波旬兄弟と蓮親子がネギまの世界へ   作:ディーン・グローリー

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AST様、紅 幽鹿様、感想ありがとうございますm(_ _)m

駄文です。
これを書いているとき、波旬VSメルクリウス・蓮・覇吐・ネギまキャラ総軍の構図が頭に展開されました。



第三歌劇【波旬VSナギ一行】

 メルクリウス――愛するアイドル・マルグリッドの為、戦争を終結させようと動いた魔法使い。

 そこでマルグリッドの出身滞在の場であるメセンブリーナ連合に付くため、本国首都であられるメガロメセンブリアにまで息子を道連れにしやって来た訳だが、自らの奇行により幸先が悪く連合側の兵士に捕まってしまった。

 そして、捕まった先でメルクリウスは兵士長の軽い尋問により、これより自国側に起きている戦を抑制しに向かうことになったのだ。

 

 

 抑制場所は連合南部、エリジウム大陸。大陸の周りには沢山の無人島が点在し、その無人島群を破壊しながら戦が行われているらしい。

 勢力は不明。数も敵勢力か否かも全てが未確認。

 その場には現在、少数精鋭の五人が向かっている。

 

「……とのことだ、我が息子よ」

「良く信用してもらえたな。俺はそっちに驚きだ。そのギルベルトっていう兵士長、目が節穴なんじゃないのか。いや下手したら厄介払いかもな」

 

 と、メルクリウスは息子――藤井蓮に事の事情を説明していた。

 あれからメルクリウスは息子の元に向かい、これからのことを適当に言ったのだ。

 

「はぁ~、いきなり面倒事か。しかも結構な遠出ときた」

 

 蓮は深くため息をつき、空を仰ぐ。

 雲は自由だ。いや、風に支配されていると言って良いが、同じ日常を円環できている。蓮はそんな人生を願っているのだが、目の前の男が台風の如くそれらを乱していく。

 現状の藤井蓮はそんな感じだ。

 

「案ずるな我が息子。そのような距離、時間軸を多少弄れば一瞬のことさ」

「そういう問題じゃねえんだけどな」

 

 その間も蓮は考える。

 メルクリウスは一体、あのエヴァンジェリンに何をしたのだろうか?

 一度は問いただそうかと思ったが、この男のことだ。どうせ忘れているのだろう。

 例え覚えていたとしても、この男が素直に吐くとは到底思えないし、どうせ明日になれば分かるのだ。なら、ここは聞かないでおいたほうが良いだろう。

 

「では、向かおうか。女神を咲かせる礎を創りに」

 

   (∴)

 

 ――あぁ、うるさい、うるさいぞ。塵芥が何か分からないことを囀っている。

 波旬VS覇吐の兄弟喧嘩を止めるべく、ナギ一行はまず適当な攻撃魔法を放ち、動きを抑制した。

 覇吐はその攻撃魔法により素直に攻撃を止め戦闘意欲が無くなったのだが、対する波旬は塵が湧いて出てきたような怒りに苛まれた。

 その後、ナギ一行は二人に対し、何かを言っているようだが、波旬には何を言っているのか分からない。

 認識としては、塵芥が何か意味不明なことを呟いている程度。

 故、耳に入ってうるさい。

 ――黙れ黙れ黙れ、あぁああ、うるさいぞ。俺以外の人間が、俺に語りかけてくんじゃねェ。

 波旬は自分以外の物を、森羅万象三千大千世界全てを忌憚する。

 故、これから行われることは決まっている。人が塵掃除するのと同じことだ。

 

 ――滅尽滅相ォォーー!

 

 自分以外の物、全てを滓も残さず消し飛ばす。

 それが波旬の渇望であり、道理だ。だが、その渇望は人間なら誰しも少なからず抱くであろう。しかし、こいつの場合、質が悪く、それが究極系にまで達しているため、救いようが微塵も無い。

 

「ッ!」

 

 波旬の異変にまず反応したのはナギとラカンだった。

 今、二人に事の事情を説明した上で尋問しようとしていた詠春。赤毛はまいったなと、困り果てていたが、対する金髪の方は何も聞いていなかった……と言う態度だったのだ。

 それ故、ナギとラカンは金髪の男だけを注視していた。否、違う。あの男からは何か感じてはならない、形容しがたい力を感じ取っていた。

 これはナギやラカンのような野生の本能に近い性質があったからだ。

 だからだ。だから……

 

 波旬の初撃から、奇跡的に、本当に奇跡的にみんなを命の危機から救い出せた。

 

 ナギとラカンは殴るに近い行為で、荒くも仲間三人を危機的射程から吹っ飛ばし、二人も緊急回避を行った。

 見えなかった。反応できなかった。兆しすらなかった。

 あの三人が、連合屈指の戦士である三人が、全く一切合切反応できなかったのだ。

 

「ッ! 一体何だ今のは!?」

 

 ナギが恐怖の表情を露にしながら叫ぶ。

 本当に、今の一撃を避けきっていなかったら、五人全員、恐らく跡形もなく消し去っていた。

 命の危機。

 今までナギは何度とその危機から回避し、勝利を掲げてきた。だが、今回は違う。

 こいつは、敵国よりも桁外れに恐ろしい。化物……何て安い単語では表現しきれないくらいだ。こいつと戦うくらいなら、敵国相手に一人で挑んだほうが、何千何万倍と生きて勝利の二文字を提出できる確率が高いだろう。

 そんなレベルの相手だ。

 

「考えるのは後だバカ野郎ッ!」

 

 ラカンが比較的冷静に、金髪男を観察する。

 あれには勝てないと、戦ってはいけない、同じ次元にいてはいけない、逃げろ逃げろ逃げろとラカンの全細胞が警報を響かせている。

 対する三人はいきなりのことに、当惑していた。

 何たって、三人は感知できていないのだ。今の波旬の初撃に。

 

「おい、ナギにラカン、何をするんだ!」

 

 詠春は二人に怒鳴るが、二人は反応しない。

 それに対し二人の態度がおかしいことに気付き、詠春は改めて状況の異様さに感づく。

 アルもゼクトもほぼ同時に、現状がただ事でないことに感じ取る。

 

「どうしたのじゃ?」

「お師匠、注意してください。あの金髪の男は危ない。危なすぎる」

「危ない? 要領を得んの」

「とりあえず危ねえ! 一旦引くぜ! 下手に戦えば、全滅は免れねえ!」

 

 恥も外聞も気にせず退却。

 ここまで取り乱したナギを、他のメンバーは見たことがなかった。それが故、今この場が、どれほど危険なのかを明快に物語っている。

 そんな中、覇吐は――

 

「おいバカ兄貴! 何いきなり喧嘩売ってんだよぉ! 相手は国の恐らく偉いお方だぞ! 旅立って数日で指名手配なんてやめてくれよぉ頼むから!」

 

 必死に波旬を羽交い締めにする。

 

「テメェ何気持ち悪ぃ身体で俺に触れてんだァ!」

 

 波旬がじたばたと暴れる。それだけで震度7。マグニチュード8.0くらいは計測されてもおかしくはない。

 それを覇吐は気合気概だけで抑えきっているのだ。流石は兄弟である。規模が違う。

 だが、それも直ぐに終わった。

 

「離せェェェエエエエエエ!!! 穢らわしいんだよ畸形がァァァァアアアアア!!」

「うおぁぁああああああああ!!」

 

 背負投げの要領で、魁傑の覇吐を投げ飛ばした。

 それも運の悪いことに、

 

「あいたッ!」

「ぶへぇ」

 

 放出されたミサイルよろしく覇吐に激突した詠春は、濁った声を上げそのまま地へ倒れてしまった。

 

「あぁああ、そうだ、そうなんだよ」

 

 波旬は自虐するかのように呪いの言葉を吐く。

 

「俺以外、消えてなくなれ。宇宙(ここ)には俺だけ在ればいい」

 

 波旬の未知なる力が文字通り膨れ上がる。

 その密度、ナギ達のような高位魔法使いでなければ存在そのものが滅されている。だが、その密度にあくまで耐えているだけなので、未知なる力がナギ達を覆滅しようと圧を常時浴びせかけられている状況は変わらない。少しでも気を抜けば、その時点で終わる。

 

「オオオオオオオオオオオオオオ!!」

 

 真っ先に動いたのはラカンだった。

 恐らくもう逃げられない。例え勝利の女神が自分たちに微笑もうが、神が味方しようが、あれからは逃げられないし勝てない。

 ならすることは一つだ。否、悪あがきに等しいが、もうこれしかない。

 一瞬でも、ほんの刹那でも、隙を生みそこから逃げ出す。それしかできない。

 ――『千の顔を持つ英雄《ホ・ヘーロース・メタ・キーリオーン・プロソーポーン》』

 ラカンのアーティファクト。無数のあらゆる種類、大きさの武器がラカンの周りに現れる。

 透かさず烈風のように、ラカンが大きい剣を質量なぞ無視し、波旬に飛来させた。

 大剣の弾幕。これを目の当たりにすれば、どんな者も腰を抜け大剣のシャワーを浴びることになるだろうが、相手が相手だ。そんなこと、一切考えない。

 乱れ打つ大剣が大地を吹っ飛ばし、島を破壊する音響が流れる。土煙が激烈に覆い、波旬が視界から遮断される。

 

「今だ! 引くぞ!」

 

 ここは敢えて逃げると言う単語は吐かない。それはラカンが最後に残した矜持だろう。

 だが――

 

「くくく、うははは、あはははははははは!」

 

 悪魔の笑い声が、世界に木霊する。

 瞬間、波旬を覆っていた土煙は強風に煽られるように晴れ、そこから無傷の波旬が姿を現す。

 

「なんだ今のはァ、玩具の武器か? テメェは玩具で誰かに戦いを挑むのかァ? ガキの喧嘩か、随分と戯れが好きなんだなァ、呆れかえるぜ」

 

 嘲りにも似た調子で、ラカンの矜持を悉く破壊していく。

 波旬に取っては塵掃除。例え神だろうが、覆滅したいと思えばしてしまえる領域に立つ男だ。そんな男に、一人の魔法使いが勝てる道理など何処にも存在しない。

 

「おうちに帰って醜く遊んどけよガキ、そっちの方がお似合いだぜ――うわはははははははははははは!」

 

 相手は塵掃除をるする程度の認識だが、ナギ側は宇宙の存亡が懸かった戦いのような心理状態にある。そんな中で、万善に戦うのは厳しい。

 

「詠春を担いで下がってろジャック! 行くぜアル!」

「ええ」

 

 ナギとアルが前に出る。

 あれに普通の手段は通じない。小細工を仕掛けるのが賢明なのかは分からないが、今はこの戦法で行くしかない……と、ナギは付け焼刃で思いついた作戦を実行に移す。

 

「|百重千重と重なりて走れよ稲妻《ヘカトンタキス・カイキーリアリス・アストラプサトー》――」

 

 普段のナギならメモ帳を見ながらの詠唱になるのだが、敵が膨大すぎるためのプレッシャーか、頭の中に自然と詠唱が浮かんできた。

 故、発動に時間が掛からなかった。

 

「『千の雷(キリアキプル・アストラペー)!!』」

 

 波旬に強力な雷撃が直撃する。今の雷撃一発で巨人体を十体以上なら軽く倒せてしまえるクラスだ。

 だが波旬はそこまで矮小ではない。

 

「ああ……今のが全力か?」

 

 無傷。汚れすら付着していない。

 もう、今になっては驚かない。もはや当然の理として捉えてしまえる。

 そして、これでは終わらない。

 ――瞬間、波旬の真上に巨大な暗黒球体が現れた。

 あれは重力を内包した球体。アルが得意とする重力魔法だ。

 

「目障りだぞ。消えてなくなれ」

 

 纏っている質量だけで、重力魔法を糸も容易く消滅させてしまった。

 これが波旬。自己愛に満ちた存在。自分以外の存在など全てが塵。それは人間だけではなく、森羅万象のモノ全てに当てはまる。勿論、魔法も例外ではない。

 

「まだだ! 俺の魔力! 全部テメエにぶつけてやらぁぁあああ!!」

 

 ネギは攻撃を止めることなく、雷撃魔法を瀑布の勢いで連射する。

 一発一発がそこらの魔法使いの総合魔力値に匹敵する程の力を有している。しかも威力は下手に拡散させず、一点に威力を留めた連撃。

 更に、追撃をかけるようにアルも動く。

 重力魔法による総攻撃。重力を内包した暗黒球体を無数の小惑星の如く点々とさせ、そこから流星群のように降り注いだ。

 

「熱くなりすぎですよナギ。まぁ、あれを前に冷静でいられる方がどうかしていますがね」

 

 鼓膜を裂くような、爆発にも似た轟音が島に響く。

 

「チィッ、舐めんなよナギ! 俺がこの程度で引くと思ってんなよゴラァッ!」

 

 ああ、分かっていたさ。ラカンはこの程度で心が折れたりしないことを。

 千の武器をラカンは今まで以上に早く、更に効率よく操り攻撃に加わった。

 ドゴォォオオオオン!!――と、凄まじい破壊音は上げ、今ので島が半壊する。

 それ程の攻撃でも波旬は……

 無傷なのだ。大陥没した立ち位置に、宙に佇むように立っている。陥没した大地には、滝のように海水が轟々と流れている。

 

「滓共が。群れてもこの程度。あぁ宇宙にはこの程度の矮小な雑魚しか存在しないようだなぁ。良いぜ、俺の天狗道の完成は思っていた以上に早く進行しそうだ」

 

 天狗道とは波旬の夢。それは一言で言うと、自分以外の森羅万象滅尽滅相。もしこんな夢を叶えてしまえば、全てが終焉を迎える。他人が発せば妄想に等しいが、波旬程の力と極大の自己愛が言えば、笑い話では済まない。

 だが波旬には邪魔な弟――覇吐がいる。何故か、覇吐にだけは手こずる。原因は勿論不明だ。

 

「はっ、舐めんなよ。お師匠!」

「分かっておる。そう急かすな」

 

 そう、今までの攻撃はあくまで時間稼ぎ。

 本当の目的はここにある。

 

「封印と結界の二重奏じゃ。舐めるなよ小童風情のガングロ。ワシの今までの轍に、お前のような阿呆は幾人と見てきたわ」

 

 ゼクトが余裕の笑みを浮かべ、数々の魔法陣を曼荼羅のように展開していく。

 封印の魔法陣と結界の魔法陣……そして更にはもう一つ、隠し玉も用意してある。

 これぞ三重奏。例え相手がどれほど強くとも、これから逃れることはできない。出来るはずがない。

 空間の趨勢が一気にナギ達へと傾いた。所詮は数年しか生きていない波旬。ゼクトは波旬より何倍も場数を踏んでいる上、経験値も高い。

 例え相手がどれくらい強かろうとも、ゼクトにその対策手段が無いわけがない。

 

「行くぞ。今瞳に映る光景が、お前の最後じゃと思え」

 

 ゼクトは小声で、何かを呟く。だがその言葉が何て言っているのか分からない。まるで位相の違う言語のように。

 

「――『不変銀河(アエテルヌ・ギャラクシス)』」

 

 永久時間停止の宇宙が波旬を包み込む。

 これはゼクトの持つ封印系最強の魔術。これに包まれたら最後、永劫解くのは不可能であり、封印された対象は不変の時間の中を永遠に眠り続ける。

 そしてまだ終わりはしない。

 

「――『罪人の煉獄なる祭壇《クリミ・プールガートリーウム・オン・ヴォモス》』」

 

 紅き閃光が迸り、波旬の周囲を取り囲む。

 念入りに叩き込むは結界魔術。波旬を結界内に閉じ込め、封印そのものにも結界を張ったのだ。この結界は単なる力や結界破壊などでは破壊不可能。故、やろうと思えば死ぬまで対象を閉じ込めることが可能だ。

 

「……それだけじゃないぞ」

 

 ラスト……ゼクトが魔法陣に付加させた力。

 それは波旬の持つ力という力の概念を全て消滅させる魔法。上記二つの魔法は禁忌に値するが、この付加魔法も禁忌に入るであろう魔法だ。

 相手の持つ異質な力を含めた全ての力の概念を覆滅する。喰らえば、死は免れない。生命力も何もかも含まれているからだ。

 

 ――瞬間、波旬が暗黒の宇宙に飲み込まれて消え去った。




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