夕方 白玉楼
「うっ!?」
春に花見をしようと長年の友人である西行寺幽々子の所へお土産を持って訪ねた紫は突如走った頭痛と頭に流れ込んでくる記憶に思わずうめいた。
「紫様、どうなされました?」
家の中にもかかわらず帯剣している半人半霊の少女 魂魄妖夢がそれを見て慌てて駆け寄ってくる。
「大丈夫よ。ちょっと頭痛がしただけだから心配しないで」
「そうですか、では御夕飯が出来ましたので私は幽々子様を呼んできますね」
「ついでに藍もお願いね」
分かりました、といいながら走り去る妖夢。紫はその背中を見ながらこれからの予定を考え始めた。しばらくすると藍と幽々子が来て妖夢が食事を運んできたので一時中断することにした。
「紫、紫」
「えっ、幽々子何かしら?」
「あなたさっきから変よ。すぐボーとしちゃって。まさかと思うけど呆けたんじゃないでしょうね」
「いくらなんでもそれはないわ」
「じゃあ何か心配事?あまり役に立てないけど話を聞くだけならできるわよ」
「そうねえ、どう言えば良いかしら。数年後に幻想郷が滅びるといえばどう思う?」
「うーん、有り得ない話じゃないわね」
「どうしてかしら?」
「妖怪の無気力さとかやる気のなさとかがちょっとね。あのままだと外の世界から強力な妖怪が来たらあっという間に滅ぼされちゃいそう。まあ、ここで大きいことしてもどうせ博麗の巫女に倒されておしまい、っていうのがあるから分からない話じゃないけど」
「ああ、そういえばそうね。霊夢も最近、妖怪が自分の姿を見ただけで何か渡して逃がしてくれって言う様になってきてつまらないしダメになりそうって言うし」
(改めて思うと確かにそうよね。あの幼い吸血鬼の目的が支配じゃなくて殲滅でその過程で霊夢が襲われていたら本当に危なかった。あの未来を変えるにしても別の理由で滅びるって事が無い様にしないと)
「遊びでも絶対に勝てない遊びはつまらないわ。でもあまりいい方法が思いつかないのよねえ」
「作ったとしても問題があるわ。今の幻想郷では広がりようが無い。何せいまここで妖怪達に危ないことなんてほとんど無いんだから。このままだとまずいって思わせるような事件とセットにすれば何とかなるでしょうけど」
「あなたが起こしたらわざとらしすぎるからねえ。かと言って私じゃシャレにならないし」
「「はあー」」
「じゃあ、また来てね」
「ええ、そうするわ」
屋敷から帰る紫と藍を見送った後、幽々子と妖夢は歩きながら話す。
「今日の紫様、頭痛がしたとおしゃってから妙でしたね」
「そうねえ、あの胡散臭い笑顔を基本的に絶やさない紫のあんな顔はじめて見たわ。やっぱり悩んでいるのかしらね。最近の幻想郷について」
「人間の里以外ではあまり活気がありませんからね。まあ暮らしが楽なのは良い事ですけどやることがないと言うのは」
「ねえ妖夢、あなたお使いのとき天狗の新聞とか見て面白い事件とか探したりしていないの?」
「ネタ不足とかでろくなものが配られませんよ。この前見たの確か桜が花見の風物詩になった理由を延々と書き綴った物でした。勉強にはなりましたけど」
「しばらく降りてないけど降りても退屈しそうね。ここ、本当に大丈夫かしら」