東方近界録   作:零式艦上戦闘機

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第二話 ボーダー

 日本のどこか ボーダー 会議室

 

「これより近界民との今後の交流についての会議を始める、忍田君、近界民の活動による被害について最新のものを」

「はい、昨日X県三門市の市街地で起きた殺人事件がそうだと思われます。この事件は休暇中のレスキュー隊員が子供をかばい胸に致命傷を負って死亡とありますが、その致命傷がどのようなものかが明らかになっていないこと、そして生き残った子供が襲撃者をオバケと表現していることからです」

「日本だけで同様の事件がすでに十件起きている。やはり向こうがこちらの世界を人間の狩場として見ているのはほぼ確実だな」

「仕方ありません。向こうの技術がこちらより上ですからね」

 

 近界民の技術はこちらのものとは違っており、特に厄介なのがトリオン兵やトリオン体にはこちらの技術で作られた既存の兵器ではダメージを与えられないことだ。そして人間が技術の低い方を差別したり下に見たりするのは珍しいことではない。欧米による植民地化やアメリカの奴隷制度を見れば分かるだろう。

 

「向こうとの交渉はもはや不可能だろう。こちらの戦力を強化する必要がある。問題は資金だがそれはどうなっている?」

「まず弧月を全員分、それに近界民の存在が知れ渡った後のことを考えるとさらに入用になりますから、最低でもこれだけ追加で必要です」

「なっ!そんな大金はいくらなんでも」

「分かってます。でも必要なんです。基地や必要になるものを考えると」

「最初は基地などが張りぼてでいいから何とかならないか?」

「それでもこれくらいは」

「「「………」」」

 

 資金が無い、当時のボーダーの状況を説明するのにはこの一言で十分だった。そして仕方なく次の話題に進もうとしたそのときだった。バン、と扉が大きな音を立てて開き十歳ごろの少年が入ってきた。

 

「迅!?どうした?」

「ヤバイ事が起きる!」

「何!一体どんな未来が見えたんだ?」

「もうすぐここが」

 

 そのとき窓の外が一気に暗くなり、無数の目が浮かんだ。そして気付いたときにはボーダーの使用していた家屋は草原の中心に移動していた。

 

「こんなことが、建物が別の場所に移動するなんて」

「ここは一体なんだ」

 

 異常事態にパニックを起こすボーダーの構成員たち、それを紫と藍はスキマから見ていた。

 

「呼び出し成功。後は彼らからトリガーを受け取るまで帰さないようにするだけ。霊夢に話を通しておいた?」

「はい、了承してくれました。ただ、彼らがタダで渡してくれるとは思えません。ずいぶん困窮しているようですし」

「これが数年後に立派な基地を持つ組織とは思えないくらいだけど運がいいわ。資金援助という手が使えるもの」

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