多忙により遅くなりました。だから超駄文です。
これを書いている時にCS版・神咒神威神楽のOPが公開されていたΣ(゚д゚lll)
しかも12秒あたりに波旬VS三柱バトルCGが! 波旬が化物すぎるけど。
けど燃えますね。曲は前のより断然好きですO(≧▽≦)O 獣殿の後ろ姿は萌えました(≧∇≦)/
それよかDies iraeしかプレイしていない方が見たら確実に夜刀様がラスボスに見えてしまいすねヽ(*´∀`)ノ
と、前書きが長くなりました。
では、読みたい方はどうぞ。
《1》
太陽に照らされた森の中……
坂上覇吐は迷子になっていた。
連れである兄とはぐれ現在進行形で困っている――兄からすればフィーバー――状態である。このままだと母さんに叱られるなんて問題より、身内の人間が賞金首になりかねない。いや、もうなっていてもおかしくないのだが。
まぁそれだけは阻止せねばと、覇吐は兄を探しているのだ。
(……あの野郎が居るとことすれば、やっぱり何もないとこだよな。つうことは、町とか村にいる可能性は皆無。だったら人の居ないとこを探せば良いんだが、そんな場所ありすぎるしな)
ちなみに波旬は国のお偉い方――ナギ達が退いた後に海からプカプカと無傷で浮いてきた。あの時は髪がわかめみたいに爛れていたせいで笑えたし、ある意味で怖かった。あの時の兄の形相は半端なかった。
まぁあれ程の攻撃を受けて無傷な兄貴の姿が一番怖い。よく一人で俺の夢は天狗道を完成させることとかほざいていたが、あながち夢物語で終わることは否定できなくなってきた。
「つか、見つけた時には即身仏になってそうだな」
と冗談めいたことを言ってみたが、リアルに笑い話で済まないことを自覚した。本当に。
覇吐はちょっとマジで捜索を開始する。
今は深い森の中を邁進しており、手掛かりはまるでゼロ。そも現在は戦争中だ。下手にうろうろするのも危ういだろう。
「あれ、八方塞がりってやつじゃね?」
何て考えに至った。
事実、八方塞がりだ。探し回れば軍に目をつけられ、探さなければ兄の即身仏が完成する。天狗道が完成する前に完成する。
「これは……詰んだな」
何て諦めた直後、覇吐の目の前に、まるで初めからそこにいたかのような錯覚を覚えさせる、一人の小柄な人物が立っていた。
深くフードを被っているせいか、性別すら分からない。
覇吐は若干驚いたが、平然と目の前の人物に話しかけてみることにした。
「何だこのチンチクリン、じゃねぇや。あんたは……俺に何か用なのか?」
第一声に失礼な発言をしたが、気にせず相手に尋ねた。
その人物は男とも女ともとれる声音で言う。
「貴君に興味と言うより、少し用があっての。何、面倒事だ。心配いらん」
などと言ったのだった。
(∴)
(一人だ、俺は一人になれた。
目障りな糞忌々しい畸形が俺から剥がれ落ちた。ああ身体が軽い。軽くなったぞ。――俺は一人だ!
ようやく一人の世界に浸れる。天狗道の完成はまだ先になるだろうが、今は一人だ。一人であり独りなんだ。誰も居ない、この寂静に満ちた世界。何て清々しいんだ。
終には平穏、というやつに至る。
起伏は要らない。真っ平らで良い世界。色は一つ、混じるもの無し。
俺は俺のみで満ちる無謬の平穏だけが欲しい。
それに至るためなら、全てを潰そう。生き物も、大地も、草木も、海も、空も、世界も、宇宙も、全て総て消し潰す。そこに俺の求めるものがあるのなら。
……なのにああ何故なんだ。
さっきから誰かが俺を見ている。常に煩わしい視線を俺に向けて、それがへばり付いたかのように無くならない。
気持ち悪い、気持ち悪いぞ。何故、俺の不快感ばかり増すんだ。
どいつだ、どこのどいつ何だ。見つけ出して滓も残さずバラ撒いてやらァ)
(∴)
……メルクリウス暗殺計画。
とりあえずメルクリウスを見つけ出して殺そう……何て安直な計画だ。実践的でない。
あれからもう数日が経った。エヴァンジェリンとは特殊な魔法道具で連絡がいつでも取れるようにし、藤井蓮達はアルギュレーの辺境の地に追いやられた。
エヴァンジェリンとは中々会える日はできなかったが、魔法道具を回線代わりにいつでも会話はできる。それに一度会えば別荘で何日も一緒に過ごせた。日常を。自分の日常を。
故、そこが蓮の極楽の地へとなった。勿論、友達だから友達なりの付き合いもする。二人だけ……と言うこともなかった。チャチャゼロと言う危なっかしい性格の人形や、他にも沢山のメイド人形が居た。当然だが、普通の人形ではない。まるで人間のような独立した魂が宿る人間のような人形だ。
ただ、一番大変だったのが、メルクリウスと言う存在を隠すこと。自分の父親と言うこともあり、悟られたらまずいし、自分で口を割ってしまいそうになる恐怖もある。
仲間に隠し事なんてなしと言うセリフがあるが、全否定せざるを得ないし、あの台詞を認めない。この場合は隠し事ではなく嘘と言う単語が適切だろうが。
そんな藤井蓮は現在、溜息をつきながら――次なる任務先へと足を運んでいた。
場所は巨大要塞グレート=ブリッジ。連合の喉元とも言える場が帝国に陥落させられた。そこでグレート=ブリッジを奪還するべくナギ一行が動いたのだ。
ナギ一行――ナギ、ラカン、ゼクト、詠春、アル、蓮、メルクリウスの七人だ。
ここから先の物語は地の文で語ろう。
前線に復帰するなり八面六臂の善戦。全員が全員、適材適所に動き敵を殲滅。
この決戦により一気に連合は大逆転。敵軍を帝国に押し戻し、そのまま帝国領内へ躍進する。これは後世に熱く残るものとなり一つの伝説を生んだ。
この時点で既にナギのファンクラブが出来ており、ラカンはもっと前から出来ていたと主張しているが確認は出来ていない。
ちなみに不謹慎だが、巷では七人の人気ランキングまで作られていたのは有名な話だ。
そして敵国から最も恐れられていたのはメルクリウスだ。ナギも蓮、ラカンなども敵国では勿論恐れられていたが、一番はメルクリウスだろう。
ナギは『連合の赤毛の悪魔』と、蓮は『連合の永遠の刹那』と様々な異名で恐れられている。
その中で群を抜いているメルクリウスは『水銀の蛇』、『水銀の王』、『永劫回帰の具現』、『占星の神』、『因果律の針時計』、『ニート』など語ると切りがないくらいだ。エヴァンジェリンにも匹敵する。
ただメルクリウスは全くそんなことを気にせず、奪還作戦後は新作『Dies irae~Acta est Fabula~』の脚本作りに没頭していた。まだ脚本家に決まったわけでもないのにだ。
そして……奪還作戦後の諸々の戦いの後、蓮は再びエヴァンジェリンに会いに行った。
(∴)
「お兄ちゃん、私は遂にメルクリウスの手がかりを見つけたぞ」
別荘に来るや否や、エヴァンジェリンは度肝を抜くような発言をしてきた。
蓮はあくまで平静を装い、
「ふむ、今日の連合側の情報紙(新聞のようなもの)を暇つぶしに見ていたら、こんなものが挟まっておった」
そう言って、一枚の黄色い紙を見せてきた。
題名に連合の勇者七人の人気ランキング発表なんて書かれている。
見てみると一位『ナギ・スプリングフィールド』、二位『アルビレオ・イマ』、三位『藤井蓮』と勝手なベスト3に入賞していた。
そして蓮は驚いた。
別にこんなランキングが勝手にされていたことにも、ベスト3に入っていたことにも驚いたわけでは決してない。
7位(つまり最下位)に堂々とメルクリウスと書かれていたのだ。
これは本当、色んな意味でヤバい。
「何やら連合側で戦場の中、貢献した七人の魔法使いのランキングらしいのだが、この一票も入っていないメルクリウスと言う男がメッチャ怪しいのじゃ!」
若干興奮気味に言うエヴァンジェリン。
ちなみにベットの上であぐらをかいているため、ワンピースの下が見えかねない。てか見えた。
「これは早急に確認すべきだ。……と思ったのだが、お兄ちゃんは確か連合側で戦っているのだろ? メルクリウスのことも勿論知っていると見る」
「……そうだな、知っているには知っている」
やはり触れてきた。
蓮は冷静に、言葉を紡ぐ。
「けど名前が同じってこともあるだろ? 一概にそいつがお前の怨敵って決めつける訳にはいかないからな」
「確かにその可能性も無きにしも非ずだが、私は確実にこいつだと思う。何故ならこいつには票が一票も入っていないからじゃ」
「……」
否定できない自分がいる。
てかそこで確証されてしまうメルクリウスもメルクリウスだが。
「まぁ外見さえ確認できたら良い。そやつの外見は変わっているかもしれんが、雰囲気さえ確認できれば直ぐに分かる。私の目にこんがり焼きついておるからな」
ちなみに外見はロン毛のボロッチーワンピースみたいな格好だったと言った。
昔から変わっていないようだ。こりゃ見たらイチコロだ。ちなみにそのランキングにはベスト3までしか写真が載っていない。
「仕方ない。確認しに行くとするか」
そう言って、エヴァンジェリンはベットの上に立ち上がる。
同時にワンピースがバッサーとなり中身全開。藤井蓮の動体視力ならカメラの連射機能の如く全てを記憶できるが、そんなことを気にしている場合ではない。
「ちょっと待てよ。もしそいつが正真正銘のメルクリウスだったら、流石のお前でもヤバいんじゃねえか? 何たってお前を吸血鬼にするほどの力を有していたんだろ? 相手の力が未曾有過ぎるだけに、危険が伴いすぎる」
「何だ、心配してくれているのかお兄ちゃん」
「当たり前だろ、友達なんだから」
「そうか、分かったよ」
どうにかメルクリウスを確信しに行くという残酷な選択肢は排除できた。
もしそうなったら、メルクリウスはメルクリウスで何をするか分からないし、自分の正体も漏れかねない。
「だが今はそういう結末で済むが、これからはどうする?」
「これからって?」
「メルクリウスをどう斃すかじゃよ。あいつは未曾有だが、手をこまねいている訳にもいかん。何か打倒策を練らねば」
まぁそうなる訳だ。
メルクリウス相手に、単に強いだけでは不可能だろう。魔力が高い、力強いなんてレベルなら化物ってだけで済む。メルクリウスを表現するなら、超越者……何て単語でも良いが、それだと安いだろう。この世の神とでも表現したほうがしっくりくる。あんな神嫌だが。
「ふむ……そういえば私はまだお兄ちゃんの力量を知らないな」
「そうだろうな。戦ったことないし」
身体力を見せたといえば、チャチャゼロの初撃を回避したことくらいだろう。それ以外は一切何も見せていない。
だが恐らく今回の連合の勇者と言うもので、藤井蓮のことが書かれていたため、気になったのだろう。
何て言うか、吸血鬼の興をくすぐってしまうとは思わなかった……と蓮は思う。
「どうだ、一本――私と勝負してみないか?」
「勝負?」
「うむ、案ずるな。別に殺し合いをするってわけではない。遊び感覚でだ」
遊び感覚――吸血鬼からすれば遊び感覚でも、一般人からすれば殺し感覚と何も変わらないだろう。
まぁ一般人からすればだが。
「そうだな……お前が良い子にしてたら戦ってやるよ」
「そうか! なら私は今日から良い子になるぞ」
キャラ定まらないなこいつと蓮は対処に困ったふうに思う。
ちなみに今日から良い子も一つの作戦だ。こうしておくことによって、メルクリウスという存在をエヴァンジェリンから取り除ける。数日間(この別荘では)くらいしか持たないだろうが、その間にメルクリウスの対処法も考えておける。
これぞ策士だ――と蓮も思っていた時期があった。
《2》
「お兄ちゃん、今洗い物を終えたぞ」
手や顔に泡を付けたまま、吸血鬼――エヴァンジェリンは椅子で適当に雑誌をめくる藤井蓮のもとにやって来る。
その姿は初めて食器の洗い方を知った少女のようで、何とも愛らしかった。実際、今しがたエヴァンジェリンは自分たちの食べた食器やらを、メイド人形の指導のもと行っていたのだ。
「ふむ、初めての食器洗いはなかなか手こずった。そこらの魔法使いより強敵だったわ」
皿洗いに負ける魔法使い。エヴァンジェリンらしい感想である。
「次は掃除というものを習得してくるつもりだ。では早速行ってくる」
何て、まるで無邪気な少女のように何処かの掃除に向かった。
――もしかして、あいつのキャラがおかしくなったのって俺のせい?
などと思ってしまう。思わざるを得ない。
「御主人ヲ調教スルノモホドホドにシテクレヨ」
と、片言なのかそうでないのか理解しがたい声が蓮の耳に入った。
藤井蓮はその声の主を直ぐに判明させる。と同時に、目の前の椅子に堂々と座っていた。
そいつはまるで小さな人形のような外見。目は虚空を見ているようで、見ていないような分かりづらい人形。まぁただの人形なら前者なのだが、生憎とただの人形ではない。
チャチャゼロ――エヴァンジェリンとドール契約した最初のミニステル・マギ。そして連を危うくナイフで刺し殺そうとした人形。蓮の眼からは呪いの人形と変わらない。
「調教とか、そんな風に言うなよ。何か悪いことしてるみたいに聞こえるからな」
「悪イコトトハ一言モ言ッテナイゾ。逆ニ良イコトカモシレン」
「そう言ってもらえると嬉しいが、何が良いことなんだ?」
「ソレヲ聞クナヨ。シリアスハ苦手科目ナンダ」
ゴスロリ衣装に身を包んだ人形が一丁前にシリアスなんて単語を使う。まぁ生きている年月で言うとチャチャゼロが上だろうが。
それより、良いこととは何だろう。気になる藤井蓮である。
「デ、実ノトコロドノクライ強インダ?」
チャチャゼロは次の話題を出す。
その話題はエヴァンジェリンと初めて会った時と同じ内容だ。そんなに気になるものだろうか。
「御主人ガ言ウニハ、カナリ強イッテイウ曖昧ナコトクライシカ聞イテナイカラヨ。チナミニオ前ガココニ初メテ来タ時ナイフデ襲ッタノモ、強イカ強クナイカヲ確認スルタメナ」
「それを確認するためだけに殺されかけたのか」
もしあれで死んでいたら笑い話にもならない。
「オ前ハ気ニナラナイノカ? 御主人ノ強サッテヤツ?」
「全然気にならないけど」
藤井蓮は戦いとかを嫌う。平凡に、何の変哲もない日常の円環。それのみを求め続ける蓮にとって戦いとは無粋なものだ。
今回のエヴァンジェリンの頼みは本当に仕方なしという感じだ。
「ヘェ、オ前ミタイナ奴ハ気ニスルタイプト思ッタンダケドナ」
「俺のどの辺が?」
「顔トカ」
「……なぁ、俺ってそんなに戦い大好き狂戦士に見えるのか?」
「見エナイコトモナイ」
「……そっか」
泣けば良いのかこの場合と、蓮は苦悩する。
「ソレジャア俺ハ御主人ノトコニ行ッテクルゼ」
チャチャゼロの身軽に椅子から下りる。まぁ人形だから身軽なのは当たり前か。
そしてそのままチャチャゼロが行くかと思えば一言、言い残した。
「マァ俺ハ、オ前ト御主人ノ戦イヲ楽シミニシテイルカラヨ、期待ニ答エテクレヨ」
「はぁ……」
蓮は溜息をつきながら、どうしたものかと頭を抱えたくなる。
その後、藤井蓮とエヴァンジェリンは別荘で戦いを行うこととなる。
(∴)
――何故、エヴァンジェリンがメルクリウスを憎んでいるのか……。
それは簡単だった。
エヴァンジェリンも十の歳までは普通の人間だったのだ。
だが、十の誕生日の日、ある男に突然、何の予兆もなく吸血鬼にされてしまった。その男が――まぁ言うまでもなく連の父であり女神ストーカーでもある変態ことメルクリウス。
何故、何の目的があってメルクリウスがエヴァンジェリンを吸血鬼のしたのかは不明。
どうせ聞いたところで忘れているだろうし、ただの遊び感覚だった可能性もある。メルクリウスにとってはだ。
だがだ。エヴァンジェリンは吸血鬼にされた時――実は復讐を果たしていたと思っていたらしい。
吸血鬼の能力で皮肉にも吸血鬼にした本人を八つ裂きにしたと思っていた。しかしそこまで甘くなかった。
メルクリウスを八つ裂きにして数日間、まるで嫌がらせかのように何かが脳に直接囁いてきていたのだ。その正体がメルクリウスのものだと断定するのは、そう遅くはなかった。
故、メルクリウス――自分を吸血鬼にした男はまだ生きていると判断した。ちなみに嫌がらせのような声は、まるで飽きたかのように、いつの間にか消えていたとか。何て言っていたかはうざいので忘れたらしい。ちなみに四六時中だったとか。
メルクリウス超うぜぇぇぇ!!――とこの時、蓮は内心叫んだ。
しかしもう過ぎ去った物語。今更どうこう出来ないだろう。
できるとすれば――メルクリウスに復讐するくらいだ。