Fate/EXTRA 保健室脱却   作:南条

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 更新遅れて申し訳ありません。

 今まで言うの忘れてたんですけど、これはオリジナルシナリオです。なのでEXTRAに出演しているマスターと同じでも、サーヴァントまでもが同じとは限りませんので、そこのところよろしくお願いします。

 それと本編中に出てくる…

【━━━/-1/-2/-3】

 ↑これなんですが、「━━━」が場所や場面、「-1」が何日目か、「-2」が何時、「-3」が何分かです。

 別に見なくても分かるは分かるので、「んなもん関係ねえ!」という方はお気になさらず。



いきなりですか

【決定/01/13/00】

 

 

 

「これはまた…酷いものだな。マスター、下手をすれば一回戦は君にとって、大きな壁となりうるぞ。」

 

 アーチャーさんのその言葉が、深く心に根を張った。

 

 一見すれば兄妹…いや、姉弟…?の闘いに見えるんだろうか。苗字が同じといゔ偶然゙に違和感を覚えつつ、これから始まるであろう闘いの予感を感じる。

 …一週間後にはこの名前のどちらかの人と殺しあう。

 あまりにも非日常なはずなのに、それ以上に悪寒が凄まじい。掲載されている名前を見てると、なぜだか無性に嫌気がさしてくる。本能的に…。

 

「一回戦目の゙間桐桜゙って、もしかして君のことかい?」

 

 急に背筋が寒くなった。

 恐怖…ではなかった。なにか、それ以上の嫌悪感が…。

 

 声がした方を振り返ると、そこには青髪のキザっぽい人がいました。

 胸元を開いた制服の着方はだらしがなく、腰から垂らしたチェーンは高価そうだからか本人のだらしなさが強調され、そして何より前髪を弄っているその仕草がナルシスト勘を引き立たせていた。

 

 …なんでしょう。この人を見てると自然と将来が不安になってきました。

 

「へー…結構かわいいな。」

 

 私の顔を覗き込んでそんなことを言う目の前の人。この人の目は審美眼というより、なにかいやらしい感じがする。

 

「いやーそれにしても、まさかこんな女の子と一回戦目から戦わなくちゃいけないなんてね。君が対戦者じゃなかったら、一緒にお茶くらいはしてあげたのにさ。」

 

 …この人は何を言ってるんだろう。

 もし誘われたとしてもこの人にだけはついていかないと直感的に思った。

 

「僕としても妹を手にかけるみたいで乗り気にはなれないなー。だからさ、君。」

 

 悪びれるどころかためらいもせず、

 

「僕の女にならない?」

 

 はっきりと告げる目の前の人。

 

 「遠慮しておきます。」とっさに口に出そうになったのを我慢する。さすがに初対面の相手にそんなことを言うのは失礼ですよね…。

 

 けど、断らなければ…なんというか、もしこの人の彼女になってしまったら酷い目に遭いそう。

 というかそもそもとして、なったところでどうなると言うんでしょうか…。まだ受け止めきれていないとはいえ、アーチャーさん曰く「どちらか一方は必ず死ぬ」とのこと。ならそんなことをしても意味がないのでは…?

 

「ほら、僕の女になれば地上に戻っても安心だろ?それに賞金くらいは分けてあげるよ。僕が欲しいのは優勝タイトルくらいだしね。」

 

 …どういうことだろう?

 

「どうせゲームなんだしさ、肩ひじ張る必要ないじゃん。で、どうだい?」

 

 まるでこちらが乗るのが当たり前、という顔で返答を待つ目の前の人。

 だけど…

 

「マスター、受ける必要はない。『すみませんが、私は勝たせてもらいます。』と、正直に伝えてやればいい。」

 

 アーチャーさんがこちらに聞こえるぐらいの声で助言をしてくれる。でもそんなこと言ったら相手も気を悪くするんじゃないでしょうか…?

 

 しかしそれ以上にこの状況は嫌だ。もちろん受けた先の状況も。

 

「す、すみませんが!私は勝たせてもらいます!」

 

 意を決してアーチャーさんに言われたことを気後れしないよに大きな声で言う。少し上ずったかもしれないけど…。

 

「なっ…!?」

 

 目の前の人はとても驚いたような顔をすると、すぐに憤怒の形相に変わる。

 

「…い、いいだろう。あくまでも勝つ気でいるってんなら、その気持ちごと潰してやるよ!凡才が天才に勝てるわけないんだからな!」

 

 そう言い捨てると、目の前の人は苛立ちを隠しもせずに階段を降りて行ってしまった。

 や、やっぱり怒っちゃった…。

 

「………。」

 

 ふと、アーチャーさんを見てみると、面食らった顔をしていた。

 

「アーチャーさん、どうかしたんですか?」

 

「いや、まさか君が本当に言うとは思っていなかったものでね。少々驚いただけさ。」

 

「えぇ!?で、でもアーチャーさんが…!」

 

「ああ、あれはふざけただけだ。」

 

 面白いものを見させてもらった、そういうとアーチャーさんは姿を消してしまった。

 そ、そんな、気づけるはずないじゃないですか…。

 

 …なんか、あの人に悪いことしちゃったなあ…。

 

 

 

【学園内:三階廊下/01/14/30】

 

 

 

 ゙試練(タスク)゙…゙アリーナ゙にてトリガーを取得しろ、という指令のこと。

 

 それが来るまではアリーナに行っても意味がないらしいので、私は海月原学園の中を見て回ることにした。

 図書室、弓道場、購買部、教会とそこに続く花壇など、アーチャーさんが言っていたところにはある程度足を運んでみた。

 …教会には変な人がいて変な話を聞かされたので、時間がかかってしまった。

 確か名前は…髪の赤い人が゙蒼崎 青子(あおざき あおこ)゙さん。゙魂の改竄゙をやってくれる人。髪の色の割には名前が青ということに少し違和感を感じたけれど、付き合いのよさそうな優しい人だった。

 それで髪の青い人が゙蒼崎 澄子(あおざき とうこ)゙さん。青子さんのお姉さんらしいけど、こちらは何もしてくれないらしい。人探しで来ているとかで、聖杯戦争には直接関与していないのだそう。

 二人は不仲なのか、時折お互いの悪口をいっていたりする。わざと聞こえるように大きな声で。傍にいるものとしては苦笑いするしかなく、少し対応に困ってしまう。

 

 姉妹なのだから、もう少し仲良くなるといいんだけど…。

 

 そこまで考えると、思わず足を止める。わざとではなく、自然と歩みが緩くなってしまったのだ。

 二階の上り階段を目の前に立ち尽くす。

 

 …なぜか、自分で思った言葉が心に突き刺さる。

 

「ん?マスター、どうした。」

 

 アーチャーさんの声で現実に気を戻す。大丈夫、一言そう言って階段に視線をやると、階段を降りてくる人がいた。

 

 褐色の肌に胸元を大きく開いた服。眼鏡をかけ白衣も着ているその姿は知的といった感じ。しかも美少女。でも問題はそこじゃないんです。あの人は金色のミニスカート(のようなもの)を履いているのですが…

 あちらは上、こちらは下、そして履いているのがミニスカートという状況では不可抗力でした。褐色美少女さんの絶対領域の奥が見えてしまっ…

 

 …。

 

 ……。

 

 

 

 ………あれ?はいてない?

 

 

 

 どういうことでしょう。記憶はなくとも世間の常識はあると思っていたのですが、いつの間に世界はノーパン主義になってしまったんでしょうか。全世界の女性はノーパンでなくてはならないとか法律で取り決められてしまったのでしょうか。それとも世間でばノーパン健康法゙でも流行っているんでしょうか。履かないことによって体調が良くなるとかなんちゃらかんちゃら。それとも履かないという行為で「自分は強い」と自己暗示をかけているのでしょうか。なるほど見た目はか弱そうな少女なのでその線でいけそうと思ったけど心が強そう。だって何事もないような顔で平然と降りてきてるから。普通だったら気にしますし。というか私が知る限りでは服を着る場合は下着を着けたり履いたりします。現に私も着けたり履いたりしています。白の下着を。しかしあの人のスカートの奥にはそれが見えない。見えるのはあの人が動くたびに揺れる服の間から覗く可愛らしいおへそと腰から大腿部分にかけての褐色の肌と一本のいけないこれ以上考えたら。

 

 強制的に思考をシャットダウンする。止まって動いて再度止まった私。端から見たら訳の分からない人です。

 

「全然大丈夫には見えないが…マスター、一体何を見て、」

 

 心配して声をかけるも、そこで急に言葉を止めるアーチャーさん。どうやら私の視線を追ったようで、きっと同じ光景を見て絶句しているんでしょうね。

 

 …って、それは色々とダメなやつですよー!!?

 

「アーチャーさん見ちゃダメです!!」

 

 姿は見えないけど渾身のビンタを感覚で放つ。

 

「おぶっ!!」

 

 クリーンヒットしたのか、右手に衝撃が走る。そしてビンタを放つために体の向きを変えたためか、先ほどまで止まっていた思考が動きを取り戻した。

 なお、急に殴られたせいかアーチャーさんは姿を現して左の頬を抑えていた。

 

「い、いきなり何をするんだ君は!」

 

 この状況において最も的確で適切な処置です。

 

「…ごきげんよう。」

 

 後ろから声をかけられ慌てて振り向く。見ると、すでに踊り場まで降りてきた褐色美少女さんが一人。

 

 …って、さっきのはいてない人ですね、完全に。

 

 思わず汗が噴き出す。この人がアレなことには突っ込まない方がいいんでしょうけど…気になる。すごい気になる。

 と、とりあえず挨拶くらいは返しておかなくちゃ…。

 

「こ、こんにちは。」

 

 緊張を隠すために通常通りの声を意識する。

 

「…。」

 

 挨拶はきちんと返したのに、なぜか相手は無言。じっとこちらの顔を見るだけで身じろぎ一つしない。さすがにアーチャーさんも怪訝そうな顔をしてるのが雰囲気で伝わってくる。

 

「…なるほど。あなたも流れの一つなのですね。」

 

「はい…?」

 

 意味の分からない言葉。頭に疑問符を浮かべていると、褐色美少女さんは無機質な機械を思わせる冷たい声で話し始める。

 

「失礼。私ばラニ=(エイト)゙。あなたと同様、マスターの一人です。

 私はとある゙星゙を探しています。あなたがその星なのかは分かりませんが…可能性がある以上、無視するわけにもいきません。」

 

 ほ、星…?可能性って何の…?

 

「どうでしょう。師から言われた星があなたであるなら、私にとっては有用。あなたが協力者を欲しているなら、あなたにとっても有用かと。」

 

 協力者…って、さっきの不快な人みたいな感じ、なのかな…?でもこっちは普通っぽいし…。

 ああ、なんかよく分からなくなってきた…。

 

「…動揺が見られます。もしや、急ぎの用事でもあったのですか?」

 

「え?いえ、そんなことは…。ちょっと、協力者とか言われて驚いただけで。」

 

 本当はいろんなことが頭に入りすぎて混乱してるだけなんだけど…。

 

「なにも不思議なことではありません。周りも同様にしていることです。

 …ですが、時間がかかるのでしたらお待ちしましょう。あなたの名前は?」

 

「え?」

 

「名前です。今に返事は結構ですが、また後日お会いする時のために必要なので。」

 

 名前…そういえば、今回の対戦者が『君が間桐桜?』って訊いてきたような…。

 順当に考えれば、相手がそう言ってくるということは、そうなんだよね。相手が間桐慎二で、私が間桐桜。

 

「マスター、君の名前は間桐桜で合っているぞ。」

 

 アーチャーさんの助言に助けられる。それにしても本当に心を読んでいるとしか思えない。

 

「間桐、桜です。えっと…ラニ、さん。」

 

「間桐桜…分かりました。では、また後日。」

 

 名前を反復し一言そう言うと、ラニさんはそのまま階段を降りて行った。

 

「…。」

 

 ふと、アーチャーさんが難しい顔をしていた。どうしたのかと聞いてみると、

 

「いや、どうやら先ほどの彼女、相当な実力の持ち主のようでな。協力関係になれば心強いだろうと思っただけさ。」

 

 相手を褒めているにも関わらず、いつもの無愛想な顔で言うあたり、何か思うところがあるのかもしれない。

 

「協力…でも、対戦者として当たったら戦うんですよね?それなのに…」

 

「当たる確率は少ないさ。彼女が途中で負けるかもしれないんだからね。だったら一時的にとはいえ、関係を築くことは悪いことじゃない。むしろ周りを出し抜くのに最適だろうさ。」

 

 …そこまで絶賛するなら、さっき言って欲しかったです。

 

「なんでさっき言ってくれなかったんですか?そうしてくれてれば、すぐにでも…。」

 

「決めるのは君で構わない。私もそこに異論はない。

 だが、何事もよく考えることが必要だ。その行為が君にとって本当によいことなのかどうか。決めるのは君自身。だからこそ協力するということで、どのようなメリット、デメリットがあるのかを君自身に考えて欲しいんだ。私の意見ではなく、君の意見としてね。」

 

「…つまり、決意と同時に、覚悟も持てっていうことですか?」

 

「ああ。ラニ=Ⅷと手を組むのは反対しない。戦力としては申し分ない。

 だが私が心配なのはそこではない。そのことも理解してほしい。」

 

 最後にそれだけ言うとアーチャーさんは姿を消す。問答無用に私に考えさせるために。

 …でも、確かに考えは必要。屋上とかの静かなイメージのあるところで、一旦まとめてみよう。

 

 

 

【学園内:屋上/01/14/45】

 

 

 

 この学園はセラフの中にあると聞いた時から、空はどうなっているのかと気になっていた。見晴らしもいいだろうし、この際だから見ておこう。

 屋上に続く鉄製の扉に手をかける。

 

『━━なんて、━━━でしょうね。』

 

 扉を少し開いたところでそんな声がした。しかし言ってることは不明瞭で、うまく聞き取ることはできない。

 今行ったら邪魔になるかもしれないけど…

 

 …声をかければ大丈夫かな?

 

 よし、と気合を入れて扉をさらに押し開く。

 

「記憶がないなんてハンデもいいとこじゃない。不運ね。実力も素人なのに、記憶がないなんて常にペナルティ喰らってるようなもんよ。」

 

 聞き覚えのある声。確か…

 

「…遠坂凛か。」

 

 そう、アーチャーさんが言ったように、この声は遠坂凛さん。非常用の階段のところにいるのか、姿は見えない。しかし金網の間から赤色が覗いているのもあり、認識するのは容易だった。

 向こうからだとこちらは見えないのか、気づいている様子はない。

 

 よく見てみると、凛さんの他にも人がいる。男の人で、普通の制服を着ていることからマスターだというのは分かる。

 

「…。」

 

 でも彼は何も言ってない。話してたんじゃないのかな…?

 

「悪いけど、勝つのは難しいでしょうね。まあ頑張りなさい。」

 

 凛さんがそう言うと、男の人はこちらに向かって歩いてくる。私が扉のところから数歩退きスペースを開けると、頭を下げながら階段を降りて行った。

 

「マスター、屋上だが…どうする?先客もいるようだし、今回は諦めたほうがいいのでは?」

 

「そう…ですね。屋上は、また今度にします。」

 

 普通のマスターなら別によかったんだけど…凛さん(あの人)とは何かありそうだし。

 

 それに…

 

「…。」

 

 あの()()…まずは自分で調べてみよう。

 

 ばれないように静かに扉を閉め、屋上を後にした。

 

 

 

【学園内:一階廊下奥/01/16/00】

 

 

 

『::第一暗号鍵(プライマトリガー)を生成。第一層にて取得されたし。』

 

 端末の画面を見たアーチャーさんに催促され、私は今゙アリーナ゙に続く扉の前まで来ていました。

 

「゙アリーナ゙に入る前に簡単な説明をしておこうか。中は危険でもあるからね。」

 

 雑魚には負けないが用心のため、そう言うとアーチャーさんは説明を始めてくれました。

 

「゙アリーナ゙ 敵性プログラム(エネミー)やトリガーが存在する場所で、中の構造は不明。ただ、アリーナば月の海゙に存在するとされている。

 正確には月の海ではなぐ月想海゙と呼ばれる名前だが、これはセラフの中にあるものだ。第一階層から第七階層まである。どれも作りは似たようなものだ、並びが違うだけでね。」

 

「今から行くのは、どこなんですか?」

 

「第一階層の゙第一層゙という場所だ。アリーナにば第一層゙、゙第二層゙というものがあり、第一暗号鍵(プライマトリガー)は第一層、第二暗号鍵(セカンダトリガー)は第二層にある。今回は一つ目を取って他にすることもなければ帰還してもいいだろうさ。」

 

 要はトリガーを取得する以外の目的は自分で探せ、ということですね。

 電脳世界と説明を受けたとはいえ、体を動かす感覚はまるで本物のよう。これなら、私自身の体力を鍛えるのもいいかもしれない。トリガーを取得したら少し走ってみよう。

 

「それとマスター、大事なことだから言っておく。

 この聖杯戦争ば情報戦゙と言っても過言ではない。相手の情報を集め、真名まで至れれば勝利に近づける。探すのはトリガーだけではない。相手のことを知るためのヒントもだ。決して見落とすことはないように。

 そして、アリーナば敵と共同゙だ。中で遭遇すれば戦闘になる可能性もある。情報を取得するだけなら他でもできるが、戦ってみて初めて分かることもある。そのことを頭に入れておいてくれ。」

 

「この闘いにおいて重要なのは情報で、それを得るためには戦闘もやむなし、ということですか…。」

 

「ああ。だが、いきなりというのもアレだからな。今日は探索とエネミー(雑魚)狩りだけに抑えることを推奨するよ。」

 

 長時間いれば相手と接触する可能性も増える…あまり長居はしない方がよさそう…。

 

「それじゃあ、今日は軽い探索だけにしたいと思います。お願いしますね、アーチャーさん。」

 

 アーチャーさんが頷いたことを確認すると、意を決してアリーナへの扉を開く。

 

 

 

【一の月想海:第一層/01/16/10】

 

 

 

 中は不思議な場所でした。暗い空間に光の床と壁、いえ…光というよりは機械的な何か…それがダンジョンを形作っていたのです。

 どういった材質で、どういった感触なのか気になる。そーっと、手を触れようとして…

 

「マスター、そっちは壁だぞ。進むべき道はこっちだ。」

 

 好奇心を現実で壊された。

 アーチャーさんが指さすのは確かに正規ルート。不思議な床と壁で構成されたそれは、正確な一本道だった。その奥にはちょっとした広間も見える。

 

「む、これは困ったな。」

 

「どうしたんですか?」

 

 奥を見据えたアーチャーさんが困ったと言った。なにか嫌な予感もしてくる。

 

「…相手マスターがすでにアリーナに入っていたようだ。恐らくあちらも感知したのだろう。こっちに向かってきている。」

 

「ええ!?」

 

 戦闘は避けた方がいいとか言ってたはしから…!?

 

「ど、どうしましょう…!」

 

「落ち着けマスター。こうなった以上は覚悟するしかない。相手も゙やる気゙のようだしな。」

 

 やる気って、完全に戦闘を起こす気満々ってこと…!?

 

「ここで止まっていても仕方がない。奥の広間に行こう。そこの方が戦いやすい。」

 

 どうやらアーチャーさんは臨戦態勢のようです。…嫌な予感は的中しましたね。

 

 仕方なく、アーチャーさんの言うとおりに移動する。

 あちら側から間桐慎二さんが来るのが見える。広間に足を踏み入れると同時に、

 

 

 

 何かが顔目掛けて飛んできた。

 

 

 

 あと数センチで当たる、というところで金属音が響く。とっさに目を瞑ると、金属がこすれる音がした。

 目を開くと、まずアーチャーさんの背中が見えた。大きく頼もしい背中。

 

 その奥に、鎖で繋いだ杭のようなものを持つ女性が見えた。

 

 長身であることは見れば認識できるのに、ピンク色の髪は地面に着きそうな程長い。そして露出度の高い黒い服、額を隠すほどの目隠し。あれが…

 

「敵のサーヴァント…。」

 

 完全にこちらを殺す気でいた。あの武器が当たっていれば確実に死んでいただろう。

 

 

 

 これが聖杯戦争。一瞬の気の緩みで、死は目の前まで迫ってくる。

 

 

 

「…奇襲に近い攻撃だな。当たっていれば゙ペナルティ゙では済まかったろうに、中々に行動的なやつだ。」

 

「…。」

 

 アーチャーさんの挑発が聞こえてないように思えるほど相手は動かない。髪の一本すら揺れもしない。

 

「チッ…なんだよ、痛みを感じないように仕留めてやろうと思ったのにさ。なに失敗してんだよお前。」

 

 奥からゆっくりと歩いてくる慎二さん。明らかに怒っている顔だ。

 

「…申し訳ありません、マスター。」

 

 サーヴァントから発せられた声は冷たい。冷淡な口調といい、恐ろしさすら感じてくる。

 しかし怖気づいてはいけない。アーチャーさんに無用な心配をかけるのはダメだから…。

 

「アーチャーさん、大丈夫ですか。」

 

「ああ。それより君は?」

 

「大丈夫です。アーチャーさんが、助けてくれたんですよね。ありがとうございます。」

 

「礼など要らんさ。君には傷一つ付けさせないと言っただろう?」

 

 当たり前かのように、強く言葉を口にする。

 よく見ると、いつの間にかアーチャーさんの手には白い剣が握られていた。陰陽を現す模様もある剣。そこで疑問が生じる。

 …弓兵(アーチャー)なのに、剣…?

 

「ハ…ハハッ!ハハハハハ!」

 

 疑問を抱いていると、慎二さんが突然笑い出した。腹を抱えて笑う、その言葉を表すような姿勢だった。

 

「お前、バカじゃないの!相手が目の前にいるのにクラス名で呼ぶとか!情報を渡してるも同然じゃん!!」

 

 あっ…!?しまった…!情報が大事な戦いで相手に開示しちゃった!?

 まずい…全然気にしてなかった…!クラス名が分かるだけでも相手にとっては重要なこと。そして、情報において相手が一歩先を行った状況になった。どう考えても不利だ…!

 

「別にそれくらい知れても構わさんさ。」

 

 アーチャーさんは余裕そうに答える。

 

「…あ?」

 

 その言葉に怪訝そうな顔をする慎二さん。それを見たアーチャーさんは鼻で笑うと、

 

 

 

「小物相手には、これくらいのほうが丁度いい。」

 

 

 

 とんでもない挑発をかました。

 

「お、お前ぇ…!僕が小物だと!?クソが!!そんなわけないだろうが!」

 

 慎二さんは激怒している。そして…

 

「クソッ!クソクソクソクソッッ!!こんな奴、今ここでやっちまえ!!」

 

 サーヴァントに攻撃の命令を出した。

 相手は一瞬で横に周り、アーチャーさんに向かって杭を飛ばす。鎖が鳴らす音と共に攻撃は伸びる。

 

「アーチャーさん!!」

 

 思わず叫んだが、当のアーチャーさんは動かない。このままだと当たる!?

 

「…それとな、」

 

 不安を消すかのように剣で杭をはじく。手を動かすその動作が見えないほどの速さで。

 

「クラス名が割れたということは私にとって、」

 

 すると突然、その手に持っていた剣が消える。皆が驚き、一瞬動きを止める。

 

 

 

「弓を隠す必要がなくなったということだ。」

 

 

 

 青い光が両手から発せられたかと思ったら、いつの間にか右手には先ほどと違う細長い剣が、左手には弓が握られていた。

 綺麗なフォームで弓に剣をつがえる。

 

 その間に片方を戻していた相手のサーヴァントはまたもや杭を飛ばす。もう片方を強く握り警戒しているのは明確だった。

 飛んでくる杭に対して、アーチャーさんは少し横に動くと、

 

 ()を放った。

 

 杭を横から当てることによって弾き飛ばし、接触による角度調整で剣は見事に敵サーヴァントに向かっていく。

 

「っ!!?」

 

 敵は咄嗟にそれを杭で弾く。

 アーチャーさんは既に二撃目をつがえていた。

 

 しかし敵が鎖を持ち、振るうと同時に弾かれた方の杭がアーチャーさんに弧を描きながら飛んでくる。

 

 やむなく弓矢を消し、さきほどの白い剣でそれを止める。

 敵がまた鎖を振るうとアーチャーさんの腕にぐるぐると巻きつき、剣ごと拘束するように絡まる。

 

 これでアーチャーさんの右腕は止められた。チャンスとして敵は一気に間合いを詰め、杭を押し込む形で刺そうとする。

 

 拘束されてない左手から青い光が放たれた。

 

 金属音が鳴り響く。見るとアーチャーさんの左手には、右手に持つ白い剣と似た形をした黒い剣が握られていた。

 それで敵の攻撃を防いだのだ。

 

 そしてアーチャーさんは瞬時に攻撃に転じる。白い剣を消すことで鎖の拘束が緩くなり、鎖から抜いた右腕が自由を得るとまた剣を出現させる。そのまま横から敵の懐目掛けて放つ。

 

 敵は驚いてはいたが即座に上に逃げる。空中に舞っていた杭を回収すると、慎二さんの斜め前に降り立つ。

 

 それぞれが最初の位置に戻っていることに気づくのに数秒かかった。状況は振り出し…どちらが先に仕掛けるか、緊張が走るその時、

 

 

 

『アリーナ内での戦闘行為は禁止されています。よって戦闘を強制終了します。』

 

 

 

 そんな文字を表示したテロップが双方の間に現れる。するとテロップから走るように不可侵の壁が形成された。

 

「チッ…!もう気づかれたのかよ…!」

 

 忌々しそうに舌を鳴らす慎二さん。何かの石を取り出す。

 

「お前!覚悟しておけよ!絶対に許さないからな!」

 

 そして石を握ると、サーヴァントと共に姿を消した。

 またどこからか攻撃が来るかと警戒したが、攻撃は来なかった。

 

「…学園に戻ったようだな。マスター、奴らはもういないぞ。」

 

 アーチャーさんは両手の剣を消す。

 やがて壁を作っていたテロップも消えた。

 

「アリーナに入れるのは一日に一度だけ。学園に戻ればその日の内に来ることはもうできない。これで安心して探索できるな、マスター。」

 

 通常通りの声、先ほどまで戦闘をしていたとは思えない。

 

「あ、そうだアーチャーさん。なにか分かったことは…?」

 

「…武器の形態から察することは難しいが、推測ではアーチャー、ライダー、アサシンだな。

 剣でも槍でもないからセイバーとランサーは除外。魔術による攻撃でないことからキャスター除外、狂化されていないことからバーサーカーも除外した結果だ。

 飛び道具のような武器からアーチャー。武器の種類を問われないライダーとアサシン。この三つのクラスが怪しいと思われる。」

 

 …すごい。冷静な判断力と凄まじい戦闘力…これが、サーヴァント。

 

「クラス名はこれから解明していこう。他に情報が揃えば自然と分かるだろうしね。」

 

 アーチャーさんは道を開けると、先に行くよう促してくる。

 ふと、気になって端末の゙ステータズという画面を開く。そこにはこう記されていた。

 

『筋力:B  耐久:B  敏捷:B  魔力:C  幸運:E  宝具:??』

 

 宝具…?って確か、英霊を英霊たらしめるもので、サーヴァントにとっての奥の手にして最強の武器だよね?それが『??』って…?

 

「…どうした?マスター。」

 

 アーチャーさんが不思議そうな顔で見ていた。何でもないと慌て気味に言いアリーナの先に進む。

 

 あれはきっと、バグかなにかで見れないだけなんだろう。

 

 そう決めて、アリーナの探索を開始した。

 

 

 

【マイルーム/01/21/30】

 

 

 

 アリーナでの戦闘の後、無事にトリガーを取得したので戻ってきた。いつの間に辺りは夜になっていて、疲れもたまっていた。

 

 アーチャーさんが机で簡易的なベッドを作ってくれたので、そこに横になる。机に乗るのはよくないとは思うけど…折角作ってくれたので甘えることにしました。

 

「今回はクラス名の推察ができただけでも収穫だ。初日にしては頑張った方だな、マスター。

 だが結局は一日目だ。また明日もあることを忘れないようにな。」

 

 返事をしようと口を開けるも眠気は限界に達し、私は眠りに落ちた。

 

 

 

 

 

【決戦まであと五日/02/00/00】

 

 

 

 

 




 猶予期間一日目終了。
 戦闘とか書いたことないので勝手が分からんです。

 それよりも桜が初見の人を「~の人」って呼ぶことが多くてどっかのネコ娘っぽくなっとる。まあその原因は私のボキャブラリーがアレだからなんですけどねハハハハ。笑えよ。

 次回はなるべく早く更新したいと思っています。(本当)
 頑張りますよ、ええ。手に血が滲むほど頑張っちゃいますよ。(大嘘)

 皆様、それでは次の機会に。シーユー!ネクストローマー!
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