記憶喪失な雪風と勇者王(改訂中)   作:蒼妃

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滑り込みセーフ!! 今回は時間がなかったので、前回よりも雑になってるような気がします。


第5話

Another Side

 

 

――メインオーダールーム――

 

 

「ふむ……人造艦娘製造計画か。良くない計画のように感じるな。」

 

 

「そのようですね。少し目を通しましたが、人道的とは言えません。」

 

 

「本当に、正気の沙汰とは思えない計画よ。」

 

 

刹那、メインオーダールームの扉が開いて、1人の少女が入って来た。

ピンク色の長い髪を膝の辺りまで伸ばし、黄土色のコートを身に纏った少女。

露出している肌は、アルビノのように真っ白でその瞳は金色に輝いている。

一見、部外者に思えるが、誰もその少女の立ち入りを注意しない。

 

 

「ソールくん。どういうことか説明して貰えるか ? 」

 

 

「ええ、分かってるわ。」

 

 

そう言って、ソールと呼ばれた少女はメインスクリーンを操作する。

すると、計画を分かりやすく纏めたスライドが映し出される。

 

 

「人造艦娘製造計画は、普通の人間に艦娘の中枢、霊水晶(セフィラ)を埋め込むことで艦娘を人工的に作り出す計画よ。」

 

 

「そんなこと、可能なの ? 」

 

 

命の率直な質問に対して、ソールは首を横に振る。

 

 

「艦娘と人間の違いは、霊力を通す回路があるかどうか。

 それは後天的に作り上げることができないモノ。無理に作れば……」

 

 

「肉体に影響が出る、ということか……」

 

 

大河長官の言葉にソールは首を縦に振る。

 

 

「無い物を無理矢理作ってる訳だから、成功率はかなり低いでしょうね。

 シミュレーションしてみたけど、成功率は10%以下と言ったところ。」

 

 

「そんなことが裏で行われてるなんて……」

 

 

「しかも、対象は戦災孤児。深海棲艦の襲撃によって、孤児の数は鰻登り。

 この馬鹿げた計画を考え付いた奴から見れば、大層好都合な状況だろうね。」

 

 

ソールは怒りを孕んだ口調で呟く。

 

現在、日本本土には離島に暮らしていた住民や他の国から合法非合法な手段で入って来た人々が集まってきている。

その中には、深海棲艦の襲撃によって親を失った孤児が大勢含まれている。

大量に流入した孤児を攫っても、よほどのことがない限り、表沙汰になることはないだろう。

 

 

「だが、成功率の低い計画を実行して、何のメリットがあるんだ ? 」

 

 

「おそらくは未完成艦の艦娘、もしくは護衛艦の艦娘を生み出そうしているんでしょ。」

 

 

「聞きたかったんじゃが、どうして艦娘は第2次世界大戦期の艦船に限定されるんじゃ ? 」

 

 

艦娘について、右に出る者は居ない程の知識を有するソールに雷牙博士が尋ねる。

 

現在、出現が確認されている艦娘は全て第2次世界大戦期の艦船を前世に持つ。

日本以外にもいくつかの国で艦娘が出現しているが、やはり第2次世界大戦期のモノのみ。

各地で完成に至らなかった艦船を前世に持つ艦娘やハープーンなどの近代兵器を操ることができる護衛艦の艦娘を生み出すための研究が続けられているが、成果はまったく挙がっていないのが現状である。。

 

 

「艦娘に付き従う艤装妖精が生まれないから。艤装妖精が居なければ、艤装の操作がとんでもなく大変になる。」

 

 

「あれはオートでやってる訳じゃないのか ? 」

 

 

「そうよ。艤装妖精が艦娘の意志をくみ取って、弾薬を装填したり、射角を合わせたりしてくれてるから、艦娘は特に何もしなくてもいい。」

 

 

「じゃが、逆にいえば、マニュアル操縦ができれば……」

 

 

「現実的じゃない。駆逐艦ですら、数百人という人数でやっと運用できるのに、その仕事を人間1人の頭で出来る訳がない。――というか、人を守るために生まれた艦娘を人を犠牲に生み出すなんて間違ってる。」

 

 

「ふむ……そう言われてみればそうじゃのう。」

 

 

「ううんっ !! そろそろ話しを戻そうか。GGGとしては、このような非人道的な計画は認められない。よって、GGGの目的は、計画に関与する施設の破壊、被検体の救助。

異議がある者は ? 」

 

 

方針の述べ、周囲の反応をうががう大河長官。

しかし、この場にはその方針に異議を唱えるような人物は居なかった。

その反応をある程度予想していたのか、大河長官は誇らしげに小さく笑った

 

 

「猿頭寺くん、研究所の場所は ? 」

 

 

「さすがにそこまでの情報は掴めませんでした。」

 

 

「そうか。すまないが、諜報部隊を動かして研究所の座標を特定してくれ。」

 

 

「了解しました。」

 

 

「残る問題は研究所の場所だな。山間部にあると、タケミカズチは不向きだ。」

 

 

凱の指摘は尤もだった。

 

GGGは、保有している技術力が争いの火種になることを恐れて、密かに行動している。

高速射出甲板空母タケミカズチや全域装甲補修艦ウカノミタマには、隠密行動用の熱光学迷彩が搭載されているが、その巨体のため、着陸する場所を選ぶ。そのため、着陸スペースが少ない場所に研究所があると、被験者の回収が困難なのだ。

 

 

「それなら問題nothing !! もうすぐ、“Gライナー”が完成するからのぅ。

 ―――という訳で、夕張を借りたいんじゃが……」

 

 

「構いませんよ。長月も居ますから。」

 

 

 

猿頭寺の管轄である諜報部は諜報ロボット、ボルフォッグと複数名の艦娘が在籍している。

潜入が得意な川内、コンピューターに強い夕張の2名もその一員であり、先ほど猿頭寺から名前が出た長月という艦娘も諜報部の一員であり、夕張に次いでコンピューターに強い。

 

 

「じゃあ、こっちも受け入れの準備しておくわ。」

 

 

それだけ言い残して、ソールはメインオーダールームから出て行った。

 

 

「こちらもすぐに行動ができるように準備しておこう。

 雷牙博士。“Gライナー”の完成を急いでくれ。」

 

 

「任せんしゃい。バッチリ仕上げておくからのぅ。」

 

 

「長官、タケミカズチ及びウカノミタマが帰還しました。」

 

 

「満潮くんの容態は ? 」

 

 

「命に別条はありませんが、意識は戻っていないそうです。

 今はメンテナンスルームで治療中です。」

 

 

「そうか……艦隊の被害は ? 」

 

 

「全員、無傷です。護衛に出ていた艦隊にも特に負傷した艦娘は居ないそうです。」

 

 

「うむ。帰還した艦娘たちには、休むように伝えておいてくれ。」

 

 

「了解しました。」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

満潮 Side

 

 

「んっ、ここは……ああ、メンテナンスルームか。」

 

 

目が覚めると、よく知っている光景が広がっていた。

ここは、純粋な艦娘でなくなった私専用に拵えられたメンテナンスルームだ。

艦娘とGストーンサイボーグの融合体とも言える私は、此処でないと治療ができない。

 

 

「おっ、気が付いたかい ? 」

 

 

「私、どれくらい眠ってた ? 」

 

 

「基地に戻って、おおよそ5時間ぐらいじゃな。」

 

 

「相変わらず、馬鹿にならない反動ね。もう少し短くならないものかしら。」

 

 

「無茶を言うでない。あのソルダートJですら、戦闘後は丸一日眠っていたんじゃ。

 5時間で済むなら、十分短い方じゃ。」

 

 

「言ってみただけよ。」

 

 

私や凱が持つGストーンと響が持つJジュエルは、一定条件で共鳴現象を引き起こす。

霊水晶(セフィラ)とGストーンの共鳴現象も同じ現象と考えられているけど、この2つの共鳴現象は、強大なパワーと引き替えに使用者に大きな負荷を掛ける。

私が意識を失ったのも、この共鳴現象の反動が原因。普通の戦闘なら問題ないくらいの反動だけど、ヘル・アンド・ヘブンを使うと必ず意識を失ってしまう。

 

 

「そういえば、敵のコアは ? 」

 

 

「大潮からきちんと受け取ったわい。これで深海棲艦の研究が進むよ。」

 

 

「そっ。なら、私も頑張った甲斐があるわ。その代わり、私はしばらく出撃できないけど。」

 

 

ヘル・アンド・ヘブンの代償は、肉体的・精神的な疲労だけでは留まらない。

私の身体にも大きな負担を掛ける。普通なら、高速修復材っていう特殊な液体であっという間に治るけど、生憎と私の身体は一部がサイボーグ化されてるせいでそれができない。

だから、ヘル・アンド・ヘブンを使った後は出撃をしばらく禁止される。

 

 

「変わったのう。以前は、無断出撃の常習犯だった癖に。」

 

 

「もう昔の話よ。」

 

 

私がGGGに拾われたのは、今から2年前。

初めの頃は、長官の命令を無視して、死に場所を求めるように四六時中、深海棲艦と戦ってた。だけど、ある時、敵に囲まれた上にもう戦えないくらいの大けがを負った。

その時は凱のおかげで助かったけど、その後、凱と命に思いっきり怒られた。

 

 

「本当に変わったのう。此処に来た時は、そんな風に笑うこともなかったぞ。」

 

 

「私が変われたのは、凱と命のおかげよ。2人が居なかったら、私は今頃……」

 

 

「おいおい、僕ちゃんへのお礼は無いのかい ? 」

 

 

「もちろん、博士にも感謝してるわよ ? 博士のおかげで私はもう一度戦えるようになったんだから。」

 

 

「ホントかのう~」

 

 

「本当よ。」

 

 

「まっ、そういうことにしておこうかのう。

 僕ちゃんは、仕事があるからこれで失礼するとしよう。」

 

 

博士がメンテナンスルームから出て行くのを見送って、私はもう一度眠りについた。

 

 




満潮のヘル・アンド・ヘブンは、本家と違い、Gパワーと霊子力の共鳴現象を利用しています。後先考えないなら、戦艦水鬼の装甲も貫けます。
そして、設定上、Gツールを使っても肉体への反動がなくなるだけで昏倒するのは変わりません。艦娘用Gツールの開発が難航してるのも、これが原因。


本編に名前が出てきた、Gライナーというのはこの作品オリジナルのモノです。ソールもオリジナルキャラですが、こちらはガオガイガーの裏設定と関連がある部分があります。


2016/5/15 改訂
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