愛歌です。
最近あまりにも投稿ペースが遅く、もしかしてこの作者投稿諦めたんではないかと思った方、いらっしゃるかもしれませんね。
ですが、まだ作者はこの作品の完結を諦めてはいないので、気長に付き合って下さると、幸いです。
ちなみに、この投稿の遅れは、作者のリアル生活が原因です。
11月くらいまで、投稿はのろのろペースになると思います。
まあ、そんなこんなで、13話!
どうぞ~
「ではこの問題は?」
「ええっと・・・○○○?」
「正解です!よくできましたね」
相変わらずのオンボロ校舎にある、『エンドのE組』の教室。
そこでは、いつもよりさらに気合いを入れている国際レベルの賞金首とともに、定期テストへ向けての授業が行われていた。
マッハ20の怪物にでもなると、陰分身が出来るらしい殺せんせーは、自分の分身を少し気味が悪いくらいに量産し、個別に勉強を教えている。
そんなこんなで、せわしなく動き回る殺せんせーのせいで、一面黄色の世界と化した教室で、退屈そうにしている生徒が2人。
・・・-赤羽カルマと、如月伸太郎だ。
2人はクラス内でも学年内でも、成績優秀な彼らは、試験範囲ではないところも教えられているのだが、随分と退屈そうである。
「では○○○○は?」
「○○○○○」
「正解です。流石は如月君ですねえ」
問いに対してすらすらと答えを返しつつ伸太郎の視線が向かうのは、殺せんせーの分身×5に囲まれている、彼の妹・如月桃。
伸太郎の瞳は呆れ一色である。
その理由は・・・
「殺せんせー!はい!」
「おや、早いですね~。どれどれ・・・にゅや!?」
「どうせんせー?私的には結構自信があるんだけど!」
「・・・如月さん」
「?」
「補修決定です。テストまでに猛特訓ですよ!」
「えええええ!?」
彼女が、どうしようもない馬鹿だからである。
ちなみに殺せんせーが突き出した小テスト用紙の右上には赤ペンで0と書かれていた。
いくら落ちこぼれクラスといえど、この点数はあまりにもひどい。
よくあの学園長が編入を許可したものである。
・・・まあもっとも、このまま行けば留年ルートまっしぐらだろうが。
何度見ても変わることのない点数に、桃はうなだれていた。
そんな様子を見ていたカルマは、同じく様子を見ていた伸太郎に、話しかける。
「ねえ、本当にあの子って如月と兄妹なの?」
「ああ、信じられないことにな」
カルマの問いに、伸太郎は呆れ返った表情で返す。
だがそこには温かみがあった。
やはり伸太郎にとって桃は、大事な妹なのだろう。
「如月って大分シスコンだよね」
「は?なんでそうなんだよ」
「さあ?今の自分の
カルマの言葉に傾げる伸太郎。
だがすぐに話は切り替わる。
それからは、いつも通りの雑談が始まった。
・・・勿論、ちゃんと授業を受けながら。
***
放課後。
誰もいなくなった教室で、伸太郎は『誰か』と話していた。
どこか重々しい空気の中、『誰か』はゆっくりと言葉を吐き出した。
『・・・本当にいいのですか?』
「ああ」
『・・・そうですか。であれば私は止めません。あなたは私のーーーーですから』
「・・・もう俺はお前のーーーーでいられねーよ」
『いいえ。あなたは私のーーーーです、今までも、これからも、ずっと』
「・・・そうか。ありがとうな、ーー」
悲しげに彼は笑う。
果たしてその言葉の裏に、どんな想いがあったのだろうか。
きっとその言葉に込められた想いを知るのは、彼自身だけであろう。
「なあーーー」
彼が言葉を発しようとしたその時、校舎全体に爆発音が響いた。
「・・・今の音、理科室からか?」
『これは様子見に行った方が良さそうですね~』
突如発せられた電子の声は、伸太郎のスマホから聞こえていた。
「エネ・・・お前今まで何してたんだよ」
伸太郎はスマホ画面を見ながら言う。
そこには青い電子の少女がいた。
エネと呼ばれたその少女はどこまでもケロッとした様子で、『暇だったんで、ご主人の秘蔵ファイル流してました♪』と笑顔で言い放った。
「な・・・っ!?」
『ーーーー。とりあえず理科室に行ってみてはどうでしょう?』
「だな。誰か残ってたらめんどくせーし」
対峙するその『誰か』の言葉に、伸太郎はスマホをしまいながら言った。
それからは伸太郎は振り返らず、ただ理科室を目指した。
***
理科室前。
なにやらもくもくと煙を放出している理科室に、伸太郎はためらいなく入っていく。
今の所、火災の心配はなさそうだった。
伸太郎はそれを確認すると、とりあえず窓を開け換気する。
煙で視界が遮られても動けるのは、彼の経験から培ったものだろう。
次第に視界がクリアになっていく。
煙でむせてけほけほ言っているクラスメートである目の前の女子に、伸太郎はため息をつきながらいった。
「何やってんだ。あんた」
***
爆発音の犯人、奥田愛美から事情を聞くと、どうやら殺せんせーを殺すための薬の調合中、違う薬品を混ぜてしまったらしい。
「私はみんなみたいに上手く出来ないんですけど、その分努力して、みんなの役に立ちたいんです」
少し恥ずかしそうに語る彼女の瞳は輝いていて、まぶしかった。
「(ああ、まただ・・・)」
E組の生徒達はみんなそうだ。
生き生きとしたまっすぐな瞳。
それぞれの個性を生かし日々を過ごす彼らは、伸太郎にはまぶしすぎた。
どこまでも光を失った彼にはもう、戻れない場所。
自分を殺した彼には、たどり着けない場所。
それでも彼がかつて愛した温もりが、そこにはあった。
もう、手を伸ばしても届かないけれど・・・
それでも彼は、まだ諦めたくなかったのかもしれない。
あるいはそうでなかったのかもしれないが、彼がその温もりに羨望を抱いていたのは、明白だった。
伸太郎は、なおも毒薬作りに励む彼女を見て、無言で立ち上がった。
「?如月君?」
伸太郎は愛美の横に立ち、机上の薬を調合していく。
その行動の意味に気づいたのか、愛美は微笑んだ。
「ありがとうございます。如月君」
その後は無言で作業が進んだ。
きっと普段の彼ならばこんな行動はしなかっただろう。
だが、彼自身、E組生徒と関わってくる中で、変わっていたのだ。
それはきっと、小さな変化。
本人でも気づかないほどの、些細な心の変化。
それでも、彼は確かに変わった。
でもそれは同時に、彼自身を苦しめる変化でもあった。
それはきっと彼が・・・・・
***
とある一室。
だだっ広いその部屋は、ところ彼処にフリルがあしらわれており、煌びやかだった。
その中央にある一際豪華な椅子。
それに座る、これまたフリル満載の服を着た少女。
人形のように整ったその少女は、無邪気に微笑んでいる。
片手のハーブティーを一口飲んで、少女は本当に楽しそうに、歌うように言葉を発した。
「ねえシンタロー。次はどんな面白いものを見せてくれるの?♪」
にっこり微笑む少女の視線の先には、モニターがあった。
モニターに映っていたのは・・・
「ふふっ楽しみだなあ♪」
三つ編み少女の隣に立つ、黒髪の少年。
如月伸太郎、その人だった。
-to be continued-
最後まで読んでくださり、ありがとうございます!
いやあ、相変わらず、伏線を張るだけ張って、回収しないお話ですね。
いい加減、混乱してきますよね。
次回はちょっとでも回収できるよう、精進します。
ではでは、今回もありがとうございます!
あ、感想・評価、いつでも待ってます!