偽書魔法少女しゅな☆マギカ PSEUDEPIGRAPH PUELLAMAGI SYUNA MGICA 作:ジャックノルテ
幕間2 あたしが詮索する様な事じゃ無いよね
見滝原市立病院。
背負う様に鞄を背中から持った1人の少女が待合室を抜けて正面口へ出て来た。
見滝原中学校の制服を着てショートカットの少女は少し残念そうな表情を見せていた。
「今日は都合が悪いか・・・。まあ仕方ないよね。CDは今度、渡せば良いし」
自分の気持ちに折り合いを付ける様に少女はそう呟いた。
「あれ?」
少女の視線の先には病院の入り口があった。
その入り口から自分と同じ見滝原中学の制服を着た長い黒髪の少女が駐輪場の方に向かって歩いているのが見えた。
そしてその後を自分より2つ程、年下の少女が追い駆けているのも。
「あれ・・・。転校生だよね?病院に何か用でもあるのかな?」
そこまで呟いて少女は転校生が心臓の病気で入院していたのを思い出した。
「まあ、あたしが詮索する様な事じゃ無いよね」
そう納得すると少女は再び歩を進めた。
病院の入り口から自宅へと続く歩道を歩き数人の人達とすれ違っていると突如として体の力が抜けた。
「え!?」
驚く少女だったが自分でもどうにも出来なかった。
腕も足も体中の全ての力が抜けて行く。
それに意識までも抜けて行く感じだった。
まるで心までも抜けて行く様な。
自分が地面に倒れ込むのを認識したのと同時に少女の意識は途絶えた。
SIDE 美樹さやか
幕間3 諦める訳には行かない
SIDE 暁美ほむら
朝の見滝原中学校・・・。
二年生の校舎で暁美ほむらは教室で朝のホームルームの始まりを待っていた。
「おはよう」
「おはようございます」
そこへいつもとは若干、声の調子が暗い鹿目まどかと志筑仁美が2人で登校して来た。
(おかしい・・・。美樹さやかの姿が無い。一体、何故?)
そう思った暁美ほむらだったが自分が必要以上に鹿目まどかと接触をするのは避けた方が良いと言う理性が働き鹿目まどかに聞いて確かめようとはしなかった。
どの道、朝のホームルームである程度の情報が手に入る事が織り込み済みだった事も関係していた。
予鈴が鳴り響くと同時に担任である早乙女和子先生が教室に入って来た。
「えー。出席を取りたいと思いますがその前に皆さんに伝えておく事があります。クラスメートの美樹さやかさんですが昨日、病院に入院して今日はお休みです。皆さんもくれぐれも体調には気を付けて下さい。それじゃあ出席を取ります」
早乙女先生の言葉を聞いて暁美ほむらは再び違和感を覚えていた。
(おかしい。美樹さやかが入院するなんて事は今まで無かった筈。また新しいイレギュラーが起こっていると言うの?)
「暁美さん?」
早乙女先生が怪訝な表情で暁美ほむらを見つめている。
「あっはい」
出席の確認をしていた事を思い出して暁美ほむらは慌てて返事をした。
「どうしたんですか?出席の返事はちゃんとしなくては行けませんよ」
「すみません」
そう答えながらも暁美ほむらは美樹さやかが入院した事を調べる必要があると感じていた。
まずは入院の有無を確かめる。
それはとても簡単な事だった。
鹿目まどかが美樹さやかの入院先に今日、行かない事は無いのだから。
○
放課後になると暁美ほむらは鹿目まどかと志筑仁美の後をそっと付けていた。
予想通り2人は見滝原市立病院へと向かっていた。
2人は入院患者のいる病棟へ向かい病室の1つに入って行った。
それを見た暁美ほむらは人気の無い場所に向かうと瞬時に《魔法少女》としての姿に変身すると時間を停止させた。
停止した時間の中で2人の入った病室に入るとそこには微動する事の無い鹿目まどかと志筑仁美、それに中央のベッドには患者服を着た美樹さやかが元気そうな様子で笑顔を見せていた。
念の為に美樹さやかの左手の中指を凝視したがソウルジェムが変化した指輪は付いていない。
どうやら美樹さやかは契約をした訳では無さそうだった。
それを確認すると暁美ほむらは病室を出ようとした。
だがその時、停止した鹿目まどかの笑顔を見て様々な感情が湧き上がった。
けれどもその感情を押さえ込むと暁美ほむらは病室を後にした。
時間の停止した廊下を歩いていると杖を付いた上条恭介とすれ違ったが今の暁美ほむらにはその事を気に留める余裕が無かった。
そして病院内で人気の無い所で時間停止を解くと《魔法少女》としての姿を解きとそのまま病院を後にした。
(どういう事なの・・・。イレギュラーが多すぎる・・・)
暁美ほむらはこの時間軸におけるイレギュラーの多さに苛立ちを覚えていた。
巴マミは行方不明とされ、美樹さやかは入院する。
最大のイレギュラーは契約を行った朱奈がこの時間軸に表れた事だった。
調べてみると暁美ほむらが敵視している《魔法少女》として契約を行う筈の少女達も行方不明や原因不明の死亡事故等が引き起こされていた。
(何かが変わり始めている。この時間軸で何かが・・・)
自宅までの帰路を歩きながら今日の夜は《魔女》が出現する事を思い出していた。
(今夜は朱奈と《魔女》を狩りに行こう。あの約束の為に私は・・・。諦める訳には行かない)
暁美ほむらは自分自身への決意を確かめると足早に帰路を急いだ。
もう日は落ちる。