やはり俺の日常は酷くまちがっている。   作:あきさん

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ちょっと特殊なので注意を書いておきます。

・深夜のテンションで書いたのでガバガバ
・八幡×いろは確定
・キャラ崩壊(主にいろは)
・ご都合主義かつ原作ガン無視
・ゆきのん、ガハマちゃんが好きな方、連続でごめんなさい。

それでもいい方はどうぞ。


そうして、彼と彼女は間違いから始まった。

  ×  ×  ×

 

 一色いろはという後輩について、俺は改めて考えてみることにする。

 可愛くない小町且つ劣化版陽乃さん且つニセめぐり且つ超強化相模且つタイプ別折本――というのが出会って間もない頃の分析だった。

 あざとさを全開にし、好きでもない男にすら可愛いわたしを振りまくことにも何の躊躇もないが、決して自身を安売りすることはないのだろう。

 だからこそ、様々な男共が「あれこいつ俺のこと好きなんじゃね?」という勘違いをした後に涙で枕を濡らし、新たな黒歴史が刻まれただろうということは想像に難しくない。

 それでも、事実上アッシー君やメッシー君、またはキープ君でもいいから彼女の傍にいたい――そう思う男もきっと少なくはないと思えるほど、魅力に溢れているのも長所の一つだろう。

 恐らく昔の俺ならこいつに騙され、告白して振られ、同じような末路を辿る羽目になっていただろうが……それは過去の俺ならではの話だ。

 今の俺は様々な苦い経験――もといトラウマを乗り越え、一人で戦い続けた歴戦のぼっちだ。だからこそ、俺は騙されない。……そもそも戦う相手すらもいなかった訳だが。

 最後に、一色は自身にとって最大のステータスになりえる葉山隼人という人物が好きだということもわかっている。

 ――ここまでが俺の分析だ。一色いろははそういう人間のはずだった。

 ところが、去年の冬――つまりはクリスマスシーズンに勝算がないとわかりきった上で突然、葉山隼人に告白するという一色らしくない行動をとった。

 一色曰く、俺の新たなる黒歴史が刻まれたと言っていい奉仕部での一幕を聞いていたのが原因のようで、「責任、とってくださいね」と明らかに誤解を招くような発言を俺にぶちかましてくれたのは記憶に新しい。

 そして、それからの一色は事あるごとに俺につきまとい、扱き使い、強引にいろいろ連れ回されたりもしたが、自身の都合を押し付けて一色を生徒会長にしてしまったのは他ならぬ俺だ。だからこそ、責任というのを感じて結局は一色を甘やかしてしまっていた。

 まぁ、そんな回想はさておき、そんな日常を過ごしてきた俺と一色が会話の最中、いつもの様にあざとさを一蹴しながら俺が言い放った何気ない言葉が、一色いろはというキャラを完全に崩壊させてしまうとはその時は思わなかった。

 

 ――翌日、奉仕部を訪れた一色いろはの様子は大分おかしかった。

 

  ×  ×  ×

 

「せんぱーい」

 奉仕部を訪れた一色は挨拶も早々に、いつものように雪ノ下と由比ヶ浜の真正面の定位置に椅子を持ってくる――ように見えたのだが……あれ? 何でこの子、俺と密着するような位置に椅子を持ってきてるのん?

「一色、近いっていうか近すぎるから」

 ほんとに近すぎていい匂いするし八幡の理性が警報を鳴らしている。ほれ見ろ、雪ノ下と由比ヶ浜なんかこっち見て睨んでるじゃん。

「いいじゃないですかぁ」

 どこ吹く風の一色は更に猫なで声の甘ったるい声音を耳元で――ほぼゼロ距離で囁いてくる。

「……エロ谷君、その不快な表情を今すぐやめて息を止め続けてくれないかしら」

「ヒッキー、その顔キモい……マジでキモいから……」

「いやちょっと待て。なんで俺が罵倒されてんの? 俺何もしてないんだが」

「せんぱぁい、こっち向いてくださいよー」

 どうしたのこの子? 何があったの? まさか学校で酔ってるの?

 ただでさえ低い俺の社会的地位が更に低くなる前に一色から距離をとった。これはびしっと言って一色にお灸を据えねばなるまい。

「い、いいい一色、どどどうしたんだよお前なななにがあっら」

 ふぇぇ……一色には勝てなかったよ……。

「ふふっ、先輩ったらわたしが近づいただけできょどっちゃって、超可愛いです」

 そうして一色は再び距離を詰めながら、俺の腕をとり自身のほうへ引き寄せる。

 あぁ……女の子の体って超やわらけぇ……と、流石にいろいろとやばくなりそうなので一色の蠱惑的な表情、そして魅力的な匂いと柔らかさから逃れようと身を捩るが、腕をとられてしまっているので逃げれない。そして、慎ましいようで、いい塩梅の柔らかい二つの何かが俺の腕に当たる感触に俺は考えることを放棄した。

 んふ……女の子の体って超やわらけぇ……大事なことなので二回言いました。

 そんな緩みきった俺の心情を無視して、一色は艶かしい口調でとんでもないことを言い出した。

「わたし、せんぱいとキス、したいなぁ……」

「はっ?」

 俺が素っ頓狂な声をあげると同時に、横からガチャンッ! という何かが割れたような音とガタンッ! という二つの音が聞こえた。

 恐る恐るそちらを向くと、ティーカップを落として割ったまま固まっている雪ノ下の姿と、椅子ごと崩れ落ち、そのまま仰向けで固まっている由比ヶ浜の姿があった。

 それぞれがすごくシュールなポーズ――というか由比ヶ浜に至ってはサブレみたいなポーズで固まったままいるので思わず吹き出してしまいそうになる。だ……駄目だ、まだ笑うな……こらえるんだ……。

 そんな二人と俺を差し置いて、小悪魔美少女こと一色いろはの攻撃は続く。

「せんぱぁい、ダメですかー?」

「い、いやお前……いきなり何言ってるんだ。そういうのはお前の好きな葉山とだな……」

「葉山先輩のことはもうどうでもいいんですよぉ。今わたしが好きなのは先輩ですっ! ほんとに大好きなんですっ! ……だから、何も問題はないですよねー?」

「いやちょっと待ていろいろとおかしい。つーかマジで葉山はどうした」

「だからぁ、わたしはもう先輩以外に興味はないんですってばぁ」

「じゃあ何で事あるごとに葉山の名前を出したんだよ……」

「だってぇ……、葉山先輩の名前出さないと先輩はわたしのこと、かまってくれないじゃないですかぁ。そんなことよりせんぱぁい、早く答えてくださいよぅ」

「いや、そんなことってお前……まぁ今は葉山のことはさておき、それは絶対に一色が変な勘違いしてるだけだから。とりあえず落ち着け、な?」

 俺の言葉で雪ノ下の肩がピクッと動いた。……ようやく再起動ですか雪ノ下さん。ゆきのんおっそーい!

「そ、そうよ一色さん。あなたみたいな人がこんな腐った目の男とキ、キスするなんて……あなたはもっと自分のことを大切にするべきだわ」

「おい雪ノ下。今は俺の目のことより一色の暴走を止めるのが先だろ」

「そ、そそそうだよいろはちゃん! ヒ、ヒヒヒ、ヒッキーとだなんて……絶対ダメだからね!」

 お、由比ヶ浜もようやく再起動したか。でも、この調子だとすぐにまたあっちの世界にいっちゃうんだろうなぁ……。

「わたしは大丈夫ですよぅ。ほんとにわたし、先輩がいいんです。先輩としたいんですってばぁ」

 うーん。この子本当にどうしたんだろう?

「ねーえー、せんぱぁい」

 俺の腕を揺さぶる一色から視線を逸らし、雪ノ下と由比ヶ浜の方へ救いの視線を向ける。

 物音はしなかったから大丈夫のはずだが……と思いきや再び絶賛フリーズ中のお二人さん。あぁ、これあかんやつや……。

 特に雪ノ下さんや、その顔は女の子がしていい顔じゃないと俺は思うぞ。

 味方(?)に頼れない以上、目の前で暴走し続ける一色を俺が一人で説得するしかない。

「や、一色。お前本当にどうしたんだ? 何があったんだ?」

「先輩のせいじゃないですかぁ」

「何? 俺のせいなの?」

「先輩が言ったんですよ? わたしは素直なほうが可愛いって。……だから、わたし……」

 昨日のアレが原因かよ。

 確かに俺は何気なく言ったけども、一色がこんなになるなんて思わなかった訳で……。

 俺はどう言うべきなのだろうかと逡巡していると、無言を貫いていることを不安に思ったのか、返答を待たずに一色が尋ねてくる。

「もしかして……、嘘だったんです、か?」

 そして、一色がうるうると涙を溜めていることに気付く――が、もう遅かった。

 一色は俯いてしまい、床に大粒の涙をぽろぽろと落とし始めた。そして、小さな嗚咽も聞こえてくる。

「うぇっ……、ふぇっ……、わたし、がんばった……のに……」

 え? まさかこの子ガチ泣きしてるのん?

「ゴミ谷くんは何故一色さんを泣かせているのかしら? 内容によっては容赦しないのだけれど」

「ヒッキー……。いろはちゃん傷つけるとか、マジ最低だし……」

「ねぇお前らさっきまでフリーズしてたんじゃないの? なんで俺を責める時だけ再起動かかんの早いの?」

「……やっぱり先輩は、わたしのこと、嫌いなんですか? ……わたしは、こんなに、大好き、なのに……」

 こういう言われ方をされると、俺は甘くなってしまう。特に年下にはそれが顕著なのは自覚している。そして、お兄ちゃんスキルはオートで発動してしまう。

 無意識のうちに一色の頭に手を置き、優しく撫でてしまっていた。

「その、一色。お前の気持ちはわかったし、その、嬉しくなくはない……。だから、泣かないでくれ……」

「んぅ……。じゃあ、先輩。わたしとキス……してくれますか?」

 ……意地でもキスを求めるか、こいつ。

「わたしは、先輩に、ファーストキス……もらって欲しいです。先輩じゃなきゃ、嫌なんです……」

 結局、こいつは俺がキスをするまで引く気はないのだろう。そして、キスをしようがしまいが俺の迎えるエンディングは雪ノ下と由比ヶ浜の両方に責められるというバッドエンドだろう。

 どっちを選んでも地獄への片道切符だと言うのなら、最期に美味しい思いをしてやろうじゃないか。

 そうして俺は顔を一色に近づけ、耳元で格好良く、一色が求めている言葉を投げかける。

「ふ、ふたりっきりの時に、してやりゅろ」

 

 ――格好つけようとしたが、俺はやっぱり免疫のないチキンだった。

 

  ×  ×  ×

 

 その後、雪ノ下と由比ヶ浜の苛烈な監視の目を潜り抜けておねだりを繰り返す一色に折れて、俺は一色と唇を重ねた。

 そうして、俺と一色は自然と恋人関係になり、今もこうして楽しそうに隣を歩いているのは元あざとい後輩、今は俺の恋人となった一色いろは。

 二人は幸せなキスをして終了――としたい所ではあるのだが、次の日にとあるアラサー教師の嫉妬激励(物理)を浴び、その後に雪ノ下からはバリエーションに富んだ言葉責めを受けた後、由比ヶ浜の代わりにあーしさんからストレートな言葉責めも受けたのは、果たして俺が全面的に悪いのだろうか。それだけが疑問に残る。

 

 ちなみに、俺に恋人ができたことを本気で喜んでくれたのは我らが大天使、戸塚だけだった。

 

 

 

 

 




なんか……その、ごめんなさい。
本編が重め(?)の反動か一度はぶっ飛んだのが書きたいなぁ……という事で
ルミルミの話と平行で書いてたのがコレです。

ちなみに最後の四字熟語はわざとなのでご了承を(やけに語呂がよかった気がしたので)

最後にもう一度言いますが、ゆきのん、ガハマちゃん好きの方本当にごめんなさい。
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