東方近界録   作:零式艦上戦闘機

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プロローグ3

 幻想郷、そこは外の世界で存在を否定されたり、忘れ去られたものが流れ着く隔離された場所。そこに侵略者が現れた。

 

 夕方 人間の里

 人間が暮らす里で、妖怪の賢者八雲紫の庇護を受けた幻想郷における(人間にとっての)安全地帯だ。いや、安全地帯だった。昼ごろ、昼食の準備をしていたものが多かった時間に空中に開いた黒い穴から出てきた怪物によって蹂躙されたからだ。そして蹂躙の最中、炊事の火が家屋に燃え移り、里はほとんどの建物が燃えてしまった。ようやく火が収まり焦げ臭い里を二人の少女が歩いていた。

 

「紫、やっと終わったの」

「ようやく、ね」

 

 一人はここから少し離れた博麗神社という神社の巫女 博麗霊夢。もう一人は妖怪の賢者 八雲紫だ。

 

「でも、人間の犠牲が多すぎるわ。この肉が焦げたにおい。かなりの人間が死んでいるわね。生き残りがいるといいけど、でもあまりに数が少ないと……」

 

 考え込む紫。そこに数羽のカラスと尻尾が九本も生えた狐 八雲藍、そして生き残りの数人がやってきた。

 

「紫様、迷いの竹林、魔法の森、人間の里、妖怪の山、地底、紅魔館の調査が終了しました。妖怪の山と紅魔館は全滅状態となっています。地底の方はサトリ妖怪の古明地さとり以外の妖怪が全て消えていました。彼女によると皆突然からだが薄くなり消えてしまったと。おそらく人間が一気に消えたことにより存在を維持できなくなったと思われます。人間についてですが里の住人の三分の二の死亡を確認。しかしこの稗田阿求、本居小鈴二人以外の里の住人のざっと三分の一と霧雨魔理沙、東風谷早苗、十六夜咲夜が見つかりません」

「どこかに隠れているのかしら?魔理沙はあの空を飛ぶ大砲みたいな腕をした鬼に追われて妖怪の山の方に逃げたけど逃げ切れたのかしら?」

 

 霊夢の言う鬼とはもちろんランバネインである。彼は人里上空で霊夢と魔理沙と戦い、勝てないと悟った二人が別れて逃げたとき魔理沙を追った。ちなみに霊夢が追われなかったのは飛び方のおかげである。

 

「分かりませんがこれだけ探しても見つからなかったので彼女達が隠れているとは思えません。それにこの二人も瓦礫の下から見つけたのです」

「…………そう」

「迷いの竹林に関しては不死の者とただのウサギだけ、魔法の森は森近霖之助のみ生存を確認しました。最後に橙は消えていました。報告は以上です」

「そう、分かったわ、藍。最後の仕事お疲れ様。さて、聞いてのとおりもう幻想郷の維持は事実上不可能になりました。ここで私は皆さんに二つの選択肢を示します」

「二つも?」

「一つ目はこのまま人間が全員死ぬまで数十年暮らす。こっちを選んだ場合あなた達人間三人が死んだら私と藍は消えるから幻想郷はそこでおしまい。残った人は頑張ってとしか言いようがないわね………」

「「「……………」」」

 全員が黙ってうなだれる。それほどの打撃を幻想郷は受けたのだ。

「そしてもう一つは私の力を使い過去の私たちにこのことを伝え、外の世界からあの侵略者に対抗できる技術、戦力を手に入れることです」

「アレに対抗する技術が外の世界にあるの!」

「ええ、あります。この新聞を見なさい」

 

 紫が差し出したのはかなり古い新聞の号外だった。

 

「人類の救世主出現!?三門市を襲った謎の怪物を謎の一団が全て撃退。紫、これって」

「そう。この一団が外の世界に公に現れる前に一度こちらに呼び寄せます。そして彼らから技術を手に入れ、この惨劇をやり直す。これがもう一つの選択肢です。どちらを選ぶかは……聞かなくても良いみたいね」

 

 沈んでいた幻想郷の生き残り達の目に力が戻った。対抗手段があると分かったことでもう一度戦う気力がわいたのだ。

 

「では今の私たちとかこの私たちの記憶の境界をなくします。ただこれはやったことがないから同調する時期がずれるかもしれない。ただ私と藍よりも後になることは確かよ。だから同調したら私を呼びなさい」

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