ダンジョンに神秘メイジがいるのは間違っているだろうか   作:猫の手

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真面目にプロットから練っているSSがプロットが上手く纏らない為、気晴らしに書いてみました。大分、駄文ですがよろしくお願いいたします。

ふと思いついた異世界召還モノです。オラトリオの神だと原作でもやらかしそうな気がするなぁ……

週一ペースぐらいでかけるといいなぁ……


ようこそ。オラトリオへ。
第1話:悲愛と幼女のサットル


 ブリタニアの首都ブリティン。

 過疎鯖といわれるこのシャードでもそれなりに人がいる華やかな都。そんな首都の銀行で一心不乱にアイテムの確認をしている赤毛の女性―幼女とも取れる外見の―がいた。彼女は過疎になったこのシャードから他のシャードへ移住する移住者だ。

 

 金貨、宝石、インゴット、秘薬……アーティファクトなど嵩張るアイテムを次々と銀行へ収めてゆく。一部納めきれないアーティファクトやソウルストーンを自分のバックパックへ仕分ける作業を続ける。ようやく作業を終了させた彼女は忘れ物がないことを確認すると満足げに頷く。

 

「忘れ物は無いな」

 

 パソコン越しにチェックリストを片手に確認作業をしていた青年も納得したようだ。転送トークンは非常に高価だ。そう何度も使用できるものではない。忘れしたら取りに帰れない。これでようやく引越しの作業が完了した。後は、転送トークンを使用するだけだ。パソコン越しに見る風景、過去に思いを馳せながら転送トークンを使用する。

 

 

 ―転送が始まったことが確認できた瞬間、パソコンがフリーズし、ディスプレイが青く染まる―

 

 

 突如動かなくなったパソコンを見て絶叫、ふざけるなとばかりに強く拳を机にたたきつける。

 

「ブルースクリーン!? 何でこんなときにこうなるんだよ!!」

 

 一月ほど再起動せず動かしていたのがまずかったのか。急なパソコンの不具合に右往左往し、止むを得ないと再起動をする。無事に転送完了していてくれよと祈るような気持ちでクライアントを立ち上げると……転送をしようとしていた自分のキャラクターはどこにも居なかった。手に塩をかけて育てたキャラクターと資産を失った事実に青年は絶叫する。

 

 その悲痛な叫びは虚しく空へと響き渡っていった。 

 

 

 

 

 

 ダンジョンに神秘メイジがいるのは間違っているだろうか。

 

 第一章:ようこそ オラトリオヘ 

  ~第一話:悲愛と幼女のサットル~

 

 

 

 

 

 読みかけの小説をテーブルに置き、男神は幾度目かの溜息をつく。地上に降りて相応の年月を過ごしたが、時折訪れる無聊な日々は男神の心を曇らせる。ロキ・ファミリアのように最前線に立てるわけでもなく、ソーマやヘファイストスのように己が技量を磨くような勤勉さも無い。男神はパンだけの生活に飽き、サーカスを欲していた。その無聊を慰めるために見目麗しい子供たちを強引に眷族にして弄んでみたり、音楽家を招いてみるが代わり映えの無い娯楽に食傷気味だ。最近は他の神が書いた小説などを読んで無聊を宥めていた。

 

 だが、それらは本質的に何の解決にもなっていないのだ。何か面白いことはないかと考え、ふと、小説を見返す。その小説は異世界より召還された勇者の軌跡を描いたものであった。それを眺めている男神の表情が楽しげなものに変化する。娯楽が無いなら娯楽を作ってしまえばいい。大声を上げ、自分の傍に控えていた眷族へ声をかける。

 

「魔道実験室へ行く。ヒュアキントスに来るよう伝えよ。」

「は、ただいま」

 

 近場に居た眷族が主神の癇に障っては敵わないと急ぎ、団長であるヒュアキントスを呼びにいく。そんな眷属を見送りながら男神―アポロンは早足で魔道実験室へと赴く。魔道実験室とは眷族にも使用させていない名ばかりの施設だ。その施設の目的は神の力(アルカナム)の使用を秘匿することにある。徹底した間諜対策や、神の力(アルカナム)の漏れを防ぐ素材。誤魔化すための魔法陣などなどを組み込んだ施設であり、多様はできないが、無聊がひどくなると男神は時折、神の力(アルカナム)を使用して無聊を慰めていた。神の力(アルカナム)の使用は親告罪であり見つからなければ罰せられることは無い。故に影でこそこそ隠れて神の力(アルカナム)を使用するモノは絶えなかった。

 

 アポロンは魔道実験室に向かいながら、己がこれから行う『異世界の勇者召還』術式について検討を行う。小説ほど上手くはいかないだろう。しかしながら、これは未知だ。確実に無聊は宥められる。アポロンは顔がにやけるのを抑えきれない。もし、もしもだ。物語と同じような勇者であればロキ、フレイヤ達を超えることができるかもしれない。薔薇色に輝く己の未来を夢想し涎を垂らさんばかりだ。未来の栄光を齎す『異世界の勇者』に己の寵愛を与えてやら無ければならないだろう……

 

 もし、ロキやフレイヤがアポロンの行いを見ていたら、その浅ましさに侮蔑をしただろう。彼女たちは自分なりに子供たちを愛し導き、苦楽を経験し今のファミリアに至っている。それは決して平坦な道ではなく険しい道程であった、それらを何も考えず楽して果実だけをもぎ取ろうとする行いを彼女たちは嫌悪したであろう。

 

 

 

 

 

 ……アポロンはそういった意味でも自堕落な神であった。

 

 

 

 

 

 魔道実験室前、ヒュアキントスは跪いて己が主神の到着を待っていた。アポロン・ファミリア団長であり、主神アポロンの寵愛を最も享受する眷属だ。【太陽の光寵童】という二つ名は故に付いた名である。ヒュアキントスの忠誠心にアポロンは満足そうな表情を浮かべる。そして、忠実な己の僕に命令を下す。

 

「ヒュアキントスよ。誰一人ここに近づけるな。お前もこの場を離れよ。」

「承りました。アポロン様」

 

 己の忠実な眷属に命令し、魔道実験室へと入る。神に嘘はつけない……他の神に詰問されたとき、知って居ればそれが致命傷になることが考えられる。故にアポロンはアリバイ工作を重ねる。眷属が知らなければ嘘のつきようがないのだから、この行いを小賢しいと見るか、賢いと見るかは神によって分かれるだろう。神の力(アルカナム)の行使が親告罪であることを悪用した犯罪行為、自分は大丈夫であるという根拠の無い自信、これらは天界に強制送還される日まで直るものではない。

 

 さて、準備は整った。アポロンの顔は興奮で紅潮する。オラトリオ最強のファミリアになるためにも最高のカードを引き当てねばならない。既に無聊を慰める程度という考えは消え手段が目的に置き換わっていた。オラトリオの神に多い性格で、それ故に数多のトラブルを引き起こす。神の力(アルカナム)が空間を満たし異世界へとつなげるゲートを開く。

 

「さぁ、来るがいい。異世界の勇士よ。我が無聊の慰みになるために来い!!」

 

 アポロンの呼び声に答えるように空間が歪み、捩れ、曲がる。確かな手ごたえにアポロンはほくそ笑む。やがて、嵐のようなエネルギーの奔流が収まると魔法陣の上に赤毛の幼女が倒れこんでいた。彼女の周囲には数多の宝石、金貨、インゴット、武器、防具で埋め尽くされており、宛ら宝物殿から現れたかのようだ。彼女自身もアポロンですら見たことが無いような高品位の防具に身を包んでいた。幼女は気を失っているのかピクリとも動かない。

 

 予想外の大当たり。宝くじに当選するよりもはるかに低い確率をものにしたのだ。その興奮たるや、美しいアポロンの顔が歓喜のあまり歪んでいる。急ぎ、己の眷族にしなくてはなるまい。幼女から服を剥ぎ取り上着とズボンを脱がせてゆく。ステータスを刻むだけであれば上着だけで十分なはずだが、興奮したアポロンは同時に寵愛を与えようと考えているのだろう。欲望にぎらついた目を幼女に向ける。

 

 いくら気を失っているとはいえ、衣服を剥ぎ取られれば流石に目を覚ます。幼女は寝ぼけたような表情を浮かべていた。誰にも汚されていない処女雪のような愛らしいその表情にアポロンの嗜虐心は否応にも高まる。興奮を抑えながら、幼女に覆いかぶさりながら、傲慢に言葉を紡ぐ。

 

「ようこそ、オラトリオへ異界の人間よ。」

「オラ……トリオ?」

 

召還の影響で意識が朦朧としているのだろう。幼女は不思議そうに首を傾げながら鸚鵡返しに問う。その幼い仕草にアポロンの欲望はますます滾っていった。

 

「我が無聊を慰めるためにお前を召還した。」

「……」

 

幼女の瞳の焦点が合ってくる。アポロンは舐めるように肢体を見ながら…

 

「お前は私のものだ。その証を今から刻み込んでやろう。」

「っぃ………ゃぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ――――――ッ!!」

 

 そういうと、もはや我慢の限界が超えたのだろう幼女に覆いかぶさろうとする。その光景に幼女の心が限界を超えた。絹を裂くような悲鳴とともに思いっきり股間が蹴り上げられる。

 

 もし、これが普通の幼女であれば、あっさりと取り押さえられ陵辱されていただろう。しかしながら、アポロンが呼んだのはロキ・ファミリア、フレイア・ファミリアとも渡り合えるようになるレベルの異界の勇士である。神の力が封じられたアポロンが取り押さえられるようなものではない。幼女の強烈な蹴りはアポロンの滾った欲望ごと股間を叩き潰した。あまりの痛みにアポロンは前後不覚となる。痛みのあまり悲鳴すら上げることができず、のたうちまわる。

 

 とはいえ、幼子がこのような事態に耐えられる精神を持っているはずも無く近くにあった自分のバックパックとマントを掴むと、窓を叩き割り外へと飛び出す。誰も近寄せないようにしたことが災いしたのであろう。アポロンが大声を上げて己の眷族を呼ぶが誰も現れない。急所の痛みに脂汗を書き悲鳴を押し殺しながら、アポロンは地面を這いずりながら、ドアを開けるとあらん限りの声を上げる。

 

「ヒュアキントス!!」

「はっ、直ぐに参ります。」

 

 ただならぬ様子にヒュアキントスは急ぎ馳せ参じ、苦痛に呻く、アポロンの様子に絶句する。大慌てで虎の子のエリクサーを取り出し主神にかける。ダンジョン探索における最悪の事態に対する備えとして購入していたエリクサーではあるが、主神のためであれば使用するのも致し方あるまい。ヒュアキントスはそう考えた。治療を終え、痛みが治まったアポロンは己を傷つけたものに対する怒りで顔をどす黒く染める。叩きつけるようにヒュアキントスに命じた。

 

「新たに我が眷属となった娘が無礼を働き逃げ出した!!追いかけて捕らえよ。決して逃がすな!!」

「はい、アポロン様」

 

 アポロンの言葉を聞いて怒りの形相に変わったヒュアキントスは眷属を呼び集め、逃げ出した娘を追うように指示する。己が主神に無礼を働いた娘をただで済ますつもりは無かった。ヒュアキントスは考えうる限りの苦痛を与えることを誓った。ここにアポロン・ファミリアと幼女の追いかけっこが始まる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 幼女は必死になって走っていた。己は男だったはずだ。こんな外見ではないはずだ。いったい何が起きている。ぐちゃぐちゃになった心、己を何者か定義すらできず、それでも捕まれば悲惨な末路が待っていると確信できた。故に走る。しかしながら、眷属ではない幼女と眷族の身体能力の差は大きい、幼女の所持する技術がその差を用意に詰めさせない。必死になって走り抜け、白髪の少年と金髪の女性が並んで歩いている姿を捉えた。幼女は必死になって走り、金髪の女性に抱きつく。

 

「お願いです!!助けて下さい!!」

 

 そう、泣きついた。服をまとっておらずマントで素肌を隠している彼女を見て金髪の女性はただ事ではないことを理解した。少女を追ってくる集団を発見したとき、白髪の少年に少女を預け、立ちふさがるように前に出る。その金髪の女性に対し、ヒュアキントスは高圧的な言葉を発する。

 

「ヴァレンタイン殿。いくら貴女とはいえど、その娘は我がファミリアの人間だ。眷属でありながら神を傷をつけて逃げた娘を庇い立てするのであれば唯では済まさぬぞ!!」

 

 幼女は大声を上げてヒュアキントスの高圧的な言葉を否定する。否定しなければ全てが終わる。その恐怖が彼女に叫び声を挙げる力を与える。

 

「私は眷属なんかじゃない!!」

 

 ヒュアキントスは舌打ちをする――恐らくステータスを刻んでないのだろう。ギルドが騒ぎ出す前に急ぎ取り戻さなければならないという焦燥が短絡的手段をとるように誘惑するが、相手はオラトリオ最強の女冒険者だ。戦って勝てる相手ではない。その事実がヒュアキントスの動きを止めていた。そんな彼らの様子を知ってかしらずか。剣姫は白髪の少年に預けていた少女に近寄る。

 

「眷属かどうかは、背中を確認すればすぐわかるよ。」

 

 そう言うと少女の背中を肌蹴させる、ステータスらしきものはどこにも見当たらず、冒険者ではないということが確認できた。例えロックをかけたとしても冒険者か否かの区別はつくようになっているのだ。眷属でないことを確信した剣姫はいよいよ射抜くような眼差しでヒュアキントスを睨む。

 

「眷属でもない、幼い子に何をするつもり……」

 

 周囲の視線も冷たいものへと変わってきた。ヒュアキントスはここに至って剣姫を完全に敵に回したことを理解した。例え、オラトリオであっても冒険者が何をしても許されるわけではない。眷属ですらない幼子への暴行。これはギルドが介入するには十分すぎる事案だ。力ずくで取り戻し、眷族にして辻褄を合わそうにも、剣姫が相手では返り討ちに合うだけだ。そして返す刀でファミリアを壊滅させられるだろう。剣姫とアポロン・ファミリアにはそれだけの圧倒的な格差がある。

 

「こちらの勘違いであった。おそらく逃げたのは別の者であろう。失礼する」

 

 形勢の不利を悟ったヒュアキントスはそういって逃げるように立ち去った。剣姫と白髪の少年、幼女がその場に残された。幼女は安心したのだろう。白髪の少年に抱きつき、わんわん泣き始めた。白髪の少年はそんな幼女を宥めながら、剣姫の様子を伺う。

 

「アイズさん…・・・」

 

 剣姫は怒りに震えていた。己の主神であれば何があってもこんな幼子を泣かせる真似はしないだろう。アイズはたやすく非道を行うアポロン・ファミリアが許せなかった。それ以上に幼女が心配だった。白髪の少年と幼女を安心させるようにぎこちない微笑―本人は気がついていないが怒りの感情がブレンドされており肉食獣のソレだった―を浮かべる。その笑みを見た白髪の少年と幼女が脅えたことに内心傷つきながらも

 

「近くに知り合いの鍛冶屋があるから……行こう。」

 

 ギルドからあまり離れていないここはヘファイストス・ファミリアの支店が近い。何はともあれ幼女に衣服を用意しなければならない。剣姫の建設的な意見に白髪の少年はうなづき、幼女に声をかける。

 

「安心していいよ。僕もアイズさんも悪いようにはしないから……」

「――…はい」

 

 幼女は安心したのか気を失ってしまった。その様子を見て白髪の少年と剣姫は怒りを覚えた。こんな子供にひどい目に合わせたアポロン・ファミリアに対してだ。早く休ませてやりたいと考える。急ぎ、ヘファイストス・ファミリアへと向かう。彼らに迷惑をかけることになるが、状況が状況だけに許してくれるだろう。剣姫と白髪の少年はヘファイストス・ファミリアへ急ぎ向かい始めた。

 残された冒険者と住民達は只ならぬ様子に不安を覚えながら、剣姫と白髪の少年を心配そうに見つめていた。

 

 

 

 

 

 ヘファイストス・ファミリアは、最大手の鍛冶派閥だ。様々なファミリアとの付き合いもあり多くの優れた鍛冶屋を抱えている。そんなファミリアの支店に珍客が現れた。怒りを隠しているが隠しきれて居ない剣姫と幼女を抱えた白髪の少年という組み合わせだ。あまりに珍妙な組み合わせにその場に居た職人たちもどうしたものかと困惑してしまう。激怒している剣姫という物騒な爆弾に震え上がっている職人も多く、ヘファイストス・ファミリアは混沌の坩堝であった。

 

 眷属から泣き付かれて呼ばれたヘファイストスと次の遠征についての相談に来たロキとフィンがいた。その一人と二柱も混沌とした状況に首を傾げるばかりだ。だが、間違いないのは何か厄介ごとに巻き込まれたという確信だ。剣姫の方もロキとフィンが居たという事実に驚きの表情を浮かべる。そんな剣姫に対し一人と二柱を代表して困った表情を浮かべたフィンが声をかける。

 

「アイズ、何があったか説明してくれるかい」

「少し、長くなるよ」

 

そう答えると、フィンは少し考え、ヘファイストスに対して相談をする。

 

「神ヘファイストス、どこか部屋を貸していただけませんか。どうも込み入った話になりそうです。それに、あの子も休ませてやりたい。」

「分かったわ。ただし、私も聞かせて貰うわよ。聞かないで済む話というわけでもなさそうだし」

 

 それは勿論とフィンが頷くとヘファイストスは己が使用する執務室兼仮眠室へと案内をする。彼らの後をロキ、剣姫、幼女を抱えた白髪の少年が続く。裸でマントに包まった幼女を見てロキは口をへの字に曲げる。

 

「まーた、どっかの馬鹿共が何かやらかしおったか。懲りん連中やでほんまに」

 

 幼女を痛ましそうに見ながら溜息とともに呟いた。





ステータスをロックしても冒険者か否かは判別がつくというのはオリジナル設定です。
また、神の力をこっそり使っているというのもオリジナル設定です。

ただ、彼ら、ばれなきゃいいんだよといって使ってそうな気がするんですよねぇ……
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