偽書魔法少女しゅな☆マギカ PSEUDEPIGRAPH PUELLAMAGI SYUNA MGICA   作:ジャックノルテ

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第2話 どうして私を知っているの?

 工事現場を後にしようとしたわたしはとりあえず魔法少女としての服装から元の服装に戻そうと強く念じるとわたしの服装は元の赤いワンピースへと戻った。

 右の手の平には茶色に輝くソウルジェムが卵形の形をして治まっていたけどマミさんや杏子さん達の様にわたしも指輪型にしようと念じて見ました。

 念じた通りにソウルジェムはわたしの右の中指に指輪に変化した。

 工事現場をそっと抜け出して街道の様子を見ると忙しそうに人が行き交っていました。

「もしかして・・・。朝なのかな?」

 そっとわたしは呟くと直ぐに街道から離れると隠れられそうな場所を習慣的に探した。

《魔女》を引き寄せていた頃のわたしは普通の子供が学校に行っている時間に街をウロウロしていると警察に声をかけられ補導されると言う事が解っていたからでした。

 直ぐに建物の影に隠れたけど私は思い出しました。

 

 

 わたしは今、《魔法少女》何だと。

 

 

 それにわたしは未来を知っているからみんなを助けられるかもしれなかった。

 まず何をすべきかわたしは考えてみた。

《魔法少女》の使命はこの世に災いをもたらす《魔女》や《使い魔》と戦う事だとマミさんがわたしにそう語っていました。

 それを思い出してわたしは《ソウルジェム》を右の手の平に出現させました。マミさんは確か《ソウルジェム》が《魔女》や《使い魔》の結界を探知すると以前、話してくれた。

 だからわたしも《魔女》か《使い魔》の結界を探して行けばマミさんか誰かに会う事が出来るかも知れなかった。

「確か・・・。さっきの工事現場を出た後にわたしはマミさんに会ったんだっけ?」

 その後、色々な事があり過ぎて私も正確な事が思い出せなかったけど、わたしは心を決めて街道に出て右手にしっかりと《ソウルジェム》を握り締めると人ごみの中を歩き出しました。

 当ては無かったのでとりあえず駅から離れて行く方向に歩いていると大きなビルの壁面に巨大なテレビが付けられているのが見えました。

 見てみるとニュース番組が放映されていてわたしは道の端によると足を止めてニュースに目を向けた。

(このニュース番組は確か番組の最後に曜日と時間を知らせてくれる筈)

 そう思ってニュースを見ていると曜日と時間が映し出された。

 今日は土曜日の午前中・・・。

 それならわたしが出歩いていても誰も不信に思わない時間帯だ。

 時間帯を知ってわたしの気持ちは軽くなり緊張していたわたしの歩き方もリラックスした物に自分でも分かる様に変化した。

 そうやって暫く街を歩いていると

 

 

 キーン

 

 

 と言う何か嫌な感覚がわたしの中に響いた。

 その嫌な感覚はわたしを縛っていたあの大嫌いな《右目の呪い》が《魔女》や《使い魔》を引き寄せた時に近い感覚!手の平にある《ソウルジェム》を見てみると光の明滅をしていた。

 確か光の明滅が速くなる方角に《結界》がある筈・・・。

 マミさんから教えて貰った知識を元にわたしは《ソウルジェム》が反応する方向に足を速めた。

 わたしの《ソウルジェム》は火災で焼けたと思われるビルを指していた。

(ここには《魔女》や《使い魔》がいるのかも知れない・・・)

 そう思うと怖かったけれどわたしは勇気を振り絞ってビルの中に入って行った。

《結界》の入り口は簡単に見つかった。

《ソウルジェム》が反応のある場所でわたしが手を翳すと直ぐに入り口が姿を現した。

 わたしは怖かったけれどそれでも《魔法少女》としての姿に変身すると勇気を振り絞って《結界》の中に入り込みました。

 手に持ったボーガンが少し重くて手に汗を書いていたけどわたしはゆっくりと少しずつ《結界》の中を進んで行きました。

 その時、鳥の様な何かがわたしに飛び掛って来た。

 驚いたわたしが鳥の様な何かの突進にそのままぶつかってしまった。

 悲鳴を上げたわたしはそのまま《結界》の中にある通路を勢い良く転がってしまった。

「うう・・・」

 わたしが顔を上げるとそこへ鳥の様な何かが再び突進をして来た。

(後僅かでわたしにぶつかって来る・・・)

 そう思った時、わたしは反射的にボーガンを鳥の様な何かに向けて発射した。

 ボーガンから放たれた矢は当てずっぽうで発射したにも関わらず鳥の様な何かを貫き消滅させた。

 呆然と暫くその様子を見ていたわたしはようやく今、戦っていたのが《魔女》の産み出す《使い魔》だったと思い至った。

 痛む体に鞭を打つ様にわたしは目に涙を滲ませながら立ち上がった。

 今度はボーガンをちゃんと構えて前に進んで行った。

 進んで行くと曲がり角にあたりわたしがそっと曲がり角から様子を窺うと道の先には先程と同じ鳥の様な《使い魔》が獲物を求める様に同じ場所を行ったり来たりしていた。

 さっきみたいに突進されるかも知れなかったけれど、わたしは意を決して曲がり角から飛び出すと《使い魔》に向けてボーガンから矢を発射した!

 発射された矢はわたしが思った通りに《使い魔》を貫き消滅させた。

 ここに至ってわたしは自分の持っているボーガンの能力を把握した。

 このボーガンから発射される矢は発射すると自動的に相手に向かって飛んで行く。

「怖がりなわたしに合っている武器だ・・・」

 自虐的にそう呟きながらわたしはまた歩を進めた。

 やがて結界の奥に潜む《魔女》とわたしは対峙した。

 鳥かごの中に腕から下の部分だけを収めた様な姿をした《鳥かごの魔女》にわたしは迷わずボーガンから矢を発射した。発射された矢は《鳥かごの魔女》に命中するが《鳥かごの魔女》に効果は無い様だった。

 けれど《鳥かごの魔女》からは私でも分かる程、恐ろしい殺意が向けられた。

 恐怖から思わずわたしは涙を溢れさせて足を縺れさせてその場に崩れ落ちてしまった。

 そこへ《鳥かごの魔女》の入る鳥かごから次々と鳥の羽がわたしに向かって飛んで来た。

 恐怖からわたしは動く事すらままならなかった。

 

 

 次々とわたしの体や服に鳥の羽が刺さって行く。

 服に刺さった羽がわたしを地面に抑え付けわたしは次々と来る羽をかわせなかった。

 腕に、足に、体に次々と羽が刺さって行く。

 余りの痛みにわたしは悲鳴すら上げられなかった。

 刺さった部分から血が流れ痛みからわたしの意識は遠のいて行った。

 

 

 わたしは何も出来ないまま死んでしまうの?

 思うと同時に頬を涙が伝った。

 そこへ《鳥かごの魔女》は追い討ちをかける様にわたしの顔に鳥の羽を飛ばそうとした。

 わたしは思わず恐怖から顔を背けようとした。

 

 怖かった。

 

《魔法少女》になってもわたしは臆病な少女のままだった。

《魔女》や《使い魔》と戦うと言う事を出来なかった。

 わたしがそこまで思い至った時、突如として《鳥かごの魔女》が爆発に包まれた。

 無数の爆発が連続して起こり《鳥かごの魔女》は苦悶の声を上げながら消滅して行った。

 爆発から生じた煙の中から誰かが歩いて来た。

 その特徴的な長い髪を見てわたしにはそれが誰か分かった。

「暁美さん!」

 わたしに呼ばれた暁美さんは驚いた表情を見せた。

「朱奈!?どうしてここに?それにその姿!まさか!?」

 暁美さんは矢継ぎ早に疑問を口にしたがわたしはそれに答える事が出来なかった。

 同時に結界は崩れわたしと暁美さんは元の火災の起きたビルへと戻った。

 けれどわたしの体に刺さった鳥の羽は消えたけどわたしの体には多数の傷が残ったままだった。

 わたしの様子を察した暁美さんはわたしの腕を取って傷を見た。

「これ位なら魔力を傷口に集中させれば直ぐに治る筈よ。とにかく治して」

 暁美さんに言われてわたしは傷口に自分の魔力を集中させる事を試みた。

 すると魔力によって傷が治って行き10分後にはわたしの腕は動けるまでに回復した。

 その間に暁美さんは《鳥かごの魔女》が落としたグリーフシードを拾い蹲ったままのわたしに質問をぶつけて来た。

「朱奈・・・。どうして私を知っているの?私はあなたと初対面の筈なのだけど?」

 暁美さんは真顔で慎重に言葉を選んでいる様だった。

「わたし・・・。その・・・。未来から来たの!鹿目さんが魔女になった未来から来たの!」

 わたしは隠し通さずに根本的な事を話しました。

 その言葉を聞いて暁美さんの表情が変わりました。

「じゃあ、あなたは私が銃を突き付けて見捨てた朱奈なのね?」

「え!?」

 どうしてこの時間の暁美さんはわたしが銃を突き付けられた事を知っているのだろう?

 それに暁美さんは初めて会った時からわたしの事を知っているみたいだった。

 すると・・・。

 点と点が繋がる様にその時、わたしは初めて暁美さんもわたしと同じく未来から来たのだと悟った。

「私の事はどうでも良いわ。それより朱奈。何故、契約してしまったの?そもそもあなたは契約を出来ない筈」

 暁美さんは特にその事を疑問視しているみたいだった。

「全部、話します・・・」

 わたしは順を追って暁美さんに説明した。

 暁美さんと別れた後、突然、出来なかった筈の契約が可能となった事。

 わたしの願いは《わたしの大切な人達がいた時間に帰りたい》だった事。

 謎の少女と共に時間を移動するがその途中で少女とは時空間で離れ離れになり自分だけが見滝原に漂着し《鳥かごの魔女》の《結界》を発見して戦いを挑んだ事を。

 わたしの話を全て聞いた暁美さんは難しい顔をして口を開いた。

「そう・・・。恐らくあなたはその少女が何かをしたからこそ契約出来る様になったのね」

 暁美さんにそう言われて私は気が付きました。確かにわたしは謎の少女と出会ってから契約を行えた。

 暁美さんに言われてわたしは初めて自分が契約をしてしまった事の重要性に気が付きました。

「恐らくあなたはその少女に利用されたのよ。あの崩壊する世界から逃れる為に」

 暁美さんは表情を見せる事無くわたしにそう告げた。

 わたしは利用された?

 けれどわたしは、利用されたのかも知れないけれどわたしは・・・。

 わたしの大好きな人たちがいる過去に戻りたかった。

「でも!わたしは・・・。わたしは・・・。私の大好きな人たちにまた会いたかったの!」

 わたしは思いの全てを暁美さんに伝えた。

 けれど暁美さんは表情を変化させる事無く冷たい視線でわたしを見つめていた。

「それがイレギュラーを起こしているのよ」

「イレギュラー?」

 暁美さんの言葉にわたしは首を傾げました。

 イレギュラーは確か不規則な事を現す言葉・・・。

 けれど暁美さんが何故、そんな事を言い出しのかわたしには解らなかった。

 わたしの表情を見た暁美さんは暫くしてまた口を開きました。

「本来なら・・・。私はこの見滝原に来た三日間の間にこの周辺で巴マミと遭遇する事が多かった。けれど・・・。何故?何故、ここにも巴マミは現れないの?あの巴マミが《魔女》の結界を見逃す筈が無いわ。もう既にこの時間では何かが起き始めているのよ。あなたが原因となって」

 冷静に解り易く暁美さんはわたしにそう告げた。

 それを聞いてわたしは・・・。

 わたしがこの時間に来てしまった事が暁美さんにとって、とても・・・。良くない事だと悟ってしまった・・・。

「こんな事じゃ・・・。またまどかを救う事が出来ないかも知れない・・・」

 その言葉と共に暁美さんはわたしに苦悶の表情を見せた。

「どうすれば良いの?」

「?」

 わたしがそう言うと向き直りながら暁美さんは再び表情を隠した。

「どうすれば鹿目さんを助けられるの!わたしが原因で悪い事が起きてしまうのならわたしはそれを食い止めたい!わたし・・・。鹿目さんにもうあんな姿になって欲しくない!」

 包み隠す事の無いわたしの本音だった。あんな事になる位ならわたしはそれを変えたい。

 鹿目さんを助けたい!

「そこまで言うのなら・・・。朱奈。あなたを利用させて貰うわ。鹿目まどかを助ける為に私はあなたを利用するわ。それでも良いというの?」

 冷静な眼差しで暁美さんはわたしを見つめていた。

 暁美さんの眼差しが少し怖かったけれどわたしは頷いた。

「利用されても良いから・・・。わたしは・・・。鹿目さんを助けたいの!」

 わたしは目に涙を浮かべながら暁美さんに訴えた。

「なら私はあなたを利用させて貰うわ」

 そう言って暁美さんは蹲ったままのわたしに右手を差し伸べた。

 わたしはその手を握って立ち上がった。

「けれど朱奈。私はまどかを助けたいだけよ。あなたとまどか。どちらかを取るとなれば私はまどかを取るわ。それにあなたが《魔女》になったら私はあなたを殺すわ。それでも良いの?」

「良いの。それでも良いから・・・。わたしは鹿目さんを助けたいの・・・」

「そう・・・。そう言う覚悟でいてくれると助かるわ。付いて来なさい」

 そう言って暁美さんは《魔法少女》としての姿を解くとこの場を後にしようと歩き始めた。

 わたしも慌てて《魔法少女》としての姿を解くと暁美さんの後を追った。

 暁美さんが鹿目さんを助ける為にわたしを利用する・・・。

 鹿目さんを助ける為なら暁美さんはわたしを捨ててしまう・・・。

 その事が解っていたけれど、わたしは、わたしがここに来てしまった事で起こったイレギュラーの責任を自分に出来る事で果たす為に暁美さんに付いて行く事に決めた。

 例え暁美さんがわたしを捨てたとしても、わたしはそれでも・・・。

 わたしが大好きだった人たちに生きていて欲しかったのでした。

 

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