記憶喪失な雪風と勇者王(改訂中)   作:蒼妃

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2015年夏イベ、無事に攻略しました。(但し、丙)
現在、瑞穂掘りを完了し、海風掘りの真っ最中。風雲?知らない子ですね。


皆さんは、欲しい艦娘はドロップしましたか?



では、本編どぞ。


第3話

雪風 Side

 

 

私がGGGに入ってから、1カ月の月日が経過しました。

1カ月の間、私と初霜さんは無理のない程度に訓練を積み重ねてきました。

そして、今日はその集大成を見せる日です!!

 

具体的には、教官である満潮さんとの演習です。

この演習を通じて、合格が出されれば、晴れてGGGの艦娘部隊に正式配属されることになります。

 

 

『全員、準備は良いか?』

 

 

「満潮、いつでも始められるわ。」

 

 

「雪風も大丈夫です。」

 

 

「私も大丈夫です。」

 

 

今回、審判役を担当してくれるのは、獅子王 凱さん。雷牙博士の甥っ子です。

何でもGGGの機動部隊の隊長さんで、いろんな人から勇者と呼ばれているそうです。

――っと、それよりも今は集中しないと……。

 

 

『制限時間は無制限。満潮に直撃弾を当てる、もしくは雪風、初霜両名の撃沈で終了。

 武器の使用は自由だが、弾薬の補給は無し。以上がルールだ。』

 

 

「あの……撃沈判定はどうなっているんでしょうか?」

 

 

『ボディに演習弾が5発命中、もしくは頭部に1発のどちらかで撃沈判定だ。

 それから、演習魚雷の直撃でもアウト。他に質問はないか?』

 

 

「「はい!!」」

 

 

『じゃあ、演習開始だ!!』

 

 

凱さんの号令と同時に見極め試験を兼ねた演習が始まりました。

満潮さんの実力は未知数ですが、少なくとも強敵なのは間違いないです。

心して掛らないと……

 

 

「雪風さん、私が先制します!!」

 

 

「了解です!!」

 

 

12.7cm連装砲と12cm単装砲を装備した初霜さんが砲撃を開始。

時間差を付けて、私も砲撃です。今日の演習のためにいろいろ作戦を練りましたからね。

真っ直ぐ突っ込むような愚策はしません!!

 

 

「撃ちます!!」

 

 

今撃ってるのは、全て牽制です。

そして、牽制に紛れ込ませるようにして、訓練で鍛えた精密射撃で狙い撃ちます!!

下手に動けば、牽制用の砲弾に当たる可能性が高くなります。これなら、満潮さんは下手に動けない筈です!!

 

 

「牽制に紛れての精密射撃……まあまあな戦法ね。でも、GGGの艦娘に」

 

 

――? 満潮さんが手に付けてるのは……ナックルガード?

あんなモノを何に使うんでしょうか? 邪魔になるだけのような……

 

 

「そんな普通の戦法は無意味よ」

 

 

「「えええっ!!!」」

 

 

満潮さんが取った行動に驚愕しました。

 

満潮さん、手に付けたナックルガードで身体を狙った砲弾を全部切り裂いたんです!!

確かに使用する武器は自由とは言ってましたが、それってアリなんですか!?

 

 

「別に艦船を生まれ変わりだからって、かつての戦い方に拘る必要なんてない。

 むしろ、人の姿になった利点を潰してるんだから、愚策と言っても良いわね。」

 

 

た、確かに、満潮さんの言う通りです。

艦娘は第2次世界大戦期に存在した艦船の生まれ変わりですが、行動に関して特に制限が設けられている訳ではありません。完全に失念してました……。

 

 

「それと、驚いて足を止めるのも愚策よ?」

 

 

「「!?」」

 

 

視線を下に落とせば、海面には白い軌跡。

満潮さん、砲弾を切り裂くと同時に魚雷を……!!

 

 

「くぅ!!」

 

 

魚雷に向かって、12.7cm連装砲を撃って、破壊。

しかし、もう一本の魚雷まで対処することができませんでした。

こうなったら……仕方ありません!!

 

 

「えいっ!!」

 

 

 

―――ドカーンッ!!―――

 

 

 

「へぇ……良い判断力ね。」

 

 

「ゆ、雪風さん!! 大丈夫ですか!?」

 

 

「だ、だいじょうぶ……」

 

 

直撃は免れたけど、痛かったです……。

何をしたかと言いますと、満潮さんの模擬魚雷が当たる寸前に背中の魚雷発射管から魚雷を一本抜き取って、投擲したんです。おかげで轟沈判定は避けることができました。

 

 

「助言した直後で実行できるなんて、やっぱり才能かしらね。

 これなら、少し本気になっても良いわね。」

 

 

「「っ!!」」

 

 

満潮さんが一直線にこちらに向かってきます。

しかも、我武者羅に突っ込んでくる訳ではなく、的確な砲撃でこちらの動きを妨害してきます。というか、軽く40ノットは出てますよね!?

 

 

「初霜さん!! 雪風が前に出ます!!」

 

 

貴重な魚雷を発射管から抜いて、満潮さんに向かって投擲します。

投げた魚雷は空中で爆発しますが、それがちょうど目晦ましになってくれました。

あっ、言い忘れてましたが、演習用の魚雷と砲弾には炸薬が入っています。実戦で使う物に比べると、その量は少ないですが。

 

 

「撃ちます!!」

 

 

煙で視界を封じている間に、残った魚雷を発射。

雷跡が見えにくい酸素魚雷なら、気付かれない筈……と思ってた時期が私にもありました。ちょうど煙の向こうで大きな水柱が立ち昇りました。

どうやら、迎撃されてしまったみたいです。

 

 

「どうしましょう?」

 

 

「一先ずは時間稼ぎです!!」

 

 

初霜さんがボールのようなモノを投げて、12cm単装砲で撃ち抜きます。

すると、ボールから白い煙が撒き散らされて、視界が真っ白になります。

何時の間に煙幕なんて用意していたんでしょうか?

 

 

『雪風さん、聞こえますか?』

 

 

『はい、感度良好です!! それより、これからどうします?』

 

 

弾薬は残っていますが、私は魚雷が使えません。

次発装填システムを使えば、もう一回撃てますが、そんな暇を与えてくれるようには思えません。

 

 

『不意を突いて、砲撃するしかないと思います。もしくは、雷撃ですね。』

 

 

『どちらも一筋縄ではいかないですね……』

 

 

凱さんから聞いた話によると、満潮さんはGGGに初めて着任した艦娘らしいです。

なので、戦闘経験も私たちとは比べ物になりません。近づくことも難しいでしょうし、不意を突くのも同様ですね。

 

あれ? この状況、詰んでませんか?

 

 

『このままだと敗北確定ですね。』

 

 

『そうですねぇ。さすがに経験の差が出ましたかねぇ。』

 

 

『でも、負けるのは少し癪に触ります。』

 

 

『ですね。せめて一矢報いましょうか。』

 

『はい。――っと、そろそろ煙が晴れます。ご武運を』

 

 

『はい。』

 

 

さぁ、この雪風、そう簡単にはやられはしませんよ !!

 

 

 

・・・

 

 

 

・・・・・・

 

 

 

・・・・・・・・・

 

 

 

・・・・・・・・・・・・

 

 

 

「2人とも轟沈判定で演習終了。まあ、初めての模擬戦なら、こんなモノね。」

 

 

結果、一矢報いることすらできずにやられました。

煙が晴れた後、初霜さんが集中攻撃を受けて脱落。1対1になって、10分も持たずにわたしも脱落してしまいました。

 

 

「さて、演習の結果だけど……」

 

 

うう~……演習には勝てなかったし、これと言って特に何か出来た訳でもない。

不合格確定ですよ~。初霜さんも俯いてますし……

 

 

「合格よ。」

 

 

「「――えっ?」」

 

 

き、聞き間違いでしょうか ? 今、合格という言葉が聞こえたような……

 

 

「だから、2人とも合格よ。これで海上機動部隊の一員ね。」

 

 

「えっ? でも、私たち、演習に負けましたし……」

 

 

「誰が演習に勝てない=不合格って言ったのよ。」

 

 

「この演習は、2人の心構えを見るための試験なんだ。

 だから、重要なのは強敵相手に諦めずに勝利を掴もうとする意志なんだ。」

 

 

「凱の言う通りよ。アンタたちは、ちゃんと基準を満たしてたから、合格。

 実力は実戦を通じて磨いていけばいいわ。はい、配属通知。」

 

 

そう言われて、渡されたのは正真正銘の配属通知です。

しかも、長官さんの印鑑がちゃんと入っています。内容は、「駆逐艦 雪風、初霜両名を“第77駆逐隊”へ配属する。」と簡素なモノでした。

 

 

「第77駆逐隊って言うと……あの2人が居る部隊か。」

 

 

「ええ。ちょうど人数も足りなかったし、この2人には良い経験になるでしょ。」

 

 

「そうだな。」

 

 

2人は何やら笑っていますが、こっちはとても不安ですよ~

 

あっ、海上機動部隊って言うのは、満潮さんを隊長とするGGGの機動部隊です。

艦娘のみで構成されていて、さらに6人1組の部隊に分けられています。

メンバーは固定されている訳ではなく、時と場合によって入れ替えるそうです。

 

 

「じゃあ、部屋まで案内するわ。」

 

 

「俺はメインオーダールームに戻るよ。演習で消費した資材は俺から報告しておく。」

 

 

「悪いわね、凱。」

 

 

「気にするな。」

 

 

そう言い残して凱さんは一足先に基地の方へ戻って行きました。

 

 

「じゃあ、改め部屋まで案内するわ。」

 

 

「「お願いします。」」

 

 

■    ■    ■    ■    ■    ■

 

 

「ここが第77駆逐隊の部屋よ。これからはこっちで生活することになるから、今週中に荷物を移しときなさいよ。」

 

 

「「わかりました。」」

 

 

―――っと言っても、わたしも初霜さんも荷物はほとんどありませんけど。

 

 

「それじゃあ、私は失礼するわ。同じ駆逐隊の子と仲良くね。」

 

 

そう言って、満潮さんはさっさと立ち去って行きました。

さて、この部屋ではどんな人が待っているんでしょうか ?

 

 

コンコンコンコンッ

 

 

「どうぞ~」

 

 

「「失礼します。」」

 

 

入室の許可を貰い、引き戸を開けるとそこには…………

 

 

「喰らえ、ムクホークの命がけ !! 」

 

 

「あああっ !! 私のメガサーナイトちゃんが !!

 ―――というか、初手から自爆技なんて奇抜すぎです !! 」

 

 

「定石は常にぶち壊すためにあるのさ !! 」

 

 

広い部屋の中にはコタツが1つ、大きな画面のテレビが1台。他にも、本棚やガスコンロなどの生活家具が色々。

そして、その大画面のテレビを使って、遊んでいる女の子が2人居ました。

 

 

「おっと。満潮から話は聞いてるよ。

 第77駆逐隊所属、暁型駆逐艦 響だよ。その活躍ぶりから不死鳥の通り名もあるよ。」

 

 

「同じく第77駆逐隊所属、綾波型駆逐艦 潮です。

 これからよろしくね、初霜ちゃんに雪風ちゃん。」

 

 

「「は、はぁ……」」

 

 

テレビの方に集中しながら自己紹介されても……

いや、すごく厳しい人と一緒じゃないだけ良いんですが、流石に緩み過ぎじゃないでしょうか ?

 

 

「立ってないで座ったらどうだい ? 此処はもう君たちの部屋なんだから。」

 

 

「あ、はい。」

 

 

「お、お邪魔します……」

 

 

「ちょっと待っててね。2タテしてすぐに終わらせるから。」

 

 

「それからゆっくり話しましょう。」

 

 

そう言って、集中する響さんと潮さん。

……この駆逐隊、こんなに自由で大丈夫なんでしょうか ?

 




魚雷は投擲するもの。だって、せっかくの身体だもん、活用しなくちゃ。


本文で満潮さんが40ノット出してますが、普通の朝潮型は32ノットです。
うちの作品では、Gストーンというオーパーツのせいで基礎能力が大幅に向上しているだけです。
ちなみに、攻撃力という点だけなら、満潮が最強という設定なっています。(大方、某暁型姉妹の動画の影響。)


2016.4.16改訂


旧Verの展開が早すぎると感じたので、少し調整。
ちなみに、初手ムクホークの命がけは私の実体験。

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