東方近界録   作:零式艦上戦闘機

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プロローグ1

 三門市と言う人口二十八万人の数年前までは何の変哲も無い日本によくある地方都市があった。だがそこは今や日本中どころか世界中でも知らない人間の方が少ない場所となっている。なぜなら異世界の生命体近界民(ネイバー)の侵攻を受けており、それに対抗する組織、界境防衛機関「ボーダー」が有るからだ。

 

 三門市

 数日前からピリピリした空気が市全体を漂っていた。当然だ。近界民の強大な軍事国家による大規模侵攻が数日中にある可能性が非常に高いと言うボーダーからの知らせが有ったからだ。

 

 数日前 ボーダー本部 会議室

そこではボーダー上層部の人間が集まっていた。

「これより数日中に起こる大規模侵攻対策会議を始める。忍田本部長」

「アフトクラトルの星は現在この世界に接近しており五日後には侵攻可能になります。迅隊員によれば狙いは間違いなく雨取隊員とのこと。そのことから敵は雨取隊員襲撃部隊と陽動の市街地攻撃部隊に分かれると予想されます」

「根付メディア対策室長」

「バムスターでも市民には十分な脅威ですからねえ。雨取隊員の重要性は十分理解しているつもりですがやはりどうしても市街地防衛にある程度の数の正隊員をまわしていただきたい。死者や行方不明者が多すぎると今後に差し障ります」

「鬼怒田本部開発室長」

「トラップはあのときより増やしましたがやはりどうしても正隊員が必要でしょう」

「そうか、林藤支部長。玉狛支部の全隊員を雨取隊員の護衛に付けろ。本部からも隊員をなるべく早く送れるよう努力するので時間稼ぎに徹して欲しい。なお風刃は今回迅に預けてある」

「了解。可能な限り時間を稼ぎます」

 

 ボーダー玉狛支部

 会議終了後、林藤と迅は玉狛第一、第二部隊を集め、会議内容を説明した。

「やっぱりあいつらは千佳を狙ってくるんだな、迅さん」

「ああ、なにせ三門市で現在判明している唯一の神候補だからな。それに向こうさんの神がそろそろ死ぬころだ。当然連中も死に物狂いになって襲ってくるだろう。俺達の仕事は千佳ちゃんを守ることだ。前に会ったあの爺さんも来る。遊真そっちは頼んだぞ」

「ああ、任せろ」

 

「千佳、大丈夫か?」

「……ごめん、修君、皆。私のせいで」

「千佳、あまり自分を責めるな。千佳は悪くない。ちょっとトリオン量が他の人よりが多く生まれただけなんだ」

「そうよ、安心しなさい。あいつらなんて私たちにかかればけちょんけちょんよ」

「ありがとう」

 

「……やっぱり千佳ちゃん、気にしてるな。宇佐美」

「仕方ないですよ、支部長。千佳ちゃんをめぐってボーダーと一国の最精鋭部隊が争うんですから。それに前回は修君が大怪我しましたし」

「一人の女の子をめぐって大勢が争う、か。これが恋愛系の話ならまだ良かったんだけどな」

 近界(ネイバーフッド)は宇宙のような空間に星のように国が浮かんでいる。その国を作るのがマザートリガーと呼ばれる超巨大トリガーだ。向こうの神とはそれと一体化し何百年もの間国土を作るトリオン能力が高い人間を指す。千佳はさらわれたらほぼ確実にそれにされるだろう。もし運よく別の人間がなっても兵士として使われる。大事にはされるだろうがどちらにしろ彼女が待つ運命は明るくない。

「せめて門(ゲート)が開いたのが別の場所だったら、近界民はテレビの向こうの怖いもので済んだだろうに。まあ、言ってもしょうがないんだけどな」

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