DARK SOULS ~Revenge of the knight~   作:だ~くぱんぷきん

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第53話[暗月と太陽と「復讐の騎士(ハイネル)」 ~dark moon and the sun and "Revenge of the knight"~]

俺はシースを倒した後、書庫の最初の篝火まで戻り、体を癒していた

 

「…それじゃ…そろそろ行くとするよ…」

 

十分に身体は癒えた。やはり右腕は戻らないが。

 

「ハイネルさん。最後にちょっとだけ良いでしょうか」

 

そう言って少女は立ち上がろうとしてた俺を引き留める

 

「私が会った未来のグレイスさんですが…注意していてください。彼は恐らく今この時代のグレイスさんとは全くの別人、貴方の事を狙っていましたよ」

 

「…未来のグレイスが…俺を…?」

 

「はい…曰く、『奴のせいで守りたかった者を守る事が出来なかった』と…」

 

その時、俺はその言葉の意味が理解出来なかった

だが、俺はすぐに思い知ることになる。

 

未来のグレイスが俺にどれだけの憎悪を抱いていたかを

 

「…そうか。忠告ありがとうな。また会おうな」

 

「ええ…貴方に寄る辺がありますように」

 

~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~

 

「ここに来るのも…久しぶりだな…」

 

暗月の霊廟に足を踏み入れるのも体感的にはもう1年前のように感じる。そんな訳は無いのに

 

「だが…それも…終わりにしなければ」

 

篝火に座り今まで使っていた装備達をあらかた修復し、使っていたアイテムも補充する

 

グウィンドリン様と会うのは…これで最後になるのだろう

出来れば話し合いで終わらせたいが、恐らくは…

 

暗い気持ちを押し込め、グウィンドリン様がいる霧の壁の方へと重い足取りで歩き、以前の様に、跪こうとした時、足元に何か金属製の物があるのに気づく

 

「これは…」

 

それは篭手の類に見えたがその割には中身にスペースがある様には見えず、その内にはソウルが流れるのを感じる

 

「まさか」

 

そう思い、肩しかない右腕にそれを近づけるとまるで吸い付くかのように勝手にくっ付いた

 

試しに動かしてみると、それはあたかも自分の腕の様に動き、床に触れる指先には冷たく硬い感触すらあった

 

「入れ」

 

霧の壁の向こうから聞き慣れた声が聞こえ思わず身体が跳ねる

 

「…」

 

そのまま、無言で言われるがままに霧の壁を潜り抜ける

 

「グウィンドリン様、これは一体…」

 

「貴公に対する、最後の施しだ」

 

奥に見える巨大な棺の前に座るグウィンドリン様はそう冷たく告げる

 

「……最後…ですか…」

 

「貴公もそのつもりで来たのだろう?」

 

「…………………」

 

グウィンドリン様が放つ言葉は以前よりも深く心に刺さる

思わず思考が停止してしまうが、これを最後にしない為にも言葉を絞り出す

 

「グウィンドリン様!!ここに来たのは貴方に聞きたい事があるからです!答えてください!あの太陽は!私達人間を照らしていたのは、貴方が創り出していた紛い物の太陽だったのですか!?」

 

「そうだな。あれは私が生み出した太陽だ。偽物の、太陽の姿をした暗月だ」

 

改めて本人の口から聞かされると、絶望を通り越して、最早冷静になってくる

 

「…何故そんなことを…! 貴方のその行いのせいで、不死が、不死では無くなっている事はご存じですか!?そのせいで、助かるはずだった命が消えたのは!」

 

「………」

 

しかしグウィンドリン様は無言。

これは恐らく、肯定の意の無言なのだろう

 

 

「グウィンドリン様…あの紛い物を今すぐ戻してください…でなければ俺は…!」

 

「私を斬れるのか」

 

「…既に斬れる斬れないの問題では無いのです…貴方を止めなければ、この世界は永遠に終わらない…!何がなんでも貴方を止める…この身が果てようとも…!」

 

そうは言ったものの、構えた古竜の大剣は酷く震え、視界も霞んでいてまともに戦える状況では無かった

 

「お願いします、グウィンドリン様…俺は…俺は…!!」

 

「勇むのは構わんが、それ程震えていると格好もつかないな」

 

「ッ……」

 

「…だが…」

 

グウィンドリン様はそう口にしてから椅子から腰を上げ、こちらに向き直る

 

「…それが…今の貴公の強さなのかもしれないな…」

 

「……!?」

 

そう、悲しげな声で俺に告げると、途端に光に包まれる

 

視界が戻ると、そこは無限に続く様な回廊に変わっており、はるか向こうにグウィンドリン様が立ち塞がるのが見えた

 

「我は暗月と復讐を司る神、グウィンドリン。1度仕えた身でありながら、誓いに背く裏切り者よ。貴公の旅もここで終わりだ。覚悟せよ。人間」

 

その言葉には今までのような優しさは一切感じず、ただここにいる一人の人間を殺そうと言う憎悪の感情だけが、俺の体を凍てつかせた

 

「…ここで…終わり…」

 

しかし、その音として放たれた絶望は今にも挫けそうな俺の心を奮い立たせてくれた

 

「終われるわけが…無いだろうがよ…!!」

 

左手に古竜の大剣、右手には竜王の大斧を持ち、タリスマンを咥え、両方の武器に同時に太陽の光を纏わせる

 

「この世界に復讐するんだぞ…復讐の神が…どうしたというのだ!!」

 

そうして俺は二対の竜の武器を暗月の神へと向ける

 

「我が名は復讐の騎士ハイネル!!! 我が掲げるはこの世界への復讐!!我が神よ!!あなたを正し、私はそれを実現させる!!」

 

暗月の神は満足気に笑顔を浮かべた後、手に持つ杖から巨大なソウルの塊をこちらへ放つ

 

「参るぞッ!!」

 

ソウルの塊を切り裂き、一直線に暗月の神へ駆ける

 

これが復讐の神グウィンドリンに仕える「暗月の剣」としてのハイネルの最後の戦い

 

そして、「復讐の騎士」ハイネルの最初の戦いである

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