弟は姉と彼の地にて斯く戦えり   作:バラナリ

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第十話 呼び出されたシスコン

右目の回りの黒々としたアザ、左の頬に真っ赤な手形紅葉、引っ掻かれた五本線の傷が伊丹の顔に張り付いていた。

 

「で、なんでこんなことに?」

 

ピニャ殿下は聞くのがとても恐ろしかったが、立場上尋ねざるをえなかった。ピニャの前には伊丹ら自衛隊の面々とボーゼス嬢、それにメイドさんである。

 

「右目の回りのアザは元々ついていたものよ。今回の騒動とは関係ないわ」

 

ロゥリィ、レレイ、テュカは証言して部屋の隅へ下がる。残されたのは、自衛官に両脇から取り押さえられていたボーゼス嬢である。彼女を残す形で富田たちは後ろへ下った。

 

ボーゼスは「わ、わたくしがやりました」と蚊の鳴くような声で言った。ピニャは深々とした溜め息をついた。

 

「この始末どうつけよう・・・」

「あのぉ、自分らは隊長を連れて帰りますので、それについてはどうぞそちらで決めて下さい。そろそろ明るくなって来ましたし・・・」

 

と富田が答える。これには咲人も完全なる同意見だった。

 

「(さっさと帰って休みたいな~、というか凄い眠い)」

 

咲人は半分目が閉じていた。一応厳粛な雰囲気なので何とか耐え、あくびを噛み殺して立ち尽くしていた。そこからは咲人はほとんど意識がなくなり、立ったまま寝ているような状態であった。そして意識を取り戻したのは「妾も同行させて貰う!!」というピニャの声であった。

 

 

 

 

帰りの車内でのこと。

 

「咲人、あんたさっき寝てたでしょ?」

「え・・・いやいや寝てないって」

「絶対寝てた。目閉じてたし」

「嫌だなぁ姉さん、立ったまま寝るわけないでしょ」

「あんたならやりかねない」

 

これには他も同意見であったようで、うんうんと頷いていた。

 

 

 

 

 

伊丹たちはピニャとボーゼスを連れてアルヌスへと帰還した。ピニャとボーゼスはどこかに連れて行かれた。咲人は自分の銃の整備をしていた。普段少しぬけてる咲人だがこういう日々の整備だけは欠かさない。すると一人が近づいてきた。

 

「栗林咲人三曹」

 

名前を呼ばれ、すぐさま立ち上がり敬礼する。

 

「自分は何かやらかしましたか?」

 

咲人は恐る恐る尋ねた。咲人自身は特に思いあたるものは無かったが、念のため確認した。

 

「いや、君に重要な任務だ」

「任務でありますか?」

「ああ、そうだ。ここでは何だから場所を変えよう」

 

咲人はそのままついていき会議室へ通された。会議室には咲人と上官の二人だけである。

 

「それで君の任務についてだが、これから一度日本へ戻って欲しい」

「今からでありますか?」

「ああ、かなり緊迫した状態なんだ。任務内容については迎えの車の中で伝えさせる。とにかく急いで戻ってくれ」

「了解しました」

 

咲人は言われた通りすぐに準備を済ませた。ここで言う準備とは日本の季節に合わせて冬服に着替えるということである。冬服に着替え指定の場所で待っていると、お迎えの車が到着した。そして車から一人の自衛官が下りてきた。

 

「初めまして、遠山です」

「栗林咲人です。よろしくお願いします」

「それでは行きましょう」

 

咲人は車に乗り込み、車は走り出す。そしてゲートをくぐり車は銀座へ出た。

 

 

 

 

 

 

 

車内には咲人と遠山の他にもう一人乗っていた。助手席に座っている彼も自衛官である。しかし、ふつうの自衛官とは違うのだ。

 

「どうも柏田と言います。これから今日からの任務について説明していきますね」

「は、はい。というか『今日から』ってどういう?」

 

咲人は普通とは少し違う雰囲気をまとう彼らを見て、少し緊張してしまった。

 

「これから数日の間任務についてもらいます。任務内容は要人の警護です」

「要人警護って俺は格闘戦そんなに得意じゃないんですが・・・。SPなんて出来ませんよ」

「栗林三曹は狙撃をお願いします。ですから心配いりませんよ」

「そうですか・・・・」

 

未だ車は走り続けている。はたして車はどこへ向かっているのだろうか。

 

「それで要人って誰なんです?」

「明日、国会で参考人招致あるのは知ってるでしょう?」

「ええ、知ってます」

「その彼女たちですよ」

 

咲人はそれを知って驚いていた。なぜ自分がこんな任務を与えられたのかが分からなかった。特殊作戦群のお手伝いという形での参加でる。

 

「あのぉ、なぜ自分が呼ばれたのですか?」

「ああ、ある人があなたを推薦しましてね。それにあなたの実力も皆が知っていますし」

 

助手席の柏田が答えた。柏田が話したように咲人それなりに有名人である。だが咲人本人はそのことをあまり知らない。

 

「誰が自分を推薦したんですか?」

 

咲人が質問を投げ掛けたが、ちょうど目的地へ着いたこともあり、会話が途切れてしまった。そのまま遠山と柏田についていきそのままビルへと入っていった。

 

「そういえば栗林三曹を推薦した人のことなんですが、今ここにいるので会ってからのお楽しみです」

 

そして再び歩き始める。

 

 

 

 

 

咲人が入ったのは市ヶ谷にある防衛省のビルである。そこで咲人を待っていたのは、咲人にとって驚きの人物であった。

 

 

 

 

 




今回は栗林姉弟の絡みがあまり無かったですね。まあたまにはこんな時もあります笑。
今回からオリジナル要素が増えてくるので、独自の展開になると思います。というより伊丹たちの裏で活躍する形ですかね。

感想、アドバイスなど何でもいいのでお聞かせ下さい。皆さんの声が力になります。
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