今回は話の区切りの関係上短くなっています。
伊丹、倉田、咲人が話していると、黒川二曹がやって来た。黒川は身長190センチにもなり、志乃と黒川を並べて第三偵察隊の凹凸WACと呼ばれている。咲人は黒川を見続けると首が痛くなるほどだ。
「とりあえず体温は回復して参りましたわ。もう大丈夫だとは思いますが・・・・これから、どういたしましょう? 私たちは、いつまでもここに居るわけには参りませんし、でも女の子をここに一人だけ残していくのも不人情な気もいたします」
小柄で気が短くて勇猛果敢な志乃に対して、大柄でのんびりでお淑やかという真逆の関係にある。
「助け出したものを放り出すわけにもいかないでしょ。分かりました、保護ということで彼女をお持ち帰りしましょ」
「二尉ならそうおっしゃって下さると思っていましたわ」
「僕って人道的でしょ?」
「さあ? どうでしょうか。二尉が特殊な趣味をお持ちだからとか、あの娘がエルフだからとか、色々と理由を申し上げては失礼になるかと存じます」
この言葉に三人は苦笑いした。そして、第三偵察隊は再び走り出す。半日近い行程を砂煙を巻き上げながらひたすら走り続ける。来るときよりもスピードを出していた。栗林姉弟は車内でも話していた。
「これからコダ村かぁ、今回はあんまり長居できなさそうね」
「村に危険を知らせるだけだし、知らせたらすぐアルヌスに戻らないといけないから」
「そうだよねぇ、残念だな~」
「そんなに子どもと遊びたいの?」
「そりゃ普段そんなに機会があるわけじゃないし」
自衛隊は子どもと触れ合う機会は決して多くはない。それ故である。志乃は結婚願望が強い、そのため何度か咲人も同期を紹介したが全員ノックアウトされた(物理的に)。そもそも志乃より強い人というのは自衛隊でも限られている。そして、コダ村に到着した。伊丹が村長に片言だが村長に説明していた。
村長に説明を終えるとすぐに村全体に伝えられ、村があわただしくなっていた。村人全員で逃げ出すらしい。すぐに町の道は荷車で埋まった。こうなるともちろん問題もおきるわけで、荷車が壊れ道を塞いでしまったのだ。そこで伊丹の指示により村の人の手助けを開始した。
咲人は倉田たちと共に壊れた荷車の撤去に取りかかっていた。桑原陸曹長が撤去の指揮を取る。
「この荷車はもう壊すしかない、荷物を取りだして解体するぞ」
「「「了解」」」
荷車の持ち主は壊れた時にケガを負ったようで、その子どもの方は黒川が応急手当てをしていた。荷車の取り出しはすぐに終わり、解体に取り掛かる。この手の仕事は災害派遣で活躍する自衛隊とあって、速やかに行われていく。
「解体した木材は端に寄せて邪魔にならないようにしろ」
「「「了解」」」
桑原の指揮により、荷車の撤去は終わりが近づいていた。また倒れていた馬がパニック状態となり黒川とプラチナブロンドの少女にのしかかろうとしたが、間一髪で事なきを得た。
その後、伊丹率いる第三偵察隊は村人の逃避行に同行すことになった。しかし、そこでも問題が発生していた。荷車に荷物を乗っけ過ぎたせいか、いくつかの荷車が破損したのだ。そこで、伊丹は持てるだけ持たせたあと荷物を焼き払った。そして、子どもは伊丹の乗る車両に乗せた。栗林姉弟の乗る七三式トラックには、狭い荷台に怪我人や産婦が乗っていた。
ゆっくりとキャラバンは進み、しばらく進んだあたりで前方にカラスの集団を見つけた。そして、どうやら人もそこに居るらしく勝本と東がその人に近づき話しかけるが相手にされなかった。先頭を走る伊丹の車両が近づいたところで、車両に乗っていた人が下りてその人方へ向かっていった。栗林姉弟も車両から下りてその様子を見る。そして村の人が集まる場所には巨大な斧を持った少女がいた。
「あの服装、なんだかすごいわね」
「日本でいうゴスロリに近いのかな」
「それより、なんだか村の人が集まって祈りを捧げているみたいだけど」
「この世界の宗教的権威者みたいだね。となるとあの服装にも何か意味があるのかも」
「この世界の宗教って何か、すごいわね」
その少女は高機動車に乗り込んでいった。そして、中が騒がしくなっている。伊丹と倉田の叫び声が少し離れた咲人たちにも届いていた。
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