恋する宇宙人 〜Les amours et des peurs〜 作:L.DuRouge
中には二枚の紙が入っていた。一枚は死亡証明書。もう一枚は死亡までの経緯だった。お母さんは死んだ。
『一月七日 午前十時三十分 いつも通り研究目的で地球外生命体一体を実験室に移動中、地球外生命体が暴れ、蒼井実子は死亡した。』
とても簡単なものだった。研究所に対する苛立ちと同時にその地球外生命体に対して表しようのない憤りを覚えた。
もちろん地球外生命体、すなわち宇宙人
といっても勇には関係ない。宇宙にはいろんな生命体がいる。だからそのどれが宇宙人がこの事件を起こしたのかわからない。でも勇ではない。そんなことはわかっている。
だけど・・・。
部屋にいると誰かがドアをノックした。
「だれ・・・?・・・勇?」
こんな風にノックしてくるのは勇くらいだ。姫ならもっと勢いよく叩く。
「うん。出てこないから心配になって」やっぱり勇だ。
「・・・ほっといて。今は誰とも会いたくないの。」
ドアが開く。机を動かして閉じたのに簡単に開けられた。筋力が強いんだった。
「・・・勇は、どう思うの・・・・・・。私のお母さんの・・・事件について・・・」
聞かずにはいられなかった。
「もちろんわかってる。それは悲しいこと。僕もお母さんいる。だけど、こうやっても解決しない。なにも。芽蕗もわかってるはず」
「わかってるよ!でも、そうじゃなくて・・・。今の私は・・・勇を傷つけちゃうから・・・だから・・・お願い、放っておいて・・・」大声を出してしまった。
「僕はいい、傷ついても。というかそう言ってまた芽蕗は自分を傷つける。そうなってほしくない。だから・・・」
「ねぇ、なんで・・・勇は、そんなこと言えるの・・・?」
「勇だったら、もう察してるはずだよ・・・?私が、勇のことを、、まだ、宇宙人ってくくってる・・・って」
いつもは思ってることすぐ読むくせに。
「・・・わかってる。だけどこれは僕の感情。なんて思われていようとも・・・、わかってるわがままだって。でもこれは譲れない。」何を言ってるの?
「もう・・・わけわかんない。そんな言葉・・・信じられないの!勇には、私の気持ちなんてわかんない!!・・・もう、放っておいてよ・・・!」分かるわけない。分かってほしくなんかない。
勇は黙ったまま動こうとしなかった。なんで?なんでわかってくれないの!
私は無理やり勇を押し出しドアを閉めた。こんなときくらいほっておいてよ!
それ以来勇がこの部屋に入ることはなかった。
翌朝になり少しは落ち着いた。ご飯作ってないけど姫は飢えてないか?
「ほはほーおへえはん」姫、頬張りすぎ。
リビングに降りてきたら姫がパンをかじってた。まだ買い置きが残っててよかった。
「ごめんね、おはよう。昨日の夕ご飯はどうしたの?」
「勇が作ってくれたよー。勇意外に料理うまかった!」勇・・・料理できたんだ。
勇は?勇の部屋に行ったけどいなかった。
それどころか何もなかった。一枚の手紙を省いては。
手紙を拾う、
『芽蕗へ』私宛か。
『今まで迷惑をかけて悪かった。僕は所詮地球から見れば宇宙人、そのことは変わらない。君のお母さんを殺したのも地球から見た宇宙人なんだから僕を拒絶するのもわかる。』なにこれ。まさか勇。
『それに今は宇宙人を人々は恐れている、ここにいたらこの家が危ない。だからここから出ていくことを決意した。本当はちゃんとお礼が言いたかったけどごめん。もうここにはいられない。地球は僕の居場所じゃないんなだと思う。』
そんな・・・。時計を見る。九時。もうどこまで行ったかわからない。追いかけようがない。
私が追い出したんだ。私があんなに言わなければ勇は出て行かかった。
私のせいで。
私には捜索願は出せない。勇の保護者でもない。法的には何の関係もない赤の他人だ。それに戸籍がない。地球人じゃない。宇宙人を探してくれなんて言ったら見つかった途端殺される。私も無事じゃない。私には自分だけで探すほかに選択肢がなかった。
どうすれば勇を探せる?その答えはないのであろう。どうしたって無理だ。
こういう話って待っていれば帰ってくる。昔からそう言われていると思う。帰ってくることを願うほか私にできることはない。
鵙さんと連絡を取れることを思い出した。
「久しぶり。芽蕗ちゃん?」
相変わらずいつも元気だなこの姉弟。
「元気出せない。聞いて。」何か言いたそうな鵙さんを遮って話し始めた。
「まず、私のお母さんが死んだ。研究所のテロで。それが逃げ出した宇宙人の仕業だって言われた。」一瞬の迷い。この先を言ったら私はどうなる。いいんだ事実なんだ。私には言う義務がある。
「そしてお母さんを殺されたショックで勇を追い出してしまったの。」話を理解したようだ。
「ひとまず今から地球に行く。ちょっと時間がかかるけど。」それがいいだろう。
「何日かかる?」できるだけ早く。
「早くて六六〇時間、だから・・・だいたい二八日くらい。」長い。でもしょうがない。
「じゃあできるだけ早く行くね。あとその間電話できないから。」電話は切られた。
鵙さんを待ちながら私は近くやこの前の宿を探した。が見つからなかった。
そんな中inv@dersのメンバーが次々と襲われた。すずちゃんも行方不明みたい。宇宙人の存在が認められてから時間が経ってなく宇宙人は襲っても法的には何の問題もない。
生まれた星が違うけど同じ星で暮らしている心を持った仲間なのに・・・。
他の宇宙人が襲われ勇のこともより心配になった。
しばらく経ったある日、一本の記事が話題に上がった。その動画を、見た時私の中の全てが止まったような気がした。
『宇宙人 また駆逐』
見た瞬間勇だってわかった。
警官が勇を射殺したらしい。その人の写真も載っていた。
勇には人権はない。法的に誰かの所有物でもない。それに周りから恐れられている。その勇を撃った警官は英雄と称された。
『宇宙人』怖いんだ。どこの星なのか関係ない。地球に『宇宙人』が入ってくることが悪いんだ。世の中はそう言っているようだった。
『二月五日の占い!一位はー!山羊座のあなた!今まで会いたかった人に出会えるかも!』 占いは一位か。信じてみるしかない。勇に会いたい。
テロから二十九日が経った。今日が鵙さんが来る日か、もうすぐ一ヶ月が経つ。
地球外生命体は宇宙の中の地球に住まない生命体の総称。例えば火星人から見れば地球人も土星人も同じ火星外生命体。でも地球人と土星人は関わりのない人が多い。ほとんどの地球人は土星人を知らない。勇も地球にいる宇宙人と同じ星であるとも限らない。
それなのになぜ人々は宇宙人を恐れ殺そうとするのか。宇宙から見れば宣戦布告とも言える行為かもしれない。
昔よくきたなー。私は研究所に来た。でも今日は遊びじゃない。伝えなきゃいけないことがある。私は息を殺しドアを開けた。
あのテロの後使われていないエリアEだ。中に入って移動するのは簡単なこと。どこから入るかが大変なだけであとは楽に行ける。
お母さんの形見の拳銃。玉は六発。ちょっと心細いがいいとしよう。
廊下を進む。この一角はお母さんのいたエリア。もう道くらい覚えた。
二十九日経った今でも焼けた壁が今でも焦げ臭い。事件当日はすごい火の手が上がってた。お母さんは宇宙人によって殺されたのだと言われた。未知の力だったという。
「だれかいるのか?」気づかれたとりあえず逃げよう。地下まできた。地下は全く壊れていない。
私が逃げ込んだ部屋はやけに頑丈であった。壁には文字が書かれていた。幼児が書いたようなバランスの取れてない字だ。
『コトバ シッタ モジ カク ミコガ オシエル』よく見ると文字に囲まれている。
『■■■ハ ボクタチヲ オソレテイル ダカラ コロソウトシテクル』最初の部分の文字が消されていて誰かわからないけど殺そうとしてくるなんて・・・。気付いた。これは前逃げ出した宇宙人が書いたものだ。
『コロサレタクナイ』
赤で書かれたその文字は筆圧が強かった。それは恐怖。
『ミコ ハ ボクタチ ヲ ニガシテクレル』逃すってどういう事?
『ミコ ワ イッタ コノケンキュウニハ イミハナイ ムダニ ウチュウジンヲ コロス ダケデ コレハ ヤッテハイケナイ コトデアルト』意味はない?私には理解ができなかった。
でもここは宇宙人が閉じ込められてたところだろう。それは確かだ。
お母さんの部屋に行こう。そうすれば何か見つかるかもしれない。
地上に戻り焦げた廊下を歩く。
廊下に黄色い髪の小さな少女が立っていた。こっちを向いて微笑んだ。
「すずちゃん?」間違えない。この前行方不明になったすずちゃんだ。
「ウン」やっぱり。よく見ると肩に番号がついてる。管理番号だろうか。
「キミ ノ ナマエ ハ?」ゆっくりだけどちゃんと喋れてる
「私の名前は芽蕗。実子の娘。」あの部屋でこの子はひどく怯えてた。実子の娘と伝えて敵じゃないことを伝えなきゃ。
「メル」覚えてくれた。
「どうしてここにいるの?」お母さんが逃したはずだった。
「「ミコ ハ コナカッタ オッキイ オト-ガ シタ ソノアト ニ ダシテクレルッテ ミコハイッテタ」そうか殺されたから来れなかったのか。
「ミコハ ドコ?」どうしよう?でも嘘をつく意味はない。
「ミコは殺された。誰にかわからないけど。」
それを聞いた途端とても悲しそうな顔になった。どの星の人だって感情くらい持ってる。当たり前の反応だ。
「コレハ ミコノ トケイ」手には壊れた時計が握られていた。
この子の言う通りこれはお母さんの持っていたものだった。お母さんは腕時計を嫌い懐中時計を使っていた。落ちた衝撃で壊れたのだろう。
文字盤を見た。十時五十一分。事件の四十分前だ。毎朝電波時計で時間を合わせてった上にこれを頼りにしてたお母さんにとって三十分以上のズレは大きい。それに今気づいたが壁には弾痕?とその穴の 周りには血?
私がたどり着いた答えはひとつだった。
『お母さんはテロの四十分前に射殺された。』
その時響いた一発の銃声。
「宇宙人は危険ですよ。」背後から女の声。そして隣にいたはずのすずちゃんは脇腹から血を流して倒れていた。殺された?
「一体何を?」背後に立つ見えない影に話しかける。
「そこを動かないで!」ここは極秘の研究所。簡単に入ってはいいところではない。撃つしかない。あの女が銃を構えてるとして私の動きを見て撃つまでには反射で五分の一秒。それまでに私が撃つ。
「そのままゆっくり」今だ!私は引き金を引き撃った。適当に撃った右手に命中し女は銃を落とした。その銃が暴発して女の足を命中した。
「何をする気?」倒れた女は震えながら聞いてきた。
「私は蒼井実子の娘、蒼井芽蕗。真実が知りたいだけ。」
後から気づいた理由だ、宇宙人から見れば地球人も宇宙人っている説明をしてる余裕はない。
「宇宙人に襲われたと言ったでしょ」ここに来てもそういうか。
「十時五十一分で止まった時計、壁に残る弾痕と血痕。テロで逃げ出す前に宇宙人が銃を持って殺したとでも?」これだけの情報があるんだ。私は銃を構えたまま女に近づいた。
「何故それを・・・」呆れた。現場の前でよく隠し通そうとするものだ。
「近づいたのが命取りだったわね」女は笑っていた。
瞬間、銃声と頬に走る鋭い痛み。女は持ち替えて撃ったのだった。左手ではコントロールがうまくいかないのが幸いだった。
その銃を蹴り飛ばし、今度は鼻先に銃口を向ける。
「もう一つ言っておきたいことがあるの。」
女は怯えてる。それはそうだ鼻先を撃たれれば確実に死ぬ。
「この間捕獲して殺した宇宙人がテロに関わっているっていう確証あるの?」女は黙ったままだった。
「ふふふ、あるわけない。私がテロを止めようとした張本人なんだから。全てを知ってる。もちろん君のお母さんを撃ったってこ・・・」それ以上言わせる必要はない。知ってて宇宙人の仕業にしたんだ。私は引き金を引いた。
二発も使ってしまった。残りは四発か。この銃も拝借していこう。こっちはあと三発だ。
「だれかいるのか!」後ろから声がする。銃声に気づかれたか。
近くの扉にすずちゃんを抱えて逃げ込んだ。しばらくして目が慣れ気づいた。お母さんの自室だ。目的地だった。お母さんはテロの前に殺された。何か手がかりになるものでもあるかも。
あまり入ったことはなくてよくわからなかったが、基盤や配線が転がっているのが不思議だった。お母さんは再生医療を研究していてあまり関係ないと思われた。メモも見つけた。
『起爆装置』そして『爆破解体』
お母さんがなぜこのメモを?
考えるのに一分もいらなかった。テロはお母さんの爆弾で引き起こされた。お母さんは爆弾をセットするところを見つけられ射殺された。しかし爆弾は時限式で撤去しきれず爆発した。全てが爆発すれば建物は崩れたが取り除かれたので火事になるだけで終わったみたいだった。
いったい何のためにお母さんは爆弾を?
さっき意味がないとか無駄に殺すとか書いてあったけどそれはお母さんにしかわからない。お母さんは偽善は嫌いだった。この子を助けたいだけでは動かないだろう。
まだ疑問も残る。でもかなりのことがわかった。
この子を運ぶのは大変だ、止血してソファーに寝かせて私は部屋を後にした。
私は壁をつたい歩いた。なぜか光のある部屋があった。
エリアEは現在使われていないはず。光があるわけがない。私は恐る恐るドアを開けた。
警戒してドアを開けた私は目を疑った。勇だ。衰弱し切ってるけど、殺されたはずの勇だ。壊れかけた檻に鎖でつながれていて手には管理記号が彫られていた。
殺されたなんていうのは嘘だったんだ。研究をするための。
「芽蕗!なぜここに?それにその傷は?」勇が気づいた。
「それよりなんでここにいるの?殺されたはずじゃあ・・・。」
「え?そんなことないよ?」あのことを知らないようだ。
「それより芽蕗はなんでここに?」もっと聞きたいことはあるのに。
「ちょっと調べ物があって。」あのテロ後勇と大喧嘩した。もうあの話はしたくない。
「あー。お母さんのテロの件か」ってなんでわかるの?
「なんでわかるのって顔してる?だって僕はこの宇宙で一番芽蕗のことを知ってる知的生命体だよ?」いつも通りの勇だ。それにそれは間違ってない。
「そうね。」私は言わなきゃいけないことがある。この前喧嘩したことだ。
「言わなきゃいけないことがあるの」もうためらわない。
「あのテロはお母さんの仕業だったの。」なぜかわからないけど。
「だからこの前のことはごめんなさい。謝ってもダメなことくらいわかってるけどごめんなさい。」
これだけは謝っておかなきゃいけない。あの時追い出さなければこんな風になることはなかったと思う。
「そんなことか。それなら別に気にしてない。もし僕のことがばれて芽蕗の家に来たら芽蕗も無事じゃなかったよ?」どこまでもあかるく考えようとする勇。自由で時々無謀で、でもなぜかそれもかっこよくて・・・。
「でもなんでなのかな?いろんな人に会ってきていろんなことを理解してきたつもりなんだけど一つだけわからないことがある。」いつもになく勇が悲しそうな顔をした。
「なんで宇宙人ってだけで恐れられて殺されたりしなきゃいけないのかな?不法入国だから?地球は地球人の縄張りだから?」不法入国って・・・宇宙では手続きができないんだから最初に来た国で必ず不法入国になる。それはどうしようもないこと。
「勇は研究のための実験材料になるの。」こういうところはわかってないんだから。
「なんで?」そう聞かれると私も困る。私が聞きたい。
「わかんない。多分縄張りっていうのは間違ってはいないと思う。」言い方は悪いけど人間にはこの星を終わらせる力がないわけじゃないと思う。地球から全ての生命体を殺すこともできるはず。もちろん人間を含めて。
人間が頂点ではないという意見もありそれを完全には認めたくはないがそれも間違っていないような気がする。
でも最近宇宙開拓を始めた人間は、他の星にまで手を出し始めた。アポロ計画で月の石を持ち帰ってきた。もし月が別の星の所有物だったら、月に生命体と文化があったら、それは単なる窃盗だ。その石が生物だったら?星を越えた誘拐だ。
人間はいつから宇宙を支配しようとし始めたのだろう。
「実験材料にされるのは嫌だ。」誰だってそうだ。
「この研究が誰かの役に立ったとしても、この星は好きだけど、実験体なんてやだよ」珍しく勇が取り乱している。
「実験体にされない方法ならあるよ。一緒に逃げよう。」
「うん」私は鍵を撃って扉を開けた。さすがに銃声で気づかれるかな・・・。
「ありがとう・・・でもこれからどこに行こう・・・。」
「ついてきて」私たちはお母さんの研究室に入った。
部屋に入った時、突然勇が言った。
「一人で家に帰って」なんでここまで来て・・・一緒に帰るんじゃないの?
「それはできない。芽蕗にまた迷惑かけちゃう。殺されるかもしれないんだよ?妹の姫も、周りにいる人みんな。そんなことはできない。」でも・・・。
「僕が恐れられてるんだ。僕がいなければ多くの人が安心できる、これ以上僕の周りに犠牲は出ない。」
そんなこと・・・。
「それに・・・研究されない方法を思いついた。」
「この体がなければ研究しようがないよね?」
「まあそうじゃない・・・?」私たちにできるたった一つの抵抗・・・。
「今までありがとうね。もし僕のことをこれから聞かれたら脅されて部屋を貸してたとでも言っておいて。」でもそんなの・・・。
「この星で僕のことをどれだけ悪く言っても誰も怒らないよ。だって僕は、この星からは恐れられたいてはいけない存在なんだから。」
「でもそれじゃあ、地球人と宇宙人は離れていく一方だよ。いいの?」勇を悪く言わない限り私も殺されることは間違えないだろう。でもそうしたらこれからは・・・。
「いいの。姉貴のことが心配だけど、ほかの会ったことないような宇宙人たちよりも芽蕗を守ることの方が僕の中では上だ。他の宇宙人が全滅しても芽蕗が幸せになれる方法があるならそっちを選ぶ。僕はいつでも自分勝手なんだよ。自分の気持ちで動く。他のためになるからじゃない。自分が望むから動くんだ。」
お母さんの部屋には火薬や燃料が散乱していた。このポリタンクは軽油だろうか?
「そろそろお別れの時間。永遠のお別れ・・・。もし生まれ変われるとしたら・・・同じソラの下でまた笑い合おう。」別れるなんて嫌だ。
「さっき勇は自分のために行動するって言ったよね?なら私も。自分のために・・・一緒に・・・行く。」私の意思は変わらない。
「でも芽蕗・・・それって」
「最期くらい一緒にいたいっていうわがままを聞いてくれても良くない?それにこれは勇にも変えさせる権利はないわ。」勇が宇宙人でも私と同じ心を持った生命体。『地球人』が宇宙人を怖がっているのならば、私は『地球人』じゃない。
「わかった。それに芽蕗となら何もかも超えていける気がする。」そう言うと灯油のポリタンクを持った。
「芽蕗、こっちに来て。」二人で灯油を被った。
「勇・・・これからもよろしくねっ!」
「うん。こちらこそよろしく」これからもずっと一緒。
「そこにいるのは誰だ!」急にドアが開き銃を持った研究員達が部屋に入ってきた。
「私たちは宇宙人よ。地球人とただ交流がしたかった、仲良くしたかっただけの。」
「宇宙人は危険だ。排除する。」あの女に洗脳でもされてるのか。
「構えろ!」研究員達が私たちに拳銃を構える。
「でもこれだけは言っておくわ。」これが私の最期の言葉。
お母さん、姫、ゆきにさくら。ありがとう。でも私は決めた。勇についていく。勇の存在が許されないのなら私だって・・・!
「それは、本当に許されないことなの?」
私たち二人を囲む炎。もう誰も私たちの中は引き裂けない。宇宙人でも地球人でも関係ない。
私だって宇宙人。宇宙に共に暮らしている仲間なのだから。
さくらと家に帰る。結局、芽蕗とはあのお母さんが亡くなったテロ以来会ってないな。
すると突然さくらが走り出した。家とは逆の方、研究所の方?
塀の向こうに火の手が上がってた。
次の瞬間さくらが飛び乗った。二メートルはあるけど。
塀の上に立ってさくらが言った。
「益川勇。私の初恋の相手。最後まで自分の気持ちに馬鹿正直なやつだったな。本当に残念な最期だった。帰ったら結婚する約束も・・・。この星で宇宙人は死んで抵抗するしかないのか。地球人って怖いわ・・・。」
恋する宇宙人 〜それは、本当に許されないことなの?〜 完