「意志を力にする程度の能力?」
「そうよ。それが彼の能力。」
驚いた。人間で、しかも外来人が能力持ちだなんて。
「それと霊力が小さいってことが関係してるって?」
「ええ。彼の能力は簡単に言うと、やる気があれば強くなるってことね。逆にやる気が無いと普通の人間並の力か、それ以下になってしまうわ。」
優の能力は強力なものだった。しかし、発動条件が存在し、中々使い勝手の悪いものとなっていた。が、発動条件を満たせば、身体能力·霊力は爆発的に上がり、圧倒的なものとなる。
条件というのはたった一つだ。やる気をだすこと。つまり、「戦う意志」が強ければ、それに応じて能力のリミッターが解除される。簡単なことに思えるが実際難しい。中途半端な意志で戦いに臨めば、痛い目を見るだろう。
「でも、今もやる気出してるじゃない。「ぐ···き···ハッ···!!」···出してると思うけど···」
「あら、立ち直りの早いこと。でも、あんな表面上のやる気では全然ダメね。もっと死ぬ気でやって貰わないと♪」
そう言って、何を思いついたか、スキマを使って霊夢の背後に移動し、
「なっ!?」
霊夢を拘束した。
「え?」
一瞬、何が起こったのか理解できず、BB弾幕生成を止めた。
「はっ!?おい何してんだよ紫!?」
魔理沙の問いかけを無視して、霊夢の首にまわしていた腕に力を込めた。
「ぐッ!?」
「おい紫てめえ何してんのか分かってんのか!?霊夢を離せよ!!!」
魔理沙さんが激怒している。さっきまでの明るさが、怒りで塗り替えられていた。
「人間ごときが、妖怪の賢者様に命令?良い度胸してるわね···」
紫は全く動じていない。
「テメェ···!!今ならまだ許してやる···だからとっとと霊夢を離せ···」
「何様のつもりか知らないけど、あなたうるさいから少し大人しくしていて貰うわ。」
そう言って魔理沙の足下にスキマを出現させた。
「な!?うわぁあああ!!!」
魔理沙はスキマの中に閉じ込められてしまった。
「魔理沙さんッ!!?」
俺はようやく今起こっていることを理解した。
「ゆ、紫さん···?何を···しているんですか···?霊夢さん、苦しそうですよ···?」
「そうね。苦しそうね。でもこれからもっと苦しくなるわよ?」
「うぐっ···!!」
「冗談ですよね!?止めてくださいよ紫さんっ!!何でこんなことするんですか!!?」
俺は恐怖を圧し殺して叫んだ。
「何で、ですって?簡単なことよ。私が妖怪の賢者だから。」
「賢者様なら、そんな馬鹿なことしません!!今すぐ霊夢さんを離してください!!」
「あなたの物差しで賢者を図らないでほしいわね。それに私はこの幻想郷の最高権力者よ?指図される覚えは無いわ。」
「ッ···!!じ、じゃあなぜこんな酷いことを···」
「何故って。私が一番強くあるためよ。強大な力を持った連中が多くいるこの世界で、私が最強でなくてはならない。だから霊夢のような力を持った連中には、早々に消えて貰わないと困るのよ。」
そんな理由で···
声が出ない···
助けなきゃいけないのに、体が動かない···
ビビってんだ···
紫さんはスキマから短刀を取り出し、霊夢の首に突きつけた。
「まさか、アンタに···殺されるなんて···」
「あら。博麗の巫女でも死ぬのは怖いかしら?」
紫さんが霊夢さんを弄んでいる。
霊夢さんが···殺される···
助けなきゃ···
動けよ···動けよ俺ッ!!!
霊夢さんは俺なんかの為に優しくしてくれた···こんな俺なんかの為に···
そんな優しい霊夢さんが···紫さん···紫なんかの野望の為に殺されるなんて···そんなことあっていいわけがない···
短刀が振り上げられた。
動け!!
動け動け動け動け動け動け動け動けッッッ!!!!!!
ドクン
「さようなら。博麗の巫女···」
「···ごけ···」
「え?」
「うごけぇぇぇぇええええええええッッッッッ!!!!!!!!」
突如、爆風が起こった。
「な、なに!?」
優の目は怒りに燃えていた。
そして明確な殺意を持って、真正面から紫に突っ込んだ。
ドォンッ!!
「!?」
尋常じゃない脚力で地面を蹴って飛び、瞬間的に紫の背後に回り込んだ。
「な!?」
「シッ!!」
全力で回し蹴りをくり出した。
「くっ!!」
紫は咄嗟に左手でガードの体勢を取った。
「ぐッ!!」
ガードした左手が軋んだ。
霊夢を抱えたままでは不利だと考えたのか、紫は霊夢を解放し大きく後退した。
紫が霊夢さんから離れた。チャンスだ!!
優は両手にありったけの霊力を込めた。
「うあああああああああああッッッ!!!!!!」
発射された弾幕は今までとは違い、直径30cmもの大きさで、次から次へと紫に向かって撃たれた。
「フフッ···」
ドドドドドドドッ!!!!!
「ハァ···ハァ···ハァ···」
驚いた···体が軽くて、今までの何倍も速く動けそうだ···弾幕もBB弾なんかとは比べ物にならなかった···だけど少し、体がズキズキする···やっぱり負担が大きいのか···
「フフッ···いいわぁその力···」
「!?」
くっそ···傷一つ無い···やっぱり賢者様には勝てないか···
紫はスキマを出現させた。
「フフフ···ゴソゴソ···」
随分と余裕みたいだ。(擬音を口で言うあたり) 俺の全力を喰らっといて···
ああ、もう死ぬんだな
一体どんな殺戮兵器が出てくるんだろうか···
霊夢さんは解放できたし···よしとするか···
霊夢さん。短い間お世話になりました。俺はここまでみたいです。
必ず霊夢なら、生き延びると信じてます。
魔理沙さんを、頼みます···
ありがとう···
「ドッキリ大成功ーー!!!」
「は?」
「いや、ドッキリ大成功ーって。」
「は?」
「え···?」
「···え···?」
·······
-静寂-
「痛い痛い蹴らないで!!!」
「るっせぇこの年増妖怪がッ!!!」
「冗談で済むと思ってんのかてめぇはッ!!?」
「(うわぁ···)」
今、紫さんは霊夢さんと魔理沙さんにリンチを受けている。
無理もないと思う···やり過ぎだろあれ···
「逃げんなよ!?零距離マスパだオラァッ!!!」
「苦しかったんだけど?首苦しかったんだけど!?いっぺん死ぬかゴラァッ!!?」
「いやああああ!!!助けて優君!!優くんッ!!!」
「えー···」
まあ、この人のお陰で能力発動したらしいし、ちょっとした感謝の気持ちで助けてあげるか···
不思議な感覚だったな···「意志を力にする程度の能力」かぁ···身体への負担ハンパないけど、楽しかったなぁ···またできるかな···?
「いやあああああああああ!!!!!!」
うわっ、年増妖怪が抱きついてきた。ちょ、あんま揺らさないで···脳···ミ···そ···
ドテーン
「え、ちょっと優君!?大丈夫!?」
前言撤回。この人少女。その心配してる顔が···おっふ···
「しっかし、優はよく気絶するなぁ···」
「仕方ないわよ。疲れてるみたいだし。」
「でもこれで優君の能r「「黙れクソババァ」」」
ズゥゥン···
「あ、アイツ今日結局どうするんだろ?泊まってくのかな」
「あら、泊まって欲しいn「どうだろうな」酷くない!?」
「幻想郷を観光したいって言ってたし、今日からでも回ってみるか?ついでに泊めてくれる場所も探して。」
「ああ。それでいいわ。」
「じゃあ私が連れt「じゃあ私が優を連れて回るぜ。」ううっ···ぐすっ···」
「お願いね魔理沙。」
「おう任しとけ!!」
ウワァァァァァァン!!
ウワッ、ナンダコノババァナキダシタゾ!!
ババァガナイテンジャナイワヨキモチワルイ···
ちーと?いや、チートじゃない···俺はチートじゃなくていい···
そんな夢をみた。
チートじゃない!!