレイスさんと違って、貴方が出会ったグレイスさんは、自分の運命を知ってから、そう経っていません」
彼女の話すグレイスの像と俺が見たグレイスの像が微妙に噛み合わないのはそのせいだったのか
「そうして、今回の世界では、ハイネルさん、貴方はマヌスの人間性とソウルに耐えうるだけの器を手に入れました。これで公王のソウルが残っていたのは理解していただけましたか?」
「ふむ。」
「そして次に、輪廻と不完全な不死についてですが…」
そこで彼女はおもむろに申し訳なさそうな顔でこちらを見つめる
「暗月の神…グウィンドリン…ハイネルさん…貴方が仕えてた神が全ての元凶です」
「…今…なんて言った…!?」