弟は姉と彼の地にて斯く戦えり   作:バラナリ

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第十三話 監視

寒空の中何時間も外で待機した咲人の仕事はまだまだ続く。国会の次はレレイたちの泊まるホテルの監視、警備であった。咲人たちは先回りして既に仕事に取りかかっていた。

 

ホテルの目の前にあるビルの一室から、ホテルを監視していた。もちろんここにも狙撃銃がある。

 

「えっ? あのマイクロバス伊丹二尉とか乗ってなかったんですか!?」

「来る途中で色々と邪魔が入ったらしくてな、電車で移動してるよ」

「じゃあ俺たち外で待ってる必要なかったじゃないすか。めっちゃ寒かったのに」

「俺だってさっき知ったんだ。仕方ないだろ」

 

渡辺と咲人は窓からホテルに出入りする人を見ていた。

 

「そういえば怪しい人がいたら、どうすればいいんです?」

「基本は下にいるヤツに知らせるだけでOKだ。あとは勝手にやってくれる」

「敵さんが表れたら、撃っていいんですか?」

「明らかな敵は撃って構わないけど、よく分からないのは止めておけ。あくまで援護がメインだ」

「了解でーす」

 

外はすっかり夜になっていて、クリスマスシーズンの煌びやかな風景が広がっている。

 

「あと少しで到着するみたいだから、気引き締めろよ。ついさっきも、ひったくりに襲われたらしい」

「穏やかじゃないですね。にしてもちょっと強引過ぎな気がします」

「それだけ向こうも焦ってるんだろう。だからこっちも力負けしないように準備してるわけだ」

「渡辺さん、伊丹二尉たち来ましたよ」

 

ホテルに向かって伊丹たちが歩いていた。傍から見ると異様な光景である。スーツを着た伊丹はそこいらのサラリーマンとまるで大差がない。それに加えてレレイやテュカ、ロゥリィと言った外国人のように見える人を連れているのだ。かなり見た目が怪しい集団だ。もちろんその中には姉の志乃と富田もいる。

 

「咲人、銃の準備しとけ。何があるか分からんからな」

「了解」

 

伊丹御一行はそのままホテルへと入っていった。しかしホテルの中だといって安心は出来ない。そのままホテルの出入口を監視を続けた。

 

 

 

 

 

 

 

 

伊丹たちがホテルに入ってから少したった頃、ホテル内に非常を知らせるベルが鳴り響いていた。ベルは咲人のいるビルにも聞こえ、特戦の渡辺は無線で状況を確認していた。

 

「何があった?」

『ホテル内で火災が発生。放火の可能性あり、出入口の監視を徹底しろ』

「出入口の監視って言われてもな、中から人がわんさか出て来てそれどころじゃないぞ」

『とにかく怪しい人物がいないか探せ、特に外国人は要注意だ』

 

これは渡辺と他の特戦との無線である。これを横で聞きながら咲人は出入口をひたすら見ていた。だが怪しい人物探しではない、自分の姉を探していたのだ。実際、火災のパニックの中で怪しい人物を探すのは難しい。志乃を見つけることが出来ればその近くに伊丹やレレイたちもいると判断したのだ。これはあくまで建前で単純に姉の安否が心配だっただけだが。

 

「渡辺さん、大変です!!」

「どうした!?」

「伊丹二尉たちがいません」

「おいおい、マジかよ」

 

渡辺も出入口周辺を見るが伊丹たちの姿は見当たらなかった。そして、無線で下の特戦に確認した。

 

「どうやら下のヤツも見逃したみたいだな」

「部屋の中にはいないようですね」

「まったくこれじゃ大目玉だよ。こっちは」

 

渡辺は溜め息を漏らす。

 

「でも伊丹二尉のことですから、うまく逃げたんじゃないですかね?」

「まあそうだろうね、伊丹二尉は逃走のスペシャリストだからな」

「スペシャリストですか・・・、なんかすごいですね。でもこれからどうしましょう? 行方が分からないんじゃ仕事も出来ませんよ」

「まあそこは上が決めるだろうよ。お前さんがこれからどうなるかも上次第だな」

 

咲人は嫌な予感を噛みしめていた。元々、咲人は運が良い方ではないのだ。嫌な予感がしたら大抵当たるのが咲人である。

 

 

「すっごく嫌な予感がする」

 

 

咲人の呟きは誰にも届かずに消えた。

 

 

 

 

 

 

 




ここ数話一発も銃撃ってないとか、超平和だなぁ(すっとぼけ)。次回予告をしますとやっと銃ぶっぱなします!

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