弟は姉と彼の地にて斯く戦えり   作:バラナリ

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今回は箸休め的なお話です。


第四話 シスコンとは

コダ村のキャラバンを見送った第三偵察隊は身寄りのない子どもや、傷病者をアルヌスまで連れていくことにした。これは伊丹の判断であり、第三偵察隊の総意であった。七三式トラックと高機動車に計二十三名を乗せ、アルヌスへと帰還した。

 

 

 

帰還するや否や、伊丹は住民を連れてきたことでお偉い方に呼ばれてしまっていた。第三偵察隊はしばしの休暇が与えられる。しかし、休暇といいつつもやるべき仕事があった。それは連れてきたコダ村の人々のことである。連れてきた人達の住む場所や食べ物など伊丹が手配し、それを第三偵察隊で手分けをして手伝っていたのだ。

 

第三偵察隊の男連中は主に仮設テントの組み立てを行っていた。二十三人が住むためのテントを次々と建てていく。それに対して凸凹WACはレーション、衣服の準備や村の人々との交流をはかっていた。

 

 

数日後、休暇を与えられていた咲人は仮設住居の部屋でゲームをしていた。基地の中には電気も通りゲームも出来るのだ。やっているのは『ドラクエ』、特地に来て再びやりたくなったらしい。ちょうどドラゴンを倒したところで、咲人のケータイが鳴る。

 

「もしもし、姉さん? 何かよう?」

「今暇でしょ? ちょっと来て欲しいんだけど」

「俺、今忙しいんだけど・・・」

 

と言ったタイミングで、主人公のレベルが上がり独特の音楽が流れた。

 

「どうせゲームしてんでしょ? それだったら外に出てきなさい」

「今日休みじゃん、 今日はゆっくりしたいんだけどぉ」

「さっさと外に出てきなさい! じゃないと無理やりにでも連れてくから」

「どうぞご勝手に~。今日の俺は部屋から出ないから~」

 

直後プツッと電話が切れ、咲人の部屋の扉が凄まじい勢いで開いた。咲人が後ろを向くと、そこには目だけが笑っている姉の姿があった。すぐに危険を察知し、身構えようとするが時すでに遅し。瞬く間に咲人は姉の前に屈した。咲人は後ろ襟を掴まれ、そのまま引きずられながら外に出された。

 

志乃がわざわざ咲人を呼び出した理由は、語学勉強のためである。レレイや子ども達に日本語を教えて欲しいと頼まれたからだ。

 

レレイと子ども達は栗林姉弟、黒川を待っていた。黒川はすぐにやって来たが、栗林姉弟がなかなか来ない。黒川が来てから20分後、栗林の姉が弟を引きずってやって来た。

 

「ごめん、遅くなって。咲人を引きずってたら遅くなっちゃった」

 

当の咲人はまるで魂が抜けたようであった。志乃は咲人の顔を一発殴ると、咲人は息を吹き替えした。レレイはこの姉弟の様子をまじまじと見ていた。

 

全員集まったので語学勉強を兼ねた見学会を始める。見学というのは、アルヌスに建てられた自衛隊の基地である。レレイは気になったものを指差し、名前を聞いていく。

 

「uma-seu seru?」

 

この世界の言葉で「これは何?」という意味の言葉らしい。志乃が答える。

 

「あー、これは自販機よ」

「zihanki?」

「そう自販機よ。ちょっと見ててね」

 

志乃はお金を取りだし、自販機にお金を入れていく。

 

「好きなの選んでいいよ」

「・・・・?」

 

言葉だけでは伝わらないので、志乃は身振り手振りでうまく伝えると、レレイは光っているボタンを押す。するとガシャンという音と共に何かが出てきた。志乃は自販機から取りだすとレレイに手渡す。レレイが押したのは缶のオレンジジュースだった。レレイはその冷たさに驚いていた。またレレイは開け方が分からず、缶を様々な角度から眺め開け方を模索していた。

 

志乃は見ていられなくなり、「ちょっと貸して」と言ってレレイから缶を受けとる。そしてカシュッという音と共に缶を開け、再びレレイに手渡した。

 

レレイは缶に開けられた穴をしばし見つめ、飲み始める。すると気に入ったようで、何度も頷いていた。そうして少しづつ確実に日本語を覚えていった。

 

 

一方の咲人は子ども達で苦労していた。基地には危険な場所があるため、危ないとこに行こうとした子を止めたり遊んでくれとせがむ子どもに苦戦していたのだ。

 

「そっち危ないからダメだって! あー、そっちもダメだってば!! 遊びたいならテントの方に戻ってからって、だからそっちは行くな!!」

 

レレイは咲人と志乃を指差して、何かを聞いてきた。最初、黒川と志乃は何が知りたいのかが良く分から無かった。レレイにはとっくに名前を教えているので、物覚えのいいレレイが今さら栗林姉弟の名前を聞きたいわけではないと予想できた。

 

「うーん、咲人とわたしの何が知りたいんだろう?」

「うーん、そうですね」

 

黒川と志乃が鵜なりながら思案していると、レレイが身振り手振りで伝えようとしていた。志乃はそれを見ていまいち分からなかったが、黒川わかったようだ。

 

「二人の関係は"きょうだい"って言うの」

「kyoudai 」

「弟の方は"シスコン"とも言うわね」

「shisukon?」

「そうシスコンよ」

 

黒川の毒舌と共に、誤った情報が伝えられ志乃は慌て出す。志乃自身も弟のそれに若干であるが思うところはあった。しかし、レレイに間違った使い方をされると面倒なので必死にシスコンを訂正する。あと一応、弟の尊厳を守るためだ。そもそも咲人に尊厳があるのか甚だ疑問だが・・・・。

 

「レレイちゃん!? 咲人とわたしは"きょうだい"なんだけどね、シスコンではないから!!(若干そんな気もしないわけではないけど)」

 

レレイはしばらく考えたのち、頷いた。果たしてレレイが本当に理解したのか志乃は不安ではあったが、理解してくれたと思うしかなかった。

 

 




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