波旬兄弟と蓮親子がネギまの世界へ   作:ディーン・グローリー

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エクシズ様、AST様、ビッグバン蓬莱様感想ありがとうございますm(_ _)m

藤井蓮のCV,先割れスプーンさん(鳥海浩輔)とエヴァンジェリンCV,松岡由貴さんから蓮はCV,神谷浩史さんに、エヴァンジェリンはCV,坂本真綾さんに変わった感覚になってしまった
今回は無駄が多いと言うより、設定を加えるため話が逸れに逸れまくってしまいました・゜・(ノД`)・゜・


第五歌劇【吸血鬼との約束】

《1》

 時は次の日。

 抑制任務を終えた次の日。その日の夕刻に、藤井蓮は行くとこがあった。

 そこは首都の東の外れの広場。外れなだけあって、本当に人がいない。結構広大なところに一人ぽつんといるのは、どこか悲壮感がある。

 そして此処はエヴァンジェリンと約束した場所だ。約束とは二つ。

 一つ目はメルクリウスとエヴァンジェリンの因縁について。二つ目は大犯罪者が言う面白いものを見せてもらうため。

 平穏を願う藤井蓮なら、こんな約束はしないが、もう手遅れなので乗った。

 

「やぁぼーや。待たせてしまったね。約束通りきてくれて私は嬉しいぞ」

「そうかよ。そいつはどうも」

 

 そして藤井連はエヴァンジェリンの会った。

 

「それに、待たせてしまったか……もう日、沈んでんだけどな」

 

 と太陽が沈んでいった方を指差す。既に太陽は地平線の彼方に沈んでおり、夜といっても過言ではなかった。

 

「随分と時間にルーズっぽいな」

「おいおい私のことを勝手な偏見で見るなよ。そもそも夕刻と言っただけで、微細な時間を決めた覚えはないが」

「夕刻と言ったら普通、日が沈む前に来ないか?」

「それは価値観による。日が沈んだ後に来る者もいるだろうしな」

「いや、夕刻ってのは黄昏を指すだろ。この場合は日が沈む当たりに来るのが常識だ。しかもお前、日が沈んだ後っつうか、もう夜だしよ」

「……ぐー」

「寝たふりをするな」

「ZZZZZ」

「マジで寝るな」

「ふむ、そもそもからして、吸血鬼の常識と人間(?)である貴様の常識を同じ括りに入れるなよ」

「だったら俺は、永遠に吸血鬼と分かり合える未来は来ないだろうな」

 

 いやもうマジで。

 自分の中にあった吸血鬼像に新たな一ページを刻んでおこう。

 吸血鬼は時間を守らないと。

 

「つか吸血鬼って血とか飲むんだよな」

「まぁそうだな。吸血鬼と言えば血だろうよ。ああ心配せずとも良い、貴様の血を飲もうとは思わんからな」

「それが賢明だな」

 

 藤井蓮の血は、血であって血ではない。

 そんなものを飲めば――

 

「お腹を壊しそうだ」

「そんなレベルなんだな。それはそれで傷付く」

 

 本当にこいつは吸血鬼なのか? と思ってしまう。

 大犯罪者も素はバカっぽいのかもしれない。

 

「まぁ私も犯罪者だ。少しは警戒しておれよ。そこらの平和ボケした連中と同じではないだろうがな」

 

 エヴァンジェリンは幼女体で、何とも不気味な発言をする。

 そう、見た目は幼女だが大勢の人間を殺した殺人鬼なのだ。警戒するのは当たり前の領域だ。

 実力なら蓮が上だろうが、戦闘経験は相手が上。その点を加算すれば危険に値するだろう。

 

「分かっている。言われるまでもない」

「なら良い。最近の魔法使いどもは少女だからと言って、甘く見る滓共がいるからな」

「……そういやお前って何歳なんだ。やっぱ百歳とかいってるわけ」

 

 不意に気になった疑問。

 やっぱり吸血鬼なら、結構歳はいってるのだろうか?

 その質問に対し、エヴァンジェリンは、

 

「女性に年を聞くのは無礼だろうに。まぁ良いだろう。もう歳を気にするガキではないし。五百歳だ」

 

 と、ごく普通に年齢を答えた。

 五百歳……まぁ勿論だが蓮は驚かない。

 自分の身内に年齢不詳の親父がいるのだ。この程度で驚いていては、精神が持たない。

 

「五百歳か……これが巷でよく聞くロリババァってやつか」

「随分無礼極まりない言葉じゃの。流石の私もババァと言われるとご立腹じゃぞ」

「あからさまに年寄り口調になるなよ。お前実は結構ノリが良い奴か?」

「否定はしないが肯定もせんぞ。何せ私は吸血鬼だからな。場面場面によってあらゆる存在になれる」

 

 確かに吸血鬼だから、狼になったり蝙蝠になったりするだろう。だからってノリは関係ないのでは?

 

「まぁあれだ、お茶の間の代表格で人気を持っていたシュピーネとか言う奴みたいな感じだ」

「あー、何か見たことあるな。あの変顔の男だろ?」

 

 いつだっけ? お昼に良く見る、結構名高い司会者と聞いたことがあるな。

 まぁ興味はないけど。

 

「ふむ、あ奴も私と同じであらゆる場で人変わりを起こすだろ?」

「そうなのか?」

「ああ、自分より格上が現れた時はペコペコと、自分より格下が現れたら傲慢に、しかもそいつを使って下克上を企てようとする、中々めずらしい阿呆な多面策士だな」

「そういう奴って、色んな物語に登場するけど、大抵が登場→御託→バトル(この場合口論などもあり)→殺されるだからな。あんまり良い役回りじゃねぇんだよ」

 

 実質、損な役回り、要らない役回り、演出的役回りという、悲しいポジションでしか見たことない。

 そのシュピーネって司会者は、いずれ悲しい結末を迎えるだろう。

 

「成程な。しかし、それだと私はいずれそういう展開を迎えると言うことか。他の要素だと愛称が多いとこか。シュピーネは形成さんとか形成(笑)とか、シュピ虫などと色々な呼ばれ方をされとるやつだ。まるで私のようだなと、見ていると毎回思う」

「いや、シュピーネはファンからの愛称だが、お前の場合は畏憚だからな」

 

 ダイヤモンドと塵くらいの差がそこに存在する。

 しかも大犯罪者であるお前が、悠々とテレビを楽しむのかよ――と、蓮は内心思った。

 

「しかしよく考えてみろよ藤井蓮。シュピーネと言えばお茶の間の代表格であり、お昼の顔でもあったんだ。故、分かるだろう。破滅するにしても、あの時は誰よりも絶頂にいたわけだ。それはすなわち、そういう愚か者も誰より優れていた時期はあったわけだ」

「既に過去形かよ」

「ああ、何やらラインハルトと言う男優を貶めようとしたものの、大失敗に終わり、今は芸能界で仮死状態になりつつも生き延びているらしい」

 

 噂では、その矮小さ、道化っぷり、小物感が買われているとか……とエヴァンジェリンは言う。

 まさに自業自得だ。シュピーネの批判が凄いかもしれない。てか既に悲しい結末を迎えていた。

 

「それにしても、芸能界に詳しいな。吸血鬼、いや、お前はいつも何して暮らしてんだよ?」

 

 こいつの暮らしには常々気になっていた。

 大犯罪者であり吸血鬼でもあるエヴァンジェリンだ。更にはあのクソ親父であるメルクリウスにナニかをされ、あそこまで恨んでいるのだ。生活に異常を来たしていても十分あり得る。

 興味本位と、不謹慎だが気になった。と言うより前から気になっていた。

 

「芸能界に詳しいか……。ただ暇な時に見ているくらいだぞ。その他は旧世界でたわいの無い趣味を嗜んでいるから、人並みかそれ以下だな」

「ふーん。まぁ俺よりかは詳しいか」

 

 テレビとか見ないし、見ている暇はあまり無い上、変態が常にマルグリッドの出る番組と、録画した番組を視聴しているため、テレビを見る暇などない。

 

「そういえば、貴様は友達がいないんだな」

「何で勝手に決めつけるんだ」

 

 言っていることは正しいが、認めたくないし自覚したくない。

 そもそも魔法学校とかに通っていないし、ほとんど自給自足だから、友達を作る暇もなければ遊んでいる暇もあまりないのだ。

 

「居ないんだろ? 分かるぞ。貴様からは私と同じムードを漂わせているからな」

「それ自虐的に受け取れて仕方ないな。暗に自分も友達いない悲しい人と言う情報を漏洩しているように聞こえる」

「私は目を逸していないだけだ。だが貴様は友達が居ないことから必死に目を逸らし、友達という概念を頭の辞書から消しているように見える。どうだ、あっているだろ?」

「……」

 

 なぜだろう、さっきから話が色んな方向に進み混乱しそうだ。

 それに藤井蓮は別に友達が要らないわけではない。前述通り作る暇もない上、人付き合いがあまり良い方ではないのだ。まぁ自分の父親が変態ストーカー。もしかしたら、これでも盛大なくらいマシなのかもしれない。

 

「答えない。じゃあ逆に聞くけど、何でお前は友達を作らないんだ?」

 

 とりあえず逆に聞いてみる蓮。

 それに対しエヴァンジェリンは弄れた形で答える。

 

「友達を作ると大切なものが増えるから。私を超える者がいないから。吸血鬼強度が下がるから。自分が甘ったれになる危険性が生じるからなどなどだな」

「あー、そうなのか」

 

 随分と虚しい吸血鬼だ。

 まるで道を踏み外した、ひねくれたガキと何ら変わらない。

 

「友達などは要らんが……あれだ、その、奴隷は欲しい」

「真っ直ぐな目で俺を見て言うな。まるで俺を奴隷にする気満々のようだぞ」

「え……ダメなのか!?」

「何で驚く! 逆に俺が驚いちまう!」

 

 するとどうだろう。

 大犯罪者である吸血鬼様が涙目で、上目遣いで蓮を覗いてきた。

 本当にこいつ、噂に聞くエヴァンジェリンなのだろうか? ……と藤井蓮は思いに思う。

 

「ダメなのか?」

 

 一部の趣向の持ち主なら一発KOの感じで、エヴァンジェリンが自分の少女体型を駆使し言い寄って来るが、

 

「悪いな。俺は俗に言うロリコンって奴じゃないんだよ。そんな可愛い感で言い迫っても通じないぞ」

「く、少しやるようだな、我が眷属」

「既に奴隷にされているのかよ! いや待て、どういう了見でそうなった!」

「甘いな藤井蓮。通じないぞと言うことは、どうにかしたら通じるということだ。故に、面倒だからその過程を省いて、私の奴隷ということにしたのだよ」

「その過程がかなり大切なんだけどな」

 

 つか何だ。

 言葉のキャッチボールが上手く言っていないのは、気のせいなのだろうか。これが友達がいないというやつか。

 

「別に良いだろ? 500年の長い年月、私は一人ぼっちだったのだ。もう、強がりは止めて、友達が欲しいんだよ」

「だから俺にそんな責めは……ん、強がりを止める?」

 

 それは、友達を作るということか?

 奴隷ではなく……なら、

 

「まぁ友達なら良いぜ。友達なら、俺がお前の初めての友達になっても良い」

「ほ、本当か?」

 

 うるうるした瞳で、エヴァンジェリンが再度聞いてくる。

 

「ああ、本当だ。マジだ。ただし、これからは俺のことを、お兄ちゃんと言うように」

「ふむ、致し方ない。これからは藤井蓮のことを、お兄ちゃんと呼ぼう」

 

 ――ちなみに藤井蓮はいきなり変な嗜好に走ったわけではない。

 吸血鬼は一説でによると、ちょっとした隙で相手を完全な従僕にできるらしい。その対処法として、一つの命令に従わしておけば、その隙がなくなると聞いた覚えがあっただけだ。ちなみに、この命令に頷かせるのが困難なのだが、何を思ってかこの吸血鬼様は簡単に了承しやがった。

 この説はガセの可能性が高いのか、単にエヴァンジェリンがバカなのかの二択だ。恐らく今までのやり取りを考察する限り、後者の可能性が高い。

 

「500歳からお兄ちゃんと呼ばれるのも、何かいたたまれないな」

 

 友達からお兄ちゃんと呼ばれるってのも、何だかおかしいしと思う蓮。

 そして再び疑問が生まれた。

 

「そういや500歳って言ってるけど、本当は何歳なんだ? ぴったりってことはないだろ?」

「そうだな、まぁこの歳になると、年齢など全く気にならなくなるからな。ざっくり言っている」

「だよな。大体、何歳なんだ?」

「多少前後あるが、今は恐らく597歳と5ヶ月15日だ」

「サバ読みすぎだろ! しかも凄く明細に記憶しているし」

 

 しっかり600歳と言って欲しい。若作りにも程がある。

 魔法界でも真似できる人はいないだろう。

 

「まぁお兄ちゃんよ、それくらい軽く寛容に受け入れる器を持てよ。それだとお兄ちゃんではなく、弟に変わるぞ」

「まぁ元々既に弟なんてレベルじゃないけどな」

 

 約500歳以上の歳の差兄妹なぞ聞いたことない。

 強いて言うならご先祖様と子孫だ。

 

「まぁ私が生まれた時代では、兄弟姉妹の概念なぞ存在しなかったからな。随分と新鮮な風に聞こえるよ」

「そうなのか。まるでお婆ちゃんの豆知識だな」

「誰がお婆ちゃんじゃ!」

「ノリ良いなやっぱり」

「ちなみにその豆知識は嘘じゃ」

「何でそんな嘘をつく!」

「私の茶目っ気を盛大に披露したまでな」

「お前本当に犯罪者かよ」

 

 犯罪者と言うより、もうただのガキだ。600年の間、一体何していたのだろうか?

 未だにキャラが定まっていないのだろうか。

 

「犯罪者犯罪者と言われているがな、私としては若干ながら不快なんだぞ」

 

 と、何やら真面目な話を開始する。

 

「そもそも私が吸血鬼になった時、人間には誰一人迷惑は掛けんかった。だが、当時の旧世界では魔女裁判とか言う下らぬ式があったため、歳をとらない私は目を付けられ狙われた。それに抵抗するため殺し続けたんだ。いわば正当防衛と言う奴だな」

 

 殺した私にも否があるのも否めんが──と付け加えた後、更に言う。

 

「そこで私は、こちらの世界に移動したんだ。だが当時は生きるため殺さなければいかん時代だった。故、ああ分かるだろ。軽く察しろ」

 

 自虐的に言う。

 蓮は野暮な口は挟まず、聞き入っていた。

 

「その後が今の結果だよお兄ちゃん」

 

 如実にエヴァンジェリンは語り終え、蓮はどう言い返そうか悩む。反駁する余地が無いのだ。だからって慰めの言葉も言えない。

 最終的に何で急にシリアス的な展開になったんだろうと言う、疑問が生まれただけであった。

 

「だからあまり私のことを犯罪者と言わないで欲しい。友達に犯罪者などと言うのはおかしいだろう」

「まぁ確かにな」

 

 とりあえず、これからエヴァンジェリンのことを犯罪者って言わないでおこうと心に誓った藤井蓮。

 

「――と、そろそろ場面移動しようか。こんな下らない会話で現状の平均文字数を超えておる」

「おい、そういうメタ発言はやめろ」

 

 

《2》

 報告上、昨日の抑制任務はこう言う結果に終わった。

 敵勢力ではなく、連合側のただのいざこざでした。これで解決したのだ、戦争様々である。

 ただ当事者からしたら、これはかなり立つ瀬がなかった。特に変にプライドの高いナギにラカンは、それが許せなくて仕方なかったのだ。

 だがそれは無理なのも理解している。蟻が人間を超えるためにどれだけ努力したところで勝てないように、人間がどれだけ努力しても神には勝てないのだ。それはそんな次元の話し。

 波旬も覇吐も、蓮もメルクリウスもその神の座に立つ領域の存在。上には上がいると言う言葉がロジックとするなら、その一番上の座がそいつらに当たるだろう。

 その神の領域に立つ藤井蓮、メルクリウスがナギのパーティーに入ったのだ。これ以上、頼もしい奴はいないだろう。

 いないのだが――やはりナギとラカンは釈然といかなかった。

 説明し難い何かが、あるのだ。

 

 ――そんなナギやラカンが苦悩している中、メルクリウスはラインハルト暗殺計画を実行に移そうとしたのだが、それは止めることへとなった。

 ラインハルトを殺せば、マルグリッドは悲しむだろう。それは手段として、あまりによくない。

 例え全世界の人間が悲しもうと歯牙にも掛けないだろうが、マルグリッドだけは別だ。マルグリッドが悲しむくらいなら、全世界(女神除く)の人間が悲しみにうち震える方が万倍もマシだ。

 だったら、もう方法は一つだ。

 これから先、マルグリッドが出演する大作映画……Dies iraeの新作映画の脚本家になれば良い……と言う諸々色々な過程があり、そういう結果へと行き着いたのだ。

 前の映画、Dies irae -Also sprach Zarathustra-は複数の脚本家のいざこざにより詰まらぬ映画となった。その証拠に、この映画を楽しみにしていた客は冷めたようだ。だがメルクリウスはマルグリッドと言う花が添えられたことにより、大作映画の領域にまで昇華されたが、そんな冷めた客がいることが許せないし、それを作り上げた脚本家達が憎かった。

 故、簡単だ。自分が脚本家となり、万象歴代映画すべてを超越する物語を書き上げる。

 それがメルクリウスの目標となった。

 ちなみに作成は戦争が終わり、帝国と連合が再び良好となった時に実現するらしい。故、とっとと戦争を終わらせようと意気込むメルクリウスだった。

 

   (∴)

 

「さて、此処がそうだ」

 

 吸血鬼――エヴァンジェリン・A・K・マクダウェルに連れられてきたのは、一つの孤島……だったはずだった。

 誰も寄せ付けないためか、妙な結界が張られている以外、何の変哲もない無人島。

 それなのに藤井蓮は今、無人島とは思えない場所に佇んでいるのだ。

 そこはとてつもなく高い塔の上。その塔の上が高級な五つ星レベルのリラクゼーション施設になっており、塔の周りは地平線の彼方まで、まるで無限に広がっている大海原。

 

「……随分と、変わった魔法だな。いやホント、驚いたよ」

 

 無人島に来るや否や、藤井蓮は何やら怪しげな、大きい水晶玉の前に立たされた。そして気付いたらあら不思議、このような場所にいたのだ。

 

「ここは別荘だ。南国リゾート風だぞ。名称はEVANGELINE'S RESORT」

 

 蓮が茫然としている中、エヴァンジェリンは歩き出しながら言葉を吐く。EVANGELINE'S RESORTとは本当、そのままの意味である。

 その後ろに続きながら目は辺りを見渡し、耳はエヴァンジェリンの方に向ける。

 

「ここは私の特殊な空間でな。異空間とでも思ってくれた方が良いだろう。説明が面倒だからな」

 

 曖昧適当に言いながら、話を進めていく。

 一応、言われたことを理解しながら、蓮はそれを元に色んな憶測を建てるが的外れかもしれない。無駄かもしれない。無駄だ。

 

「この空間の一番の特色を話そう。此処は“外部での1時間が此処では1日相当”なんだよ」

「何だそれ? この場は外とは時間概念が違うのか?」

「まぁな。詳しい説明は面倒だから省くが、此処なら何日いても外では数時間程度しか経っていないことになるんだよ」

 

 つまり、ここで5日間過ごしても、外では5時間しか経っていないことになる。修行や勉強、休暇なんかにはもってこいの場所だ。

 

「……此処が、お前の言ってた面白いものって奴か?」

「ああ、そうだよお兄ちゃん。面白い、いや、気に入ってもらえたかな?」

「端に凄いと思っただけだ。けど俺としては中々良い場所だよ」

 

 何の変哲もない日常を謳歌する藤井蓮からしたら、ここは素敵な所だ。

 ――まぁあのクソ親父なら簡単に作れるだろうが。

 メルクリウスは何かと色んな秘奥義が数多にある。こう言う場も簡単に作ってしまえるだろう。だから感心具合が減ってしまう。

 と、藤井蓮はエヴァンジェリンに付いていく形で歩んでいたため、いつの間にか建物の中へと入っていた。

 魔法界でも中々お目にかかれない、一世代前の今では重宝されるような外装内装だ。所々にヤシの木が生っている。南国風をイメージした結果だろうか?

 

「そこに座ると良い」

 

 そう言って、エヴァンジェリンは一式のテーブル椅子を指差す。

 言われた通り、蓮は椅子に腰を下ろした。そこは南国リゾートの醍醐味というか、とても素晴らしい場所だった。

 食事中に景色を存分に味わえるようにか、海を一望できるようになっている。

 その反対側に、エヴァンジェリンも椅子に腰を下ろした。丁度、向き合う形だ。

 

「さて、そろそろ話そうか。これからの“私とお兄ちゃんの活動について”」

「はい?」

 

 何か、いつの間にかある活動を一緒にすることとなっていた。

 

「我々がこれから行うは――」

 

 そして言った。

 

 

「メルクリウス暗殺作戦だ」

 

 

 それは何とも、どう反応して良いか分からない台詞。

 言うことがあるとすれば、奇しくも前話と同じ展開になっているのだった。

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