超能力生徒ミノリ 作:ディスク
さて、女として生まれて12年…俺は小学校を卒業し、父親に呼ばれていた。
「実梨、中等部に進学しなさい。」
いきなりそんなことを言われて呆然としてしまった…あ、実梨(みのり)というのは俺の転生した後の名前だ。
「…ちょっとまて。」
俺はこの父親を言ったことをようやく処理し終えるとそんな言葉が出てきた。ちなみに俺の言葉遣いはそのままで格好もボーイチックなものだが矯正されることはなかった。理由?基本フリーダムに育てるのがこの家、時野(ときの)家の方針らしい。だから苗字を含めると時野実梨だ。これで名前が実(みのる)だったら完全に皐月賞、ダービーを制した史上初の無敗の二冠馬の名前だ。
「なんだ?」
「麻帆良学園の中等部って男女共学じゃないよな。」
そう、麻帆良学園の中等の部は男女共学ではなく男女別学だったはずだ。初等部は共学だから良かったものの中学で別学になったら男としての誇りがなくなりそうだ。
「馬鹿者!」
クワッ!と目が開くと父親は口を開けた。
「私の可愛いみのりんに害虫を一切寄せ付けんために男女共学なんぞ通わせられるか!」
それが理由かよ…
「親馬鹿も程々にしろ!つーか俺の言葉遣いで惚れる男がいるのか?」
「中学時代の母さんと同じ言葉遣いだから私は不安なのだ!」
「…ダメだこりゃ。」
「おお!行ってくれるのだな!」
「おい!誰も行くなんて言ってねえぞ!」
「はっはっはっ、照れるでない。もう手続きは済んでいるが念のために聞いておきたかったのだ。」
「このクソ親父が…!」
俺は一発この父親を殴った。
「ぐふふふっ…反抗期が来て嬉しいぞ。みのりん…げふっ!」
みのりんというあだ名がイラっとくるのでもう一発殴っておいた。
「しかし面倒なことをしてくれやがるぜ。」
麻帆良学園の女子中等部の生徒は大半が全寮制の相部屋…つまり二人以上で生活するということだ。正直言って自分のプライバシーの時間がなくなるから個室にしてもらおうと俺は学園長室に向かっていた。
…ちゃんと電話で連絡もしたんだが「そういう事は学園長にお任せしているので。」と一蹴されてしまった。
「寮の個室について連絡した時野だが。」
言葉遣いが荒いのは俺が男だというアピールをしたかったからだ。ここで敬語を使うようなら女になりそうで怖いからな…だが目の前にいるのはぬらりひょんだ。これなら敬語を使わなくとも問題はねえ。
「君が時野実梨君かの?」
「そうだ。あんたが学園長か?」
「イカにもタコにも。」
「つまらないこといってないで相部屋から個室に変えて貰えないか?どうせ親馬鹿親父が指定したんだろ?」
「いやしておらんよ。」
「どっちでもいい。俺は個室の方が安心出来るし、寝やすい。相部屋だと寝不足になる可能性がある。」
寝不足はしないだろうが色々面倒なんだよな。例えばパワーを使う時間が少なくなるとか。
「却下じゃ。寝不足になるなら睡眠薬を飲め。」
そうか仕方ない…まさかテレキネシスの出番がこんなに早く来るとはな。
「ひょっ!?みょげェェェーっ!!」
俺がやったのは単純でテレキネシスを使った。だが違うのはセインツロウⅣをやったことがない奴らが想像するテレキネシスはただ人や物を持ち上げたり投げたりするものだが俺のは違う。俺は持ち上げる対象を帯電させ周りにも帯電させる効果のあるライトニングのエレメントを使った。もちろん帯電させないことも可能だが相手はぬらりひょんだ。油断は出来ない。ちなみに通常の状態の奴はフォースというエレメントだ。結構練習とかで使ったりする。
「わ、わかった!個室にする!だから解放してくれぬか!?」
「わかった。」
ガタンッ!
ようやくぬらりひょんが降参したので俺はテレキネシスを解くと黒焦げになりかけたぬらりひょんが「酷い目にあったわい…」とかほざきながらもきちんと手続きをしてくれた。
「ほれ、お前さんの部屋の番号と鍵じゃ。今日から使って良いぞい。」
ぬらりひょんがそう言って俺に番号が書かれた紙と鍵を渡すと口を開いた。
「それにしてもお主何者じゃ?お主のような魔法使いは初めてみたが…」
「俺は魔法使いじゃねえよ。」
少なくとも俺は魔法使いではないな。どちらかというと超能力者だし。
「惚けるでない。不意をつかれたとはいえこの麻帆良最強の魔法使いであるワシ近衛(このえ)近右衛門(このえもん)をボロクソにしたんじゃ。ただの魔法使いではあるまい…!」
どうやらぬらりひょんのいうことは本当のようだな。このプレッシャーは並大抵の奴らが出来るもんじゃねえ。とっととバラすか。
「俺は超能力者だ。」
「…………………………………………………………………………………マジで?」
「大マジだ。魔法使いがいて超能力者がいない訳ねえだろ?」
「うむ…よくよく考えてみればそうじゃな。この学園には忍者もおる訳じゃし、あんな独特すぎる魔法は東洋にも西洋にもない訳じゃしな。」
忍者もいるのかよ…それで超能力者の存在に気づかないなんて頭固くねえか?
「さっきからブツブツいっているところ悪いが俺は部屋に行くぞ。」
「む…わかった。」
ぬらりひょんがうなづき俺は部屋のドアに近づき退室しようとする瞬間に呟いた。
「そうそう…個室とかいってボロ部屋だったらどうなるかわかっているよな?」
中で「ひょっ!?」などと声が聞こえたが俺は無視した。完全に悪役だな…
そんな完全な悪役になった俺は個室を手に入れた。ただし相部屋の部屋で。…ようするに相部屋の部屋で一人で使えるってことだよ。
「いやーあのぬらりひょんも結構サービスしてくれるな。」
どれだけ怖かったんだ?と思うのは後にしてだ。相部屋は当然個室よりも広い。ただしこの部屋は他の相部屋とは違って3LDKの部屋だ。設備も充実しておりコタツやクーラー、テレビ、風呂も使えるようになっている。この部屋なら文句はない。後でぬらりひょんの好きなものでも贈ってやろうと決意した。
「しかし魔法使いか…確かこの世界は魔法先生ネギま!の世界だったな。てことは主人公が魔法使いなのは否めないな。」
俺はノートに書き込みながらまとめていく。
タイトルから推測すると恐らくネギという名前の教師が魔法使いを指導する…ってところか?いやそれはないな。そもそも親がネギなんて名前をつけるのか?という疑問があり俺は保留してもう一つの推測を立てる。
焼き鳥屋のおっさんがネギまを食うと魔法使いになって悪党を懲らしめるという推測だが別に焼き鳥屋のおっさんでなくとも一般人でもいい。ただ先生の部分は悪党を懲らしめると言う意味で無理やり解釈したから無理がある。となれば教師が焼き鳥のネギまを食べると魔法使いになって活躍する物語…という推測になるが…そんな焼き鳥は食べたこともないし聞いたこともない。
無論ぬらりひょんの様子からみて魔法使いの存在が裏世界の存在であるようにその焼き鳥もそうなのかもしれない。
しかしまずそれはない。ぬらりひょんがあの場で学園最強の魔法使いと言ったところから魔法は別にネギまを食べなくとも使えるということだ。この推測はハズレだろうな。
何にしても一旦考えを改めるためにあの親父に携帯電話で電話した。ちなみに今は2001年なのでスマホとかはない。その代わり史実の競馬についてちょっと知識があったのでそれで金を稼がせてもらい金だけはある。
「おお、みのりん!どうした?!」
相変わらずイラッとする呼び方だが無視して用件だけ伝えることにした。
「今日から寮に住むから。」
「そうか!頑張れよ!みのり」
ピッ!
イラッとする呼び方を聞く前に俺は携帯を切り、和室の部屋で座りクラス分け発表の紙を覗くとそこには【1ーA 20番 時野 実梨】と書かれていた。
用語解説
テレキネシス
遠くにあるものや人を持ち上げたりそれを投げたりするパワー
エレメント
所謂、付加させる属性。今回はフォースとライトニングが登場したのでその二つを解説する。フォースは無属性、ライトニングは雷属性を付加させる。ちなみに他にもあるが今回は解説しない。