「すっかり遅くなっちゃった。母さんに怒られるな・・・」
辺り一面はすっかり暗くなっており、僕は一人呟く。今日は中学校の卒業式があり、その帰り寄り道をして、友人である松田、元浜、イッセー達とカラオケで盛り上がっていた。
気づけば夜の9時過ぎ。一応事前に遅くなると伝えてはおいたが、これ以上遅くなると両親も心配するし、お巡りさんに補導されかねない。その場はお開きとなり、3人と別れて僕は一人夜道を歩いている。
「まぁ、なんやかんやで4月から高校生。またあの3人と一緒の学校に通えるのは、正直心強いし、新しい学校生活も楽しくなりそうだ!」
僕がこの春から通うことになる進学校。
実際、僕の友人3人はその理由で進学しているし・・・。この3人にはある特徴がある。何を隠そう、すごくスケベなのだ!
彼は、僕の幼馴染であり、この3人の中で付き合いが一番長い。そして、すごく胸への執着心が高い。「おっぱい揉みてぇ~」などと日常的に独り言が外に漏れている点からして、明らかにギルティである。
そうなってしまった経緯に関してはいろいろあるのだが、この場での説明は割愛する。
しかし、それ以外に関しては3人の中で一番常識のある人間だと僕は思っているし、友達思いの熱い情熱を持ち合わせるいい奴で、親友だと僕は認識している。お互いに名前呼びしあえる同性の知人は、今のところ彼くらいだ。
そんな彼との付き合いがあって、僕はあの2人とも自然に仲良くなっていった経緯があったりする。
丸刈り坊主の爽やかなスポーツ少年にみえる彼だが、日常言語にセクハラ発言が交じるという残念な男だ。中学在籍中は、様々な記録を塗り替えてきたほどのスポーツ万能少年だが、その素行から『エロ坊主』という二つ名をつけられてしまっていた。普通にしていれば、モテたんじゃないかな?と常々思う所だ。
メガネをかけている友人。キザったらしい挙動が目立つが、喋らなければそんなにルックスは悪くない(と個人的には思っている)そんな彼は、メガネを通して女子のスリーサイズを計測してしまうという特技を持っている。ついたあだ名は『エロメガネ』『スリーサイズスカウター』
中々、濃キャラを持った面々である・・・。この3人、中学では、女子受けはよろしくはなかった。素行からして、覗きとかやっていたりしたものですから、下手したら生徒指導の対象になっていたかもしれない。
そんな3人と交友をもっていた僕こと、
個人的に、異性のことは勿論、エッチなことに興味がないわけじゃない。でも、3人に比べてオープンにすることができず(俗に言う、ムッツリスケベに該当するのだろう)
3人の発言や行動に不快感をあらわにしている女子に、さりげなくフォローをいれたりとか、3人の火消し役。そんな立ち位置にいた中学時代であった気がする・・・。
でも、やっぱりなんやかんやで彼らといるのが一番楽しいのである。
余談になるが、3人を更生させることも試みたが、結果はすべて失敗。純粋にエロさを求める少年たちの心って強いね!!願わくば、スケベな一面を更生し、出会いを含めて実りある高校生活を送ってほしい。
因みに、注釈をしておくと彼らと同じ学校に進学を決めたのは、出会いを求めてなどではない。幼馴染であるイッセーが進学を決め、もう一人の知人が既に在学しているという経緯があって進学することを決めたのだ!
不純な気持ちは一切ありません!ほんとだよ?
物思いに耽りながら、帰路を歩く。町はずれの公園を通り、5分ほど歩いた所が僕の自宅だ。
町はずれの公園に差し掛かったところで、街灯に照らされ、黒いコートを羽織った怪しい人物の姿を見つけ、僕は思わず立ち止まってしまった。
(この時期に熱くないのかな・・・?関わらない様にしよう)
黒いコートの人物の横を通り抜けようと歩きだした、その時だった!
「君、美味しそうな匂いがするね…。私が食べてあげよう」
「・・・!?」
そう低い声で語り始めた、コートの男。声音から、男だと判断できる。次に男に視線を移したとき、その男は黒い翼を腰から生やし、角を生やした異形の怪物へと変貌していた。
「なッ・・・!?」
その姿は、よくゲームや漫画で目にする、悪魔と呼ばれる生き物の風貌に良くマッチしていた。目の前で起きた出来事に、僕の頭は真っ白になり、言葉を失った。
(あいつ・・・今なんて言ってた?食う・・・って・・・)
僕は、じりじりと距離を詰めてくる悪魔――異形の怪物に対して、何とか意識を保ち、少しずつ後ずさり、公園に目がけて思いっきり駆け出した!!
(・・・食われてたまるか!!)
目の前の状況に、パニックになる思考を必死で整理して、今はこの異形の怪物から逃走するという選択をする!
「フフフ・・・。馬鹿だねぇ。逃げられるわけないだろう!」
男が怪しい笑みを浮かべなら、そう言い放った次の瞬間――――
「・・・・・ッ!!!!!」
公園の噴水付近に差し掛かったところで足に激痛が走り、僕は地面に倒れこむ。地面には、僕の足から出ているおびただしい量の血が流れ出ていた。
(痛い!!痛い!!痛い!!!痛い!!!)
声にならない声を上げつつも、僕は必死にはいずりながら、男から逃げようとする。
「人間にしては、よく頑張ったよ。褒めてあげよう!しかし、ここまでだ!!」
獲物を狩る狩人は、とても楽しそうな口調で僕に語りかける。その怪物の腕が、鋭いナイフのような形状に変化し、僕の心臓を貫かんとばかりに、迫ってきていた。
(こんな、わけのわからない状況で、僕は、死ぬの・・・?)
交通事故などで、あるいは特定の状態において、人は周りの景色などがスローモーションに見える時があると聞いたことがある。
僕が体験しているのは、まさにそんな状態。男が突き出す腕がひどくゆっくりに見える。しかし、抵抗し抗う力は僕にはなかった。このまま、僕は死んでしまうのだろうと思っていた、まさにその時---
「退け。そやつは主のような下賤な輩が触れていいものではない」
辺りに高く凛と響く声が轟き、視界を強烈な閃光が襲った。
「眩しッ・・・」
目が眩むような光が収まった後、目を開けると、さっきまで僕を襲おうとしていた怪物の姿は跡形もなく、代わりに立っていたのは・・・
「我が友との盟約により、お主を助けに参上した」
真紅に光り輝く一匹のドラゴンの姿がそこにあった。
「…君は…?」
怪物に負わされた傷で出血多量がたたった為か、生命の危機を脱したという安堵感からだろうか。僕は段々薄れていく意識の中、その言葉を紡ぎだす。
「…その問いに答えたい所じゃが、今はその時ではない。先ほどの悪魔を倒した事により、力を感知した輩がいつここに現れるやもしれぬ。お主の傷を癒し、住処へ送り届ける。次に目を覚ました時、お主の疑問に答える事を約束しよう。今はゆっくり休むがよい」
紅の竜はそう優しく僕に語りかけ、その言葉を耳にした後、僕は意識を手放していた。
なんとなく、テンプレな展開になってしまいました。お読みいただきありがとうございました。ご意見、ご感想などお待ちしております。次回は8月1、2日に投稿予定です。
2015年7月29日 一部文章を追記、変更いたしました。