この作品はArcadiaに投稿されているものを加筆修正したものです。
「ゼロの使い魔」、「タバサの冒険」と「サガ・フロンティア」のクロス作品です。
ゼロの使い魔は原作開始、サガ・フロンティアは7つ全てのシナリオの後ですので、サガ・フロンティアの方はプロローグでリュート編、序盤で他の各シナリオのネタバレがありますのでご注意ください。
投稿は不定期になります。
以上です。皆様、よろしくお願いします。
色々な世界が交わるどこかの空間のどこかの世界。
とある青い髪のお人好しそうな青年―――リュートはニートでした。
毎日仕事をせず、ブラブラと遊び回る日々。スネっかじりで母親に迷惑ばかりかけている。だけど、不思議と彼の周りには人が集まっていました。音楽好きで、その背中にはいつも青年と同じ名の楽器を背負っていました。父親は亡くなっており、肝っ玉な母親の手一つで育てられました。
ニート青年が25歳のある日、これではいけないと思い、一念発起し故郷のヨークランドを旅立つことにしました。
「早くしなさい」
「やっぱり心配だな、母ちゃん一人残していくのは」
「何言ってるの。あんたに心配されるほど年取っちゃいないよ。…ちゃんと働くんだよ。見送りはしないからね」
「うん」
そういってリュートは家を出ました。
「おや、お前が旅立つ日が来るとはね…」
「えー、兄ちゃんどっかいっちゃうのー?」
「兄貴、本当に行っちまうのかい?」
近所の人や子供、弟分などに挨拶をし、故郷であるヨークランドから旅立とうとしたときのことです。
「このシップはトリニティの借り切りだ。乗船は許可できない」
この世界での移動に使われるシップと呼ばれる別の世界との渡航船がお偉いさんのために貸切になっていました。ヨークランドはド田舎なのでこれ以外他の便はありません。
「これに乗らなきゃどこにも行けんのよ。はじっこの方でいいんだ,一人ぐらい…」
「ええい、ごちゃごちゃ言ってると逮捕するぞ!」
「逮捕?俺が何したって言うんだい」
旅に出たその日に家に戻る、というのは笑えない冗談なのでなんとか乗れるように交渉をしますが、乗せてもらえません。そのときシップの中からお偉いさんが現れました。
「どうした? トラブルか?」
「モンド司令!いえ、何でもありません。ほら、早く帰れ!」
モンドと呼ばれた司令官はリュートの顔を見て少し考える素振りを見せ,軽くうなずくとリュートに、
「シップに乗りたいのか? 場所はある。乗りたまえ」
と言い、そのまま中へと戻って行きました。
「親分の方が物分かりがいいな。というわけでおじゃまします」
残った部下にそう伝え、リュートはシップの中へと入って行きました。
シップが離陸した後、リュートはモンドにデッキに呼び出され、二人で会話をしました。
「乗せてもらえて助かりましたよ。どうして乗せてくれたんですか?」
「私もヨークランドの出身だからね。同郷のよしみってやつだ」
同郷ネタに花を咲かせ、彼らは語り合いました。目的地に着くと彼らは再会を願いあいながら別れました。
旅だったのはいいものの、このご時世そうそう就職先が見つかるわけありません。どうしようもないので酒場で飲んでいると、そこには色々な人が。なにやら困っていたり、思い悩んだりしているようです。ニート青年はそういう人たちを放っておけない性質です。天性の明るさと人懐っこさで話を聞いてみると、話す人はみな色々抱え込んでいました。
悪の組織を潰そうとする青年、妖魔の追っ手を振り切ってどうにかしたい半妖の女の子、無くした記憶を戻したいロボット、故郷を救うために指輪を集める緑色のふわふわしている動物、術の素質を集めているイケメン、夫の敵を探す元トップモデル。
話を聞いたリュートはいつも同じことを言いました。
「よし、俺も手伝おう」
その活躍は別の機会に語るとしましょう。
色々な人の物語に立ち会い、一連の結末を見たリュートですが、とある港で出会った艦長から衝撃の事実を伝えられました。
「キミのお父さんは反トリニティの革命家だった。そして、その活動中の最中に新婚の奥さん、つまり君の母上を残して亡くなった。モンドも元々は君の父上と同じ道を歩んでいた。しかし、亡くなった父上の意思を裏切ってトリニティへ奔ったんだ」
トリニティというのはこの世界に君臨する政治機関のことで、モンドはそこの司令でした。
「彼は大きな野望を抱いているようだ例えばトリニティ全体を一人で支配するような…」
「そんな、子供向けムービーの悪役みたいなことを本気で考える奴がいるかよ。話がマジだかシャレだか分かんなくなってきたぜ」
リュートはそれを阻止するために、仲間とともに秘密裏に作られていた要塞に乗り込み、その最深部でモンドと対決することになりました。モンドは巨大なロボットを操り、リュートとその仲間たちに襲いかかります。
「世界を統べるのは力だ!それがまだ解らんか。愚か者たちよ、今から力の意義をお前達の体に直接、叩き込んでやる!!」
激しい戦いの末、リュートは勝ち、その後は平和になった…のですが、
「リュート殿!会議に御戻り下さい!」
「ゲ、見つかった!」
職業がニートからトリニティ特別顧問へとグレードアップ。力不足ということを自覚しているリュートは今日も執務の手から逃げます。が、逃げ道を知られ尽くされたせいかドンドン包囲されていきます。
「はぁ、もうあきらめて欲しいんだけどな…」
「いたぞ!こっちだ!」
「まだあきらめないの!?」
その後も逃げていましたが、うっかり袋小路に。後ろから足音が近付いてきます。もう捕まるしかないのかと思ったその時、リュートの目の前に大きな光り輝く鏡が出現しました。
「うぉ、まぶしっ!……鏡、か?」
手を伸ばし触れようとすると、
「こっちだ、声がしたぞ!」
と声が近付いてくるで慌ててしまいました。
「やっべ!……って」
すると、なんと鏡の中に手が入りました。
少し考えたあと、リュートは鏡の中に入っていきました。どうしても会議には出たくないらしいです。リュートの体が鏡に入った途端、鏡は再び光り出し、消えていきました。
「リュート殿!…ってあれ?」
少し遅れてトリニティからの使者が来ましたが、そこには誰もいませんでした。