波旬兄弟と蓮親子がネギまの世界へ   作:ディーン・グローリー

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屑兄さん様、AST様、HUWA様、Y.T様、ぐっちょん様、aaaa様、感想ありがとうございますm(_ _)m
とりあえず大分裂戦争は終了です。

07年版の蓮の詠唱が妙に好きです←物語上、出てきます。

そして次回からは麻帆良学園篇で、ネギが主人公です。勿論、彼らも登場します。




第十歌劇【序幕の終焉】

《1》

 

 『完全なる世界』の本拠地である――墓守り人の宮殿。

 ここに来るまでに、既に二人の姫のおかげで帝国・連合の混戦部隊もでき上がっていた。

 しかしながら帝国・連合の正規軍の助力は不可能であり時間オーバーだった。時間オーバーと言うのは、敵の目的である〝世界を無に帰す儀式〟を始めているから。故、世界の鍵『黄昏の姫巫女』は現在彼らの手にある。

 今から始まるは最終決戦。

 相手は『完全なる世界』。主力は1(プリームム)、アートゥル、セーデキム、クゥィンデキム、デュナミス。

 そうして始まる大決戦。

 1はナギが。アートゥルはラカンが。セーデキムはゼクトが。クゥィンデキムは詠春が。デュナミスはアルが。

 始まった戦いは誰にも止められなく、どちらかが倒れるまで止まらないだろう。

 そんな戦いの中――メルクリウスと藤井蓮は、墓守り人の宮殿を散策していた。

 

「……いいのかよ、戦いに参加しなくて」

 

 蓮が自分の前を歩くメルクリウスに投げかける。

 現在、豪奢な廊下を歩いており、成程宮殿という名がお似合いの場所だ。

 

「一対一の戦いに横槍を投げるような、興の覚めることはせんよ」

 

 先程から爆発音や雷音などが聞こえて来る。それだけで今どれ程、凄まじい戦いが行われているかが分かる。

 

「それにな――ここには随分と、面白味のある者が居る。故、そろそろ出てきて欲しいのだがな」

 

 言った瞬間だった。

 ズズズと、空間から何の予兆もなく、一人のフードを深く被った誰かが現れた。

 

「成程、既に貴様からは筒抜けじゃったか。流石、読めん男よ」

 

 声音からして女。体躯からして少女。

 その少女が二人に向けて言葉を放つ。

 

「メルクリウスと、それに造られた藤井蓮か。貴様らも、アレを抑えに来た口か?」

 

 現れるや否や、いきなりそんなことを口にする。

 それに対しメルクリウスは、

 

「アレとは、一体何のことかな。私は任務のため、ここに参ったに過ぎん」

「ほう、そうか。本当に読めん男じゃ。ここで戦っているのは『完全なる世界』と紅き翼と呼ばれる者達じゃな」

 

 先からずっと伝わる地震。否、揺れ。

 その空中都市の揺れが、どれだけの戦いを起こしているかを物語っている。

 これは、そろそろ決着の時だろう。

 

「して、お尋ねしようか。君は一体誰だい?」

「そうじゃな、名乗っておこう。いや、既に貴様は私が何者かを憶測じゃが建てているのじゃろう。恐らくそれが正解じゃ」

「そうか分かった」

 

 と言ったきり、その人物の名を言わないメルクリウス。

 その自信はどこから来るのだろうか。

 

「つか誰だよ?」

 

 誰なのか一切分からない蓮は静かに叫ぶ。

 メルクリウスは言わなきゃ分からんのか口調で言った。

 

「アリカ姫の曾祖母であり、ウェスペルタティア王国の初代女王アマテルと言う者だろ。ああ下らん、私にとっては心底どうでも良い存在だ」

「いやどうでも良くないだろ。てか何で分かってんだよ。お前もしかしてアリカ姫のストーカーか?」

「何故私があんな小娘のストーカーをせんとならん。私は永劫マルグリットのストーカーであり続けるよ。那由他の果てまでストーキングしよう」

 

 大切な伏線回収場面だったのだが、メルクリウスの変態台詞により矮小となってしまった。

 しかもそんなことは本当にどうでも良かったのか、そこには触れずに話を進める。

 

「それに私が面白味を感じたのはそこではない。お前が此処に居る理由だよ。誰にも感知されずに、独断で此処まで来たのは、一体何故だい?」

「言ったじゃろ。アレを抑えに来たと」

「アレとは?」

「本当に知らんようじゃな。なら言おう。奴らから〝始まりの魔法使い〟や〝造物主〟と言われている者が、この地に現れる」

「何だ、アレとはあの詰まらん者のことか」

「知っておったのか?」

「記憶に残滓のように残っている程度だ。成程、『完全なる世界』はあれが率いているのか」

 

 メルクリウスは納得したかのように、窓から外を見る。

 そこには1(プリームム)がナギによって倒された光景があった。どうやら1を倒したようだ。

 その後ろからも続々と他の紅き翼が現れたくる。この戦いは、無事勝利に終わるらしい。

 

「フィリウス・ゼクト……か」

 

 同じくその光景を見ていた少女が、ゼクトの姿を見て呟いた。

 知り合いのようだが、それを問う前に……それが現れた。

 

 ――『完全なる魔法使い』の親玉であり黒幕。〝始まりの魔法使い〟〝造物主〟が。

 

   (∴)

 

 造物主の初撃は、紅き翼を一掃する程の桁違いある魔法使いだった。

 ゼクトの持つ最強防護もまるで薄い壁の如く粉砕され、窮地に陥った。

 故にメルクリウスと藤井蓮が動き出そうと思ったのだが、一人の男が立ち上がり造物主に戦いを挑んだ。

 その男は紅き翼のリーダーであるナギ・スプリングフィールド。更にナギに続いて立ち上がったのがフィリウス・ゼクト。

 この二人であの造物主に挑もうと言うのだ。

 ラカンですら俺には絶対に勝てないと思わせた相手であり、アルもあれを倒すのはこの世界の誰でも不可能と推測させた程の者。

 しかし何と驚いたことに――ナギは勝った(笑)!!

 流石のメルクリウスも唖然というより、アレも堕ちたなと言う面。

 だが予想外のことに、ナギからの念話で事態の趨勢が一気に揺らいだ。

 そう、既に世界を無に帰す儀式が完成されてしまっていたのだ。

 世界が終わる……しかも造物主はゼクトの身体に乗り移っていた。

 全てが終わったと思ったその時だった……アリカ姫とガトウを乗せたメガロメセンブリア国際戦略艦隊旗艦。そして第三皇女を乗せた北方艦隊。

 全艦隊が光球(儀式場から広がる終焉)を取り囲み押さえ込む。

 魔導兵団 大規模反転封印術式を展開させ全魔法世界を救い出す。

 これで完璧だと思われたはずだった……

 

 

《1》

「こいつだ、こいつが俺に触れている。

 見つけた。見つけた。見つけた見つけた見つけた見つけた見ツけた見ツケタァァーー!!

 こいつさえいなければ、俺は俺で満ちているから、俺以外のものはいらない。

 ――滅尽滅相ォォーー」

 瞬間、凶刃が振り下ろされた。

 

   (∴)

 

 振り下ろされた凶刃は乗り移った造物主……つまりゼクトに襲いかかった。

 引き裂かれるゼクトの身体と造物主の魂。

 

「な……ッ!?」

 

 目を見開くナギ。

 この一瞬で一体何が起きたというのか、ナギの頭には回らなかった。

 現れるは、昔任務で相手した男――波旬。

 ナギでもゼクトでも、ましてやアル、ラカンでも全く一切合切歯が立たなかった相手。

 そいつの急な登場に、ただただ目を丸くするしかなかったナギ。否、満身創痍のナギにはそれ以外の道筋など存在しない。

 

「なん……だと……!」

 

 ゼクトの身体に乗り移った造物主が苦悶の声を上げながら振り向く。

 そこには炎のように逆だった金髪に、三つ目の少年――波旬が存在していた。

 

「貴様は……まさか、この私に気付いたと、言うのか……ッ!?」

 

 造物主は朦朧とする視界の中、波旬を睨みつける。

 現し身を変えようにも、その魂ごと引き裂かれたため微弱な魔法すら使えない。

 ……そう、造物主が何よりも恐れていたのがこの男、波旬だ。

 故に常に波旬を監視し、行動を探っていたのだが、儀式中はそれを許されず間隙が生まれていた。

 そこを突くかのように、波旬は姿を現したのだ。最も忌避すべき敵が。

 

「ああうるさい、うるさいぞ。塵が、俺をじろじろと気持ち悪い目で見やがって、臭いんだよ消えてなくなれ」

「ガ……ッ!」

 

 膨れ上がる波旬の殺気に、ゼクトの身体に乗り移った造物主が悲鳴を上げる。

 それを黙って見ていられるはずも無く、ナギが動く。

 

「お師匠! テメェ今直ぐお師匠から離れやがれ!」

 

 動こうとするも儀式が始まっているせいで魔力は勿論使えず、既に造物主との戦いで立つことすらままならない。

 故に叫ぶしかできない。

 そんな自分が悔しくて仕方なかった。

 このままだと間違いなくゼクトごと死んでしまうのは目に見えている。

 絶望の光景が頭を過ぎった瞬間だった。

 

 

「Ira furor brevis est.

 Sequere naturam.」

 

 

 波旬の後方から音も振動も発さないまま、星を焼き焦がすほどの業火が弾けとんだ。

 ――超新星爆発とまではいかなくとも、その規模は惑星を凌駕する程の大熱波。魔法なんて枠組みでは測れないのは、瞭然にして愚問。これを魔法などと言う枠組みに入れてしまえば、他の炎熱系魔法など塵芥程の価値しかなくなる。

 しかしその攻撃は抑えられていたのか、波旬とそれに重なるゼクトを吹き飛ばすほどで済んだ。

 

「お師匠!」

 

 ナギは飛んでくるゼクトの身体を抱きつくように自分の両腕で把捉する。気絶しているらしく、瞳を閉じられている。だが流れる血の量は止まらない為、早急に手を打たねばならない。

 まずは直ぐ様、安全圏へと移動しゼクトを無事救出した。

 念話でどうにかして、アルに救出してもらうよう手筈を建つ。

 

「では――」

 

 光球の外から、一人の男の声が響き渡る。

 声の主は既に分かっていた。

 自分自身認めたくなく、紅き翼の最大戦力であり規格外の魔法使い――メルクリウスだ。

 

「今宵の恐怖劇(グランギニョル)を始めようか」

 

 まるで無に帰す儀式など意に介さず、水銀の蛇が姿を現す。

 メルクリウスもあくまで魔法使い。故に儀式が始まったこの場で魔法は使えるわけがない。

 しかし、ああそれがどうした? そんなもの、私が認めんよと言わんばかりに否定され、自分の魔法を行使する。

 飛来するは一発の彗星。儀式の光球すら引き裂き、吹き飛ばされた波旬の脳天から爆散させる。

 だが波旬にとっては、

 

「何だお前?」

 

 彗星が波旬に当たると同時に、彗星そのものが波旬の質量に耐え切れず木っ端微塵に破壊された。

 これには流石のメルクリウスも多少驚きはしたものの、

 

「成程、初見の時から感受していたが、その滅尽滅相の法則……あまり好まんな。いや、それ程までに他者を嫌悪するは異質異物であり許されたものではない。故、ここで滅びろ」

 

 恐らく何百何千と生きてきた中で、メルクリウスが窮地に立たされたことなど一度もないだろう。

 しかし今回の戦いは、下手に打てば不味いと、メルクリウスが思っているのだ。

 これはメルクリウスをよく知る者なら有り得ない感情。水銀が追い詰められている状況なんて、この世にあって良いのだろうか?

 そして天井知らずに膨れ上がる水銀の法則が、場の世界法則すら塗り替えるよう広がる。

 現状ここを支配しているのはメルクリウスと言って良い。

 故に世界を無に帰す儀式など認められず、ここで一旦だが停止する。だが元の眩しいほどの好球は展開されたままであり、戦いの場としてはあまり適していない。

 だがメルクリウスや波旬にとってそんなことは何の障害にもならない。

 

「小賢しいぞゴミ風情が。俺は俺だけで満ちる無謬の平穏が欲しいんだよ。なのに、ああ、なぜなんだ。テメェらは俺の邪魔ばかりいて楽しいのか? 醜いぞ消えてなくなれよ、この宇宙には俺だけ存在していれば良いんだよ」

 

 言葉を吐くに連れ、波旬の獄殺の法則も同時に場を侵食していく。

 それはメルクリウスの比ではなく、もはや無意識。自分一人、真っ平らな大地に色は一つ。故に光球にも翳りが出始め、後数言何かを口にすれば、否メルクリウスの法則が流出していなければこの場は既に滅尽滅相の法に従うよう、万象全てが掻き消されていたのは必然だったであろう。

 しかしこれでも、まだ波旬は戦いの態勢にすら入っていない。もし臨戦態勢に入れば、この魔法世界そのものが消え去るかもしれない。

 それに些か戦慄を覚えたメルクリウスだが、

 

「阿鼻叫喚とはこのこと。だが、マルグリットの生きる世界に、お前のような役者など要らんよ。故に退場願おうか」

 

 愛するマルグリットが幸せに暮らすこの世界を、波旬のような塵に消されてはならない。

 マルグリットの平穏を脅かしてはいけない。故、それの障害になるものは逡巡せず消し飛ばそう。一方的愛かもしれんんが、それがメルクリウスがマルグリットに対する愛だ。

 だからこそ、今直ぐ後出しなしに覆滅しようと動く。

 

「Et arma et verba vulnerant Et arma」

 

 奏でるは自分の力を解放する始動キー。

 

「Fortuna amicos conciliat inopia amicos probat Exempla」

 

 紡がれる祝詞は自分の渇望した願いが言葉という形となり顕現したもの。

 しかし矛盾するが如く、彼は自分の渇望の本質が何なのかを気づいていない。故に予想して想像して推測することはできる。ただ、諦観してそれが何なのかが判然としないのだ。

 

「Levis est fortuna id cito reposcit quod dedit

 Non solum fortuna ipsa est caeca sed etiam eos caecos facit quos semper adiuvat」

 

 徐々に現れる異様な光輝に満ちた双蛇。

 それは宇宙すら覆い尽くさんばかりのカドゥケウス。

 今までは力の一端すら見せていなかったのが容易に理解できる。

 

「Misce stultitiam consiliis brevem dulce est desipere in loc」

 

 それ故、死ぬことなど有り得ない。

 こんなところで死ぬ結末など認められない。

 

「Ede bibe lude post mortem nulla voluptas」

 

 故に滅びろ。勝つのは私だ!

 

 

「Acta est fabula」

 

 

 今ここに神の如き力が降臨した。

 手加減は無用。

 そして、

 

「さぁ、至高の歌劇に花を添えろよ。我が息子よ」

 

 メルクリウスの言葉と共に現れる藤井蓮。

 右腕からは処刑のためだけの殺人道具、ギロチンを携えて現れた。

 

「ったく、一々俺を呼ぶな。まぁ流石のお前でも、あれを相手取るのは一人じゃ無理ってことだな。言っとくが俺の力はまだ完全じゃない。だからフォローなんか期待するなよ」

 

 敵である波旬を見て感じた感情。

 それは敗北であり、絶対的な滅尽。

 なぜメルクリウスが自分を読んだのかが一瞬で理解できた。

 初めて会った任務ではあまり感じなかったが、こうして対峙すると分かる。あれとは戦ってはいけない、戦えば即座に消し飛ばされると。

 この時、蓮は初めて死を予感した。

 だが逃げては駄目だと、細胞に訴えかける。もし逃げ出してしまえば、あれは自分の大切なものを悉く滅殺されると思ったからだ。

 

「ったく、俺の日常が遠くなってるような気がする」

 

 藤井蓮から広がるは時間停止の法則。

 これこそ藤井蓮が渇望する力が顕現したものに等しいだろう。

 

我が身 地上の生活の痕跡は(Es kann die Spur)

 

 それは藤井蓮の始動キー。

 まだ自分の力の深淵が見えていないため、水銀のような完全な力は行使できないが、これでもほぼ全能に等しい力はあるだろう。

 

幾世を経ても滅びるということがないだろう(von meinen Erdetagen)

 

 それは日常を愛する祝詞。

 何よりも平凡な日常を愛し、特筆して他者よりも詰まらない夢だが、藤井蓮はなによりもそれを愛している。

 故に誰よりも今を愛し、そして友を愛す。

 

そういう無上の幸福を想像して(Im Vorgefuhl von solchem hohen Gluck)

 

 蓮にとってそれが至高だから。

 それだけは誰にも潰させないし否定させない。

 

今 私はこの最高の刹那を味わい尽くすのだ(ich jetzt den hochsten Augenblick. Genies')

 

 誰よりも今を最高に堪能し、この幸福感を忘れない。

 そして数少ないが、自分の帰りを待っている友を見捨ててはならない。

 だからこそ、生きて帰る。例えこの身が滅びても、彼女のもとに帰るため。

 この時、気づきていたが目を逸していた感情が一気に芽生えた。

 ああ、俺は――

 

 

時よ止まれ おまえは美しい(Verweile doch, du bist so schon)!」

 

 

 そうだ、俺は彼女を愛している。

 この平凡な日常の中で、俺は彼女と一緒にいたい。そしてこの刹那を永遠に味わいたい。

 それこそが、藤井蓮の力。

 刹那を愛する者の強みだ。

 だが――

 

「下らん、何の茶番だこれは?」

 

 その一言により全てが全否定され引き裂かれた。

 波旬――自分こそ唯一絶対。

 相手の感情や事情など知ったことではないし、興味もないのは然り。

 故に最強。

 メルクリウスや藤井蓮では到底敵わない深淵に座す境地。

 それを既に二人は頭で理解してしまった。

 だが、紅き翼は二人だけではない。

 ――瞬間、光球の外からナギの連絡を受けラカン、アル、詠春が参上した。

 既に満身創痍の三人だが、メルクリウスの力により魔力はおろか、体力やケガといった傷が何一つない。

 

「よぉメルクリウス。テメェ、まさかこうなることが分かってて、戦いに参加しなかったのか?」

 

 ラカンがメルクリウスに向けて言う。

 両腕が造物主の初撃により消し飛んでいたが、水銀の力により治っている。いくら魔法の常識すら通じない男だからと言っても、ここまで一瞬で出来たら神と変わらない。

 

「知らぬよ。私はサシの戦いに水を差すほどウザい人間ではない」

 

 どの口が言うのかと、ラカンは思うが口には出さない。

 

「しかし、私達までも強化させてもらえるとは、随分と窮地なようですねメルクリウス」

 

 アルがいつもの表情を崩さぬまま言う。

 そう、メルクリウスの力により紅き翼は現在更なる境地に立てている。水銀や蓮とまではいかないが、充分戦える力はあるであろう。

 

「何、少々歌劇に面白味を与えたまでだ。我々は紅き翼だろう。故、共に戦うは然りと言うものだ」

 

 返す言葉は確かに理に適っているが、言葉の本質はそうでない。

 だがしかしアルはそこには敢えて突っ込まなかった。

 

「で、倒す相手はあれか」

 

 詠春が波旬を見る。

 もし水銀に援助されていなければ、波旬の密度により身体が持たなかっただろう。

 それを実に感じた詠春は刀を構え、即座に臨戦態勢に入る。

 

「下手に手を出さない方が良いと助言しよう。あれに算段無しに突っ込めば終わりだ」

「そんなことは、言われるまでもない」

 

 そんな中、ナギも後から現れる。

 水銀の力は癪だが、今はそれ無しには波旬に到底勝ち目がないことも理解できている。

 だから、

 

「紅き翼は負けない。さぁ、最後の戦いを始めようじゃねぇか!」

 

 自分の矜持だけは捨てない。

 さぁ始まるは紅き翼VS波旬。

 魔法世界の将来をかけた、真の戦いが始まる。

 

 こうして紅き翼の最後の戦いが始まった。

 

 しかしこの戦いが歴史の表側に残ることはなく、裏側の片隅にだけ残る存在となってしまったのだった。

 故に深くは記さない。否、物語の進行の中で徐々に明かされるであろう。

 物語の序幕は終了だ。

 これにて歌劇の終幕(アクタ・エスト・ファーブラ)

 

 そしてこれから始まるは新世界の物語。

 

 

 

《2》

 戦後幾十年。

 旧世界に置いて、麻帆良学園都市と言う半端なく広い学園都市がある。

 その中の一つに麻帆良学園本校女子中等部が存在し、そこにはありきたりな通学が始まろうとしていた。

 そんな中に一人、赤毛で、眼鏡をかけており、大きいリュックサックを背負った十歳くらいの少年が居る。

 

 彼の名はネギ・スプリングフィールド。

 物語第二幕における主人公であり、魔法先生である。

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