DARK SOULS ~Revenge of the knight~   作:だ~くぱんぷきん

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第52話[掴む勝利と覆せぬ絶望 ~Grasping victory and unrelenting despair~]

「…崩せないな…」

 

霧の壁を潜り抜けてからゆうに1時間は経った

その間、俺はシースに対してどうにも攻めあぐねていた

 

近づこうにも尾による叩きつけで牽制され懐にも入れず

かと言って離れれば結晶のブレスでの攻撃で逃げに徹するしか無い

 

片腕が無いせいでいつもの感覚で動けないというのもあるが何より呪いにより石になるのが恐ろしい

 

死にもせず、だが生きてもいないとなれば流石にどうしようもない

 

何か策を講じようにもあまりに余裕が無い

 

まさにどん詰まりと言う奴だ

 

そう考えている間にもシースはこちらへ結晶のブレスを繰り出す

 

「チッ!!」

 

とりあえず全力で横に走り、ブレスから逃れようとするも、知らぬ間に上から巨大な尾が降り掛かる

 

「ヅッッッ!!」

 

古竜の大剣で受け止め、すぐさま振り払い、後ろへ跳ぶように下がりまた距離を取る

 

しかしこのままでは先程の繰り返しだ。

 

どうにか打開策を見つけなければならない

 

「どうすりゃいい…」

 

いくら考えていても道は見えず闇雲にシースの懐へ全力で踏み込む

 

自慢では無いが、俺の全力の切り込みは早い。脚力だけに任せただけの単純なものだが故に早い

 

だがシースはそれをいとも簡単にその腕で弾き飛ばす

 

「グッッ!」

 

腕のない右側からの攻撃は全くと言っていいほど防御出来ず、右の脇腹にその白い腕は容赦なく襲いかかる

 

その勢いで壁に叩きつけられ、脇腹は抉れ、今にも臓物が零れ落ちそうになる

 

「ア゛ア゛ア゛ア゛ッッ!!」

 

あまりの痛みに獣の咆哮のような声が響き渡る

 

痛みに耐えながら、残っていたエストを全て飲み干し、少しでも傷を塞ぐ

 

しかし焦りすぎた。攻めあぐねていたとはいえ無闇に突っ込んでしまったが故のこの手傷だ。全く話にもならない

 

「笑えないな…全く…」

 

エストをがぶ飲みした事もあり、先程の傷も皮1枚繋がった

 

だがさっきのでひとつ分かったことがある

 

今のシースはこちらの行動パターンに合わせてしか行動してこない。まぁ当然ではあるのだが、

 

離れればブレス、懐に入ってくれば尾による叩きつけや腕での薙ぎ払い

 

それさえ分かればとりあえずの策は立てれる

 

以前、山羊頭のデーモンから奪った大鉈を内のソウルから取り出し、古竜の大剣を背に背負い大鉈に持ち替え、思い切り飛び上がり2階の足場へ移動する

 

「狩らせて貰うぞ…出来損ない」

 

そう吐き捨て、大鉈にある物がたっぷり入った袋を括りつけてシースに向かって思い切り投げつけると同時に俺自身も古竜の大剣を構え矢のように飛び込む

 

シースはその大鉈をさも当然の様に叩き落とすがその瞬間、光る粉がシースの眼前に視界を埋めつくさんとばかりに舞う

 

「もらっ…!!」

 

視界を潰されたシースは何かを溜める様な動きをした後、すぐにとてつもない衝撃に襲われる

 

察するにシースを中心に大きな爆発の様なものが起こったのだろう

 

しかしダメだ。ここでまともに天井に叩きつけられればまた振り出しか、それ以上に悪い状況になる

 

「引けるかァァァァァァァァ!!!!!」

 

古竜の大剣をシースの方へ投げ、瞬間、空いた手にソウルにしまっていた竜王の大斧を握りしめる

 

「ガアアアァアアァァアァ!!!!!」

 

両手で無いから竜の力を引き出せないが、俺自身の力で爆発の勢いを殺しながらその反作用で弾丸の様にまたシースへと向かう

 

竜王の大斧をシースへと投げ、先程投げていた古竜の大剣を再び掴み取る

 

大斧はシースの目を抉り、その視界を完全に潰す

 

シースの苦し紛れの薙ぎ払いを身体を捻り紙一重で躱す

 

そして勢いに任せて振るった古竜の大剣は、鱗無き白竜の首に喰い込み

 

殺った(とった)

 

 

不死を求めた白竜の首は無残にも、結晶が広がる床に転がった

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「彼女を…蘇らせると…」

 

そして、時は少し戻り、戦神と元神の対話へ

 

『確信は無いが、不死を不完全にしたのはグウィンドリンの太陽だ。それさえ元に戻れば、全ての不死は元に戻り、また蘇ってくるはずだ』

 

「…ハイネルさんにそれを知らせれば…壊れてしまいますよ。彼」

 

『…そうかも…しれんな…』

 

「彼は本来とても優しい人間なのです。ですが、ここに来るまでで心をすり減らし続けてきました。1度、削られた心と言うのはどう足掻いても戻りません。それなのに…」

 

『だが、いずれにせよ、奴は選択しなければならない。世界と自らを救った女か自らに道を示してくれた神か。』

 

「…貴方は…」

 

『…私はグウィンにさえ復讐出来ればよかった。妹であるフィリアノールを小人たちに引渡し、私とグウィステスを恐れ神から追い、グウィンドリンをひた隠しにした奴を屠れば良いだけだった。だが…グウィンドリンが輪廻を作り、不完全な不死を産んだなど…』

 

「…それでも…!」

 

『正直、私もグウィンドリンとグウィステスのどちらかを取れなど…選べない…選べるはずも無い。娘と弟だぞ…』

 

その声には戦神と呼ばれる男の覇気など無く、そこに居たのはただ1人、娘と弟を思う優しい男がいた

 

「……それでもハイネルさんは彼女を取るか、グウィンドリンを取るなど」

 

「今なんつった」

 

「!?」

 

そこには先程まで白竜の残滓と戦っていた傷だらけの男が立っていた

 

「彼女か…グウィンドリン様を取るだと?一体どういう意味だ?しっかりと、説明しろ。」

 

「…分かりました…」

 

『いやいい。これは…私の方から話すべきなのだろう』

 

そうして、戦神はその男に事の顛末を話した

 

自分がグウィンに迫害された太陽の長子でグウィンドリンの兄だと言うこと。ハイネルを救った女は本当に自分の娘でグウィステスと言う名前だという事、自分は何も選択できず、その選択を俺に委ねてしまった事

 

「自分じゃ決めれないからこんな俺に決断を委ねようってか。笑もしねぇな。しかもそれが太陽の長子とか言う戦神だと来た。面白い冗談だ」

 

『……』

 

「勝手にやってろ、俺は…俺自身で道を開きたい」

 

「ハイネルさん…貴方はどうするんですか…」

 

銀髪の少女は情けない声を出しながらそう問いかける

 

「…何も殺す事ないんじゃないか?…グウィンドリン様にあの太陽を消してもらう。そうすれば…何もかも…」

 

「恐らく…それは難しいかと…グウィンドリンはああなるのを何千年も待っていました。それを急にやめろと言われても…」

 

「その時は…俺は…」

 

男は、自らが仕えていた神が言ったとある言葉を思い出す

 

ー貴公は十分に働いてくれた。もう自分の為に動いても良いのだ。それにこれで貴公の当分の[道標]は出来るだろう?ー

 

ー私が貴公にしてやれるのはこれ位しか無いからな。後は貴公次第だ。ー

 

「グウィンドリン様…」

 

腰に付けている頂いたタリスマンを眺め、感情に任せ握りしめる

 

「ご恩を…返します…」

 

 

そういう騎士の目には悲壮な決意があった

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